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親権放棄はできる?辞任・変更の条件と手続き

親権放棄はできる?辞任・変更の条件と手続き

この記事で分かること

  • 親権は自由に放棄できないという基本の考え方
  • 離婚時に相手を親権者とする事実上の放棄の方法
  • やむを得ない事由が必要な親権の辞任という制度
  • 家庭裁判所を通す親権者の変更という方法
  • 親権を手放しても残る養育費の義務と面会交流の権利

親権は権利であると同時に子どもを守る義務でもあるため、自分の都合で自由に放棄することはできません。手放す方法としては、離婚時に相手を親権者に定める、やむを得ない事由がある場合に家庭裁判所の許可を得て辞任する、親権者を変更する、といった道があり、いずれも子どもの利益が判断の軸になります。親権を手放しても、養育費を支払う義務や子どもと定期的に会う面会交流の権利は残ります。

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親権放棄とは何か、そもそも自由に放棄できるのか

「事情があって、子どもの親権を持てそうにない」「親権を手放したいけれど、そんなことができるのだろうか」。さまざまな事情から、親権を放棄したいと考える方がいます。しかし、いざ調べてみると、情報が少なく、何から手をつければよいかわからず戸惑うものです。まずは、親権放棄という言葉の意味と、その基本から整理していきましょう。

親権放棄という言葉は、日常ではよく使われますが、法律上、そのままの制度があるわけではありません。「親権を放棄する」と一口に言っても、離婚時に相手を親権者に定めること、親権を辞任すること、親権者を変更することなど、実際には複数の異なる方法を指しているのです。まずはこの言葉が、状況によって違う意味で使われていることを知っておくと、情報を整理しやすくなります。自分がしたいのはそのどれなのかを見極めることが、出発点になります。

結論から言うと、いったん親権者になった親が、自分の都合で自由に親権を放棄することは、原則としてできません。なぜなら、親権は、親が持つ権利であると同時に、子どもを守り育てるための義務でもあるからです。子どもの利益を守るという性質上、親の一存で簡単に投げ出せるものではない、と考えられているのです。ここが、多くの方が誤解しやすい点です。

では、親権を手放したいと思っても、まったく方法がないのでしょうか。そうではありません。状況に応じて、いくつかの道があります。離婚のときに、はじめから相手を親権者に定める方法。やむを得ない事情があるときの、親権の辞任という制度。そして、いったん決まった親権者を変更する方法です。これらを、自分の状況に合わせて選ぶことになります。

この記事では、親権放棄という言葉の正しい意味から、親権を手放したいと考える方が取り得る方法、そして手放す前に慎重に考えておきたいことまでを、順を追って解説していきます。親権は子どもの人生に関わる重大な事柄ですから、正しい知識を持って、慎重に判断してほしいと思います。

そもそも、なぜ親権は自由に放棄できないのでしょうか。親権という言葉には「権利」という文字が入っているため、権利なら放棄できるはずだ、と考えてしまいがちです。しかし、親権の本質は、子どもの利益を守るための責任にあります。親のためというより、子どものために存在する仕組みなのです。だからこそ、親の一存で投げ出すことは許されず、手放すにも一定の手続きや要件が課されているのです。

この点を理解しておくと、親権をめぐる制度の全体像がつかみやすくなります。離婚時の親権者の決定も、辞任も、親権者の変更も、すべて「子どもの利益にかなうかどうか」という一本の軸で貫かれています。自分が手放したいという気持ちだけでは動かず、常に子どもの視点が問われる。これが、親権放棄を考えるうえでの、大前提になります。

親権を放棄したいと考えられる主なケース

そもそも、どのような事情から、親権を放棄したいと考えるのでしょうか。その背景を知ることは、自分に合った方法を選ぶうえで役立ちます。親権を手放したいと考える理由は、人によってさまざまですが、いくつかの典型的なケースがあります。ここで、代表的なものを見ていきましょう。

親権を手放したいと考えるとき、その気持ちの奥には、たいてい深い葛藤があります。「親なのに子どもを手放すなんて」という自責の念と、「自分が育てるより相手のほうが」という現実的な判断とのはざまで、心が揺れるのです。その葛藤は、決しておかしなものではありません。むしろ、子どものことを真剣に考えているからこそ生じる悩みだといえます。まずは、自分がどんな事情でそう考えるに至ったのかを、静かに整理してみましょう。

  • 経済的な事情――自分の収入では十分に育てられないと感じる
  • 健康上の事情――心身の不調で子どもの世話を続けるのが難しい
  • 相手のほうが監護に適している――主に相手が世話をしてきた
  • 子どもの生活の安定――相手のもとで暮らすほうが環境が安定する

これらのケースに共通しているのは、多くの場合、子どものことを思う気持ちが根底にある、という点です。自分が育てるより相手に委ねたほうが子どもは幸せになれる、という判断は、決して無責任なものではありません。ただし、その判断が本当に子どものためなのか、それとも自分の都合が先に立っていないかは、冷静に見極める必要があります。以下、それぞれのケースについて考えてみましょう。

一つは、経済的な事情です。自分の収入では、子どもを十分に育てられないと感じ、相手に育ててもらうほうが子どものためになる、と考えるケースです。もう一つは、自分の健康上の事情です。心身の不調などにより、子どもの世話を続けるのが難しい状況に置かれている場合もあります。いずれも、子どものことを思うがゆえの、切実な悩みです。

また、相手のほうが子どもの監護に適していると考えるケースもあります。これまで主に相手が子どもの世話をしてきた、あるいは相手のもとで暮らすほうが子どもの生活が安定する、といった事情です。この場合は、離婚のときに相手を親権者に定めることが、自然な選択になります。子どもの利益を第一に考えた結果として、親権を手放す判断もあり得るのです。

逆に言えば、子どもの利益という観点を欠いたまま親権を手放そうとすると、思わぬ壁にぶつかります。たとえば、離婚を急ぐあまり、深く考えずに相手を親権者にしてしまい、後で「やはり自分が育てたかった」と悔やむケースです。親権は、いったん手放すと、取り戻すのに家庭裁判所の手続きが必要で、簡単ではありません。だからこそ、手放す判断は、目先の事情だけでなく、子どもと自分の将来を見据えて、慎重に下す必要があるのです。

補足
親権を放棄したいという気持ちの背景には、さまざまな事情があります。ただ、その事情が一時的なものであることも少なくありません。経済的な困窮や体調の不良は、時間とともに変わることもあります。今の状況だけで結論を急がず、将来の可能性も含めて考えることが大切です。

一方で、単に育児から解放されたい、というだけの理由で親権を手放そうとするのは、慎重に考えるべきです。親権を手放すことは、子どもとの法的な関係に大きな影響を及ぼします。後になって「やはり子どもと関わりたい」と思っても、簡単には取り戻せないことがあります。手放す理由が本当に子どものためなのかを、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

ケースを見極めるうえで大切なのは、その事情が今後も続くものかどうか、という視点です。経済的な困窮も、体調の不良も、時間とともに改善することがあります。一時的な困難を理由に親権を手放してしまうと、後で状況が好転したときに、後悔することにもなりかねません。今この瞬間の状況だけでなく、少し先の見通しまで含めて考えることが、後悔のない判断につながります。

離婚時に親権を持たない選択

親権を手放したいと考える方にとって、最も一般的なのが、離婚のときに、はじめから相手を親権者に定める方法です。子どもがいる夫婦が離婚する際は、必ずどちらか一方を親権者に決めなければなりません。このとき、相手を親権者と定めれば、あなたは親権を持たないことになります。これが、事実上の親権放棄にあたります。

この方法は、話し合いで相手を親権者とすることに合意すれば、比較的スムーズに進みます。離婚届には親権者を記載する欄があり、そこに相手を親権者として記入することになります。相手も親権者となることに同意していれば、特別な手続きは必要ありません。離婚そのものの手続きの中で、あわせて親権者を定められます。

ただし、注意したいのは、親権者をどちらにするかで、双方の意見が対立する場合です。自分は手放したいのに、相手も親権を持ちたがらない、というケースもあります。この場合は、話し合いで決まらなければ、家庭裁判所の調停や審判で、親権者を決めることになります。子どもの利益を基準に、どちらが親権者としてふさわしいかが判断されます。

離婚のときに親権を相手に委ねる場合でも、決めておくべきことがあります。それが、養育費と面会交流です。親権を持たないからといって、子どもとの関係がすべて断たれるわけではありません。これらについては、後ほど詳しく説明しますが、離婚の際にきちんと取り決めておくことが、子どものためにも大切です。

離婚時に相手を親権者とする場合、それが子どもにとって望ましい選択であることを、双方が納得しておくことが大切です。「押しつけ合い」のような形で決めてしまうと、後で子どもがそれを知ったときに傷つくおそれがあります。子どもの生活が最もよく守られるのはどちらのもとか、という観点で、前向きに話し合って決められるのが理想です。手放す側も、無責任に投げ出すのではなく、子どもの幸せを願って委ねる、という姿勢を持ちたいところです。

親権の辞任という制度

すでに親権者になっている場合に、親権を手放す方法として、親権の辞任という制度があります。ただし、これは誰でも自由にできるものではありません。やむを得ない事由がある場合に限って、家庭裁判所の許可を得て、親権を辞任できる、という仕組みです。ハードルは決して低くありません。

「辞任」という言葉から、会社を辞めるように気軽に手続きできるものを想像するかもしれませんが、まったく異なります。親権の辞任は、あくまで例外的な救済措置です。親権者として子どもの世話を続けたくても、客観的にそれが不可能な状況に陥った場合に、初めて選択肢に上がるものです。「辞めたいから辞める」ではなく「続けたくても続けられない」という状況が前提になる、と理解しておいてください。

やむを得ない事由とは、たとえば、重い病気で長期の療養が必要になった、海外へ長期間赴任することになった、といった、親権者として子どもの世話を続けることが客観的に困難な事情を指します。単に「育てるのが大変だから」「新しい生活を始めたいから」といった理由では、認められません。あくまで、正当でやむを得ない事情があることが前提です。

注意
親権の辞任は、自分の都合だけで認められるものではありません。やむを得ない事由があると家庭裁判所に認めてもらう必要があります。また、辞任すると、子どもの親権を担う人がいなくなる場合には、代わりに未成年後見人を選ぶ手続きが必要になることもあります。安易に考えず、慎重な検討が求められます。

また、親権を辞任した後、その原因となった事情がなくなった場合には、家庭裁判所の許可を得て、再び親権者に戻ることもできます。たとえば、病気が回復したような場合です。親権の辞任は、あくまで例外的な制度であり、やむを得ない事情に対応するためのものだと理解しておきましょう。制度の趣旨からずれた使い方はできないのです。

辞任が認められた場合の、その後の流れにも触れておきましょう。親権を辞任すると、その子どもに親権を行う人がいなくなることがあります。たとえば、もう一方の親がすでに亡くなっているような場合です。このときは、子どもの世話をする人として、未成年後見人を選ぶ手続きが必要になります。辞任は、単に自分が親権から退いて終わり、というものではなく、その後の子どもの監護をどうするかまで見据えて考えなければならないのです。この点も、辞任のハードルを高くしている理由の一つといえます。

この辞任の手続きは、専門的な判断を要します。自分のケースが、やむを得ない事由にあたるのかどうか、どのような手続きが必要かは、個別の事情によって変わります。辞任を検討している場合は、まず専門家に相談し、自分の状況で辞任が認められる見込みがあるのかを確認するとよいでしょう。ひとりで判断するのは難しい部分です。

親権の辞任という制度が、なぜこれほど厳格なのかを、あらためて考えてみましょう。もし親が自由に親権を辞任できるとしたら、子どもが親から一方的に見捨てられる事態が起こりかねません。子どもの立場からすれば、それはあまりに酷なことです。だからこそ、辞任には「やむを得ない事由」という高いハードルが設けられ、家庭裁判所の審査を経る仕組みになっているのです。子どもを守るための、いわば安全装置だと考えるとよいでしょう。

親権者の変更という方法

いったん親権者を決めた後で、事情が変わり、相手に親権を委ねたいと考える場合には、親権者の変更という方法があります。離婚のときに自分が親権者となったものの、その後の事情の変化で、相手が育てるほうが子どものためになる、と考えるようなケースです。この変更も、当事者だけで自由にできるわけではありません。

親権者を変更したいと考える背景には、離婚時には想定していなかった事情の変化があるのが通常です。たとえば、親権者となった側が病気になった、生活が不安定になった、あるいは子ども自身が「もう一方の親と暮らしたい」と望むようになった、といった変化です。こうした変化が生じたとき、子どもの利益のために親権者を見直すのが、変更の制度の趣旨です。単なる親同士の都合ではなく、子どもをめぐる状況の変化が出発点になります。

親権者を変更するには、家庭裁判所に対して、親権者変更の調停や審判を申し立てる必要があります。夫婦の間で「親権者を相手に変えよう」と合意していても、それだけでは変更できず、必ず家庭裁判所の手続きを経なければならないのです。これは、子どもの利益を守るために、第三者である裁判所が関与する仕組みになっているためです。

  1. 家庭裁判所に親権者変更の調停を申し立てる。子どもの住所地を管轄する裁判所で手続きします。
  2. 調停で話し合う。調停委員を交え、変更が子どものためになるかを話し合います。
  3. 子どもの事情を確認する。必要に応じて、調査官が子どもの生活状況を調べます。
  4. 変更が認められると、新しい親権者が決まる。子どもの利益にかなうと判断されれば変更されます。
  5. 養育費や面会交流を取り決め直す。変更後の関わり方を、あらためて定めます。

家庭裁判所は、親権者を変更することが、子どもの利益にかなうかどうかを判断します。単に親同士が合意しているというだけでは足りず、変更することが子どものためになる、と認められる必要があります。今の親権者のもとで子どもの生活に問題が生じている、相手のもとで暮らすほうが安定する、といった具体的な事情が求められます。

親権者の変更が認められると、新たに親権者となった側が、子どもを育てていくことになります。この場合も、変更前の親権者が、養育費の支払いや面会交流にどう関わるかを、あらためて取り決めることになります。子どもの生活が変わる大きな出来事ですから、変更にあたっては、子どもへの影響を十分に考える必要があります。

親権者の変更が、離婚時の親権者の決定よりも厳しく審査されるのには、理由があります。いったん定まった親権者のもとで子どもが生活を築いている以上、それを変えることは、子どもの生活環境を再び揺るがすことになるからです。裁判所は、変更によって子どもがより良い環境に置かれると確信できなければ、安易には変更を認めません。現状の安定を重んじる、という考え方が、ここでもはたらいています。

親権を放棄しても養育費や面会はどうなるのか

親権を手放すと聞くと、「子どもとの関係が完全に切れてしまうのか」と考える方がいます。しかし、それは誤解です。親権を持たなくなっても、あなたと子どもの間の親子関係そのものが消えるわけではありません。親であることに変わりはなく、それに伴う権利や義務も残ります。ここは、正しく理解しておきたい大切な点です。

この誤解は、非常に多くの方が抱いています。「親権を手放す」という言葉の響きから、子どもと縁が切れてしまうかのように感じるのでしょう。しかし、法律上の親子関係は、親権の有無とは関係なく続きます。親権を持たない親も、れっきとした子どもの親です。その立場から生じる養育費の義務や面会交流の権利は、しっかりと残るのです。まずは、この基本をおさえておいてください。

まず、養育費についてです。親権を持たない親であっても、子どもを扶養する義務は残ります。つまり、親権を相手に委ねたからといって、養育費の支払い義務がなくなるわけではありません。むしろ、子どもと離れて暮らす親として、子どもの生活を経済的に支えるために、養育費を支払うことになるのが通常です。親権の有無と、扶養の義務は別のものなのです。

次に、面会交流についてです。親権を持たない親にも、子どもと定期的に会う権利、すなわち面会交流が認められます。親権を手放したからといって、子どもと会えなくなるわけではありません。頻度や方法を取り決めておけば、離れて暮らしていても、子どもとの関係を保っていくことができます。子どもにとっても、両方の親と関わり続けられることは大切です。

面会交流を続けることは、手放す側の親にとっても、心の支えになります。親権を委ねても、定期的に子どもと会い、成長を見守れる。その関わりがあるからこそ、親権を手放すという重い決断も、子どもと縁を切るものではないのだと、納得しやすくなります。手放すことに罪悪感を抱く方こそ、面会交流の意味を知っておいてほしいと思います。子どもとのつながりは、形を変えて続いていくのです。

このように、親権を手放すことと、子どもとの関係が断たれることは、イコールではありません。親権者でなくなっても、養育費を通じて子どもを支え、面会交流を通じて子どもと関わり続けられます。「親権を放棄したら、もう子どもの親ではなくなる」というのは、大きな誤解です。この点を正しく理解したうえで、判断してほしいと思います。

ここで、養育費と面会交流の関係について、少し補っておきましょう。この二つは、しばしばセットで語られますが、それぞれ独立した別のものです。養育費を支払っているかどうかにかかわらず、面会交流の権利は認められますし、逆もまた同じです。「養育費を払っていないから子どもに会えない」あるいは「会わせてもらえないから養育費を払わない」といった考え方は、法的には正しくありません。どちらも、子どもの利益のために存在する仕組みだからです。

親権を手放した後も、養育費と面会交流を通じて子どもと関わり続けることは、子どもの成長にとって大きな意味を持ちます。離れて暮らしていても、経済的に支え、定期的に会い、成長を見守る。そうした関わりが、子どもに「自分は両方の親から愛されている」という安心感を与えます。親権を手放すことは、子どもへの責任を手放すことではない、という点を、心に留めておいてほしいのです。

親権を手放す前に慎重に考えたいこと

ここまで、親権を手放すための方法を見てきましたが、最後に、手放す前にぜひ考えてほしいことをお伝えします。親権を手放すという判断は、子どもの人生と、あなた自身のその後に、大きな影響を及ぼします。だからこそ、勢いや一時の感情で決めるのではなく、じっくりと考え抜いてほしいのです。

親権を手放したいという気持ちが強いときほど、視野が狭くなりがちです。目の前の困難から逃れたい一心で、手放すことばかりに気を取られてしまうのです。しかし、少し視点を広げてみると、別の道が見えてくることもあります。たとえば、親権は自分が持ちつつ、実際の監護を一時的に相手や親族に頼る、といった方法もあり得ます。手放す以外の選択肢がないかも含めて、冷静に考えてみる価値があります。

まず考えたいのが、その判断が本当に子どものためなのか、という点です。子どもの利益を第一に考えた結果として親権を手放すのであれば、それは尊重されるべき判断です。しかし、単に自分が楽になりたい、というだけの理由であれば、いったん立ち止まるべきでしょう。子どもの視点に立って、何が最善かを考えることが、何よりも大切です。

「子どものため」という言葉は、便利であるがゆえに、自分の都合を正当化する隠れみのにもなりがちです。本当に子どものためを思っているのか、それとも自分が楽になりたいだけなのか。この二つは、自分でも区別がつきにくいものです。だからこそ、信頼できる第三者に胸の内を話し、客観的な意見を聞くことに意味があります。

また、手放した後に、気持ちが変わる可能性についても考えておきましょう。今は手放したいと思っていても、時が経てば、やはり子どもと深く関わりたいと思うようになるかもしれません。親権者の変更は可能ですが、家庭裁判所の手続きが必要で、簡単に元に戻せるわけではありません。将来の自分の気持ちまで見据えて、慎重に判断することが求められます。

そして、こうした重大な判断だからこそ、ひとりで抱え込まないでほしいのです。親権をめぐる問題は、法律的にも複雑で、感情的にもつらいものです。専門家に相談すれば、自分のケースでどのような選択肢があるのか、それぞれにどんな影響があるのかを、整理して考えられます。後悔のない判断のために、専門家の助けを借りることをおすすめします。

親権を手放すという選択は、世間からとやかく言われることもあるかもしれません。しかし、大切なのは他人の評価ではなく、子どもにとって何が最善か、という一点です。子どものために熟慮した末の決断であれば、それは決して恥ずべきことではありません。逆に、周囲の目を気にして無理に親権を持ち続け、子どもを十分に育てられないほうが、問題は深刻です。自分と子どもの状況を直視し、最善の道を選ぶ勇気を持ってください。

親権を放棄したいのですが、まず何から始めればよいですか

まずは、自分がどの状況にあるかを整理することから始めましょう。これから離婚する段階なのか、すでに親権者になっているのかで、取り得る方法が変わります。離婚前なら相手を親権者に定める方法、離婚後なら親権者の変更や辞任という方法が考えられます。いずれも子どもの利益が判断の軸になります。自分のケースでどの方法が適しているか、そもそも認められる見込みがあるかを、まず専門家に相談して確認するのが、確実な第一歩です。

親権放棄に関するよくある質問

親権を放棄すれば養育費を払わなくてよくなりますか

いいえ、そうはなりません。親権を持たなくなっても、子どもを扶養する義務は残ります。したがって、親権を相手に委ねても、養育費の支払い義務はなくなりません。「親権を手放せば養育費から解放される」と考えるのは誤りです。親権の有無と、子どもを経済的に支える義務は、別のものです。子どもと離れて暮らす親として、養育費を通じて子どもの生活を支えることが求められます。

相手が親権を引き取ってくれない場合はどうなりますか

自分は親権を手放したいのに、相手も引き取りに難色を示す、という事態も現実には起こります。この場合、話し合いで決まらなければ、家庭裁判所の調停や審判で親権者を決めることになります。裁判所は、子どもの利益を基準に、どちらが親権者としてふさわしいかを判断します。どちらも引き取りたがらないという状況は、子どもにとって非常につらいものです。まずは専門家に相談し、子どものために最善の方法を探ることをおすすめします。

一度手放した親権を、後で取り戻すことはできますか

可能ですが、簡単ではありません。親権者を変更するには、家庭裁判所に親権者変更の調停や審判を申し立て、変更が子どもの利益にかなうと認めてもらう必要があります。親同士が合意していても、それだけでは変更できません。今の親権者のもとで問題が生じている、といった具体的な事情が求められます。手放すときには、簡単には取り戻せないことを念頭に、慎重に判断することが大切です。

親権の辞任と親権者の変更は、何が違うのですか

どちらも親権を手放す方法ですが、想定する場面が異なります。親権の辞任は、やむを得ない事由があって親権者としての務めを果たせなくなった場合に、家庭裁判所の許可を得て親権から退く制度です。一方、親権者の変更は、親権を別の親に移す手続きで、変更が子どもの利益にかなうと認められることが必要です。相手に親権を委ねたいなら変更、務めを続けられない事情があるなら辞任、というのが大まかな使い分けです。どちらが適するかは事情によるため、専門家に確認するとよいでしょう。

親権を放棄すると、子どもとは二度と会えなくなりますか

そのようなことはありません。親権を持たない親にも、子どもと会う権利、すなわち面会交流が認められます。頻度や方法を取り決めておけば、離れて暮らしていても、子どもと定期的に会い、関係を保っていくことができます。親権を手放すことと、子どもと会えなくなることは、別の話です。子どもにとっても、両方の親と関わり続けられることは大切ですので、面会交流の取り決めは、しっかり行っておきましょう。

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