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車と歩行者の事故では、歩行者が大きなケガを負いやすく、「自分にも過失があるのだろうか」と不安に感じる被害者の方も多いものです。歩行者は交通弱者として手厚く保護されますが、状況によっては歩行者側にも過失が認められることがあります。この記事では、自動車と歩行者の交通事故の過失割合について、基本的な考え方から場面ごとの目安、被害者が知っておきたい注意点まで、弁護士の視点でわかりやすく解説します。
自動車と歩行者の事故における過失割合の基本
過失割合とは、交通事故について、当事者それぞれにどれだけの責任(落ち度)があるかを数値で表したものです。「9対1」「10対0」のように示され、受け取れる賠償金の額を大きく左右します。
車と歩行者の事故で最も特徴的なのは、歩行者が手厚く保護されるという点です。歩行者は交通弱者の中でも最も弱い立場にあり、ひとたび事故になれば命に関わる大ケガを負うこともあります。そのため、車側の過失が非常に重く判断される傾向があります。
とはいえ、「歩行者だから常に過失ゼロ」というわけではありません。歩行者側に信号無視や急な飛び出しなどの落ち度があれば、その分だけ歩行者の過失も認められます。過失割合の基本的な考え方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
過失割合はどのように決まるのか
過失割合は、警察が決めるものではありません。事故の当事者同士、実務上は双方の保険会社が交渉して決めていきます。話し合いがまとまらなければ、最終的には裁判で裁判所が判断します。
その際、基準となるのが「別冊判例タイムズ」という資料です。過去の膨大な裁判例をもとに、事故の類型ごとに「基本の過失割合」が定められており、そこに個別の事情を加味して最終的な割合が決まります。
場面別・車対歩行者の過失割合の目安
ここでは、車と歩行者の事故でよくある場面ごとに、過失割合の基本的な目安を紹介します。実際の割合は個別事情で変わるため、あくまで参考としてご覧ください。
| 事故の場面 | 過失割合の目安(歩行者:車) |
|---|---|
| 横断歩道を青信号で横断中 | 0:100 |
| 横断歩道を信号なしで横断中 | 0:100〜10:90前後 |
| 赤信号で横断中(車は青) | 50:50〜70:30前後 |
| 横断歩道外を横断中 | 20:80前後 |
| 幹線道路への急な飛び出し | 事情により歩行者の過失が加算 |
| 歩道上での事故 | 0:100 |
全体として、歩行者の過失割合は非常に低く、多くのケースで車側の過失が圧倒的に重くなります。特に、横断歩道を青信号で渡っているときや、歩道上にいるときは、原則として歩行者の過失はゼロです。
信号の有無で大きく変わる
歩行者が信号を守っていたかどうかは、過失割合に大きく影響します。青信号で横断していれば原則として過失ゼロですが、赤信号で横断していた場合は、歩行者にも相応の過失が認められます。
横断歩道や交差点での事故では、信号の状況がとりわけ重要になります。交差点での過失割合については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ケース別・車対歩行者の過失割合をもう少し詳しく
歩行者事故は、横断のしかたや場所によって過失割合の判断が変わります。代表的なケースを、もう少し具体的に見ていきましょう。
横断歩道上の事故
横断歩道は、歩行者が最も保護される場所です。歩行者が青信号、または信号のない横断歩道を渡っている場合、原則として過失はゼロです。車には横断歩道の手前で歩行者の有無を確認し、必要があれば停止する義務があります。
横断歩道のない場所での横断
横断歩道のない場所を横断していた場合、歩行者にもある程度の過失が認められます。ただし、近くに横断歩道がなかった、道路の幅が狭かったなどの事情があれば、歩行者の過失が軽くなることもあります。
幹線道路への飛び出し
交通量の多い幹線道路に急に飛び出したケースでは、歩行者の過失が比較的重く評価されることがあります。車のドライバーが予測しにくい行動だからです。それでも、車側にも前方注視義務があるため、車の過失がなくなるわけではありません。
夜間・悪天候での事故
夜間や雨天など、視界の悪い状況での事故では、車から歩行者が見えにくかったとして、歩行者の過失がやや加算されることがあります。一方で、車側にはより慎重な運転が求められるため、状況によっては車の過失が重くなることもあります。
歩行者側の過失が加算されるケース
歩行者が手厚く保護されるとはいえ、歩行者側に落ち度があれば、その分の過失は加算されます。次のような事情があると、歩行者の過失割合が認められることがあります。
- 赤信号を無視して横断していた
- 横断歩道のない場所を横断していた
- 車道に急に飛び出した
- 夜間に暗い服装で横断していた
- 道路を斜めに横断していた
- 酔って道路に寝込んでいた、ふらついていた
特に、急な飛び出しは過失割合に大きく影響します。車のドライバーがどんなに注意していても避けられないような飛び出しの場合、歩行者の過失が重く評価されることがあります。
子どもや高齢者はさらに保護される
歩行者が子どもや高齢者、障害のある方の場合、さらに手厚く保護されます。これらの方は危険を回避する能力が低いと考えられるため、歩行者側の過失が軽く修正されるのです。
過失ゼロ(0対10)になる歩行者事故
歩行者事故では、被害者にまったく落ち度がなく、過失割合が0対10(歩行者0、車10)になるケースが多くあります。
代表的なのが、横断歩道を青信号で渡っていてはねられたケースや、歩道を歩いていて車が突っ込んできたケースです。歩行者に避けようがないため、原則として過失はゼロと判断されます。
ただし、過失割合が0対10の場合には、ひとつ注意点があります。それは、自分側に過失がないと、自分の保険会社が示談交渉を代行してくれないということです。
過失割合10対0のケースの注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
車対歩行者の事故で過失割合が重要な理由
車と歩行者の事故では、過失割合が特に重要になります。なぜなら、歩行者は身を守るものが何もなく、重傷化・死亡に至りやすいため、賠償額が非常に高額になりやすいからです。
ケガが重ければ、治療費・休業損害・慰謝料・後遺障害が残れば後遺障害慰謝料や逸失利益など、賠償の総額は大きくなります。その総額に過失割合がかけられるため、割合が少し違うだけで、受け取る金額が大きく変わるのです。
| 歩行者の過失割合 | 受け取れる金額(損害1000万円の場合) |
|---|---|
| 0% | 1000万円 |
| 10% | 900万円 |
| 20% | 800万円 |
| 30% | 700万円 |
約100万円
このように、損害が大きいほど、過失割合の差が金額に与える影響も大きくなります。歩行者事故は損害が高額になりやすいため、過失割合の1割が数十万円から数百万円の差を生むこともあります。
賠償金の計算には、過失割合だけでなく慰謝料の「基準」も大きく関わります。慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあり、もっとも高額になるのが弁護士基準です。あなたのケースでいくらになるか、まずは下記の計算ツールで確認してみてください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
過失相殺の考え方
過失割合が賠償金にどう影響するのか、もう少し詳しく見てみましょう。自分の過失分は、相手から受け取る賠償金から差し引かれます。これを「過失相殺」といいます。
たとえば、歩行者の損害が1000万円で、歩行者の過失が2割と判断されたとします。この場合、過失相殺により、受け取れるのは1000万円の8割、つまり800万円になります。
なお、後遺障害が残った場合は、逸失利益も請求できます。逸失利益とは、後遺障害がなければ将来得られたはずの収入のことです。歩行者事故は重傷化しやすく、逸失利益が高額になることもあります。逸失利益の計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
過失相殺の具体的な計算方法をもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
事故直後にやっておきたいこと
過失割合の交渉を有利に進められるかどうかは、事故直後の対応で大きく決まります。歩行者の場合、被害者自身がケガで動けないことも多いですが、できる範囲で次のことを意識しておきましょう。
- 必ず警察に連絡し、人身事故として届け出る。
- 相手の氏名・連絡先・車のナンバー・保険会社を確認する。
- 可能なら事故現場の状況を記録する(信号、横断歩道の位置、車の位置)。
- 目撃者がいれば連絡先を聞いておく。動けない場合は家族に頼む。
- 必ず病院を受診し、診断書を作成してもらう。
歩行者事故では、被害者が意識を失ったり、入院したりすることも少なくありません。その場合、本人に代わって家族が証拠の確保や手続きを進める必要があります。事故直後の記録が、のちの過失割合の交渉を大きく左右します。
実況見分の重要性
歩行者事故では、警察が作成する実況見分調書が、過失割合を判断するうえで重要な資料になります。実況見分調書には、事故現場の状況や、当事者の位置関係、進行方向などが記録されます。
被害者が立ち会える場合は、自分が見た事故の状況を、できるだけ正確に警察官へ伝えることが大切です。ここで曖昧な説明をしてしまうと、あとから過失割合の交渉で不利になることがあります。
実況見分への臨み方や過失割合への影響については、こちらの記事で詳しく解説しています。
過失割合をめぐってよくあるトラブル
車と歩行者の事故では、過失割合をめぐって次のようなトラブルが起こりがちです。
「飛び出してきた」と主張される
実際にはゆっくり横断していても、車側が「歩行者が急に飛び出してきた」と主張してくることがあります。事実と異なる場合は、映像や目撃証言で反論しましょう。
信号の状況で争いになる
「歩行者は赤信号だった」「いや青だった」と、信号の状況で争いになることがあります。客観的な証拠がないと、水掛け論になってしまいます。
過失割合を過大に主張される
本来は車側の過失が重いケースでも、歩行者の過失を実際以上に大きく主張されることがあります。別冊判例タイムズの基準と照らし合わせ、適正な割合を主張することが大切です。
弁護士に相談するメリット
車と歩行者の事故で、過失割合や賠償金に不安がある。そんなときこそ、弁護士の力が役立ちます。
弁護士に依頼すると、過去の裁判例や証拠をもとに、適正な過失割合を主張してくれます。さらに、慰謝料を弁護士基準で計算し、増額を目指して交渉します。重傷で後遺障害が残った場合の認定サポートや、煩雑な保険会社とのやり取りも、すべて任せることができます。
ケガの治療をしながら、保険会社と一人で交渉を続けるのは大きな負担です。やり取りを弁護士に任せることで、その負担から解放され、治療に専念できます。あなたのケースで賠償金がいくらになるか、計算ツールで確認したうえで、相談を検討してみてください。
交通事故 慰謝料の3基準比較シミュレーター
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
よくある質問(FAQ)
歩行者は車との事故で必ず過失ゼロになりますか?
必ずゼロになるわけではありません。横断歩道を青信号で渡っているときや歩道上にいるときは、原則として過失ゼロです。しかし、赤信号での横断や、横断歩道のない場所での急な飛び出しなど、歩行者側に落ち度があれば、その分の過失が認められます。
横断歩道を渡っていてはねられました。過失はありますか?
横断歩道を信号に従って渡っていた場合、原則として歩行者の過失はゼロです。横断歩道は歩行者が最も保護される場所であり、車には歩行者を優先する義務があります。ただし、赤信号で渡っていた場合などは、一定の過失が認められることがあります。
子どもが事故に遭った場合、過失割合はどうなりますか?
子どもは危険を回避する能力が低いと考えられるため、大人よりも手厚く保護されます。同じ状況でも、子どもの過失割合は軽く修正される傾向があります。高齢者や障害のある方も、同様に保護されます。
夜間の事故だと歩行者に不利になりますか?
夜間で歩行者が暗い服装をしていた場合などは、車から見えにくかったとして、歩行者の過失がやや加算されることがあります。ただし、それでも車側には前方をよく見て運転する義務があるため、車の過失のほうが重くなるのが一般的です。
歩行者事故の慰謝料はどれくらいですか?
慰謝料の額は、ケガの程度や治療期間、後遺障害の有無によって変わります。歩行者事故は重傷化しやすく、賠償額が高額になる傾向があります。慰謝料は弁護士基準で計算するのがもっとも高額になります。具体的な金額は、計算ツールや弁護士への相談で確認してください。
提示された過失割合に納得できません。変えられますか?
はい、変えられる場合があります。車側の保険会社が提示する割合は、あくまで一方の主張にすぎません。映像や目撃証言などの証拠を示し、別冊判例タイムズの基準と照らし合わせて交渉することで、割合が修正されることがあります。納得できないときは、弁護士に相談しましょう。
提示された過失割合に納得できません。変えられますか?
はい、変えられる場合があります。車側の保険会社が提示する割合は、あくまで一方の主張にすぎません。映像や目撃証言などの証拠を示し、別冊判例タイムズの基準と照らし合わせて交渉することで、割合が修正されることがあります。納得できないときは、弁護士に相談しましょう。
歩道を歩いていて車に突っ込まれました。過失はありますか?
原則として、歩道上を歩いていた歩行者の過失はゼロです。歩道は歩行者のための場所であり、そこに車が突っ込んでくることは通常予測できません。このようなケースでは、車側の一方的な過失と判断されるのが一般的です。
家族が歩行者事故で意識不明です。何をすればよいですか?
まずは治療に専念できる環境を整えることが大切です。そのうえで、事故状況を示す証拠(防犯カメラ映像、目撃者、警察の記録など)の確保を進めてください。本人が交渉できない状態では、家族が代わって対応する必要があり、負担も大きくなります。早い段階で弁護士に相談すると、証拠集めから交渉まで任せられて安心です。
横断中に車にぶつけられ、相手が逃げてしまいました。どうなりますか?
加害者が逃げてしまったひき逃げの場合でも、あきらめる必要はありません。警察への届け出を確実に行い、目撃情報や防犯カメラなどから加害者の特定を試みます。加害者が見つからない場合でも、政府保障事業という制度によって、最低限の補償を受けられることがあります。対応に不安があれば、早めに弁護士へ相談してください。
歩行者事故の慰謝料はどれくらいですか?
慰謝料の額は、ケガの程度や治療期間、後遺障害の有無によって変わります。歩行者事故は重傷化しやすく、賠償額が高額になる傾向があります。慰謝料は弁護士基準で計算するのがもっとも高額になります。具体的な金額は、計算ツールや弁護士への相談で確認してください。
まとめ
自動車と歩行者の事故では、歩行者が交通弱者として最も手厚く保護され、原則として車側の過失が非常に重く判断されます。横断歩道を青信号で渡っているときや歩道上にいるときは、原則として歩行者の過失はゼロです。
ただし、赤信号での横断や急な飛び出しなど、歩行者側に落ち度があれば、その分の過失は認められます。歩行者事故は賠償額が高額になりやすいため、過失割合のわずかな差が、受け取る金額に大きく影響します。
つらい事故のあとに、保険会社と一人で交渉を続けるのは大きな負担です。ケガの治療や、ご家族の看病で手いっぱいのなか、慣れない交渉まで抱えるのは簡単ではありません。少しでも不安があれば、交通事故に詳しい弁護士に相談してください。適正な過失割合と賠償金を得るために、弁護士はあなたとご家族を支えます。
あなたの慰謝料はいくら?3基準で比較診断
自賠責基準
¥120,000
任意保険基準
¥150,000
弁護士基準
¥530,000
※ 簡易計算です。実際の金額は治療実日数・後遺障害の有無・休業損害などにより異なります。任意保険基準は各社非公開のため業界平均値で算出しています。
