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学校裏サイトとは?問題点と見つけ方、誹謗中傷への対処法
この記事で分かること
- 学校裏サイトとは非公式のコミュニティサイトです。
- 学校裏サイトでの誹謗中傷の対処法としては「サイトの管理人に削除依頼をする」ことや「書き込み主に賠償請求する」ことが挙げられます。
- 学校裏サイトの誹謗中傷は弁護士に依頼するのが得策です。
学校裏サイトは非公式のコミュニティサイトで、いじめの温床になりやすいことが問題視されています。多くの場合、部外者は閲覧できないよう設定されていますが、「学校裏サイトリンク集」や「学校裏チェッカー」のwebサイトを利用することで閲覧できます。誹謗中傷の対処法としては「サイトの管理人に削除依頼をする」ことや「書き込み主に賠償請求する」ことが挙げられます。素人が無闇に対処するとこじれることもあるので学校裏サイトの誹謗中傷は弁護士に依頼するのが得策です。
学校裏サイトとその問題点
“学校裏サイト”とは、いったいどのようなものなのでしょうか。学校裏サイトとは何か、その問題点と併せて基本的な事柄を説明していきます。
学校裏サイトとは
学校裏サイトとは、非公式のコミュニティサイトです。2007年の男子高校生いじめ自殺事件を機に広く知られるようになりました。
学校の公式サイトとは別に存在するサイト
学校裏サイトとはその名の通り学校の公式サイトとは別に存在するサイトです。特定の学校の情報を取り扱う非公式学校のコミュニティサイトであり、“学校闇サイト”とも呼ばれます。その多くは在校生や卒業生によって立ち上げられ、種類も学校別や学年別、地域別と多岐に渡ります。
学校裏サイトの存在が世に知られるきっかけになったのは、2007年に神戸市の私立男子校の滝川高校の生徒がいじめを苦に自殺した事件です。
事件後、同校の裏サイトに被害生徒の誹謗中傷や個人情報などが多数投稿されているのが発見され、当時注目集めました。
学校裏サイトの問題点は
学校裏サイトの問題点はずばり“いじめの温床となっている”ことです。学校裏サイトには実名での誹謗中傷やわいせつ画像が投稿されることが多く、被害者が精神的に病んだり転校・転居を余儀なくされたりする事例も起きています。
投稿された内容が原因で重大事態に発展することも少なくない
学校裏サイトに投稿される情報には単なる仲間内のうわさ話程度のものから、特定個人の誹謗中傷や嫌がらせの投稿まで様々にあります。
そして前述の滝川高校の例を挙げるまでもなく、サイトへの悪質な書き込みは重大な結果に繋がることも少なくありません。
この“ネットいじめ”が原因で精神疾患を患ったり、退学したりするパターンは非常に多いのです。
被害は連鎖・拡大していく
さらに学校裏サイトの投稿による被害は連鎖していきます。
例えば被害者家族のデマ情報が投稿され、最終的に転居に追い込まれた事例が報告されています。
また、裏サイトへの誹謗中傷の書き込みに対して非難したりすれば、その人物が次の標的にされることもあるのです。
こうした特性ゆえに、書き込み内容がどんどんエスカレートしがちになってしまいます。
増加する学校裏サイトの見つけ方
このように、深刻な問題となっている学校裏サイトですが、ほとんどがパスワードの設定など、部外者に見つかりにくいような仕組みが施されているのが実際です。では見つけるにはどうすればいいのでしょうか。
通常の検索ではまず見つけられない
学校裏サイト自体は2002年ごろから存在していたといわれています。スマートフォンやSNSの普及などによりその数は増えていますが、実は見つけるのは容易ではないのです。
裏サイトの数は増えている
2008年3月に文部科学省が発表した「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書」では4733個の学校裏サイトが確認されたとしています。
そして現在はスマホやSNSが普及し、一昔前より格段に裏サイトが蔓延しやすい状態にあります。従って、裏サイトの数は10年前より増えていることは確実です。
検索してもヒットない
しかしながら、いかんせんこうしたサイトにはほぼ例外なくパスワードがかけられていて、学校名で検索してもヒットしないような細工がされています。
つまり我が子が誹謗中傷に晒されていたとしても、普通に探していたのではなかなか見つけることはできないわけです。それゆえ、部外者が学校裏サイトにたどり着くのは容易ではありません。
学校裏サイトを見つけるには専用のサイトやツールが必要
とはいえ、被害者にとってwebサイト内での暴言や侮辱は、実際に面と向かって投げかけられるそれよりも精神的ダメ―ジが大きい側面があります。事実、学校裏サイト内の書き込みを苦に自殺した例も存在します。
では学校裏サイトを見つけるにはどうすればいいのでしょうか。
学校裏サイトリンク集のサイトを利用する
学校裏サイトを探す際に役に立つのが「学校裏サイトリンク集(http://www.web-mind.jp/gus/)です。当サイトは学校裏サイトに関する情報を扱っており、全国webカウンセリング協会が運営しています。
閲覧するには申請しなければなりません。申請フォームは教育関係者専用のものとPTA関係者・保護者専用のものに分かれており、氏名や住所、固定電話番号、Eメールなどの情報を入力する必要があります。
承諾されると閲覧できるようになります。
学校裏サイトチェッカーを利用する
学校裏サイトリンク集以外にも「学校裏サイトチェッカー(http://schecker.jp/)」を利用することで学校裏サイトを見つけることができます。
学校裏サイトチェッカーは小中高校における誹謗中傷など、学内でのトラブルを抑える手助けを目的とするサイトで、全国の学校裏サイトを検索・閲覧することができます。
都道府県別検索やフリーワード検索などで、簡単に学校裏サイトの情報を調べることができます。
学校裏サイトの対処法は
では、こうした学校裏サイトに誹謗中傷の書き込みをされた場合、どのような対処が可能なのでしょうか。対処法としては大きく「当該書き込みの削除申請」と「投稿主への賠償請求」があります。
サイトの管理人に削除依頼をする
この手の問題の解決策としてまず挙げられるのが、問題の投稿そのものを削除することです。サイトの運営者や管理人に、削除申請しましょう。
被害者には管理人に対して削除請求をする権利が認められている
学校裏サイトの管理人に、問題の投稿の削除を依頼しましょう。
ネット上の権利侵害被害者には、記事の削除や非表示といった対処(送信防止措置)を管理人などのプロバイダに請求する権利があります。
これは“送信防止措置請求権”と言って、『プロバイダ責任制限法』によって被害者に認められた権利です。
そして管理人に措置を講じてもらうには「送信防止措置依頼書」を送付する必要があります。送付方法はプロバイダによって異なります。
必ずしも応じてもらえるわけではない点に注意
ただし、削除依頼をしたからといって必ずしも応じてくれるとは限らない点に注意が必要です。というのも、そもそも管理人側に送信防止措置依頼に応じる義務はないのです。
それに何でもかんでも削除していたらサイトの評判が落ち、利用者が減ってしまいます。
もし管理人に削除に応じてもらえない場合は、サーバー管理会社に連絡しましょう。サイトの運営そのものをストップできることがあります。
書き込み主に賠償請求をする
また損害賠償請求することも可能です。「匿名なのにどうやって?」と思われるかもしれませんが、実は、ネットに書き込まれた情報はそれが匿名であっても書き込み主が分かるようになっているのです。
発信者情報開示請求で投稿主を特定する
通常ネットに投稿された情報は誰が書き込んだのか分かりませんが、投稿主の情報を特定する方法は存在します。
そのひとつがプロバイダに対して“発信者情報開示請求”をかけることです。
ネットの権利侵害被害者には前述のプロバイダ責任制限法によって発信者情報開示請求権が認められています。
開示された情報をもとに賠償請求をする
氏名や住所、登録電話番号、IPアドレス、SIMカード識別番号などが開示されるのでこれらの情報をもとに賠償請求をしましょう。
支払いに応じない場合は民事訴訟を起こすことができます。実際に先に挙げた滝川高校いじめ自殺事件では、裏サイトの管理人に対して55万円の支払い命令が出ています。
学校裏サイトのトラブルの対処は慎重に
ここまで、学校裏サイトの実態やその問題点、見つけ方や誹謗中傷被害に遭った際の対処法などについて解説してきました。学校裏サイトに誹謗中傷を書き込まれた場合、素人が対処すると、事態を悪化させかねません。
素人が対応するのは危険
学校裏サイトへの誹謗中傷は大人にとっては些細な内容であることも多いです。けれどもだからといって、素人が闇雲な対処に走るのはリスクがあります。
闇雲な対処は事態の悪化を招きかねない
我が子が中傷されたら何らかの手立てを打ちたいと思うのが親心というもの。
けれどもちょっと誹謗中傷されたからといって、無闇に親がしゃしゃり出て削除依頼をしたりすれば、かえって嫌がらせがエスカレートしたり、余計にこじれる可能性があります。
そもそも名誉棄損など権利侵害の成立要件は複雑な要素も含み、投稿に違法性があるかどうかの判断は素人には難しいケースもあります。
違法性もないのに申し立てをしたりすれば、子供が更に傷つくことになり兼ねません。
弁護士に依頼するのが得策
ですから、学校裏サイトの誹謗中傷は弁護士に依頼するのが賢明といえます。弁護士なら状況に応じて最適な解決策を提案できるのです。
的確な対処が可能
我が子が被害に遭ったとなればついつい感情的になり、余計な書き込みをしたり発信者を非難したりしてしまいがちです。けれどもそんなことをしても何の解決にもなりません。
ここまで解説してきたとおり、誹謗中傷被害には対処法が存在し、キチンと対応すれば被害は最小限に抑えることができます。
弁護士なら、豊かな経験と確かな知識を持って、ケースに則した最適な方法で事件を解決へと導くことが可能なのです。
ITに精通している弁護士に依頼することが肝心です。
この手の問題は特に専門的な知識が要求されるためITに詳しくない弁護士だと、的確な対処ができない可能性もなきにしもあらずなのです。
学校裏サイトの誹謗中傷被害は弁護士に相談しよう
ネット上の権利侵害の問題は、時間の経過と共に被害は拡大していきます。
初期対応が遅れるとあっという間に深刻な事態に進むことがあるため、被害に気付いたら躊躇せず、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。