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ご家族が交通事故で重い障害を負い、「後遺障害1級」という言葉を初めて目にした方も多いのではないでしょうか。調べ始めるとすぐに気づくのが、同じ1級なのに書かれている内容がサイトによって違う、という点です。介護の話が中心のページもあれば、両目の失明や手足の切断が並んでいるページもあります。
これは書き手が間違えているわけではありません。後遺障害1級には、性質のまったく異なる二つの1級が存在するからです。この記事では、その構造をほどいたうえで、どちらに当たるのか、認定を受けるために何が必要になるのかを、弁護士の視点から順に整理していきます。
後遺障害1級とはどのような等級か
後遺障害の等級は1級から14級まであります。ただ、この「14段階」という理解だけでは足りません。自動車損害賠償保障法施行令には、等級表が二つ用意されているためです。
一つが別表第一で、こちらには1級と2級だけが定められています。介護を要する後遺障害が対象です。もう一つが別表第二で、1級から14級までが並びます。つまり実際には、別表第一の2区分と別表第二の14区分を合わせた16の区分で運用されているのです。
1級は、そのいずれにおいても最も重い等級にあたります。労働能力の喪失率は100パーセント、つまり事故前と同じように働くことがまったくできなくなった状態として評価されます。賠償の規模も、後遺障害の中で最大になります。
検索して情報を集めているとき、二つの等級表が並存していることを知らないままだと、読んでいる説明が自分の状況に当てはまるのかどうかが判断できません。まずは、ご家族の状態がどちらの表で評価されるものなのかを見極めるところから始めてください。ここがずれていると、その先の準備もすべて的外れになってしまいます。
等級ごとに賠償の規模がどう変わるのかは、次の記事で一覧にしています。
別表第一の1級|常に介護を要する状態
別表第一の1級に定められているのは、次の二つです。
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
ポイントは「常に」という一語にあります。食事、排せつ、入浴、移動といった日常生活の基本的な動作について、一人では行えず、終日にわたって誰かの手を必要とする状態です。
該当することが多い傷病
実務で1級が問題になるのは、次のようなケースです。
- 遷延性意識障害。いわゆる植物状態と呼ばれるもので、自力での移動や摂食ができず、意思疎通もほとんど成り立ちません
- 重度の高次脳機能障害。身体は動いても、記憶、注意、判断、感情の制御に重い障害が残り、目を離せない状態が続きます
- 頸髄損傷による四肢麻痺。首から下の運動機能が失われ、呼吸の管理まで必要になることもあります
- 胸腹部臓器の重篤な障害。人工呼吸器や持続的な医療管理から離れられない状態です
「常に介護を要する」とはどの程度の状態か
条文の文言だけでは、具体的にどこからが「常に」なのかが見えてきません。実務では、生活のどの場面で、どれくらいの頻度で、誰の手を必要としているかを積み上げて判断していきます。
たとえば、自力で寝返りが打てないため数時間ごとに体位を変える必要がある。嚥下機能が失われていて、経管栄養の管理を欠かせない。排せつの自覚がなく、常時おむつの交換を要する。こうした事情が重なると、終日にわたって介護が必要な状態と評価されやすくなります。
身体が動く高次脳機能障害の場合は、少し様相が違います。歩けるし食事もできる。けれども、火の始末ができない、外出すると帰れなくなる、感情が抑えられず周囲とのトラブルを繰り返す。このように、放置すれば本人や周囲に危険が及ぶため目を離せない、という形で常時の介護が必要になることがあります。身体介助だけが介護ではないという点は、押さえておいてください。
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくいぶん認定の難易度が高い分野です。判断の枠組みはこちらで整理しています。
別表第二の1級|介護を必要としない重度の障害
一方、別表第二の1級には、介護の要否とは関係のない障害が並びます。定められているのは次の六つです。
- 両眼が失明したもの
- 咀嚼および言語の機能を廃したもの
- 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
- 両上肢の用を全廃したもの
- 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
- 両下肢の用を全廃したもの
いずれも、意識は保たれていて判断能力にも問題がない一方、身体機能が決定的に失われている状態です。介護を要する場面はあっても、常時付き添いが必要とまではいえないため、別表第一ではなく別表第二で評価されます。
「失った」と「用を全廃した」の違い
この六つを読むときに引っかかりやすいのが、「失ったもの」と「用を全廃したもの」の使い分けです。前者は物理的な切断を指します。後者は手足そのものは残っているものの、機能としては働かなくなった状態を指します。
関節の機能がどこまで失われたかは、健側との比較で判定されます。けがをしていない側の関節と比べて、患側がどれだけ動くかを角度で測るのです。「用を廃した」と評価されるのは、可動域が健側の10パーセント程度以下になった場合。関節が固まってしまったか、それに近い状態がこれにあたります。
上肢の三大関節は肩、ひじ、手首。下肢の三大関節は股、ひざ、足首です。1級となる「用を全廃」は、この三つすべての用を廃した状態を指します。
切断の高さで等級が変わる
別表第二の1級と2級を見比べると、両上肢の喪失について、1級は「ひじ関節以上」、2級は「手関節以上」と書き分けられています。両下肢についても、1級が「ひざ関節以上」、2級が「足関節以上」です。
つまり、どこで失ったかという高さが、そのまま等級を分けます。ひじから先を失った場合と、手首から先を失った場合とでは、残された機能も、義肢を使ったときにできることも大きく違うためです。切断の位置は診断書と画像で確認されるため、記載に誤りがないかは必ず点検してください。
両眼の失明という基準
失明については、視力がゼロになった場合だけを指すのではありません。光を感じない状態、明暗をようやく判別できる程度の状態、目の前で手を動かしたことがかろうじて分かる程度の状態までが含まれます。
判定は矯正視力で行われるため、眼鏡やコンタクトレンズで矯正した後の数値が用いられます。片方だけが失明した場合は8級、一眼が失明してもう一方の視力が著しく低下した場合は、程度に応じて2級から7級までのいずれかとなります。
別表第一と別表第二の分岐点はどこにあるか
ここまで見てきたとおり、二つの1級を分けるのは介護の要否という一点です。上下の等級とあわせて並べると、位置関係がつかみやすくなります。
| 区分 | 内容 | 自賠責保険の限度額 |
|---|---|---|
| 別表第一 1級 | 神経系統・精神または胸腹部臓器の著しい障害で、常に介護を要する | 4,000万円 |
| 別表第一 2級 | 同じ障害で、随時介護を要する | 3,000万円 |
| 別表第二 1級 | 両眼失明、両上肢または両下肢の喪失・用の全廃など | 3,000万円 |
| 別表第二 2級 | 一眼失明かつ他眼の視力0.02以下、両上肢を手関節以上で失うなど | 2,590万円 |
この限度額は政令で定められた固定の金額です。ただし、これは自賠責保険から支払われる上限にすぎません。実際に受け取れる賠償の総額は、加害者側の任意保険や本人への請求を通じて、これを大きく超えることになります。
2級との境界で争いになりやすい点
別表第一の1級と2級を分けるのは、介護が「常に」必要か「随時」必要かの違いです。文字にすると単純ですが、実際の線引きは容易ではありません。
たとえば、日中は声かけと見守りで過ごせるものの、夜間は数時間おきに体位を変える必要がある。あるいは、簡単な動作は自分でできるが、判断を伴う行動には必ず付き添いが要る。こうした事案では、どちらの評価になるかで賠償額が大きく動きます。
介護の実態をどう記録し、どう主張するかが、そのまま結論を左右する場面です。判断の材料になるのは、あくまで提出された資料に書かれていることだけ。ご家族が実際にどれほど手をかけていても、それが伝わる形になっていなければ、審査には届きません。
逆にいえば、日々の記録を丁寧に積み上げておけば、境界線上の事案でも上位の評価につながる可能性があります。介護日誌をつける習慣は、ご家族にとって負担ではあるものの、後々の交渉で最も強い武器になります。
なお、別表第一の1級と別表第二の1級は、限度額こそ4,000万円と3,000万円で違いますが、どちらも最上位の等級であることに変わりはありません。労働能力の喪失率はいずれも100パーセントとして扱われます。
後遺障害1級の認定で必要になる医証と検査
1級の認定は、書類審査で行われます。どれほど重い状態であっても、資料の形になっていない事実は考慮されません。傷病の類型ごとに、押さえるべき検査が異なります。
神経系統・精神の障害
- 頭部の画像所見。MRIやCTによって、脳の損傷や萎縮が客観的に確認できることが出発点になります
- 受傷直後の意識障害の記録。意識がどの程度失われ、どれくらい続いたかは、後の障害の重さを裏づける重要な事実です
- 神経心理学的検査。記憶、知能、遂行機能などを数値で示します
- 日常生活状況報告書。ご家族が作成する書類で、実際の生活のどこにどれだけ支障が出ているかを伝えます
眼の障害
視力検査は矯正視力で判定します。失明とは、視力を失った状態のほか、明暗の区別がつかない、あるいは辛うじて明暗が分かる程度の状態を含みます。
上肢・下肢の障害
可動域の測定は、原則として他動値、つまり検査者が動かしたときの角度で行います。測定の対象になるのは各関節の主要運動で、健側と患側を同じ方法で測り、比較します。測り方が適切でないと、実際より軽い評価になりかねません。
両側に障害が残っている場合は、比較すべき健側が存在しません。この場合は、日本整形外科学会などが定める参考可動域の数値を基準として判定します。左右ともに障害があるケースこそ1級に近づくわけですから、この測り方は実務上よく登場します。
胸腹部臓器の障害
呼吸器、循環器、腹部臓器、泌尿器などの機能障害は、それぞれ専用の検査値で評価されます。呼吸機能であれば動脈血ガス分析やスパイロメトリーによる測定値、循環器であれば心機能の検査結果、腎機能であれば血液検査の数値といった具合です。
検査の多くは症状固定の前後に実施する必要があり、時期を逃すと後から取り直すのが難しくなります。これらの領域で1級が認められるのは、医療的な管理から離れられず、かつ生命維持のために常時の介助を要する状態に限られます。単に数値が悪いというだけでは足りず、その数値が日常生活のどこにどう影響しているのかまで示す必要があります。
介護の実態を示す資料
医学的な検査と並んで重視されるのが、実際の生活を伝える資料です。日常生活状況報告書のほか、次のようなものが役立ちます。
- 介護日誌。何時に何をしたか、どれくらいの時間がかかったかを日々書き留めたもの
- 訪問看護やリハビリの記録。第三者による客観的な観察が記されています
- 介護保険を利用している場合の認定資料やケアプラン
- 自宅の様子を撮影した写真。改造の必要性を伝える材料にもなります
申請には二つの方法があり、どちらを選ぶかで提出できる資料が変わります。違いは次の記事で比較しました。
後遺障害1級で請求できる賠償の全体像
1級では、慰謝料と逸失利益のほかに、他の等級ではあまり登場しない項目が加わります。
- 後遺障害慰謝料。後遺障害が残ったことそのものに対する精神的損害への賠償です
- 逸失利益。将来得られたはずの収入の補償で、1級では労働能力喪失率が100パーセントとして計算されます
- 将来介護費。介護が必要な状態が生涯続く前提で算定されるため、総額に占める比重が非常に大きくなります
- 家屋改造費・車両改造費。手すりの設置、段差の解消、浴室やトイレの改修、車いす対応の車両への変更などが対象です
- 装具・器具の費用。車いす、介護ベッド、吸引器などは、耐用年数ごとの買い替えを見込んで請求します
- 近親者固有の慰謝料。被害者本人だけでなく、ご家族自身の精神的苦痛についても認められる場合があります
将来介護費が争点になる理由
1級の事案で、賠償総額を最も大きく左右するのが将来介護費です。そして、ここは保険会社との見解が最も分かれる項目でもあります。
争いになるのは主に三つの点です。一つ目は介護に必要な費用を一日あたりいくらとみるか。職業介護人に依頼する場合と、ご家族が介護する場合とで単価の考え方が変わります。二つ目は何年分を見込むか。平均余命までを前提とするのが原則ですが、ここに異論が出ることがあります。三つ目は介護の態様で、常時なのか随時なのか、職業介護人と家族介護をどう組み合わせるのかが問題になります。
将来にわたる費用をまとめて受け取るため、中間利息を差し引く計算も行われます。この控除の仕方によっても総額は動きます。ひとつひとつは細かい論点に見えても、生涯にわたる金額に掛け算されるため、結論への影響は小さくありません。
住環境を整える費用
自宅で介護を続けるには、多くの場合、家の作り替えが必要になります。玄関のスロープ化、廊下の幅の拡張、浴室とトイレの改修、介護用ベッドを置くための部屋の変更。車いすで移動する生活になれば、車両の改造や買い替えも視野に入ります。
これらは事故がなければ必要のなかった出費です。必要性と相当性が示せれば、賠償の対象になります。ただし、どこまでが事故に起因する費用なのかで争いが生じやすいため、見積書や図面を保管し、なぜその改修が要るのかを説明できるようにしておいてください。
1級に届かない場合でも重い等級は残ります。4級の認定基準はこちらにまとめました。
ご自身の場合にどのくらいの金額になるのか、下の計算ツールで確かめてみてください。
介護が随時で足りると判断された場合は2級となります。その線引きについては次の記事をご覧ください。
認定申請で押さえておきたい実務ポイント
1級が問題になる事案では、申請の手順そのものを設計する必要があります。おおまかな流れは次のとおりです。
- 主治医と相談し、症状固定の時期を決める。1級が想定される事案では、リハビリの経過を十分に積んだうえで判断します
- 認定に必要な検査が行われているかを点検し、不足していれば実施を依頼する
- 後遺障害診断書の作成を依頼する。あわせて、ご家族が日常生活状況報告書を準備する
- 画像、検査結果、意識障害の記録、介護の記録を添えて申請する
- 審査の結果を受け取り、内容を検討する
被害者請求を選ぶ理由
申請の方法には、加害者側の保険会社に任せる事前認定と、被害者側が自ら資料をそろえて行う被害者請求があります。1級が見込まれる事案では、被害者請求を選ぶべき場面がほとんどです。
理由は二つあります。一つは、提出する資料を自分で選べること。介護の実態や生活上の支障は、こちらが積極的に示さなければ審査に反映されません。事前認定では、相手方の保険会社が最低限の書類をそろえて提出するだけなので、こちらの事情を伝える機会がないまま結論が出てしまいます。
もう一つは、認定後に自賠責分の保険金を先に受け取れることです。介護用品の購入や住宅の改修には、示談を待たずにまとまった資金が要ります。示談の成立までには年単位の時間がかかることも多く、その間の支出を自己負担で賄い続けるのは現実的ではありません。
手間がかかる方法ではありますが、1級が視野に入る事案では、この手間を惜しまないことが結果に直結します。
1級の認定結果への対応と弁護士の役割
資料を尽くしたつもりでも、結果が2級や3級にとどまることがあります。介護の必要性が「随時」と評価された、あるいは画像所見と症状の重さが結びついていないと判断された、といった理由です。
この場合、結果を確定させる前にできることがあります。認定結果には理由が付されているので、まずどの点が足りないと判断されたのかを読み解いてください。そのうえで、不足していた検査を追加する、医師の意見書を新たに用意する、介護の実態をより具体的に示す資料を作る、といった補強を行います。
何を補えばよいかを見極める
結果を覆すために必要なのは、同じ資料を出し直すことではありません。判断の根拠になった部分を特定し、そこを埋める新しい材料を用意することです。
介護の必要性が「随時」と評価されたのであれば、日中と夜間それぞれの介助の内容と回数を、日付ごとに示す資料が要ります。画像所見と症状の重さが結びついていないと指摘されたのであれば、撮影の時期を変えて再度検査を行う、あるいは読影の専門医から意見をもらう、といった対応が考えられます。
ご家族にとっては、介護に追われながらこうした準備を進めることになります。負担は決して軽くありません。ただ、この段階で手を尽くしておくかどうかで、その後何十年分の賠償が変わってくるのも事実です。
介護を要しないと判断されれば、別表第二の3級として評価されます。詳しくはこちらで扱っています。
後遺障害1級で弁護士に相談する意義
1級の事案は、賠償の総額が大きいだけでなく、争点の数も多くなります。労働能力喪失率、将来介護費の日額と期間、家屋改造の必要性、近親者慰謝料の可否。そのどれもが、保険会社との間で見解の分かれる項目です。
さらに、ご家族は介護に追われながら交渉に臨むことになります。医師との調整、資料の収集、保険会社とのやり取りを同時に抱えるのは、現実的な負担として重すぎるのが実情です。
相談するタイミング
ご相談をお受けしていて多いのが、示談の提示を受けてから初めて連絡をいただくケースです。もちろんその段階でもできることはあります。ただ、1級の事案に関していえば、もっと前の段階で関わったほうが結果は変わります。
認定に必要な検査が行われているか、後遺障害診断書に書くべき事項が漏れていないか、介護の記録が資料として使える形になっているか。これらは症状固定より前に手を打つべきことばかりです。等級が決まってしまってから覆すのは、最初から適切に申請するより何倍も手間がかかります。
治療がまだ続いている段階、あるいは症状固定の話が出始めた段階での相談が、もっとも効果的だとお考えください。
費用の面では、ご自身やご家族の自動車保険に、弁護士費用特約が付いていないか確認してみてください。付帯していれば、相談から依頼までの費用を保険でまかなえる場合があります。ご本人の契約だけでなく、同居のご家族や別居している未婚の子の契約に付いている特約を使えることもあるため、範囲を広げて調べてみる価値があります。
- 症状固定
- 治療を継続しても、これ以上症状の改善が見込めないと判断された状態。この時点を境に、賠償の対象が入通院分から後遺障害分へ切り替わります。
- 健側と患側
- 健側は障害のない側、患側は障害のある側を指します。関節の機能障害は、この二つを比較して評価されます。
- 労働能力喪失率
- 後遺障害によって働く能力がどれだけ失われたかを示す割合。逸失利益の計算に用いられ、1級では100パーセントとされます。
後遺障害1級に関するよくある質問
要介護1級と別表第二の1級では、賠償額に違いが出ますか
出ます。自賠責保険の限度額が4,000万円と3,000万円で異なるほか、要介護の1級では将来介護費が加わるため、総額の差はさらに大きくなります。ただし、別表第二の1級でも介護費用が一切認められないわけではなく、実際の必要性に応じて請求できる場合があります。
意識が戻らない状態でも、申請の手続きはできますか
できます。ご本人に判断能力がない場合は、成年後見人を選任したうえで手続きを進めるのが一般的です。示談の締結にも後見人の関与が必要になるため、早めに家庭裁判所への申立てを検討してください。
認定までにどのくらいの期間がかかりますか
1級が想定される事案は、審査に時間を要する傾向があります。医学的な検討が必要とされる案件では、通常より長くかかることも珍しくありません。その間の生活費や介護費用をどう手当てするかも、あわせて考えておく必要があります。当面の資金が不足する場合には、自賠責保険への仮渡金の請求や、加害者側の任意保険会社に内払いを求めるといった方法があります。
加害者側の保険会社から、介護は家族がやればよいと言われました
ご家族が介護を担う場合でも、費用は発生していないものとして扱われるわけではありません。近親者による介護についても、その労力は経済的な価値のあるものとして評価されます。また、ご家族が高齢になれば職業介護人に切り替えざるを得ない時期が来るため、その分を将来の費用として見込むという考え方もあります。提示の内容にこうした点が反映されているか、確認してみてください。
事故から時間が経ってしまいましたが、まだ請求できますか
後遺障害についての請求権には時効があり、原則として症状固定の翌日から進行します。ただ、期間の数え方は事案によって異なり、時効の完成を止める手段もあります。時間が経っているからと諦めず、まずは状況を確認してください。
まとめ
後遺障害1級には、常に介護を要する状態を対象とする別表第一の1級と、両眼の失明や両手足の喪失などを対象とする別表第二の1級があります。どちらに当たるかによって、必要な資料も、請求できる項目も変わります。
共通しているのは、審査が書類だけで行われるという点です。日々の介護の大変さも、失われた機能の重さも、資料の形になって初めて評価の対象になります。事故直後からの記録が、そのまま結果を左右すると考えてください。
そしてもうひとつ、1級の事案に特有の事情があります。それは、賠償の対象が将来にわたって長く続くという点です。慰謝料や逸失利益に加えて、介護の費用、住まいの改修、器具の買い替えといった支出が、この先何十年も生じ続けます。示談で決める金額は、その全部を含んだものになります。
だからこそ、目の前の提示額が妥当かどうかを判断するには、将来何が必要になるのかを先に描いておかなければなりません。介護に追われる日々のなかで、そこまで見通すのは簡単なことではないはずです。
ご家族だけで抱え込む必要はありません。何から手をつければよいか分からない段階でも、状況を整理するところから一緒に始められます。まずは、いま手元にある診断書と検査結果を確認するところからで構いません。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。