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ひき逃げの被害者が直面する二つの問題
横断歩道を渡っていて車にはねられた。相手は停まらずに走り去った。救急車で運ばれ、骨折と診断される。治療費は自分で払い、仕事も休むことになった。
ひき逃げの被害に遭うと、通常の事故にはない困難が二つ加わります。
一つは、請求する相手がいないこと。加害者が判明しなければ、誰に治療費や慰謝料を求めればよいのか分かりません。もう一つは、精神的な負担です。倒れている自分を置いて去られたという事実は、ケガそのものとは別の傷として残ります。
相談の場でも、金額より先に「なぜ助けてくれなかったのか」と口にされる方が多くいます。この気持ちは、賠償の手続きだけでは埋まりません。
それでも、金銭の面で受け取れるものを確保しておくことは、生活を立て直すうえで欠かせません。治療にも、休んだ分の収入にも、現実の負担が伴います。
加害者への処罰を求める気持ちと、生活を立て直す作業は、別に進めるほかありません。捜査の行方を待つ間も、できることはあります。
加害者が判明しないまま示談も交渉もない状態は、何をしてよいか分からず時間だけが過ぎがちです。順序を決めておけば、一つずつ片づけられます。
この記事の後半に、確認の順番をまとめています。
治療を受けながらでも進められる内容です。
体調が許さない時期は、家族に任せて構いません。
ただし、どちらについても手当ての仕組みがあります。加害者が見つからなくても補償を受ける道はありますし、逃げられたという事情は慰謝料の算定でも考慮される余地があります。
大切なのは、使える制度を知っておくことです。知らないまま時間が過ぎると、受け取れたはずのものを失います。
相手が見つかるかどうかは、こちらでは決められません。決められるのは、使える制度を漏れなく確認しておくことだけです。
幸い、ひき逃げの被害者を想定した仕組みは複数用意されています。知っているかどうかだけが差になります。
制度の存在を知らなかったために請求せずに終わる。これが最も避けたい結末です。
相手が見つからないことと、補償を受けられないことは、別の問題です。
ここを切り分けて考えると、動きやすくなります。
捜査は警察に任せ、補償の手続きは自分で進める。役割を分けてください。
両方を同時に気にしていると、どちらも進みません。
まずは治療に専念してください。手続きは、動ける範囲で少しずつ進めれば足ります。
相手が見つからなくても、受け取れるものはあります。そこを支えに、まず体を治すことを優先してください。
後から加害者が判明する事案も、現実にあります。そのときに備えて、記録だけは残しておいてください。
この記事では、請求できる損害の中身、相手が判明しない場合に使える制度、治療費をどう工面するか、そして時効までを整理します。
まだ加害者が見つかっていない段階で読まれている方も、できることはあります。順に見ていきましょう。
ご家族が代わりに読まれている場合も、手続きの多くは代理で進められます。本人が治療に集中できるよう、分担してください。
入院が長引く事案では、家族の負担も相当なものになります。抱え込まず、使える窓口を頼ってください。
保険会社の担当者も、必要な手続きを案内してくれます。
まず電話で状況を伝えるところから始めてください。
契約の内容は、こちらが覚えていなくても調べてもらえます。
慰謝料は増額されるのか
まず、多くの方が気にされる点から説明します。
増額が認められる余地はある
慰謝料は、通院した期間や後遺障害の等級を基礎に算定されるのが原則です。そのうえで、加害者の行為が著しく悪質である場合には、増額が認められることがあります。
ひき逃げは、その典型として扱われる類型です。救護せずに立ち去った、証拠を隠そうとした、飲酒運転が絡んでいた。こうした事情があれば、通常の算定を超える額を求める余地が生じます。
とくに、救護を受けられなかったことで症状が悪化した場合には、その点も含めて主張することになります。放置された時間の長さも、判断の材料です。
夜間や人通りの少ない場所で放置された事案では、発見が遅れることで重篤化する危険もあります。そうした事情は、具体的に示す価値があります。
救急に通報されるまでの経緯や、誰が発見したのかも記録に残ります。刑事の記録から拾える情報です。
起訴されたかどうかで入手できる範囲が変わりますので、早い段階で方法を確認してください。
自動的に上乗せされるわけではない
ここが大切なところです。相手方の保険会社が、自発的に増額して提示してくることはまずありません。
増額を求めるには、こちらから事情を示して主張する必要があります。刑事の記録、捜査の経過、加害者の対応。材料をそろえて交渉することになります。
何も言わなければ、通常の事故と同じ算定で提示されます。ひき逃げであったという事実が、自動的に金額へ反映されるわけではないのです。
提示書を受け取ったら、まず費目ごとの内訳を確認してください。そのうえで、増額を求める余地があるかを検討します。
相手方の担当者に尋ねても、増額の可能性を自分から示してくることはありません。こちらから論点として出す必要があります。
提示を受け入れる前に、検討する時間を取ってください。署名すれば、やり直しはききません。
どの程度上がるのか
一律の相場はありません。事故の態様、被害の程度、加害者の事故後の行動によって判断が分かれます。大幅な上乗せを期待するより、主張しなければゼロのままだと考えてください。
また、慰謝料の基準そのものにも複数の水準があります。相手方が提示してくるのは低めの水準であることが多く、そこを是正するほうが金額への影響は大きい場合もあります。
増額の主張と、基準の是正。どちらも視野に入れて交渉することになります。
どちらが効くかは事案によります。通院が長期に及んでいれば、基準の差のほうが大きく響くこともあります。
どちらを軸に交渉するかは、提示の中身を見てから判断することになります。
請求できる損害の中身
慰謝料だけではありません。通常の人身事故と同じく、複数の費目を請求できます。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 治療費 | 入院、手術、投薬、リハビリにかかった費用 |
| 通院交通費 | 通院に要した交通費 |
| 休業損害 | 働けなかった期間の収入の減少 |
| 入通院慰謝料 | 治療期間に応じた精神的苦痛への賠償 |
| 後遺障害慰謝料 | 症状が残った場合の賠償 |
| 逸失利益 | 後遺障害による将来の収入の減少 |
| 物的損害 | 衣類、眼鏡、自転車などの損壊 |
これらは、相手が判明しているかどうかにかかわらず、損害としては発生しています。問題は、どこから回収するかです。
加害者が判明していれば、その相手方へ。判明していなければ、公的な制度や自分の保険へ。回収先が違うだけで、請求できる中身は変わりません。
ただし、回収先によって上限の有無が変わります。公的な制度には枠がありますので、被害が重い事案では足りないこともあります。
足りない部分を誰にどう求めるかが、最終的な論点になります。
後遺障害が残る事案では、金額の桁が変わります。早い段階で見通しを立てておいてください。
加害者が判明した場合
相手が見つかれば、通常の人身事故と同じ流れになります。
相手方の保険から
加害者が任意保険に加入していれば、その保険会社が窓口になります。治療費の支払いや示談の交渉も、担当者が進めます。
ただし、ひき逃げの事案では、加害者側の対応が遅れることがあります。事故の直後に保険会社へ連絡していないため、手続きが後手に回るためです。
加害者が保険を使いたがらないこともあります。その場合でも、相手方の自賠責には被害者から直接請求できます。
加害者の同意は要りません。証明書番号が分かれば、手続きに入れます。
番号が分からない場合でも、交通事故証明書に記載されていることがあります。
まず証明書を取り寄せて、記載を確認してみてください。
相手が無保険の場合
任意保険に入っていないこともあります。その場合、相手方の自賠責への直接請求と、加害者本人への請求を組み合わせることになります。
すでに自分の保険を使っていた場合
相手が判明する前に自分の保険で治療費を受け取っていたとしても、問題はありません。後から保険会社が加害者側に請求する形になります。
先に自分の保険を使ったことで、こちらが不利になることはありません。治療を優先してください。
後から精算されますので、二重に受け取ることにはなりませんが、手元の資金が回るという点が重要です。
治療を中断せずに済むかどうかは、症状の回復にも影響します。
費用を理由に通院をやめると、後の評価にも響きます。
加害者が見つからない場合に使える制度
ここが、ひき逃げに特有の論点です。
政府の保障事業
加害者が判明しない事故や、加害者の車に自賠責がない事故のために、政府が運営する制度が用意されています。ひき逃げは、まさにこの制度が想定している場面です。
救済の最後の受け皿として設けられた仕組みですので、相手が見つからないからといってあきらめる必要はありません。
存在を知らないまま泣き寝入りしてしまう方が、いまも少なくありません。まず保険会社に尋ねてみてください。
自分が自動車保険に入っていなくても、この制度は使えます。歩行者や自転車の被害者も対象です。
車を持っていないからと諦めていた方は、確認してみてください。
申請の受付は、損害保険会社が担っています。自賠責を扱う会社であればどこでも応じてもらえますので、まず問い合わせてみてください。
手続きには、診断書、診療報酬明細書、交通事故証明書、休業を裏づける資料などが要ります。通常の事故なら相手方の担当者が取りまとめてくれる書類を、この制度では自分で集めることになります。
集め方が分からなければ、窓口となる保険会社に確認してください。必要な様式や記入のしかたを案内してもらえます。
治療が続いている間は、領収書や明細を捨てずに保管しておいてください。後でまとめて必要になります。
通院した日付が分かるものも、あわせて残しておくとよいでしょう。
自賠責との違い
受け取れる上限は、自賠責と同じ水準に置かれています。もっとも、細部では扱いが分かれる点がいくつかあります。
- 健康保険や労災から給付を受けている場合、その分は差し引かれる
- 仮渡金の制度がない
- 支払われるまでに時間がかかる傾向がある
- 後から加害者が判明すれば、政府がその加害者に請求する
当面の資金を先に受け取る仕組みがない点は、押さえておく必要があります。治療費の工面は、別の手段で考えることになります。
また、被害者側にも過失があれば、その分は減額されます。歩行者であっても、横断の方法によっては考慮されることがあります。
もっとも、逃げた加害者側の落ち度が大きい事案がほとんどです。過度に不安を抱く必要はありません。
気になる点があれば、事故の状況を整理したうえで相談してみてください。
請求の期間に制限がある
いつまでも請求できるわけではありません。期間が定められていますので、使えると分かったら早めに手続きを始めてください。
捜査の結果を待っているうちに時間が過ぎてしまう、という事態は避けたいところです。
加害者が判明する見込みが立たないのであれば、並行して手続きを進めておくべきです。後から相手が見つかっても、調整は後で行えます。
捜査に進展があるかどうかは、警察に問い合わせれば教えてもらえます。定期的に確認しておくとよいでしょう。
思い出したことがあれば、後からでも伝えて構いません。小さな記憶が手がかりになることもあります。
自分の保険を確認する
政府の制度だけではありません。自分が加入している保険から支払いを受けられる場合があります。
人身傷害保険
過失割合がどうであれ、実際に生じた損害を自分の契約から受け取れる補償です。相手が判明していなくても、こちら側の手続きだけで支払いまで進みます。
治療費、休業損害、慰謝料まで幅広く対象になりますので、ひき逃げの事案では最も頼りになる補償です。
支払いの基準は約款で定められており、裁判で用いられる水準より低めであることが一般的です。それでも、相手が分からない状況では確実に受け取れる点に価値があります。
後から加害者が判明すれば、不足分をその相手に請求できます。まず受け取り、足りない分を後から求めるという順序が現実的です。
治療費や生活費が先に必要になる以上、受け取れるものから確保する。この考え方が実務に合っています。
無保険車傷害保険
相手に賠償能力がないために回収できない部分を、自分の保険から受け取れる補償です。対人賠償に自動的に付いていることが多く、加入している自覚がない方も少なくありません。
ただし、死亡または後遺障害が残った場合に限られるのが一般的です。約款の記載を確認してください。
この補償が働くのは、相手方に賠償の責任があることが前提です。加害者を特定できない事故をどう扱うかは、商品ごとに定めが分かれます。
ひき逃げが対象になるかどうかは、必ず確認してください。
名称が似ている補償が並んでいますので、担当者に説明してもらうのが確実です。
搭乗者傷害保険
車に乗っていて被害に遭った場合、契約で決まった定額を受け取れます。損害額の確定を待たずに支払われるため、当面の資金として役に立ちます。
ほかの補償と併せて受け取れる点も見逃せません。どれか一つを使ったせいで別のものが使えなくなる、という仕組みではないからです。
付いているものはすべて請求してください。請求し忘れによる取りこぼしが、実務では最も多い損失です。
受け取れるはずの補償を知らないまま終わってしまう。この形が、いちばんもったいない結末です。
歩行中・自転車での被害でも使える
見落とされやすい点です。自分の車に乗っていなくても、契約の内容によっては、歩行中や自転車での事故が補償の対象になることがあります。
家族が加入している契約から使える場合もあります。手元の証券を広げて、どの補償が付いているかを確かめてください。
分からなければ、保険会社に事故の状況を伝えて確認してもらうのが確実です。歩行中にひき逃げに遭ったと伝えれば、使える補償を整理してもらえます。
契約している車に乗っていなくても対象になる補償があると知らず、請求しないまま終わる例があります。
子どもが被害に遭った場合も、親の契約が使えることがあります。
使える手段を確認する順番
- 自分の自動車保険の証券を出し、付いている補償を洗い出す
- 家族の契約に使えるものがないかも確かめる
- 通勤中や業務中であれば、労災の対象になるか勤務先に確認する
- 健康保険を使えるよう、保険者へ届け出る
- 加害者が判明しないようであれば、政府の保障事業を保険会社に相談する
- それぞれの請求期限を書き出しておく
一度にすべてを進める必要はありません。ただ、どの制度が使えるのかを早い段階で把握しておくと、治療に専念しやすくなります。
入院していて自分で動けないのであれば、家族に確認を頼んでください。証券と保険会社の連絡先さえ分かれば、代わりに問い合わせてもらえます。
治療費をどう工面するか
相手が分からない間、医療費の負担が重くのしかかります。
健康保険を使う
交通事故による治療でも、健康保険は使えます。窓口での支払いが抑えられますので、立て替えの負担が軽くなります。
使うには、第三者行為による傷病届の提出が必要です。加入先の保険者へ問い合わせてみてください。相手が分からない場合でも、手続きは可能です。
医療機関から自由診療を勧められることもありますが、相手が判明していない段階では負担が重くなります。健康保険での受診に切り替えたいという意向を伝えてください。
労災が使える場合
通勤の途中や業務中に被害に遭ったのであれば、労災の給付を受けられます。治療費は原則として全額が対象になり、休業についても給付があります。
相手が分からなくても、労災の手続きには影響しません。該当しそうなら、勤務先か労働基準監督署に相談してください。
会社が手続きに難色を示すこともあります。それでも、労災の申請は働く人に認められた権利で、事業主の承諾がなければ進められないというものではありません。
高額療養費の制度
入院や手術で医療費が高額になった場合、自己負担に上限を設ける仕組みがあります。健康保険を使っていることが前提になります。
事前に手続きをしておけば、窓口での支払いそのものを抑えられます。入院が決まった段階で、保険者に問い合わせてみてください。
捜査への協力と証拠の確保
加害者が判明するかどうかは、初期の情報量に左右されます。
覚えていることを伝える
車種、色、ナンバーの一部、進んでいった方向、運転者の様子。断片でも構いません。動けるようであれば、記憶が新しいうちにメモを取ってください。
日が経つにつれて、記憶は思いのほか曖昧になっていきます。
ケガの治療で頭がいっぱいになるのは当然ですが、情報の価値は時間とともに落ちていきます。話せる状態になったら、早めに伝えてください。
周囲の記録を確保する
現場の周囲にある防犯カメラ、走行していた車のドライブレコーダー、目撃した人の連絡先。記録は一定の期間が過ぎれば消えていきますので、その日のうちに所在を押さえてください。
自分が動けない状態であれば、家族に依頼してください。
個人で映像を見せてもらえないことが多いため、所在だけでも警察に伝えるのが現実的です。そこから照会してもらえます。
必ず受診する
痛みを感じない場合でも、医療機関で診てもらってください。人身事故として扱われることで、捜査の進め方も変わります。診断書を警察に提出することで、手続きが正式に動き出します。
人身事故として処理されれば、実況見分が行われ、記録が作成されます。この資料は、後の請求でも使われます。
時効に注意する
請求できる期間には、限りがあります。
損害賠償を求める権利は、損害と加害者を知った時から一定の期間で消滅します。ひき逃げの場合、加害者が判明していない間はこの期間が進行しないという考え方がありますが、別の期間制限も設けられています。
政府の保障事業についても、請求できる期間が定められています。自賠責への請求も同様です。
制度ごとに起算点も期間も異なりますので、自分の事案でいつまでなのかを確認しておいてください。
とくに、後遺障害が残った場合は、症状固定の時期が起算点になる扱いもあります。治療が長引く事案では、この点の整理が欠かせません。
加害者が後から判明した場合、そこから新たに期間が動き出すこともあります。あきらめて放置していると、使えたはずの手段を失います。
期限が近いと感じたら、早めに相談してください。手続きを取ることで進行を止められる場合もあります。
自賠責への請求という選択
加害者が判明し、その車に自賠責が付いているのであれば、こちらに直接請求できます。
加害者本人の協力がなくても、被害者から手続きを進められるのが利点です。ひき逃げの事案では、加害者が非協力的なこともありますので、この仕組みが生きてきます。
請求に必要な書類は、相手方の保険会社ではなく自分で集めることになります。手間はかかりますが、内容を自分で確認できるという面もあります。
支払われる金額には上限がありますが、当面の治療費や休業分を確保する手段としては有効です。示談を待たずに一部を先に受け取る制度も用意されています。
枠を超える部分は、加害者本人や任意保険会社に請求することになります。
被害が重い事案では、自賠責の枠だけでは到底足りません。回収の道筋を早い段階で組み立てておく必要があります。
よくある質問
ひき逃げだと慰謝料は増えますか
増額が認められる余地はあります。救護せずに立ち去った事情は、加害者の行為が悪質であると評価される材料になるためです。もっとも、相手方の側から進んで上積みしてくることはありません。こちらから主張する必要があります。
加害者が見つからない場合、補償は受けられますか
受けられます。政府が運営する保障事業のほか、自分が加入している人身傷害保険や無保険車傷害保険が使える場合があります。まず保険会社に相談してください。
政府の保障事業はいくらまで支払われますか
自賠責と同じ水準の上限が設定されています。ただし、健康保険や労災から給付を受けている場合はその分が差し引かれ、仮渡金の制度もありません。
治療費は誰が払うのですか
加害者が判明するまでは、自分で立て替えることになります。健康保険を使えば窓口負担を抑えられますし、通勤中や業務中であれば労災も使えます。人身傷害保険に加入していれば、そちらから支払いを受けられます。
後から加害者が判明したらどうなりますか
その加害者に請求できるようになります。すでに政府の保障事業や自分の保険から支払いを受けていた場合は、その分について国や保険会社が加害者に請求する形になります。
相手の車の特徴をあまり覚えていません
断片的な情報でも伝えてください。色や車種の印象だけでも、周辺の映像と照合する手がかりになります。思い出したことがあれば、後からでも警察に伝えて構いません。
いつまでに請求すればよいですか
制度ごとに期間が定められています。政府の保障事業にも、自賠責への請求にも、損害賠償請求そのものにも、それぞれ期限があります。自分の事案でいつまでなのかを、早い段階で確認してください。
加害者が捕まれば、慰謝料は自動的に増えますか
増えません。増額が検討されるのは、こちらが事情を示して求めた場合だけです。刑事の記録や捜査の経過を材料にして交渉することになります。黙っていれば、通常の事故と変わらない計算で提示されて終わります。
加害者が判明した時点で、記録の入手方法もあわせて確認しておくとよいでしょう。
捜査の段階では制限がありますが、刑事の手続きが終われば取得できる範囲が広がります。
起訴された事案であれば、公判の記録も対象になります。賠償の交渉に使える資料が、そこに含まれている場合があります。
とくに、加害者が事故の状況をどう供述したかは、過失割合を検討するうえで重要になります。
逃げた事案では、供述が二転三転していることもあります。その経緯自体が、増額を主張する材料になります。
捜査に協力した経過も、あわせて記録しておいてください。
政府の保障事業と自分の保険は、両方使えますか
同じ損害について二重に受け取ることはできません。ただし、どちらを先に使うかで手元に残る時期や額が変わることがあります。保険会社に事故の状況を伝えて、整理してもらってください。
治療費が先に必要であれば、支払いの早い制度から使うという判断もあります。
政府の保障事業には仮渡金の制度がないため、当座の資金には向きません。
当面の支払いは、健康保険や労災、自分の保険で組み立てることになります。
どれも申請から支払いまでに時間がかかりますので、早めに動いておくほうが安全です。
入院が長引くようであれば、医療機関に支払いの相談をしておくという方法もあります。
事情を伝えれば、分割に応じてもらえることもあります。
自転車で被害に遭いました。補償の対象になりますか
なります。車に乗っていたかどうかは関係ありません。自分や家族の契約に付いている補償が使えることもありますし、政府の保障事業も歩行者や自転車の被害者を対象としています。
自転車そのものの修理費については、人身の補償とは別に扱われます。
衣類や持ち物が壊れた場合も同じです。領収書や購入時期が分かるものを残しておいてください。
眼鏡や時計、通勤用のかばんなど、身につけていたものも対象になります。
壊れたものは、示談が終わるまで処分せずに残しておいてください。
写真を撮っておけば、後から状態を示せます。
弁護士に相談したほうがよいですか
被害が重い場合、後遺障害が残りそうな場合、使える制度の整理が必要な場合は、相談する価値があります。弁護士費用特約が付いていれば、費用の負担なく依頼できます。自分の契約になくても、同居している家族の契約から使えることがあります。
相談だけであれば無料で受け付けている事務所も多くあります。この先どうなりそうかを聞いたうえで、決めても構いません。
使える制度が複数ある事案ほど、整理してもらう価値があります。
どの順で使うかによって、手元に残る額が変わることもあります。
とくに、こちらにも過失があると見られる事案では、この差が効いてきます。
過失割合による減額を受けない仕組みもありますので、確認しておく価値があります。
労災の給付や人身傷害保険が、その例にあたります。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
