目次[非表示]
後遺障害3級は、介護を必要とする等級と、介護までは要さない等級のちょうど境目に位置しています。認定通知を受け取って、なぜ2級ではなく3級なのか、その差がどこにあるのか分からないまま調べ始めた方も多いのではないでしょうか。
3級を理解する鍵は、「終身労務に服することができない」という言い回しにあります。生涯にわたって働けない状態でありながら、常時または随時の介護までは必要としない。この位置づけが分かると、認定に何を示せばよいのかも見えてきます。弁護士の視点から、順を追って整理していきます。
後遺障害3級とはどのような等級か
後遺障害の等級表は、自動車損害賠償保障法施行令に二種類が置かれています。介護を要する後遺障害を扱う別表第一と、それ以外を扱う別表第二です。別表第一には1級と2級だけが定められ、別表第二には1級から14級までが並びます。
3級が登場するのは、このうち別表第二だけです。1級や2級のように「要介護の3級」というものは存在しません。ここが3級を考えるうえでの出発点になります。
つまり3級は、制度上、介護を前提としない後遺障害のなかで最も重い等級のひとつという位置づけです。労働能力の喪失率は100パーセントとして扱われ、事故前と同じように働くことはできないと評価されます。
等級ごとの賠償の水準を並べて見比べたい方は、次の記事が役立ちます。
後遺障害3級に該当する五つの類型
別表第二の3級に定められているのは、次の五つです。
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
- 咀嚼または言語の機能を廃したもの
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 両手の手指の全部を失ったもの
性質のまったく異なる五つが同居しているのが分かると思います。視覚の障害、口の機能の障害、脳や内臓の障害、そして手の喪失。共通しているのは、いずれも就労が事実上不可能になるという点だけです。
そのため、ご自身がどの類型に当たるのかによって、そろえるべき資料も、交渉で争点になる項目もまったく変わってきます。同じ3級でも、手指を失った方と脳に障害が残った方とでは、必要な準備の中身が重なりません。まずは自分がどこに位置しているのかを確かめるところから始めてください。
視力に関する基準
片方の眼が失明し、もう一方の視力が0.06以下になった場合が3級です。もう一方が0.02以下であれば2級、0.1以下であれば5級と、視力の数値によって段階的に分かれます。
判定に使われるのは矯正視力です。眼鏡やコンタクトレンズで矯正したうえでの数値なので、裸眼でどれだけ見えないかは基準になりません。数値がわずかに動くだけで等級が変わるため、検査は時期を変えて複数回受けておくことが望ましいといえます。
咀嚼または言語の機能を廃したもの
ここは条文の接続詞に注意が必要です。3級は「または」ですが、1級は「および」と書かれています。両方の機能を失えば1級、どちらか一方であれば3級という区分になっているのです。
咀嚼の機能を廃したとは、流動食以外を口にできない状態を指します。言語の機能を廃したとは、発音に関わる機能のうち複数を失い、意味のある言葉を発せなくなった状態です。診断書の記載が「著しい障害」にとどまっていると、等級はさらに下がります。文言ひとつで結論が変わる領域なので、作成前の確認が欠かせません。
両手の手指の全部を失ったもの
手指を「失った」といえるのは、切断の位置によって決まります。親指については指節間関節、それ以外の指については近位指節間関節、つまり手前側から二つ目の関節より根元で失った場合が該当します。
これに対して4級は「両手の手指の全部の用を廃したもの」です。指そのものは残っているが、機能として働かなくなった状態を指します。切断か機能喪失かで、等級がひとつ変わるわけです。
「終身労務に服することができない」とは何を指すか
五つの類型のうち、実務で最も多く問題になるのが三つ目と四つ目です。そして最も判断が難しいのも、この二つです。
条文の言葉をそのまま読めば、生涯にわたって仕事に就くことができない状態、ということになります。ただ、これは「まったく体を動かせない」という意味ではありません。日常生活の基本的な動作は自分でできるとしても、労働の場に身を置くことが継続的に難しいのであれば、この要件を満たし得ます。
働けないと評価される具体像
ここでいう労務とは、対価を得て継続的に行う仕事のことです。単発の作業ができるかどうかではなく、雇用関係のもとで日々の勤務を積み重ねられるかどうかが問われます。
実際に問題になるのは、次のような状態です。短時間なら作業できるが、疲労が強く一日を通して働けない。指示を受けても内容を保持できず、同じ説明を繰り返し必要とする。感情の制御が難しく、職場での人間関係を維持できない。体調の波が大きく、出勤の予定を立てられない。
いずれも、身体を動かすこと自体は可能でありながら、就労という営みが成り立たない類型です。できる動作の有無ではなく、継続して勤務できるかどうかが判断の軸になります。
2級・5級との段階
神経系統や胸腹部臓器の障害について、等級は労働能力の程度で段階的に分かれています。並べると次のようになります。
| 区分 | 労働能力に関する要件 | 自賠責保険の限度額 |
|---|---|---|
| 別表第一 1級 | 常に介護を要する | 4,000万円 |
| 別表第一 2級 | 随時介護を要する | 3,000万円 |
| 別表第二 3級 | 終身労務に服することができない | 2,219万円 |
| 別表第二 5級 | 特に軽易な労務以外の労務に服することができない | 1,574万円 |
| 別表第二 7級 | 軽易な労務以外の労務に服することができない | 1,051万円 |
限度額は政令で定められた固定の金額です。自賠責保険から支払われる上限を示したものにすぎず、実際の賠償総額はこれを大きく超えます。等級がひとつ違えば限度額も数百万円単位で変わりますが、賠償全体で見た差はそれ以上に広がります。
2級との分かれ目
別表第一の2級と3級を分けるのは、介護を要するかどうかです。労働できないという点は共通していますが、生活の場面で誰かの介助が必要かどうかで表が変わります。
身の回りのことは自分でできる。買い物にも一人で行ける。けれども、仕事となると集中が続かず、指示を理解できず、継続して勤務することができない。こうした状態であれば3級の領域です。一方、着替えや入浴に手を借りる必要がある、外出時に付き添いを要するとなれば、2級の可能性を検討することになります。
脳の損傷が残ったときの評価の考え方は、こちらで詳しく扱っています。
5級との分かれ目
下方向の境界も見ておきましょう。5級の要件は「特に軽易な労務以外の労務に服することができない」というものです。つまり、ごく限られた軽い作業であれば就くことができる状態を指します。
3級と5級の差は、働ける余地がまったく残っていないか、わずかでも残っているかという点にあります。単純作業を短時間なら継続できる、支援を受ける形であれば就労を維持できる。こうした事情があれば5級の領域です。
この区別は微妙で、同じ検査値でも評価が分かれることがあります。だからこそ、実際に就労を試みた経過が資料として残っているかどうかが、結論を左右するのです。数値だけを見て判断されると、実態より軽い評価になりやすい領域だといえます。
後遺障害3級の認定で必要になる医証
認定は提出された書類だけで判断されます。どれほど深刻な状態でも、資料に現れていない事実は考慮されません。障害の種類ごとに、そろえるべきものが変わります。
脳の損傷による障害
- 頭部の画像所見。MRIやCTにより、損傷部位や経時的な脳の萎縮が確認できることが土台になります
- 受傷直後の意識障害の記録。どの程度の意識障害がどれだけ続いたかは、障害の重さを支える中核的な事実です
- 神経心理学的検査。記憶、知能、注意力、遂行機能を数値として示します
- 就労状況に関する資料。3級では、働けないことを示す資料が特に重要になります
胸腹部臓器の障害
呼吸器であれば動脈血ガス分析やスパイロメトリーによる測定値、循環器であれば心機能の検査結果、腎機能であれば血液検査の数値というように、領域ごとに専用の指標があります。
3級で問われるのは、その数値が就労にどう影響しているかです。検査値が悪いというだけでは足りません。定期的な医療処置が必要で勤務時間を確保できない、負荷がかかると症状が悪化する、といった形で、労働との結びつきを示す必要があります。
視覚・口腔機能・手指の障害
視力については矯正視力の測定に加え、視野や眼球運動の検査結果も添えておくと判断材料が増えます。咀嚼と言語については、何が食べられて何が食べられないのか、どの音が発音できないのかを具体的に記載してもらうことが必要です。手指の障害では、切断の位置を示す画像と、残存部分の可動域の測定値が求められます。
言語機能の評価では、発音できない音の種類が重要になります。判定に用いられるのは、口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音という四つの区分です。このうちいくつを発音できなくなったかによって、等級が段階的に分かれます。診断書に「発語が困難」とだけ書かれていては、どの区分に該当するのかを判断できません。
咀嚼機能についても同様です。「固いものが食べにくい」という記載では足りず、実際にどのような形態の食事を摂っているのかを具体的に示す必要があります。流動食のみなのか、粥状のものまで摂れるのか、この違いが等級を分けます。
検査を受ける時期
多くの検査は、症状固定の前後に実施しておく必要があります。時期を逃すと、後から取り直しても事故との関係を示しにくくなるためです。
とくに脳の画像については、受傷直後のものと一定期間を置いたものの両方があると、萎縮の進行を示す材料になります。急性期の画像は搬送先の病院に残っていることが多いので、転院している場合は取り寄せておいてください。
介助が必要な状態であれば、別表第一の2級を求める余地があります。その基準は次の記事をご覧ください。
後遺障害3級で請求できる賠償
3級では、次のような項目が請求の対象になります。
- 後遺障害慰謝料。障害が生涯残ることによる精神的な苦痛に対して支払われるものです
- 逸失利益。労働能力喪失率100パーセントを前提に、将来の収入減を補償します
- 将来介護費。3級は要介護等級ではありませんが、実際に介助を要する場面があれば請求できます
- 装具・器具の費用。義手、視覚障害者用の補助具などが対象になります
- 家屋改造費。生活上の必要性が認められれば請求できます
- 近親者固有の慰謝料。ご家族自身の精神的苦痛について認められることがあります
逸失利益が総額を左右する
3級の賠償において最も比重が大きいのは逸失利益です。労働能力を完全に失ったものとして、就労可能な期間の全体にわたって計算されます。
争点になりやすいのは、基礎収入をいくらとみるか、就労可能期間をどこまで取るか、という二点です。若年で就職前だった場合、事故当時に無職だった場合、専業主婦だった場合など、基礎収入の設定には事案ごとの検討が要ります。算定の考え方は次の記事で詳しく扱っています。
3級と隣り合う等級との線引きも押さえておきましょう。6級の基準は次の記事で扱っています。
基礎収入をめぐる典型的な対立
保険会社は、事故直前の実収入をそのまま基礎収入として提示してくることが多くあります。ただ、これが常に妥当とは限りません。
たとえば就職して間もない若年者の場合、当時の給与は生涯の平均を反映していません。転職の直後で一時的に収入が下がっていた、独立したばかりで軌道に乗る前だった、といった事情も同様です。こうしたケースでは、賃金に関する統計上の平均額を基礎とすべきだと主張する余地があります。
家事に従事していた方についても、収入がないことを理由に逸失利益を否定されることがあります。しかし家事労働にも経済的な価値が認められており、統計上の平均賃金を基礎として算定するのが実務の考え方です。
就労可能期間の見方
将来の収入をどこまで補償するかという問題です。原則として、就労可能とされる年齢までを対象としますが、事故当時すでにその年齢に近かった場合や、逆に学生だった場合には別の考え方をとります。
将来の分をまとめて受け取る形になるため、中間利息を差し引く計算も行われます。この控除の方法によっても総額は動きます。3級では対象となる期間が長いぶん、細かな前提の違いが最終的な金額に大きく響きます。
手元の数字と照らし合わせたい方は、下のツールを使ってみましょう。
事前認定に任せた場合の実務上の難点については、こちらで詳しく触れています。
認定申請で押さえておきたいこと
3級が想定される事案では、次の流れで準備を進めます。
- 回復の見通しについて主治医と話し合い、症状固定をいつに置くかを決める。区切りが早すぎると、必要な経過が記録に残りません
- 必要な検査が済んでいるかを点検し、不足があれば実施を依頼する
- 後遺障害診断書の作成を依頼する。就労状況を示す資料もあわせて準備する
- 画像、検査結果、勤務先の証明、復職の経過などを添えて申請する
- 結果と認定理由を確認し、次の対応を判断する
就労できないことをどう示すか
3級に固有の難しさは、ここにあります。医学的な検査値は、就労の可否を直接には語ってくれません。数値としては5級相当に見えても、実際には勤務が成り立たないという事案は珍しくないのです。
そこで有効になるのが、次のような資料です。
- 事故前の勤務内容と労働時間を示す資料。給与明細や雇用契約書など
- 復職を試みた経過の記録。いつ戻り、どの業務でどう躓き、いつ断念したか
- 勤務先が作成した業務遂行状況の報告。第三者による観察として重みがあります
- 産業医や主治医による就労可否の意見書
- 職業訓練や就労支援を受けた場合の記録と評価
これらは医療機関からは出てきません。被害者側で意識して集めなければ、審査に届かない資料です。
復職を試すかどうかの判断
迷いが生じやすいのが、復職を試みるべきかどうかという点です。試して失敗すれば、就労できないことの裏づけになる。しかし一方で、一時的にでも働いた事実が「働ける」という評価につながるのではないか。そう心配される方は少なくありません。
実務的には、試みた経過を正確に記録しておくことが答えになります。どの業務を担当し、どこで支障が出て、周囲がどうフォローし、最終的にどうなったのか。この経過が残っていれば、短期間働いた事実は不利にはなりません。むしろ、実際にやってみたうえで続かなかったという事実のほうが、机上の評価より重く受け止められます。
逆に、何も試さないまま「働けない」と主張するだけでは、根拠が弱いと判断されがちです。無理のない範囲で試し、その結果を残す。この順序を意識してください。
勤務先の協力を得るときの伝え方
業務遂行状況の報告を勤務先に依頼するときは、何のための資料なのかを説明しておくとやり取りが円滑になります。求めているのは、できなかったことを並べた否定的な評価ではなく、事故前と比べて何がどう変わったのかという事実の記録です。
具体的には、担当業務の内容、勤務時間、ミスや遅延の発生状況、周囲による補助の有無、配置転換や業務軽減の措置をとったかどうか。こうした点が書かれていると、審査での説得力が増します。
3級で結果に納得できないときと弁護士の役割
3級を想定していたのに5級だった、あるいは2級を求めたが3級にとどまった。こうした場合、示談の前にできることがあります。
まず認定結果に付された理由を読んでください。労働能力についてどう評価したのか、どの資料をどう扱ったのかが示されています。多くの場合、争点は医学的所見と就労実態の結びつけ方に集約されます。
ここで気をつけたいのは、理由の書きぶりが簡潔なことです。数行の記載しかない場合もありますが、そこに書かれた一文が、どの要件を満たさないと判断したかを示しています。文言を丁寧に読み解くところから、次の一手が決まります。
期限にも注意が必要です。異議申立てそのものに回数の制限はありませんが、賠償請求権の時効は進行し続けます。準備に時間をかけすぎて権利を失うことのないよう、全体の見通しを立てたうえで動いてください。
補強の方向性
必要なのは、同じ資料を再提出することではなく、判断の前提を動かす新しい材料です。
- 実施していなかった検査を追加する
- 復職の経過について、勤務先から客観的な報告を得る
- 主治医に、就労可否に踏み込んだ意見書の作成を依頼する
- 読影を専門とする医師から画像所見について意見をもらう
- 日常生活での支障を、時系列で整理した資料にまとめる
異議申立ての進め方については、次の記事をご覧ください。
後遺障害3級で弁護士に相談する意義
3級の事案には、他の等級にはない特徴があります。等級そのものが上下に振れやすいという点です。上は別表第一の2級、下は5級。どちらに転んでも賠償額は大きく変わります。
そして、その判断を分けるのは検査値だけではありません。介護の必要性をどう示すか、就労できないことをどう裏づけるか。いずれも被害者側が能動的に組み立てなければ、審査には反映されない要素です。
相談すべきタイミング
示談の提示を受けた後ではなく、症状固定より前の段階が理想です。必要な検査が行われているか、診断書に書くべき事項が漏れていないか、就労状況の資料が集まっているか。これらはいずれも、認定を受ける前でなければ手を打てません。
復職を試みる時期をどう設定するか、その経過をどう記録するかといった点まで含めて考えると、治療中の段階からご相談いただくのが最も効果的です。
費用については、契約中の任意保険に特約が付いていれば、費用の心配はほぼ要りません。ご本人の契約に加えて、同居のご家族や別居している未婚の子の契約も確認してみてください。
- 終身労務に服することができない
- 生涯にわたって仕事に就くことができない状態。介護の要否とは別の基準であり、別表第二の3級を特徴づける要件です。
- 近位指節間関節
- 指の手前側から二つ目の関節。この関節より根元で指を失った場合、手指を「失った」と評価されます。
- 仮渡金
- 示談の成立を待たずに、自賠責保険から先に受け取れる一時金。当面の生活費や治療費を賄うための制度です。
後遺障害3級に関するよくある質問
3級でも介護を必要としていますが、2級にはならないのですか
実際に介助を要しているのであれば、別表第一の2級を求める余地があります。判断の材料になるのは、いつ、どの場面で、どれだけの介助が必要かという生活の実態です。日々の介助を書き留めた記録や、訪問看護などの第三者による観察をそろえたうえで、異議申立てに進むことになります。
働けないことを、どうやって証明すればよいのでしょうか
医学的な資料だけでは足りません。事故前の勤務内容、復職の試みとその結果、勤務先による評価といった、就労の実態を示す資料を組み合わせて示すことになります。復職を試して続かなかったという経過は、とくに説得力のある材料になります。
両手の指を失いました。義手を使えば等級は下がりますか
下がりません。等級の判定は、義手や装具を使わない状態を基準に行われます。むしろ義手の購入費用やその後の買い替え費用は、賠償の対象として請求できる項目です。耐用年数を踏まえて将来分まで見込んでおいてください。
認定までにどのくらいの時間がかかりますか
3級が想定される事案は、医学的な検討を要するため通常より長引く傾向にあります。その間の生活費をどう手当てするかも課題になります。資金が不足する場合には、自賠責保険への仮渡金の請求や、加害者側の任意保険会社への内払いの申し入れといった方法があります。
労災保険からも給付を受けていますが、二重に受け取れますか
通勤中や業務中の事故であれば、労災保険からの給付と加害者への損害賠償請求を並行して進められます。ただし、同じ性質の損害について二重に受け取ることはできず、労災から支払われた分は賠償額から差し引かれます。一方で、労災には賠償にない給付もあるため、両方を使うこと自体には意味があります。順序や手続きの取り方によって手取りが変わるので、早い段階で整理しておくとよいでしょう。
加害者に資力がない場合、賠償は受けられますか
加害者が任意保険に加入していれば、保険会社が支払いを担います。未加入であっても、自賠責保険からは限度額の範囲で支払いを受けられます。それでも足りない場合には、ご自身が加入している人身傷害保険や無保険車傷害保険を使える可能性があります。契約内容を確認してみてください。
まとめ
後遺障害3級は、別表第二にのみ置かれた等級です。介護までは要さないものの、生涯にわたって働くことができない状態を対象としています。該当するのは、視力の著しい低下、咀嚼または言語の機能の喪失、脳や内臓の障害による就労不能、そして両手の指の喪失という五つの類型です。
このうち就労不能を理由とする認定では、医学的な検査値だけでは足りません。実際に働けなかったという経過が、資料として残っているかどうかが結論を左右します。そしてその資料は、意識して集めなければ手元には残らないものばかりです。
治療が続いている段階から、何をそろえておくべきかを把握しておくこと。それが3級の事案では特に重要になります。何から手をつければよいか分からない段階でも、状況の整理からご一緒できます。
もうひとつ心に留めておいていただきたいのは、3級の賠償が生涯を支えるものだという点です。就労できない状態が続く以上、失われる収入は何十年分にも及びます。示談書に署名すれば、その全部を含めて決着したことになります。
提示された金額が妥当かどうかを判断するには、これから先に何が必要になるのかを先に描いておかなければなりません。逸失利益の前提は適切か、装具の買い替えは見込まれているか、介助が必要な場面は算入されているか。項目ごとに確認する作業が欠かせません。
まずは、いま手元にある後遺障害診断書と検査結果を確認するところからで構いません。何が書かれていて何が抜けているのかを把握するだけでも、次にとるべき行動は見えてきます。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
