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物損事故で慰謝料はもらえる?賠償の内容を解説

物損事故で慰謝料はもらえる?賠償の内容を解説

この記事で分かること

  • 物損事故では原則として慰謝料が認められない理由
  • 物損事故で受け取れる賠償(修理費・代車費用・評価損など)
  • 評価損(格落ち)や全損になった場合の注意点
  • ケガがあるなら人身事故にすべき理由
  • 物損事故でよくあるトラブルと弁護士に相談するメリット

物損事故では、原則として慰謝料を請求できません。慰謝料はケガをしたこと(人身損害)に対して支払われるものだからです。ただし修理費や買い替え費用、代車費用、評価損など、壊れた物に関わる損害は賠償してもらえます。ケガがあれば人身事故として届け出ることが大切です。この記事では物損事故で受け取れる賠償の内容や注意点まで弁護士の視点で解説します。

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車をぶつけられて傷ついたのに、相手の対応に納得できない。「精神的な苦痛も大きいのだから、慰謝料をもらえないの?」と感じている方もいるのではないでしょうか。結論からお伝えすると、物損事故では原則として慰謝料は認められません。この記事では、その理由と、物損事故で受け取れる賠償の内容、注意点まで、弁護士の視点でわかりやすく解説していきます。

物損事故では原則として慰謝料はもらえない

まず大切な前提からお伝えします。物損事故では、原則として慰謝料を請求できません。

慰謝料とは、精神的な苦痛に対する賠償金です。交通事故の慰謝料は、ケガをしたこと(人身損害)に対して支払われるのが基本です。物だけが壊れた物損事故では、ケガがないため、原則として慰謝料は発生しません。

補足
「車をぶつけられて腹が立った」「大切な車が傷ついて悲しい」という気持ちは、よくわかります。しかし、こうした精神的な苦痛は、法律上、慰謝料の対象とは認められないのが原則です。物の損害は、修理費などの形で賠償されると考えられているためです。

つまり、物損事故では、壊れた物の損害は賠償されますが、それとは別に「慰謝料」という形のお金は、基本的に受け取れないのです。

慰謝料が例外的に認められるケース

物損事故では原則として慰謝料は認められませんが、ごく例外的に、認められることがあります。

たとえば、ペットが死傷した場合や、長年大切にしてきた物が壊された場合など、被害者の精神的苦痛が特に大きいと認められる特別な事情があるケースです。ただし、これらはあくまで例外であり、認められるハードルは高いのが実情です。

注意
「精神的に苦しいから慰謝料を」と主張しても、物損事故では原則として認められません。例外が認められるのは、よほど特別な事情があるケースに限られます。過度な期待はせず、受け取れる賠償をしっかり確保することに目を向けましょう。

物損事故で受け取れる賠償

慰謝料はもらえなくても、物損事故では、さまざまな損害を賠償してもらえます。代表的なものを見ていきましょう。

賠償の種類 内容
修理費 壊れた車などを修理する費用
買い替え費用 修理できない場合の買い替え費用(時価額が上限)
代車費用 修理中などにレンタカーを借りた費用
評価損(格落ち) 修理しても車の価値が下がった分
休車損害 営業車などが使えなかったことによる損害
積荷の損害 車に積んでいた物が壊れた場合の損害

このように、物損事故でも、壊れた物に関わるさまざまな損害を請求できます。慰謝料がないからといって、賠償を受けられないわけではありません。

ワンポイントアドバイス
物損事故で見落とされがちなのが、評価損(格落ち)です。事故車は、きれいに修理しても、「事故歴あり」として価値が下がることがあります。この下がった分も、損害として請求できる場合があります。特に新しい車や高級車では、評価損が大きくなりがちです。

物損事故で請求できる損害を詳しく

物損事故で請求できる損害について、もう少し詳しく見ていきましょう。請求漏れを防ぐために、どんなものが対象になるかを知っておくことが大切です。

  • 修理費:壊れた車などを修理する費用。原則として実費が認められます。
  • 買い替え費用:修理が不可能な場合や、修理費が時価額を超える場合の買い替え費用。時価額が上限です。
  • 代車費用:修理や買い替えの間、レンタカーなどを使った費用。相当な期間・グレードの範囲で認められます。
  • 評価損(格落ち):修理しても残る、車の価値の低下分。新しい車や高級車で認められやすい傾向があります。
  • 休車損害:タクシーやトラックなど、営業に使う車が使えなかったことによる減収。
  • レッカー費用:事故車を移動させるためにかかった費用。
  • 積荷・所持品の損害:車に積んでいた物や、身につけていた物が壊れた場合の損害。

これらは、それぞれ証明する書類が必要です。修理の見積書や領収書、写真などをそろえておくことで、請求漏れを防げます。

補足
スマホやメガネ、衣類など、事故で壊れた身の回りの物も、損害として請求できることがあります。「これも壊れたな」と思うものがあれば、写真を撮って記録しておきましょう。意外と見落としがちな項目です。

評価損(格落ち)について詳しく

物損事故で見落とされやすく、かつ争いになりやすいのが「評価損」です。もう少し詳しく見ておきましょう。

評価損とは、事故車を修理しても、「事故歴あり」として車の市場価値が下がってしまう損害のことです。格落ちとも呼ばれます。

評価損が認められやすいケース

評価損は、どんな車でも必ず認められるわけではありません。次のような場合に認められやすい傾向があります。

  • 新車や年式の新しい車
  • 高級車・人気車種
  • 走行距離が短い車
  • 損傷が大きく、修理跡が残る車

逆に、古い車や走行距離の多い車では、評価損が認められにくくなります。もともとの価値が下がっているためです。

ワンポイントアドバイス
評価損を請求するには、専門的な根拠が必要です。修理の内容や車の価値を示す資料をそろえる必要があり、保険会社と争いになることも少なくありません。評価損が大きいと見込まれる場合は、弁護士に相談すると、適正な請求につながりやすくなります。

全損になった場合の注意点

事故で車の損傷が大きいと、「全損」として扱われることがあります。全損には2つの種類があります。

物理的全損

車が修理不可能なほど損傷した状態です。この場合、買い替え費用(時価額が上限)が賠償されます。

経済的全損

修理は可能でも、修理費が車の時価額を超える状態です。この場合も、賠償額は時価額に制限されます。

注意
古い車では、時価額が低いため、経済的全損になりやすく、修理費を全額もらえないことがあります。「まだ乗れるのに、修理代が出ない」という状況が起こりがちです。納得できないときは、時価額の評価が適正か、弁護士に確認するとよいでしょう。

時価額の評価をめぐっては、保険会社と被害者の間で見解が分かれることがあります。中古車市場の相場などをもとに、適正な時価額を主張することが大切です。

物損事故の示談金の決まり方

物損事故の示談金(賠償金)は、どのように決まるのでしょうか。基本的な考え方を見ておきましょう。

物損事故の賠償金は、壊れた物の損害をもとに計算されます。修理費が基本になりますが、修理費が車の時価額を超える場合(全損)は、時価額が上限になります。

確認しておきたいこと
修理費が車の時価額を上回ると、「経済的全損」として、賠償額が時価額に制限されます。古い車の場合、時価額が低いため、修理費を全額もらえないことがあります。この点は、物損事故でよくあるトラブルのひとつです。

また、物損事故の賠償金にも、過失割合がかけられます。自分にも過失があれば、その分、受け取る賠償金が減ります。

慰謝料の計算方法や、損しないための注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ケガがあるなら人身事故にすべき

ここで、とても大切なことをお伝えします。事故で少しでもケガをしたなら、物損事故ではなく、人身事故として届け出るべきです。

人身事故であれば、ケガに対する慰謝料(入通院慰謝料など)を請求できます。物損事故のままだと、この慰謝料が受け取れません。

物損のままにするリスク
事故直後は痛みが軽くても、あとから症状が出ることがあります。物損事故のままにしておくと、慰謝料を請求できないうえ、過失割合の立証に必要な実況見分調書も作られないことがあります。ケガがあれば、人身事故への切り替えを検討しましょう。

物損事故から人身事故への切り替え方法とそのメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

擦り傷程度の軽いケガでも、人身事故にすべきかどうかについては、こちらの記事をご覧ください。

人身事故と物損事故の違い

ここまで見てきたように、物損事故と人身事故では、受け取れる賠償が大きく異なります。違いを整理しておきましょう。

物損事故 人身事故
慰謝料 原則なし あり(入通院慰謝料など)
治療費 なし あり
休業損害 なし(休車損害は別) あり
物の損害 あり あり
実況見分調書 作られないことが多い 作られる

このように、人身事故のほうが、受け取れる賠償の範囲が広くなります。ケガがあるなら、人身事故として届け出ることが、適正な賠償につながります。

人身事故と物損事故で弁護士に相談するメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

物損事故の手続きの流れ

物損事故に遭ったときの、基本的な手続きの流れを確認しておきましょう。

  1. 事故が起きたら、必ず警察に連絡し、届け出る。
  2. 相手の氏名・連絡先・車のナンバー・保険会社を確認する。
  3. 事故現場や車の損傷状況を写真に撮っておく。
  4. 車を修理工場に持ち込み、見積もりを取る。
  5. 保険会社と賠償について話し合い、示談する。

物損事故でも、警察への届け出は必要です。届け出をしないと、事故の事実を証明する書類(交通事故証明書)が発行されず、賠償請求で困ることがあります。

確認しておきたいこと
事故直後は、車の損傷だけでなく、自分の体の状態もよく確認してください。少しでも痛みや違和感があれば、物損事故のままにせず、病院を受診して人身事故への切り替えを検討しましょう。痛みは、あとから出てくることもあります。

物損事故でよくあるトラブル

物損事故では、賠償をめぐってさまざまなトラブルが起こります。代表的なものを知っておきましょう。

修理費を全額もらえない

前述のとおり、修理費が時価額を超えると、賠償額が時価額に制限されます。古い車では、この問題が起こりやすくなります。

評価損を認めてもらえない

評価損(格落ち)を請求しても、保険会社になかなか認めてもらえないことがあります。評価損の主張には、専門的な根拠が必要になります。

代車費用でもめる

代車費用について、「期間が長すぎる」「グレードが高すぎる」などとして、保険会社と争いになることがあります。

なお、相手が逃げてしまった当て逃げの場合は、賠償を受けること自体が難しくなります。当て逃げへの対応方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

一人で抱え込まないで
これらのトラブルは、専門知識がないと対応が難しいものです。納得のいかない対応をされたと感じたら、示談に応じる前に、交通事故に詳しい弁護士へ相談してください。

慰謝料がもらえなくても適正な賠償を受けるには

物損事故で慰謝料が認められないと聞くと、「では泣き寝入りするしかないのか」と感じるかもしれません。けれど、そうではありません。受け取れる賠償をしっかり確保することで、納得のいく解決に近づけます。

大切なのは、請求できる損害を漏れなく確認することです。修理費だけでなく、代車費用、評価損、レッカー費用、壊れた所持品の損害など、見落としがちな項目をきちんと拾い上げましょう。

物損事故で確実に確保したい賠償
修理費・買い替え費用・代車費用・評価損・レッカー費用・休車損害・所持品の損害。これらをもれなく請求することで、慰謝料がなくても、損害をしっかり回復できます。請求漏れは、そのまま損につながるので注意しましょう。

また、過失割合にも注意が必要です。物損事故の賠償金にも過失割合がかけられるため、自分の過失が不当に高く評価されていないか、確認することが大切です。

ワンポイントアドバイス
「物損だから」と軽く考えず、提示された賠償内容をよく確認しましょう。請求できる項目が抜けていないか、過失割合は適正か、評価損は考慮されているか。気になる点があれば、示談する前に専門家に確認するのが安心です。

物損事故で弁護士に相談するメリット

物損事故は、慰謝料がない分、賠償額が比較的小さくなりがちです。そのため、「弁護士に頼むほどではない」と思われることもあります。けれど、評価損や全損のケースなど、争いが大きくなる場合には、弁護士のサポートが役立ちます。

弁護士に依頼すると、評価損や代車費用などの主張を、専門的な根拠をもとに進めてくれます。保険会社とのやり取りも任せられます。

ワンポイントアドバイス
多くの自動車保険には「弁護士費用特約」が付いています。これを使えば、保険会社が弁護士費用を負担してくれるため、自己負担なく弁護士に依頼できることが多いです。物損事故でも、賠償額が大きい場合や争いがある場合は、まず保険の内容を確認してみましょう。

なお、事故でケガもしている場合は、人身事故として、慰謝料を含めた賠償を請求できます。あなたのケースでいくらになるか、まずは下記の計算ツールで確認してみてください。

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※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。

交通事故の被害者が弁護士に相談したほうがよい理由については、こちらの記事もご覧ください。

物損事故の賠償でも、人身事故の賠償でも、専門家のサポートを受けることで、適正な解決に近づけます。あなたのケースで賠償金がいくらになるか、計算ツールで確認したうえで、相談を検討してみてください。

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よくある質問(FAQ)

物損事故で慰謝料はもらえますか?

原則としてもらえません。慰謝料は精神的な苦痛に対する賠償で、ケガをしたこと(人身損害)に対して支払われるのが基本です。物だけが壊れた物損事故では、ケガがないため、原則として慰謝料は発生しません。

車をぶつけられて精神的につらいです。慰謝料は請求できませんか?

お気持ちはわかりますが、物損事故では、こうした精神的な苦痛は原則として慰謝料の対象になりません。物の損害は、修理費などの形で賠償されると考えられているためです。ただし、受け取れる賠償(修理費・代車費用・評価損など)はしっかり請求しましょう。

事故でケガもしました。物損事故のままで大丈夫ですか?

いいえ、ケガがあるなら人身事故として届け出るべきです。物損事故のままだと、ケガに対する慰謝料を請求できません。あとから痛みが出た場合も、人身事故への切り替えを検討してください。

修理費は全額もらえますか?

修理費が車の時価額を超える場合(全損)は、時価額が上限になります。古い車では、時価額が低いため、修理費を全額もらえないことがあります。納得できないときは、弁護士に相談するとよいでしょう。

評価損は請求できますか?

請求できる場合があります。事故車は、修理しても「事故歴あり」として価値が下がることがあり、この下がった分を評価損として請求できます。ただし、認めてもらうには専門的な根拠が必要で、争いになりやすい項目です。

評価損は請求できますか?

請求できる場合があります。事故車は、修理しても「事故歴あり」として価値が下がることがあり、この下がった分を評価損として請求できます。ただし、認めてもらうには専門的な根拠が必要で、新しい車や高級車で認められやすい傾向があります。古い車では認められにくくなります。

代車費用はどのくらい認められますか?

修理や買い替えに必要な相当の期間、相当なグレードの範囲で認められます。修理にかかる期間が基準になり、不必要に長い期間や、高級すぎる代車は認められないことがあります。代車を借りる際は、修理工場や保険会社に相談しておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

相手が無保険の場合、物損の賠償はどうなりますか?

相手が任意保険に入っていない場合、賠償交渉の相手は相手本人になります。支払い能力に不安があると、賠償金の回収が難しくなることがあります。自分の車両保険を使う方法もあるので、加入している保険の内容を確認しましょう。回収が難しいときは、弁護士に相談するとよいでしょう。

物損事故でも弁護士費用特約は使えますか?

多くの場合、使えます。弁護士費用特約は、物損事故の賠償請求にも利用できるのが一般的です。評価損や全損で争いがあるときなど、賠償額が大きくなりそうな場合は、特約を使って弁護士に依頼することを検討するとよいでしょう。まずは加入している保険の内容を確認してみてください。

物損事故の示談を急がされています。すぐ応じるべきですか?

急いで応じる必要はありません。一度示談が成立すると、原則としてやり直しはできません。修理費や評価損、代車費用など、請求できる損害をすべて確認してから示談に進みましょう。提示された金額が適正かわからないときは、弁護士に相談してから判断するのが安心です。

ペットが事故でケガをしました。慰謝料はもらえますか?

ペットが死傷した場合、例外的に慰謝料が認められることがあります。ペットを家族同然に大切にしてきた事情などが考慮されるためです。ただし、認められるハードルは高く、ケースによって判断が分かれます。治療費などの実費とあわせて、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

物損事故でも警察への届け出は必要ですか?

必要です。物損事故でも、警察への届け出をしないと、交通事故証明書が発行されず、賠償請求で困ることがあります。「物が壊れただけだから」と届け出を省くと、あとからトラブルになりかねません。どんな事故でも、必ず警察に連絡し、届け出を行いましょう。

まとめ

物損事故では、原則として慰謝料を請求できません。慰謝料は、ケガをしたこと(人身損害)に対して支払われるものだからです。ただし、修理費や買い替え費用、代車費用、評価損など、壊れた物に関わるさまざまな損害は賠償してもらえます。請求できる項目を漏れなく確認することが、適正な賠償につながります。

事故で少しでもケガをしたなら、物損事故ではなく、人身事故として届け出ることが大切です。物損のままだと、慰謝料を請求できないうえ、過失割合の立証でも不利になることがあります。

物損事故の賠償でも、評価損や全損のケースなど、争いが大きくなることがあります。「これで本当に適正なのだろうか」と迷ったら、一人で抱え込まず、交通事故に詳しい弁護士に相談してみてください。適正な賠償を受けるために、弁護士があなたを支えます。泣き寝入りせず、受け取れるものをしっかり受け取りましょう。

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