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情報流通プラットフォーム対処法の削除申出と7日ルール・指定事業者

情報流通プラットフォーム対処法の削除申出と7日ルール・指定事業者

この記事で分かること

  • プロバイダ責任制限法は年々増加するネット上の権利侵害事案を背景に2001年に新たに制定された法律です。
  • プロバイダ責任制限法は、プロバイダの責任の制限、および被害者の保護が目的です。
  • ネット上での権利侵害被害に遭った場合、迅速な対応が重要です。

プロバイダ責任制限法は2001年に制定された法律で、プロバイダが負う損害賠償責任に一定の制限を設けています。プロバイダ責任制限法は、ネット上でプライバシーの侵害や名誉棄損などのトラブルが発生したときに、プロバイダ(サイトの管理者含む)の責任を制限する法律です。ネット上での権利侵害被害に遭った場合、迅速な対応が重要です。

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SNSに自分への中傷が書き込まれ、運営会社に削除を求めた。ところが何週間待っても返事がない。数年前まで、こうした経験をした方は少なくありませんでした。

この状況を変えるために生まれたのが、情報流通プラットフォーム対処法です。プロバイダ責任制限法を改めて生まれ、2025年4月1日から施行されたこの法律は、利用者の多いプラットフォームに、削除の申出への素早い対応と、判断の基準や運用状況を明らかにすることを義務づけています。

ネット上の誹謗中傷を扱う弁護士にとって、この法律は日々の業務に直結するものです。この記事では、法律の中身、旧法から変わった点、義務を負う事業者の範囲、被害者が実際にどう使えばよいのかまで、具体的にお話しします。

情報流通プラットフォーム対処法とは|改正の経緯

正式な名前は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」です。略して「情プラ法」と呼ばれることもあります。

もとになったのは、2001年に制定されたプロバイダ責任制限法です。この法律は、インターネット上の権利侵害について、サイト運営者などの賠償責任の範囲を定め、被害者が投稿者の情報を求める権利を認めるものでした。2024年5月の改正で、大規模なプラットフォームへの新たな義務が加わり、法律の名前も現在のものに改められています。

対象になる「特定電気通信」とは

法律の名前にある特定電気通信とは、不特定の人が受け取ることを目的とした電気通信の送信をいいます。SNSへの投稿、掲示板の書き込み、ブログの記事、動画の公開などが典型です。一方、特定の相手とだけやり取りする電子メールや一対一のメッセージは、原則として含まれません。

そのため、ダイレクトメッセージで届いた中傷については、この法律の削除申出の仕組みは基本的に使えないと考えておきましょう。その場合は、サービスの通報機能や、別の法的手段を検討することになります。

対象になる権利侵害

削除の申出の対象になるのは、他人の権利を侵害する情報です。名誉毀損や侮辱、プライバシーの侵害、肖像権の侵害などが中心になります。著作権を侵害する投稿、たとえば自分が撮った写真を無断で使われた場合なども、権利侵害情報に含まれます。

改正が必要とされた背景

SNSの普及とともに、誹謗中傷の被害は深刻さを増しました。とりわけ問題とされたのが、大手のプラットフォームの削除対応です。

  • 削除を申し出る窓口がどこにあるのか分かりにくい
  • 申し出ても、いつ結論が出るのか見通せない
  • 削除されなかった場合に、その理由が示されない
  • どんな投稿なら削除されるのか、基準がはっきりしない

従来の法律は、事業者が削除した場合としなかった場合の責任の範囲を定めていたものの、削除の手続きそのものについては事業者の自主的な対応に委ねていました。改正によって、一定の規模を超える事業者については、対応の手順と期限が法律で定められることになりました。

旧プロバイダ責任制限法から変わった点

改正で新しく加わったのは、主に大規模プラットフォームに対するルールです。一方、従来からある仕組みは基本的に引き継がれています。

項目 旧プロバイダ責任制限法 情報流通プラットフォーム対処法
事業者の賠償責任の範囲 定めあり 引き継ぎ
発信者情報の開示請求 定めあり(2022年に開示命令を新設) 引き継ぎ
削除申出窓口の整備 義務なし 大規模事業者に義務づけ
削除するかどうかの通知 期限の定めなし 大規模事業者は原則7日以内
削除基準の公表 義務なし 大規模事業者に義務づけ
運用状況の公表 義務なし 大規模事業者に義務づけ

表から分かるとおり、改正の中心は「削除対応の迅速化」と「運用状況の透明化」の2本柱です。対象になるのは、総務大臣が指定した大規模な事業者に限られます。

改正で変わらなかった点

誤解されやすいのですが、この改正によって削除されるべき投稿の範囲が広がったわけではありません。何が違法な権利侵害にあたるかは、これまでどおり民法や刑法などの考え方で判断されます。変わったのは、大規模事業者の手続きの速さと透明性です。

削除を求める権利そのものが強くなったのではなく、正当な申出が放置されにくくなった、と理解しておくと実態に近いでしょう。

施行後に見えてきた変化

施行から1年余りが経ち、実務の現場では変化を感じる場面が増えました。以前は申し出ても反応がなかった海外のサービスからも、期限内に結論が返ってくるようになっています。削除されない場合でも理由が示されるため、次にどんな手段をとるべきかを判断しやすくなりました。

もちろん、すべての申出が認められるわけではありません。それでも、結論が見えない不安を抱え続ける時間が短くなったことは、被害者にとって大きな前進といえます。

対象になる大規模プラットフォーム事業者

新しい義務を負うのは、「大規模特定電気通信役務提供者」として総務大臣に指定された事業者です。一般には大規模プラットフォーム事業者と呼ばれています。

ここでいう大規模とは、単に会社が大きいという意味ではなく、サービスの利用者が多いという意味です。利用者の多いサービスほど、中傷が広まったときの被害も大きくなるため、重い義務が課されています。

指定の基準

指定の目安は、サービスの利用者の規模です。総務省令で、平均月間アクティブユーザー数が1,000万程度、または平均月間の延べ発信者数が200万程度といった基準が定められています。加えて、不特定の利用者同士が交流するサービスであること、事業者が投稿を削除できる技術的な立場にあることなども考慮されます。

指定されている事業者

2025年4月に5社、同年5月に4社が指定され、2026年8月にはさらに4者が追加されました。

指定時期 事業者 主なサービス
2025年4月 グーグル ユーチューブ
2025年4月 LINEヤフー ヤフー知恵袋、LINEオープンチャットなど
2025年4月 メタ・プラットフォームズ Facebook、Instagram、スレッズ
2025年4月 ティックトック ティックトック
2025年4月 エックス・コープ X
2025年5月 ドワンゴ ニコニコ
2025年5月 ピンタレスト ピンタレスト
2025年5月 サイバーエージェント アメーバブログ
2025年5月 湘南西武ホーム 爆サイ
2026年8月 ジェイスクエアード ガールズちゃんねる
2026年8月 ピクシブ、ノートほか ピクシブ、ノートなど

被害を受けたサービスがこの表にあれば、法律に基づく窓口と期限が使えます。表になければ、次の章以降で説明する従来の手段を中心に考えることになります。

総務省は今後も追加の指定を検討するとしています。最新の一覧は、総務省のウェブサイトで確認してください。

指定を受けた事業者の届出

指定を受けた事業者は、総務大臣に対して、削除申出の窓口や責任者などの事項を届け出なければなりません。海外の事業者であっても、日本国内での連絡体制を整えることが前提になっています。

指定の対象から外れるサービス

指定を受けた事業者でも、運営するすべてのサービスが対象になるとは限りません。不特定の利用者同士の交流を主な目的としないサービスは、指定の対象から除かれることがあります。たとえばニコニコについては、一部のサービスが除外されています。自分が被害を受けたサービスが対象かどうかは、総務省の公表資料で確認できます。

個人が運営するサイトも指定された

2026年8月の追加指定では、法人ではない個人が運営するサイトも指定を受けました。規模の基準を満たせば、運営者が会社かどうかにかかわらず義務を負うということです。人物の好き嫌いを投稿する形式のサイトなど、誹謗中傷が集まりやすいサービスへの対応が進んでいることがうかがえます。

削除対応の迅速化|事業者に課された義務

指定を受けた事業者は、削除の申出を受け付けてから結論を伝えるまでの流れを、法律に沿って整える必要があります。

申出窓口の整備と公表

被害者が日本語で削除を申し出られる窓口を用意し、インターネット上で公表しなければなりません。ウェブのフォームなど電子的な方法で受け付けること、申出者に過重な負担を課さないこと、いつ受け付けたかが申出者に分かることも求められています。

申出の窓口は、多くの場合、サービスのヘルプページや問い合わせのページからたどれるようになっています。見つからないときは、「削除申出」「権利侵害の報告」といった言葉でサービス内を検索してみてください。トップページから少ない操作で窓口にたどり着けることも、事業者に求められている配慮の一つです。

申出ができる人

削除を申し出ることができるのは、権利を侵害された本人です。本人の依頼を受けた弁護士も、代理人として申し出ることができます。未成年の場合は、親権者が法定代理人として手続きを行えます。

申出で伝える事項

  • 申出者の氏名や連絡先
  • 削除を求める投稿を特定する情報(URLなど)
  • 投稿のどの部分が、どの権利を侵害しているか
  • 権利が侵害されていると考える理由

フォームの入力欄が限られていても、理由の欄はできるだけ具体的に書くことが肝心です。証拠の画像を添付できる場合は、あわせて提出しておきましょう。

調査と専門員の選任

申出を受けた事業者は、投稿が権利を侵害しているかを遅滞なく調べなければなりません。判断にあたっては、日本の法律や文化に通じた専門の担当者(侵害情報調査専門員)を置き、その意見を聴くことになっています。海外の事業者でも、日本の事情に即した判断ができる体制が必要とされたわけです。

専門員の意見を聴く仕組みがあることで、投稿の意味を日本語の文脈に即して読み取れるようになりました。日本特有の言い回しや、ネット上の隠語を使った中傷も、以前より正しく評価されやすくなっています。

結論の通知

調査の結果、削除するかどうかを決めたら、申出者に通知します。期限は、申出を受けた日から原則7日以内です。削除しない場合は、その理由も伝えなければなりません。

補足

7日の期限には例外があります。発信者に意見を聴く必要がある場合や、専門員の判断に時間がかかる場合などは、期限を過ぎることが認められています。その場合でも、事業者はその旨を申出者に知らせる必要があります。

運用状況の透明化|削除基準と公表の義務

もう一つの柱が、事業者の運用を外から見えるようにすることです。削除の判断が恣意的にならないよう、基準をあらかじめ示し、実際の運用を公表させる仕組みになっています。

削除基準の策定と公表

事業者は、どんな投稿を削除したり、アカウントを停止したりするのかについて、具体的な基準を定めて公表しなければなりません。利用者が理解しやすい表現で書くことも求められます。原則として、事業者は公表した基準に基づかなければ削除できないとされています。

削除基準に書かれる内容

削除基準には、削除の対象になる情報の種類や、アカウントを停止する条件、判断の手順などが記載されます。単に「不適切な投稿は削除します」と書くだけでは足りず、どんな場合に削除されるのかを利用者が予測できる程度に具体的であることが求められています。被害を受けたら、まずこの基準を読み、自分の受けた被害がどの項目にあたるのかを確かめてください。

発信者への通知

投稿を削除した場合は、原則としてその投稿をした発信者に、削除したことと理由を伝えます。自分の投稿がなぜ消されたのか分からないまま、という事態を避けるための規定です。

運用状況の公表

事業者は、削除の申出をどれだけ受け、どれだけ削除したかなど、運用の状況を定期的に公表します。利用者や研究者、行政が事業者の取り組みを評価する材料になります。

透明化が被害者にもたらすもの

削除基準や運用状況が公表されるようになったことで、被害者は申出の前に、自分の受けた被害が削除の対象になりそうかを見通せるようになりました。以前のように、結論も理由も分からないまま待ち続けることは減っています。事業者ごとの対応の違いが見えるため、社会的な監視の目も働きやすくなりました。

総務大臣は、これらの義務を守らない事業者に対して勧告を行い、正当な理由なく従わなければ命令を出すことができます。命令にも違反した場合には、罰則が適用されます。

義務を守らない事業者への対応

勧告や命令は、個々の削除の判断に国が口を出すものではありません。窓口を設けていない、期限内に通知しない、基準を公表していないといった、手続き上の義務を守らせるためのものです。削除すべきかどうかの判断そのものは、あくまで事業者と、争いになった場合は裁判所に委ねられています。

従来から続く仕組み|免責と発信者情報開示

新しい義務に目が行きがちですが、旧法から引き継がれた2つの仕組みも、被害者にとっては重要です。

事業者の賠償責任の範囲

権利を侵害する投稿を放置した場合、事業者が被害者に賠償責任を負うのは、権利侵害を知っていたか、知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合などに限られます。反対に、投稿を削除した場合に発信者から責任を問われるのは、一定の条件を満たさないときに限られます。この仕組みがあるから、事業者は削除の判断をしやすくなっています。

免責の仕組みが持つ意味

この免責の規定は、被害者の側から見ると、事業者に削除を促す根拠にもなります。削除の申出によって事業者が権利侵害を知った後も投稿を放置すれば、賠償責任を問われる可能性が出てくるからです。申出を丁寧に行い、権利侵害の内容を事業者に明確に伝えることには、法的な意味があります。

発信者情報の開示請求

削除の申出で投稿を消すことと、開示請求で投稿者を突き止めることは、似ているようで目的が異なります。どちらか一方だけで済む事案もあれば、両方が必要な事案もあります。

匿名の投稿者を特定するための開示請求の権利も、そのまま引き継がれています。2022年10月に導入された発信者情報開示命令の手続きも、現行の法律のもとで利用できます。削除の申出と開示請求は、目的に応じて組み合わせて使うものだと理解しておきましょう。

被害者が削除を申し出る手順

では、実際に被害を受けたとき、この法律をどう使えばよいのでしょうか。指定事業者のサービスで被害を受けた場合の流れを示します。

  1. 問題の投稿を、URLと投稿日時が分かる形で保存する
  2. 事業者が公表している削除基準を読み、どの項目に当たるかを確認する
  3. 事業者の削除申出窓口から、権利侵害の内容を具体的に書いて申し出る
  4. 受付日時の表示や確認メールを保存しておく
  5. 原則7日以内に届く通知で、削除の有無と理由を確認する
  6. 削除されなかった場合は、理由を踏まえて弁護士と次の手段を検討する
ワンポイントアドバイス

申出の文面では、どの権利がどう侵害されているかを具体的に書くことが大切です。「ひどいことを書かれた」ではなく、「私の実名を挙げ、事実でない窃盗の経歴を記載しており、名誉権を侵害している」のように、投稿の該当箇所と侵害される権利を結びつけて説明しましょう。事業者の削除基準の言葉を引いて書くと、判断がされやすくなります。

手元に残しておく記録

  • 申出の前に保存した投稿の画面
  • 申出フォームに入力した内容の控え
  • 受付日時が分かる画面や確認メール
  • 事業者から届いた通知の全文

これらは、削除されなかったときに裁判所へ提出する資料にもなります。申出の内容を控えずに送ってしまう方が意外に多いため、送信の前に画面を保存する習慣をつけてください。

ある会社員のケース

具体的な場面を想定してみましょう。30代の会社員が、動画サイトのコメント欄に、実名と勤務先を挙げて「社内で横領をしている」と書き込まれたとします。この方がまず行うべきは、コメントの画面をURLと日時が分かる形で保存することです。

次に、動画サイトの削除申出窓口から、名誉権の侵害として削除を申し出ます。「横領」という具体的な犯罪の事実を示して社会的評価を下げていること、その事実はまったくないことを、簡潔に説明します。事業者からは原則7日以内に結論が届くので、削除されればひとまず被害の拡大は止まります。

投稿者を特定して責任を問いたいなら、削除の申出と並行して、開示請求の準備を進めることになります。

削除されなかったときの次の一手

削除しないという結論が届いても、そこで終わりではありません。通知された理由を読み、事業者が何を問題にしたのかを把握しましょう。「権利侵害が明らかでない」という理由なら、追加の資料を示して再び申し出ることが考えられます。それでも結論が変わらないときは、裁判所の仮処分という手段が残されています。事業者の理由の書き方は、裁判で何を主張すべきかを考えるうえでの手がかりになります。

申出の書き方で結論が変わる

同じ投稿でも、申出の書き方によって判断が分かれることがあります。比べてみましょう。

伝わりにくい申出 伝わりやすい申出
「悪口を書かれて傷ついたので消してほしい」 「実名を挙げて、事実ではない前科を記載している」
「全部嘘です」 「〇〇という記載は事実無根で、次の資料のとおり反証できる」
「この人を止めてください」 「削除基準の〇〇の項目に該当するため、該当の投稿の削除を求める」

事業者の担当者は、多数の申出を短い期間で判断しなければなりません。どの投稿の、どの記載が、なぜ問題なのかを一目で分かるように書くことが、結論を引き寄せる近道です。

通知期限を過ぎても返事がないとき

期限を過ぎても通知が来ない場合は、総務省が設けている報告の窓口に、義務が守られていないことを知らせることができます。個別の削除を総務省が代わりに行うわけではありませんが、事業者の義務の履行状況を確認する材料になります。

投稿する側への影響と注意点

この法律は、投稿する側にとっても無関係ではありません。削除の判断が速くなるということは、問題のある投稿が短期間で消される可能性が高まったということでもあります。

  • 投稿が削除されると、原則として削除の事実と理由が通知される
  • 削除基準に違反する投稿を繰り返すと、アカウントが停止されることがある
  • 削除されたことと、法的な責任を問われることは別の問題である

とくに最後の点は重要です。投稿が削除されても、それで責任が消えるわけではありません。被害者が開示請求を行えば、削除後であっても投稿者が特定される可能性はあります。

投稿する前に確かめたいこと

  • 特定の人を名指ししたり、誰のことか分かる書き方をしていないか
  • 確かめていない噂を、事実のように書いていないか
  • 相手の容姿や人格を攻撃する言葉を使っていないか
  • 他人が撮った写真や、他人が写った写真を無断で使っていないか

一つでも当てはまるなら、投稿を見直しましょう。削除されるだけでなく、法的な責任を問われる可能性もあります。

不当に削除されたと感じたら

正当な批判や意見を削除された、と感じることもあるでしょう。その場合は、通知された理由と公表されている削除基準を照らし合わせ、事業者に異議を伝えることができます。削除基準の透明化は、表現の自由を守るための仕組みでもあるのです。

アカウントの停止と表現の自由

削除基準にはアカウントの停止に関する定めも含まれます。基準が公表されたことで、どんな行為を繰り返すと停止されるのかを、利用者が事前に知ることができるようになりました。事業者の判断が一方的なものにならないよう、ルールを示して運用させることは、発信者の表現の自由を守ることにもつながります。

企業や事業者への影響と弁護士の活用

企業にとって、この法律には2つの側面があります。自社や自社の商品が中傷されたときに被害者として使う場面と、自社がサービスを運営する立場で義務を負う場面です。

中傷の標的が自社の従業員である場合も少なくありません。従業員個人の被害を会社がどこまで支えるのかも、あらかじめ考えておきたい点です。

被害を受けた企業として

店舗や商品への虚偽の悪評、従業員に対する中傷などは、企業にとって深刻な損害につながります。指定事業者のサービス上の投稿であれば、窓口を通じた削除の申出が以前よりも実効性を持つようになりました。社内で担当者を決め、申出の手順を整えておくと、被害に素早く対応できます。

サービスを運営する企業として

現時点で指定を受けていない事業者でも、利用者が増えれば指定の対象になる可能性があります。掲示板や口コミ機能を持つサービスを運営しているなら、削除基準の整備や、申出への対応体制を早めに考えておくことが望ましいでしょう。

社内で決めておきたい手順

  • 中傷を見つけたときに報告する窓口と担当者
  • 証拠を保存する方法と保管場所
  • 主要なプラットフォームの削除申出窓口の一覧
  • 弁護士に相談する基準とタイミング

こうした手順を決めておけば、担当者が不在でも対応が止まりません。削除の申出から通知までの期間が短くなった今、社内の初動の速さが結果を大きく左右します。

弁護士に相談するメリット

削除の申出は本人でもできますが、申出の書き方しだいで結論が変わることは珍しくありません。弁護士は、削除基準と法律の両面から申出の文面を組み立て、削除されなかった場合には仮処分や開示請求といった次の手段にすぐ移ることができます。事業者の立場で義務への対応を検討する場合も、削除基準の作成や運用体制の整備について助言できます。

中小の事業者が備えておきたいこと

口コミやコメントの機能を持つウェブサービスを運営している中小の事業者は、指定の対象外であっても無関係ではありません。削除の依頼を受けたときに、誰が、どの基準で判断するのかを決めておかないと、対応が遅れて被害者から責任を問われるおそれがあります。大規模事業者の削除基準を参考に、自社の規約を見直しておくと安心です。

弁護士費用の考え方

削除の申出だけを依頼する場合と、仮処分や開示請求まで依頼する場合とでは、費用の総額が大きく変わります。まずは申出の段階だけを依頼し、結果を見て次の手段を決めるという進め方もできます。依頼する前に、段階ごとの費用を確認しておきましょう。

よくある質問

指定されていないサイトの投稿は削除できないのですか

そんなことはありません。指定を受けていないサイトでも、運営者への削除依頼や、裁判所への仮処分の申立ては従来どおり行えます。違いは、7日以内の通知などの法的な義務がかからない点です。

申出をすれば必ず削除されますか

必ずではありません。事業者は、投稿が権利を侵害しているかを調べたうえで判断します。権利侵害が認められなければ削除されず、その理由が通知されます。

削除の申出に費用はかかりますか

事業者の窓口に削除を申し出ること自体に、手数料はかかりません。費用が発生するのは、弁護士に申出を依頼する場合や、裁判所の手続きを利用する場合です。まずは自分で申し出てみて、結果に応じて専門家の力を借りるという選択もできます。

削除の申出と警察への相談は同時にできますか

同時に行って構いません。脅迫や殺害予告のように身の危険を感じる投稿は、削除の申出を待たずに警察へ相談してください。削除の申出は投稿を見えなくするための手続きであり、犯罪としての捜査は警察の役割です。

申出をしたことは投稿者に伝わりますか

事業者が投稿を削除した場合、投稿者には削除の事実と理由が伝えられるのが原則です。申出者の名前まで伝えられるかどうかは事業者の運用によりますが、報復などが心配なら、弁護士を通じて申し出ることを検討してください。

申出をしてから弁護士に依頼することもできますか

できます。自分で申し出て削除されなかった場合に、通知された理由を持って弁護士に相談する方も多くいます。その場合は、申出の内容と事業者からの通知をすべて保存しておいてください。どんな主張をして、どう判断されたのかが、次の手段を考える材料になります。

削除された投稿が別のアカウントで再投稿されたらどうすればよいですか

同じ内容が再投稿された場合も、改めて削除を申し出ることができます。繰り返し投稿されるようなら、同一人物による嫌がらせの可能性があるため、投稿者の特定を検討する価値があります。削除基準に違反する投稿を繰り返すアカウントは、停止の対象にもなり得ます。

7日以内に通知が来たのに削除されていない場合は

通知の内容をよく確認してください。「削除しない」という結論が書かれているなら、その理由を踏まえて次の手段を考えます。「削除した」とあるのに表示が残っている場合は、画面の表示が更新されていないだけのこともあるため、時間をおいて別の端末でも確かめてみましょう。

海外の事業者にも日本語で申し出られますか

指定を受けた事業者には、日本語で申し出られる窓口を用意することが義務づけられています。海外の会社が運営するサービスでも、日本語で申出ができます。

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