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当て逃げへの対応方法~解決しづらい車両物損の交通事故

この記事で分かること

  • 当て逃げはひき逃げと違い犯人の特定につながりにくいです。
  • 停車中の当て逃げ事故では防犯カメラの確認などが、走行中の事故では当て逃げナンバーの記録などが直後の対応として有効です。いずれの場合も警察への連絡は必須です。
  • 当て逃げの犯人が特定できた場合、加害者が任意保険に加入していれば賠償請求できます。
  • 犯人の発見に至らなかった場合でも被害車両が車両保険に加入していれば、そこから補填を受けられます。
  • 被害車両が自家用自動車総合保険に入っていれば加害者が任意保険未加入の場合でも賠償を受けられます。当て逃げでは一概に弁護士に相談すべきとは言えません。

当て逃げはひき逃げと違い犯人の特定につながりにくいです。停車中の当て逃げ事故では防犯カメラの確認などが、走行中の事故では当て逃げナンバーの記録などが直後の対応として有効です。いずれの場合も警察への連絡は必須です。当て逃げの犯人が特定できた場合、加害者が任意保険に加入していれば賠償請求できます。犯人の発見に至らなかった場合でも被害車両が車両保険に加入していれば、そこから補填を受けられます。被害車両が自家用自動車総合保険に入っていれば加害者が任意保険未加入の場合でも賠償を受けられます。当て逃げでは一概に弁護士に相談すべきとは言えません。

交通事故の当て逃げは~ひき逃げとはどう違う

交通事故は道路上の突発的状況の発生によって起こるものですから、気を付けていても防げないこともあります。特に自分に過失がない事故なら尚のこと。例えば当て逃げやひき逃げです。
そして加害車両が去ってしまっている当て逃げやひき逃げでは、泣き寝入りになってしまいがちです。ではこうした車両物損の事故へはどう対応すればよいのでしょうか。

当て逃げとひき逃げ

当て逃げとひき逃げの違いは言うまでもなく物損か人身かですが、罰則などはどう違うのでしょうか。まずは当て逃げについてひき逃げとの違いなど、基本的なところを確認しておきましょう。

救護義務・報告義務違反になる

当て逃げとは、接触事故を起こしたにもかかわらず警察にも車の所有者にも報告することなくそのまま去る行為です。

事故を起こしたら、交通事故をした車両などの運転者や乗務員は、運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じる「救護義務」や警察に連絡する義務「報告義務」を負うことになりますが、当て逃げはこの両方に違反したことになるわけです。

接触事故を起こしても正直に届け出てれば単なる物損事故として処理され、罰金刑に処されることもなければ免停を食らうこともありません。しかし逃げたとなれば事情は変わってきます。当て逃げをした場合、次の通り行政責任や刑事責任に問われることとなります。

行政責任
  • 安全運転義務違反の2点
  • 危険防止措置義務違反の5点

が加点され一発免停となります。

刑事責任
事故報告の義務等違反 3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
現場に留まる義務違反 5万円以下の罰金

などが科され1年以下の懲役または10万円以下の罰金刑が科される可能性があります。

ひき逃げはさらに重い責任を負う

負傷者が出ているにもかかわらず、その場を去るひき逃げならさらに重罪です。
ひき逃げをした場合

負傷者の救護と危険防止の措置違反  5年以下の懲役または50万円以下の罰金(事故が運転者によって引き起こされたものの場合
10年以下の懲役または100万円以下の罰金)
過失致傷罪 30万円以下の罰金

死亡者が出た場合は

危険運転致死罪 1年以上20年以下の懲役
過失致死罪 7年以下の懲役もしくは禁錮 または100万円以下の罰金

に問われる可能性があります。

当て逃げの特徴

当て逃げは非常に多い事故の一つですが、このようにひき逃げとは罰則が大きく違います。その他どういった点で異なるのでしょうか。特徴と併せてみていきましょう。

物損事故である当て逃げは自賠責保険の対象外

当て逃げは物損事故なので、自賠責保険の対象外です。これは被害者側にとって当て逃げとひき逃げの最も大きな違いと言える点でしょう。

当て逃げは解決しづらい

負傷者があるひき逃げでは警察の捜査も入り、犯人特定に至る割合は9割を超すと言われています。

他方物件損害に留まる当て逃げ事案ではほとんどの場合警察は動いてくれません。そのためどうしても犯人の特定につながりにくく、泣き寝入りになってしまいがちです。

ワンポイントアドバイス
当て逃げはひき逃げと違い犯人の特定につながりにくいです。

交通事故での当て逃げへの対応方法~事故直後

では、当て逃げ被害に遭った時はどうすればよいのでしょうか。前述の通り当て逃げでは犯人の特定には至らないことが多いです。

加害者の“逃げ得”を許さないために事故直後、すなわち当て逃げ被害に気付いた時点でまず取るべきはどういった対応なのでしょうか。

停車中の当て逃げ

当て逃げにも大きく停車中の被害と、乗車中の被害の2通りがありますが、まずは前者の対応方法について説明します。

駐車場での当て逃げが多い

当て逃げと言えばそのほとんどは駐車場で発生します。

例えば多いのが、商業施設で用を足して駐車場に止めていた車に戻ってきたところドアパンチを食らっていた。辺りに加害者と思しき人物は見当たらない…やられた!というようなケースです。

防犯カメラを確認・目撃者を探す

このような場合、駐車場の管理者に事情を説明し、防犯カメラの映像を見せてもらいましょう。カメラの角度にもよりますが、事故の瞬間が移っていることがあります。場合によってはその映像から犯人の特定に至るかもしれません。

防犯カメラの設置がない場合などは、周囲に目撃者がいないか探してみましょう。可能性は高くはないですが、事故の一部始終を目撃していた人が見つかることがあります。目撃情報が加害者の特定に役立つかもしれません。

乗車中の当て逃げの対策

一方で走行時にぶつけられたもののそのまま加害車両に逃走された場合、どんな対応をすべきなのでしょうか。

ナンバーを記録する

走行中にぶつけられたら、相手方車両のナンバーを記録することが重要です。メモなどしておくとよいでしょう。

とは言え運転中なので、ハンドルから手を放すわけにはいきません。そんなことをすると今度は自分が事故を起こしてしまいます。

この場合は例えば一時的に記憶し路肩に停車後記録する、あるいは同乗者にナンバーをメモしてもらうなどするとよいでしょう。

ドライブレコーダーを設置している場合は、ナンバーを声に出して録音する手も有効です。

乗車中、停車中、いずれの場合も警察への連絡は必須

そして当て逃げ被害が発覚したら乗車中、停車中いずれの場合でも最初に取るべきは警察への連絡です。損傷が小さくても、必ず警察に事故を報告しましょう。さもなければ、犯人が判明しても賠償してもらえなくなります。

警察に届け出なければ事故報告書が作成されず賠償を受けられない

当て逃げは走行中の衝突事故と比較して損傷は比較的小さく済むことが多いです。

そのため警察に事故の報告をしない人もしばしば見受けられます。しかし警察を呼ばないと物損事故報告書を作成してもらえません。物損事故報告書がなければ事故の事実を証明できず、仮に犯人が判明しても保険が下りなくなるわけです。

ですから被害が小さくても必ず警察に一報を入れましょう。

加害者の捜索がされない

さらに当たり前ですが警察への通報をしないと加害者の捜索もされません。事故はそもそも発生していないのと同じことになるのです。

もちろん自力で加害者を特定できる可能性もゼロではありませんが、犯人の発見は極めて難しくなります。

ワンポイントアドバイス
停車中の事故では防犯カメラの確認などが、走行中の事故ではナンバーの記録などが直後の対応として有効です。いずれの場合も警察への連絡は必須です。

交通事故での当て逃げへの対応~賠償請求

もっとも、加害者側も端から故意に接触しているわけではありません。事故を起こしてパニックに陥るのです。

「被害車両の所有者が怖い人だったらどうしよう」「高い賠償金を取られたら嫌だな…」様々な思いがよぎります。

そして被害車両の運転手の不在をいいことに、逃走する選択肢を取ってしまうケースが一定数存在するわけです。

当て逃げ事案は多くの場合加害者は見つかりませんが特定に至る場合もあります。ここではそれぞれの場合について賠償請求する方法やその際の注意点を解説します。

犯人が見つからない場合

当て逃げ事案では犯人が特定できないことがほとんどです。前述の通り当て逃げ犯は刑事・行政責任を負うことになりますが、加害者を特定できない場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか。

加害者への懲罰は諦めるしかない

加害者への懲罰の点では残念ながら泣き寝入りせざるを得ません。しかし被害車両の修理費の補填は受けることができる場合があります。

車両保険に加入していれば補填できる

物損事故は自賠責の適用外ですが、被害車両が任意の「車両保険」に加入していれば、そこから補填できるのです。

ただし、保険を適用させると次年度以降の保険料がアップするのでその増額幅と賠償額を比べた上で、損をしない選択をする必要があります。

犯人が見つかった場合

一方で、加害者が良心の呵責に耐え切れず自ら名乗り出てくるなど、犯人が見つかるケースもあります。では仮に犯人が特定できた場合、被害者はどのような対応をすればよいのでしょうか。

賠償請求する

当て逃げでは加害者は被害車両に損傷を与えているわけですから、行政責任・刑事責任に加えて被害者に対する民事責任、つまり賠償責任も負うことになります。

これについては通常の事故と同じく、相手方の保険会社と交渉し賠償支払いをしてもらいます。

しかし相手が任意保険に加入している必要がある

けれども当て逃げは自賠責保険適用外なので、加害者が対物賠償保険に加入していることが必要です。

加入していない場合の対処法の一つが、加害者自身に請求することです。支払いに応じる様子がなければ裁判を起こす手段もありますが、手間や費用を考えると場合によっては得策ではありません。

ワンポイントアドバイス
当て逃げの犯人が特定できた場合、加害者が任意保険に加入していれば賠償請求できます。犯人の発見に至らなかった場合でも被害車両が車両保険に加入していれば、そこから補填を受けられます。

交通事故の当て逃げへの対応で覚えておくべきこと

ここまで当て逃げ被害直後に取るべき行動から、犯人特定できたケースとそうでないケースの対応などを解説してきました。最後に当て逃げへの対応で覚えておくべきことを解説します。

自家用自動車総合保険に入っておくのも手

加害者が特定できても加害車両が自賠責にしか加入していない場合、全ての損害を補填できないことがあります。こうした場合に備えられるのが自家用自動車総合保険(SAP)です。

万能の保険

自家用自動車総合保険(SAP)とは自損事故賠償保険や搭乗者傷害保険など6つの保険が組み込まれた自動車保険のパッケージ商品で、あらゆる事故をカバーできます。

そしてその中の「無保険車傷害保険」は相手方が任意保険に入っていなくても補償を受けられる保険なのです。

加害者になった時も有用

また対物賠償保険も組み込まれる自家用自動車総合保険では、当て逃げを起こしてしまった場合も役立ちます。さらに任意で対人賠償保険も付帯可能なので、被害者が怪我をしたケースにも対応できるわけです。

注意点も

ただ、この自家用自動車総合保険(SAP)には注意点もいくつかあります。まずは契約できる車種が自家用普通乗用車・小型乗用車・軽四輪乗用車・小型貨物車・軽四輪貨物車の5種に限られる点です。加えて、補償範囲がこれだけ広いパッケージ商品ですから当然保険料も高く付きます。

一概に弁護士に相談すべきとは言えない

一般的に交通事故では弁護士に依頼するのが得策でしょう。しかし当て逃げの場合一概にそうとも言えないのです。

弁護士に相談すべきかどうかは損害の大きさによる

一般的に交通事故では、慰謝料や賠償金の引き上げが可能になるので弁護士に示談を依頼するのがよいと言えます。

けれども弁護士に依頼すれば着手金や相談料、成功報酬といった弁護士費用がかかります。そして物損事故の場合通常慰謝料請求はできませんし、賠償金を引き上げられたとしてもその増額分がこれらの弁護士費用を上回ってしまうこともあるわけです。

つまり当て逃げなど損害が小さい物損事故では、弁護士に依頼すると、“費用倒れ”になるリスクがあるので必ずしも弁護士に依頼するのが得策とは言えないのです。

弁護士特約があれば心配無用

しかし、費用倒れを回避する方法もあります。それが“弁護士特約”を利用することです。

弁護士費用特約とは、弁護士に交通事故における損害賠償請求事案を相談・依頼した場合にその費用を保険会社が代わりに支払ってくれるものです。

弁護士費用特約を交わしていれば、費用の心配はいらないので損害が小さい物損事故でも弁護士に依頼するのが得策です。現在、弁護士費用特約はほとんどの自動車保険に付帯していますが、会社ごとに適用条件などが違う場合もある点に留意が必要です。

ワンポイントアドバイス
自家用自動車総合保険に入っていれば加害者が任意保険未加入の場合でも賠償を受けられます。当て逃げでは一概に弁護士に相談すべきとは言えません。

交通事故の当て逃げ被害に備えてドライブレコーダーを付けよう

当て逃げの加害者が見つかる可能性は非常に低いです。しかしドライブレコーダーを搭載していればその映像から犯人の特定に至る可能性はあります。また、外からドライブレコーダーが見えるよう設置すれば、逃走の防止に一役買うかもしれません。

交通事故に巻き込まれたら弁護士に相談を
無料相談を活用し、十分な慰謝料獲得を
  • 保険会社が提示した慰謝料・過失割合に納得が行かない
  • 保険会社が治療打ち切りを通告してきた
  • 適正な後遺障害認定を受けたい
  • 交通事故の加害者が許せない
上記に当てはまるなら弁護士に相談