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当て逃げは逮捕される?|罰則と自首の判断基準

この記事で分かること

  • 当て逃げで逮捕される可能性と逮捕の条件
  • 当て逃げの罰則と違反点数(免許停止)
  • 当て逃げしてしまったら取るべき対応
  • 自首のメリットと示談の重要性
  • 弁護士に相談するメリット

当て逃げは道路交通法違反にあたり、逮捕される可能性があります。ただし必ず逮捕されるわけではなく、自ら警察に出頭し誠実に対応すれば、逮捕を避けられる可能性が高まります。自首や被害者との示談は処分を軽くする方向に働きます。当て逃げをしてしまったときに取るべき正しい対応を弁護士が解説します。

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当て逃げで逮捕されることはあるのか

駐車場で隣の車に当ててしまった。気が動転して、そのまま走り去った。家に帰ってから、逮捕されるのではないかと不安になる。

結論から言えば、物損だけの当て逃げで逮捕される例は多くありません。身元がはっきりしていて、逃げるおそれも証拠を隠すおそれもなければ、身柄を拘束せずに手続きが進むのが通常です。

相談の場でも、逮捕を心配して眠れないという方が多くいます。ただ、実際に身柄を取られるのは限られた場面です。必要以上に身構えることはありません。

とはいえ、何もしないまま時間を過ごすのは最も避けるべき対応です。逮捕されるかどうかは、こちらの動き方によって変わります。出頭を渋るほど、身柄を取られる方向に傾きます。

連絡がつかない、呼び出しに応じない。この二つが重なると、逃亡のおそれがあると判断されます。恐れて動かないことが、恐れていた結果を招く構図です。

相談の場では、まず出頭を勧めます。その一歩で、状況は目に見えて変わります。

ただし、逮捕されないことと、責任を問われないことは別です。当て逃げは道路交通法違反であり、刑事罰の対象になります。違反点数も付き、前歴がなくても一度で免許停止に届きます。

むしろ、こちらのほうが生活に直結します。逮捕を心配するより、免許がどうなるかを把握しておくほうが実際的です。

通勤や仕事で車を使っているなら、30日間運転できない影響は小さくありません。処分が出る前に、段取りを考えておく必要があります。

停止処分者講習を受ければ期間を縮められますが、それでも数日から数十日は運転できません。勤務先への説明も含めて、早めに準備しておいてください。

運転が業務に不可欠な職種であれば、配置の調整が必要になります。

想像してみてください。買い物帰りに車を出したとき、隣の車に軽く接触した。降りて確認するほどではないと思い、そのまま帰宅した。数日後、警察から電話が入る。防犯カメラに映っていた、と告げられる。

この段階で慌てて修理に出したり、記憶にないと言い張ったりすると、事態はさらに悪くなります。やるべきことは、実はそれほど多くありません。

出頭すること、車を直さずに残すこと、賠償を進めること。この三つです。順に見ていきましょう。

どれも難しいことではありません。難しいのは、最初の一歩を踏み出す決断だけです。

一人で決められないのであれば、家族や専門家に相談してから動いても構いません。

この記事では、逮捕されやすいのはどんな場合か、科される罰則と違反点数、そして自首すべきかどうかの判断までを整理します。

被害に遭われた方が読まれている場合は、相手がどう扱われるのかを知る材料になります。相手が名乗り出てきたときの受け止め方にも役立ちます。

被害を受けた側の対応については、別の記事で扱っています。加害者が判明しない場合の補償まで含めて整理してあります。

相手が名乗り出た場合、修理費は通常その保険から支払われます。こちらの等級も下がりません。

加害者にとっては保険料が上がりますが、被害者への賠償を放置するよりはるかに軽い負担です。

当て逃げが成立する条件

まず、何が問題になるのかを押さえてください。

二つの義務を怠ること

事故を起こした運転者には、二つの義務があります。道路上の危険を取り除く措置を講じること。そして、警察に事故を報告することです。

物の損壊だけであっても、この義務は生じます。相手がいないから、大した損傷ではないから。こうした事情があっても、義務がなくなるわけではありません。

相手が不在の駐車場での接触が、まさにこの類型です。誰にも見られていないと感じても、義務は生じています。

相手がその場にいないから連絡のしようがない、と考える方がいますが、警察へ届け出れば足ります。それが報告義務の中身です。

メモを残して立ち去った、という場合も同じです。相手に連絡先を伝えたとしても、警察への報告を欠けば違反が成立します。

メモを残したこと自体は誠実な対応ですが、義務を果たしたことにはなりません。その場から警察に電話してください。

相手が戻ってくるのを待つ必要はありません。通報さえ済ませておけば、義務は果たせます。

物損と人身で扱いが変わる

人にケガをさせて逃げた場合は、ひき逃げとして扱われます。救護義務違反が加わり、罰則も違反点数も格段に重くなります。

ここが最も危ういところです。物損だと思って立ち去ったが、実は相手がケガをしていた。この場合、当て逃げのつもりがひき逃げになります。

違反点数は7点から35点へ、免許は停止から取消しへ変わります。相手が自転車や歩行者だった場合は、とくに注意が要ります。

接触した相手が立ち上がって歩いていても、判断は医師に委ねるべきです。その場の様子だけで物損だと決めつけないでください。

相手が歩いて帰った後で痛みを訴え、人身事故として届け出られることがあります。その時点で、扱いはひき逃げに変わります。

後から知らされて驚く、という展開を避けるためにも、その場で確認しておくべきです。

気づかなかった場合

事故を起こしたという認識がなければ、成立しないのが原則です。ただし、認識の有無は本人の主張だけで決まるものではありません。衝撃の大きさ、車体の損傷、周囲の状況から判断されます。

接触した感覚があったのに確認しなかった、という場合は、認められにくくなります。

車体に擦り傷が残っている、相手の車が揺れるのが見えた。こうした事実があれば、気づかなかったという説明は通りません。

逆に、本当に気づいていなかったのであれば、その経緯を具体的に説明することです。いつ何に気づき、何に気づかなかったのか。時系列に沿って話してください。

走行中に音楽が流れていた、荷物を積んでいて視界が限られていた。そうした状況も、判断の材料になります。

ただし、都合よく作り話をするのは避けてください。矛盾はいずれ露見します。

作り話が崩れれば、他の説明まで信用されなくなります。

正直に述べることが、結局は最も有利に働きます。

説明に自信がないのであれば、出頭の前に一度相談してみてください。

どこを認めて、どこを争うのかを整理したうえで臨むことができます。事実関係に争いがない事案であれば、準備はそれほど大がかりになりません。

費用が心配であれば、初回の相談を無料で受け付けている事務所もあります。

依頼するかどうかは別として、見通しだけ聞いてから決めても構いません。

取り繕おうとすると、かえって疑われます。分からないことは分からないと述べるほうが、信用されます。

ワンポイントアドバイス
少しでも当たったかもしれないと感じたら、必ず停車して確認してください。降りて何もなければそれで済む話です。確認にかかる数分と、その後に負う責任を比べれば、判断は明らかです。

逮捕されやすいのはどんな場合か

身柄を拘束するかどうかは、逃亡や証拠隠滅のおそれで判断されます。

逮捕されにくい場合

  • 身元と住居がはっきりしている
  • 自ら警察へ出頭している
  • 事実関係を認めている
  • 被害が軽微で、賠償の見通しが立っている
  • 過去に同種の処分を受けていない

このような事情があれば、在宅のまま捜査が進みます。ふだんどおり仕事をし、求められたときに出向いて取調べを受ける形です。

在宅だからといって、軽く扱われているわけではありません。進んでいく手続きの中身は変わらず、身柄を押さえるかどうかだけが異なります。

呼び出しには必ず応じてください。応じないままでいると、逮捕の理由が生まれます。

日程が合わないのであれば、連絡して調整すれば足ります。

放置すると、連絡を避けていると受け取られます。

逮捕されやすい場合

  • 連絡が取れない、出頭要請に応じない
  • 飲酒運転や無免許運転が絡んでいる
  • 車を修理したり処分したりして、証拠を隠そうとした
  • 事実関係を否認しており、証拠を隠すおそれがある
  • 同種の前歴を重ねている
  • 人にケガをさせていた(ひき逃げに当たる)

とくに三番目が重要です。損傷した車を急いで修理に出すと、証拠隠滅と受け取られます。心当たりがあるなら、修理する前に警察へ相談してください。

直したい気持ちは分かりますが、数日待つだけのことです。その数日が、身柄の扱いを分けます。

すでに修理してしまった場合は、その旨を正直に伝えてください。隠すより、事実を述べるほうが結果は軽くなります。

修理工場に記録が残っていることもあります。隠し通せる前提で動かないでください。

塗料の付着や傷の形状から、事故との関係が確認されることもあります。

科学的な照合が行われる事案もあります。

事故から数か月後に判明する例もあります。忘れたころに連絡が入る、というのが実際のところです。

その間ずっと不安を抱えて過ごすことになります。自分から申し出れば、その状態からは抜けられます。

処分を受けるのは避けられませんが、いつ来るか分からない連絡に怯える生活は終わります。

時間が経つほど、処分は重くなる方向に働きます。早く動くことに、不利な点はありません。

科される罰則

当て逃げでは、複数の違反が同時に成立します。

違反 刑罰
危険防止等措置義務違反 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
報告義務違反 3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

人にケガをさせていた場合は、救護義務違反として10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となり、事故そのものについての過失運転致死傷罪も加わります。重さがまるで違ってきます。

どちらの罪も、それぞれ別に成立します。当て逃げでは、危険防止等措置義務違反と報告義務違反の両方が問われるのが通常です。

実際に言い渡される刑は、被害の程度、賠償の状況、前歴によって決まります。被害が軽微で弁償も済んでいれば、起訴されずに終わることもあります。

逆に、同種の前歴がある場合や、飲酒が絡む場合は、起訴される可能性が上がります。

被害の額が大きい事案も同様です。

高級車や店舗の設備を損壊した場合などは、賠償額も大きくなります。

金額が大きいほど、被害者の処罰感情も強くなります。

示談を進めるうえでも、早い段階での対応が効いてきます。

保険会社に任せきりにせず、進み具合を確認しておいてください。

刑事の判断に間に合わせたいのであれば、その旨を担当者に伝える必要があります。

何も言わなければ、保険会社は普段どおりの進め方で処理します。物損であれば金額も早く固まりますので、間に合わせやすい類型ではあります。

補足
2025年6月の改正により、懲役と禁錮という区分は廃止され、拘禁刑にまとめられました。以前の刑名で解説している資料も残っていますが、条文はすでに書き換わっています。科される刑が重くなったわけではありません。

違反点数は7点

刑事罰とは別に、免許についての処分が進みます。

当て逃げでは、危険防止等措置義務違反として5点、事故の原因となった安全運転義務違反として2点、合計7点が付きます。

免許停止の基準は累積6点です。したがって、前歴がなく他に違反点数がなくても、一度の当て逃げで免許停止になります。期間は30日が目安です。

「たかが物損で免停になるのか」と驚かれる方が多いところです。届け出ていれば点数は付かなかったのに、立ち去ったことで7点が付く。この開きは無視できません。

その場で届け出ていれば、物損事故には原則として点数が付きません。立ち去ったことだけで7点が生じるという構造です。

届け出ていれば処分を受けずに済んだ、という事案は少なくありません。逃げたことによる代償が、そのまま点数に表れます。

その場で数分とどまるかどうかで、30日間の生活が変わります。

加えて、刑事の手続きも避けられません。負担の差は、想像以上に大きいものです。

届け出ていれば、保険で修理費を払って終わっていた話です。

立ち去った判断だけが、これだけの差を生みます。

接触に気づいた時点で停まる。それだけで避けられた結果です。

次に同じ場面に遭ったときのために、覚えておいてください。

すでに点数が付いている状態であれば、さらに重い処分に届きます。前歴があれば、基準そのものが下がります。

いま何点付いているかは、自動車安全運転センターで証明書を取れば確認できます。この先どう進むのかを見通すうえで、手がかりになります。

郵送での申請にも対応していますので、窓口へ足を運ぶ時間がなくても手続きは進みます。

過去に処分を受けているかどうかでも基準が動きますので、その点もあわせて調べておいてください。

すでに点数が付いていれば、停止では済まない可能性もあります。

累積が15点に達すれば取消しです。過去の違反と合算される点を、見落とさないでください。

直近1年に違反がなければ、過去の点数は消えています。心当たりがあるなら、証明書で確かめてください。

処分の見通しが立てば、生活の段取りも組めます。

通知が届いてから慌てるより、先に把握しておくほうが動けます。

停止か取消しかで、備えるべき内容がまるで違います。

物損の当て逃げであれば、通常は停止にとどまります。

累積が多い方や前歴のある方は、この限りではありません。

自分がどちらに当たるかは、証明書を取れば判断できます。まずそこから確かめてください。

見通しが立てば、やるべきことの優先順位も決まります。不安のまま止まっているより、はるかに前に進めます。

なお、報告義務違反には違反点数の定めがありません。点数が付くのは、上の二つです。

報告義務違反は刑事罰だけの対象ということです。点数と刑罰は、それぞれ別の枠組みで決まります。

罰金を納めたから点数が消える、ということもありません。

逆に、不起訴になっても点数は付きます。二つは連動しません。

停止期間は短縮できる

免許停止の処分を受けた場合、停止処分者講習を受けることで期間を短縮できます。成績によっては、30日の停止が最短1日になることもあります。

受講できるのは停止期間が始まる前か、その初日です。時期を逃すと受けられませんので、出頭の際に案内があったら検討してください。

受講には費用と半日ほどの時間がかかりますが、運転できない日数を大幅に減らせます。仕事で車を使う方であれば、検討する価値があります。

ただし、短縮される日数は考査の成績によります。当てにして予定を入れるのは避けてください。

なお、免許取消しの場合にこの制度はありません。期間を短くできるのは、免許停止の場合に限られます。

なぜ発覚するのか

逃げ切れると考える方がいますが、判明する経路はいくつもあります。

  • 駐車場や路上の防犯カメラ
  • 被害者や周囲の車のドライブレコーダー
  • 目撃者の証言
  • 現場に残った塗料や部品
  • 修理工場や部品販売店への照会
  • 被害者が控えていたナンバー

車体に傷が残っていれば、どこかで修理に出すことになります。その経路から特定される事例もあります。事故からしばらく経って連絡が入ることも、珍しくはありません。

駐車場での接触であっても、施設に防犯カメラが設置されているのが通常です。映像は一定期間で上書きされますが、被害者が早く届け出ていれば保存されます。

最近は、駐車中も記録するドライブレコーダーを積んだ車が増えています。隣に停まっていた車の記録に映っていることもあります。

被害者が警察に届け出ていれば、捜査はすでに始まっています。放置していても、状況が良くなることはありません。

連絡が来ないから見つかっていない、と考えるのは早計です。捜査に時間がかかっているだけということもあります。

不安を抱えたまま過ごすより、自分から動いたほうが気持ちの面でも楽になります。

自首すべきかどうか

心当たりがあるなら、迷わず出頭してください。

自首が認められる場合

捜査が始まる前に自分から申し出れば、自首にあたる余地があります。自首と認められた場合、刑が軽減されることがあります。

被害者がすでに届け出ていれば、捜査は始まっています。その場合、法律上の自首には当たりません。それでも、自ら出向いた事実は処分の判断で考慮されます。

捜査がすでに動いていても、出向く意味はあります。連絡を絶ったままの人と、自分から名乗り出た人とでは、受け止められ方が違います。身柄を拘束するかどうかの判断にも響きます。

自分から出向いていれば、逃げる気がないことの表れとして扱われます。呼び出されてしぶしぶ応じた場合とは、扱いが変わります。

早いほど有利

時間が経つほど、意図して逃げたと受け取られやすくなります。数日空いていても、自ら出向いたという事実は評価されますが、一日でも早いほうが有利です。

ためらっている期間そのものが、こちらの不利になります。

どう説明すればよいか分からないのであれば、出頭する前に相談しておくという方法もあります。事実関係を整理してから臨めます。

出頭する前にすること

  1. 事故の日時、場所、状況を思い出して整理する
  2. 車の損傷をそのまま保存する。修理に出さない
  3. 自分の保険会社へ連絡し、賠償の見通しを確認する
  4. 家族に事情を伝えておく
  5. 警察署へ出向き、事故を起こしたことを申し出る

二番目を守ってください。先に直してしまうと、証拠を隠したと受け取られます。

三番目も忘れないでください。賠償の目処が立っているかどうかは、その後の処分にも関わります。

出頭してからの流れ

その後どう進むのかを知っておくと、見通しが立ちます。

まず、事情を聴かれます。いつ、どこで、どういう状況で接触したのか。なぜその場を離れたのか。起きた順序に沿って、ひとつずつ説明していくことになります。

覚えていることが曖昧な部分を、言い切る形で答えないでください。はっきりしないことについては、分かりませんと答えて差し支えありません。供述調書は読み上げられて署名を求められますので、記載に違いがあればその場で訂正を申し出てください。

署名した時点で、その記載を認めたことになります。斜め読みで済ませないでください。

捜査が終わると、事件は検察庁へ送られます。そこで起訴するかどうかが判断されます。被害が軽微で、賠償も済んでおり、本人が反省している。こうした事情がそろえば、起訴されずに終わることもあります。

物損の当て逃げでは、起訴猶予となる事案が相当数あります。ただし、逃げた事実は重く見られますので、届け出ていた場合より結論は厳しくなります。

これと並行して、公安委員会から免許についての通知が届きます。刑事とは別の手続きですので、片方が終わっても、もう片方が残ります。

刑事で起訴されなくても、免許の処分は予定どおり進みます。ここを混同しないでください。

賠償と示談の進め方

刑事の処分と並んで重要なのが、被害者への賠償です。

保険は使えるのか

当て逃げをしたことを理由に、対物賠償が使えなくなるわけではありません。被害を受けた側の救済を優先する仕組みになっているためです。保険会社に連絡し、賠償の手続きを始めてください。

ただし、飲酒運転が絡んでいれば、自分の車の損害については支払われないのが原則です。

また、使えば翌年以降の等級が下がります。修理費の額によっては、自己負担のほうが安く済むこともあります。担当者に試算を依頼してください。

示談が処分に影響する

被害弁償が済み、被害者が処罰を望まない意思を示していれば、起訴されずに終わる可能性が高まります。仮に起訴されたとしても、刑の重さを決める場面で考慮されます。

最も効き目があるのは、検察官が起訴するかどうかを決める前の段階です。処分が決まった後になって示談が成立しても、いったん出た結論は覆りません。

物損であれば、金額が確定するまでの期間も比較的短く済みます。刑事の判断に間に合わせやすい類型です。

被害者への謝罪

逃げられたという事実は、被害者の感情に強く残ります。連絡する前に、相手の意向を確認してください。押しかければ、かえって関係が悪化します。

連絡先を知らないのであれば、保険会社や警察を通じて意向を確かめるところから始めます。

会えないのであれば、手紙で伝えるという方法もあります。言い訳を並べず、簡潔に書いてください。

賠償の中身

物損であれば、修理費が中心です。加えて、修理中の代車費用、修復歴が付いたことによる価値の下落、レッカー代なども対象になります。

金額そのものは、保険会社が交渉して決めます。本人が金額を約束する必要はありません。

被害者から直接請求された場合も、保険会社を通じて回答すると伝えれば足ります。その場で額を認めると、後の交渉に縛りが生じます。

家族が当て逃げをしてしまったら

本人が動揺していて、判断できない状態になっていることがあります。

最初にすべきは、出頭を勧めることです。隠し通せるものではありませんし、日が経つほど本人の状況は苦しくなります。

車を修理しようとしていたら、止めてください。隠蔽を図ったと見られれば、身柄を取られる材料が一つ増えます。

修理の予約が入っているなら、いったん取り消してください。

かばうつもりで事実と異なる説明をすれば、家族の側が罪に問われることもあります。つらい立場ですが、事実に沿って進めるしかありません。

本人が出頭を渋る場合は、一緒に警察署へ行くという形でも構いません。付き添いがいるだけで、踏み出せることがあります。

車の所有者が家族である場合、賠償の責任が及ぶこともあります。誰の車だったのか、保険の運転者の範囲がどう設定されているかも確認しておいてください。

前科は付くのか

気にされる方が多い点です。

起訴されて有罪となれば、前科として記録に残ります。罰金であっても刑罰ですので、扱いは同じです。書面だけで手続きが終わる略式手続の場合も変わりません。

一方、起訴されなければ前科は付きません。物損の当て逃げで被害も軽微、賠償も済んでいるという事案では、起訴猶予となることも多くあります。

ですから、起訴されるかどうかの判断が下りる前に何をするかが重要になります。判断が済んだ後では、動かせません。

できることは、被害弁償を進めること、取調べで正確に事実を述べること、この二つに集約されます。

よくある質問

当て逃げをすると必ず逮捕されますか

されません。住所や勤務先がはっきりしていて逃走の心配がなければ、自宅で生活したまま手続きが進むのが普通です。逮捕されやすいのは、出頭要請に応じない、飲酒や無免許が絡む、証拠を隠そうとした、人にケガをさせていた場合です。

当て逃げの違反点数は何点ですか

合計7点です。危険防止等措置義務違反で5点、事故の原因となった安全運転義務違反で2点が付きます。免許停止の基準は累積6点ですので、前歴がなくても一度で停止になります。

気づかなかった場合も罪になりますか

事故を起こした認識がなければ、原則として成立しません。ただし、認識の有無は衝撃の大きさや車体の損傷から判断されます。本人が自覚がなかったと言うだけでは、認められません。

周囲の状況や車体の傷と照らし合わせて判断されます。

今からでも出頭したほうがよいですか

出頭してください。捜査が始まる前であれば自首として扱われる余地があり、始まっていても自ら出向いた事実は評価されます。時間が経つほど不利になります。

車を修理してから出頭してもよいですか

いけません。証拠を隠したと受け取られ、身柄を拘束される理由になります。修理する前に警察へ相談してください。

物損の当て逃げでも前科が付きますか

起訴されて有罪となれば付きます。罰金でも刑罰ですので同じです。ただし、被害が軽微で賠償も済んでいれば、起訴猶予となることも多くあります。

示談すれば起訴されませんか

そうなると決まっているわけではありませんが、検察官の判断を大きく左右します。弁償が終わっていて、被害者の側も厳しい処分を求めていないのであれば、起訴猶予に落ち着く見込みが高まります。

相手の車に傷が見当たりません。それでも届け出が必要ですか

接触した事実があるなら、届け出てください。こちらから見て傷がなくても、相手が後から発見することがあります。その時点で立ち去っていれば、当て逃げとして扱われます。傷の有無を自分で判断しないことです。

相手が不在であれば、警察へ連絡すれば足ります。連絡先のメモを残すだけでは、義務を果たしたことになりません。

誠意としては評価されますが、報告義務は別に生じます。両方を済ませてください。

メモだけを残して立ち去り、当て逃げとして扱われた例は実際にあります。

駐車場での接触も当て逃げになりますか

なります。道路以外の場所であっても、不特定の人や車が出入りする駐車場であれば、道路交通法の適用を受けるのが通常です。私有地だから関係ないという理解は、危険です。

商業施設やコインパーキングは、まさにこれに当たります。防犯カメラも設置されていますので、発覚する可能性も高い場所です。

管理者が映像を確認し、警察に提供するという流れも一般的になっています。

私有地だから見つからない、という時代ではありません。

保険を使うと会社に知られますか

個人の契約であれば、保険会社から勤務先へ連絡が行くことはありません。ただし、免許停止で業務に支障が出る場合や、就業規則に報告の定めがある場合は、自分から伝える必要が生じます。

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