ストーカー規制法とは?メール・ライン・SNS書き込みはストーカー行為に含まれる?

この記事で分かること
  1. 「ストーカー行為」の前提として、恋愛や好意の感情から行われる必要があります。
  2. 「ストーカー行為」に該当すれば、警告・禁止命令・逮捕が可能です。
  3. 「ストーカー行為」の証拠を残しておいた上で、すみやかに警察へ相談しましょう。
  4. 自分で自分のプライバシーを守る心がけも必要です。

ストーカー規制法の規制対象となっているつきまといなどの行為、ストーカー行為を行うと、場合によっては相手を逮捕してもらうことができる可能性も。具体的な法律や規制の対象となる行為の内容について把握しましょう。

ストーカー規制法とは?法律の適用でできること

まずは、ストーカー規制法がどういった法律なのか、ストーカー規制法によって、ストーカー被害を受けた方はどうやって保護されるのかを解説していきます。

ストーカー行為を規制し、被害者の安全を守る法律

ストーカー規制法は、ストーカー行為を処罰によって規制し、被害者の身体や名誉を守ることで、被害者の安全で平穏な生活を実現することを目的とした法律です。

現在は、インターネットの発達や、LINE・TwitterなどSNS、コミュニケーションツールの多様化により、相手を怖がらせるような内容をブログ等に執拗に書き込むなど、ネットを介したストーカー被害が急増しています。また、ネット上の嫌がらせから発展して、命を脅かすような殺傷事件も起こっています。

このような現状から、ストーカー規制法は2017年の改正を経て、規制が強化されたり、処罰が厳しいものに変更されたりしています。

ストーカー規制法が規制・処罰の対象としているのは、「つきまとい等」と「ストーカー行為」の2つです。また、それらの行為が、恋愛感情、もしくは行為の感情から行われたものであるか、または、恋愛や行為の気持ちが成就されないためにう恨みを持って行われたものである必要があります。

つまり、ストーカー規制法の規制対象となる行為は、いずれも恋愛や好意の感情があることが前提です。恋愛・好意の気持ちからではない単なる嫌がらせは、ストーカー規制法の対象とはならないことに注意が必要です。

規制や処罰の方法

あなたがストーカー規制法の対象としている行為によって被害を被った場合は、ストーカー規制法では次のように対処されます。

1.警告

被害者からの申し出により、警察が文書によって、それ以上つきまとい等の行為を行わないように警告することをいいます。加えて、警察より行政指導が行われます。

警告に違反すると

加害者の行為が「ストーカー行為」にあたると判断された場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金という刑事罰が科せられます。

禁止命令等

被害者からの申し出により、警察が文書によって、それ以上のつきまとい等の行為を禁止することをいいます。同時に、被害者の身の安全や権利を守るため、加害者の権利を一部制限する行政処分が行われます。禁止命令等の場合は、被害者からの申し出なしに警察官の判断で行うことも可能です。

禁止命令等に違反すると

状況に応じて、以下の刑事罰が科せられます。
禁止命令に違反した(ストーカー行為は行っていない):6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金
禁止命令に違反し、ストーカー行為を行った:2年以下の懲役、または200万円以下の罰金

実際に被害に遭った場合は、警告や禁止命令等の申し出の他、被害者自身がストーカー行為の被害届を提出することも可能です。被害届を提出すると、警察による捜査を経て加害者は逮捕に至り、起訴される可能性もあります。また、現在は法改正により、被害届の提出がなくても検察官の判断で起訴できるようになっています。

ワンポイントアドバイス
ストーカー規制法の保護対象は、恋愛・好意の感情を向けられ被害に遭っている本人の他、その家族なども含みます。刑事罰の対象となるとはつまり、状況によって逮捕してもらうことも可能だということ。身の危険を感じたら、すぐに警察へ相談しましょう。

ストーカー規制法の対象となる行為

ストーカー規制法が規制の対象としている行為は、大きく「つきまとい等」と「ストーカー行為」の2つです。

「つきまとい等」とは

「つきまとい等」は、さらに細かく8つに分類されています。それぞれの内容と具体的な事例をみていきましょう。

【1】つきまといや待ち伏せ、押し掛け、うろつきなど

見張る目的ではなく、自宅周辺などあなたがいる場所の近くを単にうろつく、徘徊するだけでも規制の対象となります。

例)

  • 尾行してあなたについて回る、動向を見守る
  • 職場や学校、カフェなどのあなたがよく行く場所などで待ち伏せをする
  • 通勤や通学途中などで、あなたの前に立ちふさがり行く手をふさぐ
  • 自宅などに押しかける
  • 自宅周辺などをうろつく

【2】監視していると告げる行為

あなたの言動や行動を監視していることがわかるような事実を告げる行為を指します。必ずしも口頭である必要はなく、電話やメール、SNS、メモなどであなたがその事実を知るようにする行為は規制の対象です。

例)

  • 口頭で「いつも見ているよ」などという
  • 「今日は赤いスカートをはいて出勤していたね」など、その日の行動や服装などの情報が電話やメールなどでくる
  • 帰宅直後に「おかえり」などと連絡がくる
  • あなたのブログやよく利用するネット掲示板などに、あなたの言動・行動などを書き込む

【3】面会や交際の要求

面会や交際など、あなたには義務のない一方的な要求をする行為です。

例)

  • 会ってほしい、付き合ってほしい、よりを戻してほしい、などと迫る
  • 拒否しているにもかかわらず、プレゼントを受け取るように強要する

【4】乱暴な言動

度を越えた乱暴な発言、行動であなたを脅かす行為を指します。

例)

  • 往来のあるところや電話などで、「ばかやろう!」などの乱暴な言葉を大声で浴びせる
  • 「死ね」「殺す」「消えろ」などの粗暴な言葉をメールなどで送る
  • 自宅前で大声を上げて怒鳴ったり、自動車のクラクションを鳴らしたりする

【5】無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等

あなたが拒否している(または、電話などをかけてこられても何も告げない)にも関わらず、電話やFAX、メール、SNSなどで何度も連絡してくる行為を指します。LINEやTwitter、Facebook、あなたの個人ブログなど、コミュニケーションツールを用いた連絡なども規制の対象となることがポイントです。

例)

  • 無言電話をくり返す
  • (拒否しているのに)スマホや自宅の固定電話、職場などに何度も電話をかけてくる
  • (拒否しているのに)FAXやメール、その他のSNSなどで何度も連絡してくる

【6】汚物等の送付

汚物や生き物の亡骸など、あなたにひどく不快感や嫌悪感を抱かせるものを送りつけるような行為です。

例)

  • 切り取った自分の髪の毛を自宅のポストに入れる

【7】名誉を傷つける

あなたの心や名誉を傷つけるような内容を口頭や電話で伝え、もしくは、メールなどで送りつけ、あなたを精神的に追い詰めようとする行為です。

例)

  • あなたの容姿をけなすような内容のメールを送る
  • 「○○は不倫している」など、あなたをおとしめるようないわれもない事実をネット掲示板などに書き込む

【8】性的羞恥心の侵害

電話やメール、SNSなどで、性的羞恥心を煽るような卑猥な言葉を告げる、もしくは、卑猥なもの(画像や動画、絵など)を送りつける行為を指します。

例)

  • みだらな写真をあなたの自宅に送付する、ポストに入れる
  • 卑猥な言葉を電話でいったり、メールなどで送ったりする
  • ブログやあなたがよく利用するネットの掲示板などにみだらな写真を掲載する

「ストーカー行為」とは

これらのような「つきまとい等」の行為を、同じ人にくり返し行うことを「ストーカー行為」といいます。

ストーカー行為と判断される言動・行動をとった人には、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金の刑事罰が科せられます(ただし、「つきまとい等」の【1】~【4】と【5】の「メールの送信等」にあたる行為は、身の安全などが著しく害されるような不安のある方法で行われた場合のみ、ストーカー行為の対象となります)。

ワンポイントアドバイス
「つきまとい等」もストーカー規制法の規制対象ではありますが、「つきまとい等」にあたる行為を行ったからといって、ただちに刑事的な処分がなされるわけではありません。とはいえ、「つきまとい等」の段階でも「警告」は行えますから、危ないと思ったら早めに警察へ相談してください。

ストーカー規制法の対象となるつきまとい等で身の危険を感じたら

つきまとい等やストーカー行為に身の危険を感じたら、自分の身を守るためにどのような対策ができるのでしょうか?

すぐに警察へ相談

ストーカー被害に遭い、命の危険を感じたり、毎日の生活に不安を覚えたりするようなら、迷わずすぐに警察へ相談してください。

つきまとい等・ストーカー行為を、直接的に身体を害されるような深刻な被害へと発展させないためにも、「こんなことで警察に行っていいのかな……」などと思わず、早めに相談することが大切です。

最寄りの警察署や警視庁総合相談センターなどが対応してくれますが、直接出向くのが難しい場合は、警察署・警視庁の「ストーカー対策室」が電話での問い合わせにも応じてくれます。直接出向くことが可能なときは、一緒に以下のようなものを持参すると、より具体的な対策を行ってくれるでしょう。

  • 相手からかかってきた電話の音声データ
  • 相手から送られてきたFAXやメールを保存したもの、SNSやブログ、ネット掲示板などのスクリーンショット
  • つきまとい等やストーカー行為の行われた日時、内容などを詳細に記した日記やメモ
  • 相手から送られてきたものの現物(写真など)、または、現物を写真に撮って保存したもの(万が一小包など中身がわからないものを受け取ったときには、開封せずに写真を撮って処分すること)

警察が対応できない場合は弁護士へ相談

残念ながら、あなたがつきまとい等やストーカー行為だと思っていても、ストーカー規制法上の規制対象の行為とまではいえないケースもあります。

例えば、実際にされていることはつきまとい等の行為にあたるものの、その程度が著しく軽かったり、恋愛や好意の感情が前提となっていなかったりするケースです。ストーカー規制法の対象の範囲内でなければ警察は具体的な対策をとることができず、相談に行っても問題が解決しないこともあるかもしれません。

そのようなときは、弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談すれば、ストーカー規制法にはあたらない行為でも、その他の法律の適用で相手に処罰を求めることは可能です。例えば、SNSやネット上の匿名掲示板などにあなたの中傷するような内容を書き込まれた場合、侮辱罪や名誉毀損罪で相手を訴える、プライバシーの侵害で損害賠償請求を行う、などが可能なことがあります。

また、相手が離婚・関係解消に応じてくれないなどの理由から、あなたと相手がまだ婚姻や事実婚の関係にあるならば、裁判所の手続きを経て「接近禁止命令」を出してもらえる可能性もあります。

いずれにしても、弁護士に相談すれば、あなたと相手との間に弁護士が入ってくれますから、身体的・精神的な不安から逃れつつ、今後の問題解決のための具体的な対策を模索していけるはずです。

ワンポイントアドバイス
弁護士に相談する場合は弁護士費用がかかりますが、「法テラス」という弁護士費用の立て替え制度を利用して、経済的な負担を最小限に抑えることが可能です。身の安全を第一に考え、早めに弁護士へ相談しましょう。

ストーカー被害に遭わないために最低限できること

最後に、ストーカー被害に遭わない、または、つきまとい等がストーカー行為に発展しないために、自分で自分の身を守るための対策をご紹介します。

日頃からプライバシーを守る行動を

ストーカー行為の加害者は、必ずしもあなたと面識のある人、親しい間柄であった人であるとは限りません。見知らぬ人に一方的な好意を抱かれ、ストーカー行為に繋がってしまわないためには、常日頃から自分のプライバシーを守るような以下の行動を心がけることが大切です。

  • 他人に生活パターンや行動パターンを把握されないようにする(通勤ルートをこまめに変える、よく利用するカフェなどを1つに限定しないなど)
  • 外から部屋の中が見えないようにする(低層階に住む人は窓に遮光カーテンをするなど)
  • 差出人のわからない送付物などは受け取らないようにする
  • 金融機関や国の機関からの郵便物などは、住所や名前がわからないようにした上で処分する(個人情報の部分はシュレッダーにかけて捨てるなど)

など

ネット上では個人を特定できる情報をさらさない

例えば、ネットの掲示板に誹謗中傷を書き込む行為などは、たとえストーカー行為にはあたらなくても、場合によっては侮辱罪や名誉毀損罪にあたる立派な犯罪行為です。しかしもっと恐ろしいのは、ネット上だけにとどまっていたストーカー行為が実際のストーカー行為へと発展し、殺傷事件などの取り返しのつかない事態が起こってしまうことです。

また、一度ネットで拡散されてしまった情報は、もはや完全に消してしまうことは困難です。思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、ネットを利用する際は、個人を特定できるような情報は載せないのが得策です。具体的な対策は以下のとおりです。

  • 自身の本名や写真をアップしない
  • 自身に関する情報を発信しない
  • 自身に関する情報を発信するときは、公開制限(内容を見られる人を限定すること)をかける
  • 必要に応じて複数のアカウントを使い分ける
  • 自分が許可した人以外からの受信などを拒否できる設定にする

など

ワンポイントアドバイス
親しい間柄の人がストーカー行為の加害者になるケースでは、関係解消をきっかけとする場合が多くあります。別れたい理由はあいまいにせず、きちんと話し合って相手に納得してもらった上で関係を終わらせる配慮も必要かもしれません。

ストーカー規制法の対象となる行為で悩んでいるときは弁護士に相談

つきまとい等やストーカー行為に悩まされているときは、まずは警察へ相談することが重要です。

万が一警察では対応が難しい場合、警察に相談しても解決できなかった場合は、弁護士が力になってくれます。無料の法律相談などを活用して、まずは話を聞いてもらってみてください。

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