不正競争防止法で対応!同業者からの悪質商品レビュー対策

この記事で分かること
  1. 悪質な商品レビューは「信用毀損行為」に該当する可能性がある。
  2. 不正競争防止法の適用でレビューの削除が可能。
  3. 最終手段は、民事上の損害賠償請求を検討しよう。

同業者やライバル社からの悪質な商品レビューは、不正競争防止法が禁止している「信用毀損行為」にあたる可能性があります。悪質商品レビューに対する不正競争防止法の適用条件と対策を具体的にみていきましょう。

不正競争防止法とは?

まずは、不正競争防止法がどのような法律なのか、また、何のためにつくられた法律なのかをわかりやすく解説し、同時に不正競争防止法が禁止している行為を具体的にみていきます。

不正競争防止法の特徴

不正競争防止法とは、特定の事業者や個人をおとしめるような営業活動などを一定の範囲で制限する法律です。事業者間、または、事業者と個人間の不正な競争につながるような行為を禁止することによって、公正な市場の確保と健全な経済の発展を促すのが不正競争防止法の目的です。

不正競争防止法が禁止する行為をした場合、その事業者や個人に対しては差止請求や損害賠償請求などの民事的措置をとることができます。また、特定の禁止行為に関しては、刑事的措置をとることも可能です。

不正競争防止法は、企業の特許や意匠を守る知的財産法などとも関連の深い法律ですが、禁止行為の範囲が広く、また法律の適用にも柔軟性があるのが大きな特徴です。不正競争防止法が禁止している行為には、次のようなものがあります。

不正競争防止法の禁止する行為

不正競争防止法が「不正な競争」を生むとして禁止している行為は、9つに分類されています。

【1】周知な商品等表示の混同惹起(じゃっき)

惹起とは、よくないこと(事件や問題など)を引き起こすことを指す言葉です。消費者やユーザーに対し、一般に周知されている表示や商品と混同させるような行為を禁止しています。例えば「世間的に広く認知されている表示を少し変えて自社の社名に利用する」「すでに販売されている著名な商品との類似品を作成して販売する」などが挙げられます。

【2】著名な商品等表示の冒用(ぼうよう)

冒用とは、当事者の知らないところでその名義や名称を不正に用いること。つまり、広く認知されている商品や表示そのもの、またはそれに類似した商品や表示を、自分のものとして販売したり使ったりする行為を指します(消費者やユーザーの混同を招かなくても違法です)。

【3】他人の商品形態を模倣した商品の提供

他人の商品の形態(形状や模様、色彩、質感など)を真似て商品を作成し、消費者やユーザーへ販売などをする行為です。例えば、玩具やファッションに関連した製品などで問題となることが多く、既存の商品の提供者が意匠登録をしていない場合でも禁止行為となります。

【4】営業秘密の侵害

企業や個人が営業活動、研究・開発などを経て独自に生み出した情報を不正に取得し、利用したり第三者に漏えいしたりする行為を指します。営業秘密に該当する情報としては、例えば顧客名簿や顧客対応マニュアル、新規事業計画、商品やサービスの価格情報などです。

技術的な情報でいえば、商品の製造方法やノウハウ、設計図面なども対象になります。ただし、“営業秘密”と判断される法律上の要件を満たさなければ、不正競争防止法の保護の対象にはなりません。

【5】技術的制限手段を無効化する装置等の提供

技術的制限手段とは、例えば、音楽や映像などの無断コピーを防止する技術、有料放送などで契約者以外が視聴できないようにするアクセス制限技術などを指します。これらを無効化する装置やプログラムなどを販売するような行為は禁止されています。

【6】ドメイン名の不正取得等

ドメインとは、インターネット上においてパソコンなどの電子機器を識別するためのものであり、よく“インターネット上の住所”などと例えられます。自身が利益を得るため、または、相手に害を与えるために、他人と同一・類似のドメインを取得したり使用したりする行為を禁止しています。

【7】商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示

商品やサービス、それらを販売するための広告などにおいて、消費者やユーザーに誤った認識を起こさせるような表示をする行為です。例えば、「豚のひき肉を混ぜた商品に“牛ミンチ”と表記して販売する」「外国産の商品に“国産”と嘘の表記をして販売する」などの行為が該当します。

【8】信用毀損行為

次項で詳しく解説します。

【9】代理人等の商標冒用

契約により代理権などを有している企業や個人が、その権利が消滅した後も「代理店」などの表示を使用し、商品の販売やサービスの提供などを行う行為です。

ワンポイントアドバイス
不正競争防止法で9つに分類されている上記の禁止行為のうち、【1】~【5】と【7】に関しては、民事的措置がとられる他、懲役や罰金といった刑事罰が科せられることもあります。

同業者からの悪質商品レビューは不正競争防止法で対策できる?

ここまでみてきたとおり、不正競争防止法では、広範囲にわたって不正競争につながる行為を制限していることがわかります。では、同業者が自社の商品に対して悪質なレビューをネット上に書き込む行為は、不正競争防止法の規制対象となるのでしょうか?

不正競争防止法の禁止する「信用毀損行為」とは

同業者からの悪質な商品レビューは、上記の9つの分類では8つ目にあたる禁止行為「信用毀損行為」に該当し、不正競争防止法の規制対象となる可能性があります。

不正競争防止法が禁止する信用毀損行為とは、自身の競争関係にあたる企業や個人そのもの、またはその企業や個人が提供する商品・サービスなどに関して、嘘の情報を第三者へ告知したり不特定多数に流布したりすることにより、営業上の信用を傷つけること(=毀損)をいいます。

同業者からの悪質商品レビューが信用毀損行為に該当するための要件

同業者からの悪質な商品レビューが不正競争防止法の禁止している信用毀損行為に該当するためには、次の4つの要件を満たす必要があります。

【1】レビュー投稿者が競争関係にある企業や個人であること

悪質な商品レビューを投稿した同業者が、自身と競争関係にあるかどうかの判断は難しく思えるかもしれませんが、不正競争防止法上は、“競争関係”の範囲が広く定義されています。

例えば、悪質なレビューを投稿された商品が、投稿者の販売する商品と実際的に販売競争の関係になくても、自社と同種の商品を扱っている企業・個人であれば、競争関係が認められます。

また、レビュー投稿時に競争関係が存在していなくても、投稿者が扱う商品などから将来的に競争関係になる可能性があると認められれば、不正競争防止法の保護の対象となります。つまり、悪質な商品レビューを投稿する相手に、信用を傷つけようとする強い動機が認められればいいのです。

【2】レビューの内容から客観的に見て自社の商品だと判断できること

悪質な商品レビューが信用毀損行為に該当するためには、第三者がレビューの内容を見たときに、自社の商品であることがわかる必要があります。ただし、商品の名称や販売者の名前まで記載されている必要はありません。

例えば、相手が「A製品」や「A社」などとして悪質な商品レビューを書き込んでいた場合でも、第三者が読んだときに「あの商品のことだな」「あの会社のことだな」とわかれば、要件を満たしているといえます。

【3】レビューの投稿が営業上の信用を害すること

「営業上の信用を害する」とは、「営業上、信用が失われたり低下したりする“おそれがある”」ことをいいます。つまり、悪質な商品レビューによって実際に信用がなくなった・低くなった事実がなくても、その可能性があると認められれば、要件を満たすと考えられます。

【4】レビューの内容が虚偽の事実であること

悪質な商品レビューが信用毀損行為に該当するためには、相手が投稿した内容が客観的に見て虚偽、つまり、嘘の内容でなければなりません。

例えば、実際にそのような事実がないにもかかわらず、「A社の○○という商品は身体に害を及ぼす」「○○という商品は市場価格に比べて高い」などと書き込まれれば、信用毀損行為にあたると判断できるでしょう。たとえ遠回しな表現を用いていても、実質的に見て事実と異なれば、規制の対象となり得ます。

ただし、悪質な商品レビューといっても、実際に使用してみた感想や商品への意見など、個人の主観にとどまる内容であれば、客観的に見て“嘘”だと断定することは難しく、信用毀損行為とはいえない可能性があります。

不正競争防止法の適用でできる対策

同業者からの悪質な商品レビューが上記4つの要件を満たし、不正競争防止法の禁止する信用毀損行為にあたる場合は、法律の適用によって次のような対策をとることができます。

差止請求

差止請求とは、信用毀損行為を行った相手に対して、その行為をやめさせることです。悪質な商品レビューを投稿された場合は、該当するレビューの削除などを求めることができます。

損害賠償請求

例えば、悪質な商品レビューにより、実際に商品の購入者が減少したなどの利益の侵害が認められる場合、侵害された利益に対して、金銭で損害を賠償するように求めることが可能です。

信用回復措置

悪質な商品レビューによって営業上の信用が傷つけられた場合は、相手に対して自社の信用を回復するための措置を求めることもできます。例えば、悪質な商品レビューが嘘の内容であったと告知させる、レビューの公開サイトに謝罪文を記載させる、などの措置が考えられます。

ワンポイントアドバイス
不正競争防止法を適用すると、損害賠償請求とあわせて、該当レビューの削除や信用回復措置など、より実際的な対策がとれる点が大きなポイントです。

同業者からの悪質商品レビューに不正競争防止法が適用できないときの対策

同業者からの悪質な商品レビューが信用毀損行為にはあたらず、不正競争防止法の適用が難しい場合でも、次のような法的措置をとることが可能です。

民事上の損害賠償請求を行う

不正競争防止法が適用できない場合でも、民法の規定に照らし合わせ、同業者からの自社の商品に対する誹謗中傷により権利や利益が侵害されたとして、相手へ損害賠償を請求することは可能です。

不正競争防止法上の損害賠償請求との違い

ただし、民事上の損害賠償請求の場合、悪質な商品レビューによって実際に利益が侵害された(売り上げが低下した)という事実は自分で証明しなければなりません。また、損害額(売り上げの低下分)の算出も困難であり、裁判を起こしても提示した賠償金を支払ってもらえない可能性があります。

一方、不正競争防止法上の損害賠償請求を行う場合、不正競争防止法で損害額を推定する基準が設けられているなど、請求者側が自ら立証する負担はある程度軽減されています。そのため、民事上の損害賠償請求に比べると、請求する側が優位に立てる利点があるのです。

刑事告訴が可能なケースも

悪質な商品レビューは、虚偽の事実を流布する・人を欺くといった行為により、他人の信用を傷つけたり業務を妨害したりしたときに成立する、刑事上の「偽計業務妨害罪」に該当する場合があります。裁判で偽計業務妨害罪が立証された場合、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。

ワンポイントアドバイス
民事上の損害賠償請求や刑事告訴は、法律の知識のない一般の方が自身で手続きを進めるのは困難です。企業の場合は自社の顧問弁護士など、個人の場合は弁護士などの専門家に相談し、不正競争防止法の適用可能性も含め、妥当な解決策を導き出すのが得策です。

不正競争防止法の適用性については弁護士に相談を

インターネットが当たり前のものとして生活の中に浸透している現代、ネット上の風評被害は、商品やサービスを提供する企業・個人にとって大きな痛手となります。不正競争防止法が適用できる場合はより実際的な対策が可能になるので、被害に遭ったときには一度、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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