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誹謗中傷を弁護士に相談するメリット|費用・選び方・放置の危険

誹謗中傷を弁護士に相談するメリット|費用・選び方・放置の危険

この記事で分かること

  • IT弁護士とは?
  • IT弁護士のメリット
  • WEBで起こりやすいトラブルとは?
  • WEB問題の解決方法
  • IT弁護士の業務と法律

IT弁護士は、IT企業法務やIT問題解決に特化した弁護士。年々増加するWEB上のトラブル(誹謗中傷、個人情報漏洩)について、掲示板やホームページ、Twitterなどの書き込みの削除要請、悪意のある書き込みを行った者のIPアドレスの請求、発信者情報開示請求のほか、法的措置によって名誉毀損、損害賠償請求、裁判上の請求手続きを行う。

ネット問題に強い弁護士を探す

ネットで自分への誹謗中傷を見つけたとき、「弁護士に相談するほどのことなのか」と迷う方は少なくありません。費用がどれくらいかかるのか分からない、敷居が高そう、そもそもどの弁護士に頼めばよいのか見当がつかない。そうしているうちに、書き込みは増え、手を打てる時間は減っていきます。

誹謗中傷への対応は、時間との勝負になる場面が多い分野です。早く相談したことで解決した例もあれば、迷っている間に投稿者を特定する道が閉ざされてしまった例もあります。

この記事では、ネットの誹謗中傷を日常的に扱う弁護士の立場から、放置した場合に起きること、相談のタイミング、弁護士に任せられること、費用の考え方、弁護士の選び方までを率直にお伝えします。

誹謗中傷を放置するとどうなるか

「そのうち収まるだろう」と書き込みを放っておく方もいます。確かに、一時的な悪口がそのまま忘れられることもあります。けれども、放置によって被害が大きくなるケースは珍しくありません。

放置によるリスクは、大きく分けて4つあります。どれも、時間が経つほど取り返しがつかなくなるという点で共通しています。

書き込みが拡散し、消しにくくなる

ネットの情報は、閲覧した人の共有や転載によって、雪だるま式に広がります。刺激的な内容ほど広まる速さも増し、数日のうちに複数のサイトへ転載されることもあります。時間が経つほど削除しなければならない場所が増え、手間も費用もかさんでいきます。

投稿者を特定できなくなる

匿名の投稿者を特定するには、回線の会社が保存している接続の記録が必要です。この記録は、一般に数か月程度で消えてしまいます。放置している間に期限が過ぎれば、相手が誰なのかを法的に突き止めることは、事実上できなくなります。

書き込みの影響は、本人だけでなく家族にも及ぶことがあります。子どもが学校で書き込みのことを言われたり、配偶者の職場で噂になったりすることもあり、家族全体の問題になりかねません。

生活や仕事への影響が広がる

書き込みを見た知人や同僚の態度が変わる、取引先から問い合わせが来る、就職や転職の選考で不利になる。こうした影響は、書き込みが検索結果に残り続ける限り続きます。本名や住所が書かれていれば、付きまといや嫌がらせといった現実の被害に発展するおそれもあります。

書き込みがエスカレートする

最初は軽い悪口だった書き込みが、反応がないのをいいことに、個人情報の暴露や脅しへと過激になっていくことがあります。便乗する人が現れれば、書き込みの数も一気に増えます。早い段階で削除や警告の手を打つことが、エスカレートを防ぐ最善の策です。

刑事責任を問える期間が過ぎる

名誉毀損罪や侮辱罪で処罰を求めるには、犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります。公訴時効もあるため、迷っている間に刑事責任を問う道が閉ざされることもあり得ます。

会社や店舗の場合

企業や店舗への悪評を放置すると、影響は売上だけにとどまりません。求職者が応募をためらう、取引先が新しい契約に慎重になる、社員が肩身の狭い思いをする。こうした影響は数字に表れにくく、気づいたときには大きな損失になっていることがあります。

心への影響

自分への悪口が書き込まれ続ける状況は、想像以上に心を消耗させます。眠れない、食欲がない、人に会うのが怖いといった状態が続くなら、法的な対応とあわせて、医療機関や相談窓口にも頼ってください。問題の解決を専門家に任せることは、心を守ることにもつながります。

弁護士に相談すべきタイミング

理想をいえば、書き込みに気づいた直後です。とくに、次のような場合は、できるだけ早く相談してください。

  • 書いた人が誰なのかを突き止めたい
  • 本名、住所、勤務先など、個人を特定できる情報が書かれている
  • 一人の人物が何度も書き込んでいるように見える
  • 書き込みの影響で、仕事や取引、売上に支障が出ている
  • サイトに削除を頼んだが、応じてもらえなかった
  • 書き込みに脅しや危害を予告する内容が含まれている

迷ったときの判断の目安

相談するかどうか迷ったら、「この書き込みが1年後も残っていたら困るか」と考えてみてください。困ると思うなら、相談する価値があります。書き込みを思い出して眠れない夜が続いているなら、それも十分な理由です。

ワンポイントアドバイス

相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。書き込みが法的に問題になるのか、どんな手段があるのか、費用の見通しはどうか。それを知るだけでも、次の一歩が決めやすくなります。ささいなことかもしれない、と遠慮せずに予約を入れてください。

早く相談したことで道が開けた例

ある看護師の方は、勤務先の病院名とともに、事実でない男女関係の噂を掲示板に書き込まれました。見つけたその週のうちに弁護士に相談し、掲示板の運営者への開示の手続きにすぐ着手したことで、回線の会社の記録が消える前に投稿者を特定できました。投稿者は元同僚で、示談によって書き込みの停止と謝罪を約束させることができました。相談があと数か月遅ければ、同じ結果にはならなかったかもしれません。

弁護士に依頼してできること

弁護士は、誹謗中傷の問題について、削除から責任追及まで一貫して対応できます。

できること 内容
法的な見立て 書き込みがどの権利を侵害しているか、削除や特定の見込みがあるかを判断する
削除の請求 サイトの運営者に法的な根拠を示して削除を求める
削除の仮処分 任意の削除に応じない運営者に対し、裁判所の手続きで削除を求める
投稿者の特定 発信者情報開示の手続きで、投稿者の氏名や住所を明らかにする
損害賠償の請求 判明した投稿者に、慰謝料などの支払いを求め、交渉や訴訟を行う
刑事告訴の支援 告訴状を作成し、警察や検察とのやり取りを行う

法的な判断の正確さ

誹謗中傷の問題では、書き込みが名誉毀損なのか、侮辱なのか、プライバシーの侵害なのかによって、使える手段も見込みも変わります。弁護士は、書き込みの一文一文を法律の要件に照らして検討し、最も効果的な主張を組み立てます。この見立ての正確さが、その後の結果を大きく左右します。

投稿者との交渉を任せられる

投稿者が判明した後の交渉は、被害者にとって精神的な負担の大きい場面です。相手が知人だった場合は、なおさらでしょう。弁護士が代理人になれば、相手との連絡はすべて弁護士が引き受けます。被害者が相手と直接話す必要はありません。

削除した後の見守り

削除が実現しても、しばらくは同じ内容が再び書き込まれていないかを確認する必要があります。弁護士に依頼していれば、再投稿が見つかったときにすぐ次の手を打てます。同じ人物による再投稿なら、特定と責任追及に進むきっかけにもなります。

転載先の調査

書き込みが複数のサイトに転載されている場合、弁護士は転載先を調べ、削除を求める先を一覧にまとめます。自分で探そうとすると、中傷の内容を何度も読むことになり、心の負担が大きくなります。調査の段階から任せられるのは、依頼する大きな利点の一つです。

再発を防ぐための取り決め

示談では、金銭の支払いだけでなく、今後同じ書き込みをしないこと、約束を破ったときの違約金などを定めます。取り決めの書き方しだいで、再発を抑える効果は大きく変わります。法的な効力のある形で約束をまとめられるのも、弁護士に依頼する意味です。

警察との連携

脅迫や執拗な付きまといを伴う誹謗中傷では、民事の手続きと刑事の手続きを並行して進めることがあります。弁護士は告訴状を作り、警察に事件として扱ってもらうための資料を整えます。被害者が一人で警察に行くより、話が伝わりやすくなるのが通常です。

自分で対応する場合との違い

誹謗中傷への対応の中には、本人でもできることがあります。一方で、専門家でなければ難しい部分もあります。

対応 自分で行う場合 弁護士に依頼する場合
サイトへの削除依頼 できる。ただし理由が伝わらず断られることがある 法律の要件に沿って説明するため、認められやすくなる
裁判所での削除の手続き 制度上は可能だが、書面の作成や主張の組み立てが難しい 手続き全体を任せられる
投稿者の特定 時間の制約が厳しく、手続きの管理が難しい 記録の保存期間を意識した段取りで進められる
相手との交渉 感情的な対立になりやすい 代理人として冷静に交渉できる
費用 実費のみで済む 弁護士費用がかかる

通報機能で一度削除されれば解決する、という軽いケースなら、自分で対応するのが合理的です。投稿者の特定や賠償の請求まで考えるなら、最初から弁護士に相談したほうが、結果的に時間も費用も無駄になりにくいといえます。

自分で対応するときの注意点

  • 削除依頼を出す前に、書き込みの画面を必ず保存する
  • 依頼の文面は感情的にならず、どの権利がどう侵害されているかを書く
  • 同じ依頼を短い間隔で何度も送らない
  • 投稿者だと思う人物に、直接問いただしに行かない

自分で対応して行き詰まったら、その時点で弁護士に相談しても遅くはありません。ただし、投稿者の特定を考えているなら、時間の制約があることを忘れないでください。

たとえば、SNSで一度だけ心ない言葉を投げつけられ、通報したら数日で投稿が消えた、というケースなら、それ以上の対応は必要ないかもしれません。一方、匿名の掲示板で実名とともに事実でない不祥事を何度も書かれているなら、自分だけで対処するのは難しいでしょう。

弁護士費用の内訳と考え方

弁護士費用は、事務所ごとに自由に決められています。そのため、同じ依頼でも事務所によって金額は異なります。ここでは、費用の一般的な内訳と、考え方をお伝えします。

費用の体系は、事務所ごとの考え方によって異なります。着手金を低く抑えて報酬金を中心にする事務所もあれば、手続きごとに定額の費用を設定している事務所もあります。

費用の内訳

  • 相談料:依頼する前の法律相談にかかる費用。初回は無料としている事務所もある
  • 着手金:依頼したときに支払う費用。結果にかかわらず返還されないのが通常
  • 報酬金:削除や開示、賠償の獲得など、成果が出たときに支払う費用
  • 実費:裁判所に納める手数料、郵便切手代、翻訳費用など

費用の水準を知るには

多くの法律事務所は、ウェブサイトで費用の体系を公開しています。いくつかの事務所の費用を見比べると、おおよその水準がつかめます。ただし、表示されている金額は基本的なもので、事案の難しさによって変わることがあります。最終的には、相談のときに個別の見積もりを出してもらってください。

手続きごとに費用が発生する

誹謗中傷の対応は、削除、投稿者の特定、損害賠償の請求と、いくつもの手続きに分かれます。それぞれに着手金や報酬金が設定されていることが多く、すべてを依頼すれば総額は大きくなります。サイト運営者が海外の会社であれば、翻訳などの実費も加わります。

見積もりで確認したいこと

  • 削除、特定、賠償の請求など、手続きごとの費用
  • 裁判所の手続きが必要になった場合の追加の費用
  • 海外の会社が相手の場合に加わる実費の目安
  • 途中でやめた場合の費用の扱い

口頭の説明だけでなく、委任契約書に費用の内容が明記されているかも確認しましょう。

成果に応じた報酬の考え方

報酬金は、削除が実現した、投稿者が特定できた、賠償金を受け取れたなど、成果が出たときに支払うものです。何をもって成果とするかは事務所によって異なるため、依頼の前に確認しておくとトラブルを防げます。

特定にかかった費用を相手に求める

投稿者を特定するために支払った費用は、相手への損害賠償の中で請求できる場合があります。裁判所は、特定に必要だった費用の相当な部分を損害として認める傾向を示してきましたが、どこまで認めるかは事案によって異なります。請求できる見込みも含めて、依頼の前に弁護士と話し合っておきましょう。

費用倒れのリスク

投稿者から受け取れる賠償金より、弁護士費用のほうが多くなることもあります。いわゆる費用倒れです。投稿者の特定にかかった費用の一部は、損害として相手に請求できる場合がありますが、全額が認められるとは限りません。

とはいえ、金銭だけで判断できないのが誹謗中傷の問題でもあります。書き込みを止めたい、相手に責任を自覚させたい、同じことを繰り返させたくない。そうした目的のために、費用をかける価値があると考える方も多くいます。

費用を抑える方法と公的な支援

費用の心配から相談をためらう必要はありません。負担を抑える方法はいくつかあります。

費用のことは、相談の最初に確認して構いません。お金の話を切り出しにくいと感じる方もいますが、弁護士の側も、費用を理解したうえで依頼してもらうことを望んでいます。

段階的に依頼する

最初から全部を依頼するのではなく、まず削除だけを依頼し、結果を見て特定に進むかを決める、という進め方ができます。目的に優先順位をつけることで、必要な費用だけで済ませられます。

無料相談を活用する

初回の相談を無料にしている事務所も少なくありません。複数の事務所で相談し、見立てや費用を比べてから依頼先を決めるのも一つの方法です。

弁護士によっては、依頼者の事情に応じて、費用の支払い時期を調整してくれることもあります。

法テラスの民事法律扶助

収入や資産が一定の基準を下回る方は、国が設立した日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助を利用できる場合があります。無料の法律相談を受けられるほか、弁護士費用を立て替えてもらい、分割で返していく仕組みもあります。利用できるかどうかは、法テラスや、法テラスと契約している弁護士に確認してください。

自治体や弁護士会の相談

市区町村や弁護士会が実施している法律相談を利用する方法もあります。無料または低額で、弁護士に直接相談できる機会です。ネットの問題に詳しい弁護士が担当するとは限りませんが、最初の見立てを聞く場としては十分に役立ちます。

費用の支払い方法

分割払いやクレジットカードでの支払いに対応している事務所もあります。着手金の一括払いが難しい場合は、最初の面談のときに率直に話してみてください。支払い方法について柔軟に対応してくれるかどうかも、依頼先を選ぶ材料になります。

保険の弁護士費用特約

加入している損害保険に、弁護士費用を補償する特約が付いていることがあります。ネット上の名誉毀損やプライバシーの侵害を補償の対象にしている商品もあるため、契約内容を一度確認してみましょう。

誹謗中傷に強い弁護士の選び方

弁護士であれば誰でも誹謗中傷の問題に詳しいわけではありません。ネットの仕組みと、削除や開示の手続きに慣れた弁護士を選ぶことが大切です。

  • 削除の請求や発信者情報開示の手続きを多く扱っているか
  • 問題になっているサイトやSNSでの対応経験があるか
  • 費用の総額や、後から増える可能性のある費用まで最初に示してくれるか
  • 削除や特定ができない可能性についても、率直に説明してくれるか
  • 相談のときの説明が分かりやすく、質問にきちんと答えてくれるか

弁護士の探し方

法律事務所のウェブサイトで、ネットの誹謗中傷や発信者情報開示の取り扱いについて具体的に説明しているかを確認してみましょう。解決事例を紹介している事務所であれば、どんな事案を扱ってきたのかが分かります。弁護士会の紹介制度を使えば、分野に応じた弁護士を紹介してもらうこともできます。

複数の弁護士に相談して比べる

一人の弁護士の話だけで決める必要はありません。複数の事務所で相談すると、見立ての違いや費用の差が分かります。同じ書き込みについて、ある弁護士は削除を優先し、別の弁護士は特定を優先するよう勧めることもあります。説明に納得できる弁護士を選びましょう。

「必ず削除できる」には注意

削除や開示が認められるかどうかは、最終的にはサイトの運営者や裁判所が判断します。どんな書き込みでも「必ず消せます」と約束する依頼先には注意してください。見込みの低い事案では、そのことを正直に伝え、別の方法を提案してくれる弁護士のほうが信頼できます。

弁護士が過去にどんな事案を扱ってきたかは、相談の場で直接尋ねても失礼にはあたりません。

相談のときに聞いておきたいこと

  • この書き込みは、削除や特定が認められそうか
  • どの手続きから始めるのがよいか、それはなぜか
  • 解決までにどのくらいの期間がかかりそうか
  • 費用の総額はどのくらいになりそうか
  • うまくいかなかった場合、どんな選択肢が残るか

こうした質問に具体的に答えてくれる弁護士であれば、依頼した後も安心して任せられるでしょう。

対応の速さ

誹謗中傷の問題では、記録が消える前に手続きを始められるかどうかが結果を左右します。相談の予約から実際の面談までにどれくらいかかるか、依頼した後どのくらいで手続きに着手してくれるかも、確認しておきたい点です。急ぎの事情があるときは、予約の段階でそのことを伝えましょう。

相性も大切

誹謗中傷の問題では、つらい書き込みの内容を弁護士と共有しなければなりません。話しやすく、こちらの気持ちを受け止めてくれるかどうかも、弁護士を選ぶうえで見逃せない点です。

相談から解決までの流れ

弁護士に相談してから解決に至るまでの、一般的な流れを紹介します。

  1. 書き込みの画面を保存し、法律事務所に相談の予約を入れる
  2. 相談で、書き込みの内容と経緯、望む解決を伝える
  3. 弁護士から、取れる手段と見込み、費用の説明を受ける
  4. 依頼を決めたら、委任契約を結ぶ
  5. 弁護士が、削除の請求や開示の手続きを進める
  6. 投稿者が判明すれば、賠償の請求や示談の交渉に進む

解決までの期間の目安

手続き 期間の目安
サイトへの任意の削除請求 数日から数週間
裁判所への削除の仮処分 1か月から数か月
投稿者の特定 数か月から1年程度
損害賠償の請求(交渉) 数週間から数か月
損害賠償の請求(訴訟) 半年から1年以上

相手の事業者が海外の会社か、投稿者が争うかどうかなどによって、期間は大きく変わります。

相談で伝えたいこと

相談では、いつ、どこに、どんな書き込みがされたのかに加えて、あなたが最終的にどうなりたいのかを必ず伝えてください。とにかく消したいのか、相手を知りたいのか、償わせたいのか。望む結果によって、弁護士が提案する方法も変わります。

依頼した後に依頼者がすること

依頼した後も、新しい書き込みを見つけたら弁護士に知らせる、手続きに必要な書類を用意する、といった協力が必要です。とはいえ、書き込みを毎日確認し続ける必要はありません。見守りの頻度や方法も、弁護士と相談して決めておきましょう。

解決の形はひとつではない

誹謗中傷の問題の解決は、裁判で勝つことだけではありません。書き込みが消えて安心して暮らせるようになる、相手が謝罪して二度と書かないと約束する、損害の一部を賠償してもらう。どれも立派な解決です。自分にとっての解決がどれなのかを、弁護士と一緒に考えていきましょう。

削除代行業者や警察との違い

誹謗中傷の相談先は、弁護士だけではありません。それぞれの役割の違いを知っておくと、適切な相談先を選べます。

相談先を間違えると、時間と費用を無駄にするだけでなく、解決から遠ざかることもあります。

削除代行業者

ネット上には、書き込みの削除を代行するとうたう業者があります。しかし、弁護士でない者が報酬を得て、他人に代わって削除を請求する交渉を行うことは、弁護士法で禁じられた行為にあたるおそれがあります。業者の中には、削除ではなく検索結果の表示順位を操作するだけのものもあります。依頼の前に、何をどこまで行うのかを確認してください。

探偵や調査会社

投稿者を突き止めるために、探偵や調査会社に依頼しようと考える方もいるでしょう。しかし、匿名の投稿者を法的に確実な形で特定できるのは、裁判所を使った開示の手続きです。調査会社の推測をもとに相手を責めて、実は別人だった場合、今度はこちらが責任を問われかねません。

業者に頼んでしまった場合

すでに削除代行業者に依頼してしまい、思うような結果が出ていない、という相談もあります。その場合は、業者とのやり取りや契約書を持って弁護士に相談してください。改めて法的な手続きで削除を求めることができますし、業者との契約についても助言を受けられます。

警察

警察は、犯罪の捜査をする機関です。脅迫や殺害予告など、身の危険がある書き込みは、すぐに警察に相談すべきです。一方で、書き込みの削除や損害賠償の請求は、警察の役割ではありません。刑事責任の追及は警察、民事上の請求は弁護士、と役割を分けて考えると分かりやすいでしょう。

無料で使える相談先

総務省の支援事業である違法・有害情報相談センターや、法務局の人権相談では、削除依頼の方法について助言を受けられます。法務局は、事案によってはサイトの運営者に削除を要請することもあります。費用をかけずに相談できる窓口として、覚えておくとよいでしょう。

それぞれの役割を組み合わせる

実際の事案では、警察に相談しながら弁護士に民事の手続きを依頼する、公的な窓口で助言を受けてから弁護士に相談する、というように、複数の相談先を組み合わせることもよくあります。どこか一つに絞る必要はありません。

よくある質問

相談の際に何を持って行けばよいですか

書き込みの画面(URLと日時が分かるもの)があれば、相談は始められます。削除依頼をすでに出していれば、そのやり取りの記録も持参してください。経緯をまとめたメモがあると、限られた相談時間を有効に使えます。

弁護士に相談すると、すぐに裁判になりますか

そんなことはありません。多くの事案は、サイトへの削除請求や、相手との話し合いで解決します。裁判所の手続きを使うかどうかは、状況を見ながら依頼者と相談して決めます。

相談の時間はどのくらいですか

初回の相談は、30分から1時間程度が一般的です。限られた時間を有効に使うため、書き込みの画面や経緯のメモを事前に用意し、聞きたいことを書き出しておくとよいでしょう。

遠方の弁護士に依頼することはできますか

できます。ネットの誹謗中傷の手続きは、書面のやり取りやオンラインでの打ち合わせで進められることが多く、住んでいる地域に関係なく依頼できます。経験のある弁護士を、地域にこだわらずに探すのも一つの方法です。

書き込みの内容が一部本当でも相談できますか

相談できます。書き込みの一部が事実であっても、表現が度を越していたり、私生活をさらしていたりすれば、法的な問題になることがあります。どこが問題で、どこが問題にならないのかを整理するところから、弁護士が手伝います。

家族に知られずに相談できますか

弁護士は職務上知った秘密を守る義務を負っています。あなたが望まない限り、相談したことが家族に伝わる心配はありません。連絡の方法や郵便物の送り先についても、希望を伝えておけば配慮してもらえます。

オンラインで相談できますか

電話やビデオ通話での相談に対応している事務所は多くあります。書き込みの画面を画面共有で見せながら相談できるので、事務所に足を運ばなくても十分に話ができます。

相談した弁護士に必ず依頼しなければなりませんか

その必要はありません。相談の結果、依頼しないと決めても問題ありません。複数の事務所で話を聞いてから、納得できる弁護士に依頼してください。

企業として依頼する場合、顧問弁護士に頼めばよいですか

顧問弁護士がネットの問題に詳しければ、そのまま依頼するのが早道です。詳しくない場合は、顧問弁護士に相談したうえで、ネットの問題を多く扱う弁護士を紹介してもらったり、共同で対応してもらったりする方法もあります。

相手からも弁護士が出てきたらどうなりますか

投稿者が弁護士をつけた場合は、弁護士どうしで交渉が進みます。お互いに法的な論点を理解しているため、感情的な対立が避けられ、かえって話し合いがまとまりやすくなることもあります。

子どもが誹謗中傷を受けています。親が相談できますか

できます。未成年の子どもが被害を受けている場合は、親が法定代理人として手続きを進められます。学校の同級生による書き込みなら、学校への対応も含めて相談するとよいでしょう。子どもの気持ちに配慮しながら進めることが何より大切です。

書き込みがまだ少ないうちに相談しても意味がありますか

むしろ、書き込みが少ないうちの相談にこそ意味があります。拡散する前に削除できれば、被害を最小限に抑えられます。投稿者の特定も、記録が新しいうちに始めたほうが成功しやすくなります。

投稿者が特定できなかった場合、費用は無駄になりますか

特定に至らなかった場合でも、着手金は返還されないのが通常です。ただ、手続きの過程で書き込みが削除されることもあり、まったく成果がないとは限りません。依頼の前に、特定できなかった場合の費用の扱いを確認しておきましょう。

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