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離婚後の面会交流のポイント|子どもの健全な成長のために決めておくこと
この記事で分かること
- 子どもと一緒に暮らす監護権と親権は別。
- 面会交流は、親が子に会うだけでなく、子が親に会う権利でもある。
- 面会交流調停では、親と子が会うための諸条件を決める。
両親が離婚して、子が父親もしくは母親と別々に暮らすことになっても、親が子に会う権利が奪われるものではありません。離婚の際にうまく話し合いができない場合は、面会交流調停を開き、今後の面会の方針を決めることになります。
離婚後の子どもとの面会交流とは
離婚あるいは別居により子どもと離れて暮らしている場合でも、親と子どもは会って触れ合う「面会交流」をすることができます。子どもの健やかな成長のためにも、面会交流は大切です。
面会交流権ってどんな権利?
離婚や別居により親と子どもが離れて暮らすことは、双方にとって辛いことです。親と子どもが面会等を行える面会交流権とは、具体的にはどのような権利なのでしょうか。
面会交流権は民法で認められている権利
従来の民法では面会交流に関する規定はありませんでしたが、平成24年の民法改正で面会交流についての規定が加えられました。最近になって、子どもの健全な成長のためには面会交流が大切だと考えられるようになってきたのです。
親権と監護権
子どものいる夫婦が離婚する場合、親権を決める必要があります。親権とは未成年の子どもを監護、養育し、財産の管理や子どもの代理人として法律行為を行う権利です。このうちの監護、養育に当たる「子どもと一緒に生活をして身の回りの世話や教育をする権利」を監護権と言います。監護権は親権に含まれるため、一般的には親権者が監護権も持つことになります。しかし親権者に「仕事で海外に行くことが多い」などの事情があって子どもの養育が困難な場合には、親権者と監護権者が別になるケースもあります。
親権、監護権がなくても面会交流は可能
面会交流権は子どもを監護、養育していない場合、さらに親権を持っていない場合でも子どもと会って触れ合える権利のことです。親が自分の子どもに会いたいと思うのは自然な感情であり、子どもにとっても面会交流を通して離れて暮らしている親から愛されていることを確認できるなどのメリットが大きいため、面会交流権が認められています。
面会交流は子どものために親が負う義務
面会交流は、単に離れて暮らしている親が子どもと会う権利ではありません。面会交流は子どもが自分の親に会う権利でもあるのです。
子どもが自分の親に会う権利とは
面会交流に関する民法の条文には「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と記載されています。つまり面会交流とは、親が子どもの最善を考えて面会交流をさせる義務を負うというのが正しい理解なのです。さらに面会交流は離れている親が子どもに会うだけでなく、子どもが自分の親と会う権利である側面も強くなっています。
面会交流は単に親子が会うだけではない
面会交流は、単に離れて暮らす親と子どもが会うことだけを意味しているのではありません。面会交流には実際に会うことの他にも、電話・文通すること、離れている親が子どもにプレゼントを渡すことや学校・幼稚園などの行事に参加することなどが含まれています。
双方の親が子どものために協力する姿勢が大切
離婚をすれば夫婦は他人になりますが、親子が血の繋がった関係であることは変わりません。面会交流は、双方の親が話し合い取り決めをしてスムーズに続けていくことが大切なのです。
離婚後にスムーズな子どもと面会交流をするために
子どもにとって親の離婚はとても大きな出来事です。離れている親との交流が子どもの健全な成長に必要だと判断できるのであれば、なるべくスムーズに面会交流を続けられるようにしましょう。
面会交流調停
夫婦間で面会交流について話し合えない場合には、第三者の力を借りることをおすすめします。家庭裁判所に面会交流調停を申し立てれば、調停手続の中で面会交流の取り決めをすることができます。
話し合いがまとまらない時は調停の場で
円満離婚であれば話は別ですが、面会交流について夫婦が冷静に話し合えないケースも多いでしょう。話し合いができたとしても、当事者間で合意に至らない場合もあります。そのような時には家庭裁判所に面会交流調停の申立をするのもひとつの手です。面会交流調停では、調停委員を交えて面会交流についての取り決めを行います。
離婚前でも面会交流調停の申立は可能
面会交流調停は、離婚の成立前でも申し立てることが可能です。子どもと面会したいのに養育している親が会わせてくれない場合など、面会交流について夫婦間の話し合いが合意に至らない際に利用すると良いでしょう。
調停でもまとまらない時は審判へ
調停手続の中で話が合意に至らず、調停不成立となった場合には審判に移行します。審判では、裁判官が全ての事情を考慮して面会交流についての判決を下します。審判の前に、離れて暮らす親と子どもがどのように触れ合うのかを確認するために、家庭裁判所調査官の立ち会いのもとで試行的面接が行われることもあります。
面会交流で決めておくべきポイント
スムーズな面会交流を続けるためには、事前に決めておいた方が良いポイントがいくつかあります。トラブルを未然に防ぐためにもしっかり把握しておきましょう。
子どもと会うペースと面会時間
面会交流では「月に〇回」「年に〇回」など親と子どもが面会をする頻度を決めておくケースが多くなっています。後々トラブルが起きないようにするために、一回の面会で何時間会うのかも決めておいた方が良いでしょう。「日帰りで会うのか」「宿泊や旅行を認めるのか」なども事前に取り決めておくことをおすすめします。
引き渡しの場所と方法
子どもを引き渡す場所と方法も事前に決めておきましょう。「引き渡しの場所まで養育している親が付き添う」「ある年齢に達したら子どもだけで行かせる」など具体的な方法を約束しておくことが大切です。
その他の取り決め
面会だけでなく、離れている親からのプレゼントやお小遣いについても事前に話し合っておくと良いでしょう。普段会えない分、離れている親が子どもにプレゼントやお小遣いを与えすぎてしまうことも考えられます。また学校行事への参加を認めるか否か、認めない場合には写真や映像を養育している親から送付するかなどを決めておく場合もあります。
離婚後の子どもとも面会交流の判断
子どもにとって有益であれば、親は面会交流を上手に続けていけるようサポートしていくべきでしょう。しかし、子どもにとってマイナスになる場合には、逆に裁判所から面会交流を制限されることもあります。
面会交流が認められないケースとは
子どもの健やかな成長のために行われる面会交流ですが、事情によっては制限されるケースもあります。どのような場合に面会交流が認められないのでしょうか。
子どもの意思による場合
ある程度大きな年齢の子どもが自分の意思で面会交流を拒否する場合には、その意見が重視されます。逆に子どもの年齢が小さいうちは養育している親の意見に影響されるケースが多いため、子どもの意見があまり重視されない傾向にあります。
離れて暮らす親に問題がある場合
離れて暮らす親が同居中に暴力を振るっていた場合や子どもを連れ去る危険性がある場合などは、子どものためにならないと判断され、面会交流が認められないことがあります。そのような場合には、文通など子どもに負担の少ない交流手段を考えていくことになります。
養育している親への影響
面会交流を行うことが養育している親に大きな精神的負担となる場合には、子どもにも悪影響を及ぼす可能性があるため、面会交流が認められないことがあります。具体的には暴力行為などにより養育している親が離れて暮らす親を恐れているが子どもが小さく面会に付き添わなければならない場合などです。
面会交流の目的は子どもの健やかな成長
面会交流は、子どもの幸せを第一に考えて行われるべきです。離婚しても子どもの親であることを念頭に置いて面会交流に臨みましょう。トラブルが発生した時には弁護士などの専門家の力を借りることをおすすめします。
子どもの親であることを第一に考える
子どもが小さいうちは、親の協力なしにスムーズな面会交流を行うことは困難です。離婚に至った経緯から面会交流に消極的になる親もいるかもしれませんが、夫婦としてではなく子どもの幸せを願う父と母なのだと気持ちを切り替えることが大切です。
トラブルの際には弁護士に相談を
事前に取り決めをしても、実際に面会交流が始まってから約束が守られないなどトラブルが発生することもあります。そのような場合にも「もう会わせない」と一方的に決めつけるのではなく、子どもの幸せを考えて柔軟に対応することが大切です。当事者間で解決できない場合には弁護士になどの専門家に相談することをおすすめします。
両親の離婚は子どもにとって大きな出来事です。子どもの心の負担を軽減するためにも、面会交流はできるだけ円滑に進めるようにしましょう。面会交流をスムーズに行う秘訣は、父母双方がエゴを通さず子どもの幸せを第一に考えることです。当事者間で話し合いができない場合には信頼できる第三者の手を借りることをおすすめします。
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