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忘れられる権利と逮捕歴の削除|検索結果・SNS投稿の判例基準

忘れられる権利と逮捕歴の削除|検索結果・SNS投稿の判例基準

この記事で分かること

  • ネットの検索結果に特定の情報を表示させない措置を請求する権利がある。
  • 日本ではプロバイダ責任制限法により権利侵害の書き込みやプライバシー情報の削除依頼ができる。
  • 誹謗中傷・プライバシー侵害被害に遭ったら、自力で何とかしようとせず、プロに任せる方がよい。

忘れられる権利とはネットの検索結果に特定の情報を表示させない措置をとるよう請求する権利ですが、「表現の自由」や「知る権利」との兼ね合いが難しく日本では議論が成熟しにくい状態にあります。我が国では、プロバイダ責任制限法により権利侵害の書き込みやプライバシー情報の削除依頼をする権利が認められています。誹謗中傷・プライバシー侵害被害に遭ったら弁護士に相談するのが得策です。

ネット問題に強い弁護士を探す

何年も前の逮捕の記事が、今も名前で検索すると一番上に出てくる。罪を償い、仕事も家庭も新しく築き直したのに、過去の記事のせいで就職の面接に落ち、取引先から距離を置かれる。こうした悩みを抱える方は少なくありません。

ネットの情報は、時間が経っても消えません。そこで議論されてきたのが「忘れられる権利」です。過去の情報を、一定の条件のもとで削除してもらう権利を指しますが、日本の裁判所はこの言葉をそのまま使ってはいません。

この記事では、プライバシーをめぐる事件を扱ってきた弁護士の立場から、忘れられる権利の考え方、日本での判例の基準、逮捕歴や前科の情報を削除するための方法、そして削除が認められやすいケースと難しいケースまでを具体的にお話しします。

忘れられる権利とは|ヨーロッパで生まれた考え方

忘れられる権利とは、インターネット上に残る自分に関する過去の情報について、削除や検索結果からの除外を求める権利をいいます。インターネットが普及する前は、古い新聞記事や噂は、時間とともに人々の記憶から薄れていきました。ところがネットでは、何年前の情報でも、名前を入れるだけで簡単に呼び出せてしまいます。

情報の寿命が変わった

紙の新聞の時代には、昔の記事を調べるには図書館で縮刷版をめくる必要がありました。わざわざ調べる人は限られ、過去の出来事は自然と忘れられていきました。検索一つで過去の記事にたどり着ける今、情報は事実上、半永久的に残り続けます。忘れられる権利は、こうした変化の中で、人がやり直す機会をどう守るかという問いから生まれた考え方です。

一方で、過去の情報を簡単に消せるようになれば、社会が知るべき事実まで隠されてしまうおそれもあります。表現の自由や知る権利とのバランスをどう取るかが、この問題の核心です。

欧州司法裁判所の判断

この考え方が世界的に注目されたのは、2014年の欧州司法裁判所の判決がきっかけです。ある男性が、十数年前の自分の財産の差し押さえに関する記事が検索結果に表示されることについて、検索事業者に削除を求めました。裁判所は、古くなって目的に照らして不適切になった情報について、検索結果からの削除を求められるという判断を示しました。

その後、欧州連合の一般データ保護規則では、一定の場合に個人データの消去を求める権利が明文で定められています。

日本では「忘れられる権利」という言葉は使われていない

日本でも、2015年にさいたま地方裁判所が、犯罪歴に関する検索結果の削除を認める判断の中で「忘れられる権利」に触れ、話題になりました。しかし、その後の最高裁判所は、この言葉を使わずに、プライバシーの問題として判断しています。日本の法律に「忘れられる権利」という名前の権利が定められているわけではない点は、押さえておいてください。

日本で議論が広がった背景

日本でこの問題が広く知られるようになったのは、2010年代の半ばです。検索エンジンの予測表示や検索結果をめぐる裁判が相次ぎ、過去の情報がいつまでも検索できることへの問題意識が高まりました。ネットでの情報の拡散が速くなるにつれ、一度の過ちが一生ついて回るのではないか、という不安を抱く人が増えたことも背景にあります。

日本での法的な位置づけ

日本では、過去の情報の削除は、プライバシー権や名誉権といった人格権に基づく請求として扱われます。つまり、忘れられる権利という特別な権利を持ち出さなくても、プライバシーを侵害する情報であれば、削除を求めることができるという考え方です。

名誉権とプライバシー権の違い

過去の事実が真実である場合、名誉毀損を理由にした削除は難しくなります。真実を伝える記事が、公共の利害に関わる内容として保護されるからです。そこで、逮捕歴や前科の削除では、主にプライバシー権が根拠になります。真実であっても、時の経過によって、他人に知られたくない私生活上の事実に変わっていく、という考え方です。

削除を求める相手も、情報によって変わります。記事を載せているサイトの運営者、検索結果を表示している検索事業者、投稿を載せているSNSの運営会社。それぞれに対して、どの権利に基づいて何を求めるのかを整理することが出発点です。

比較衡量という判断の枠組み

プライバシーに関する情報の削除が認められるかどうかは、情報を公表されない利益と、情報を公表し続ける理由とを比べて判断されます。これを比較衡量といいます。

一方には、過去を知られずに平穏に暮らしたいという本人の利益があります。もう一方には、報道の自由や表現の自由、社会が事実を知る利益があります。どちらを重く見るかは、情報の性質や、時間の経過、本人の立場などによって変わってきます。

プライバシーとして守られる情報

プライバシーとして保護される情報は、私生活に関わる事柄で、一般の人なら公開を望まず、まだ広く知られていないものとされています。逮捕や前科の事実は、事件の当時は報道されて広く知られていたとしても、時間が経つにつれて人々の記憶から薄れ、再び私生活上の事柄としての性質を帯びていきます。判例も、前科が人の名誉や信用に直接関わる事項であり、みだりに公表されない利益があることを認めてきました。

時間の経過が持つ意味

比較衡量の中で大きな意味を持つのが、時間の経過です。事件の直後であれば、社会の関心も高く、報道する意義も大きいといえます。しかし年月が経ち、本人が社会生活を立て直しているなら、過去の情報が公開され続けることの意義は薄れていきます。この変化をどう評価するかが、削除の可否を分ける大きなポイントになります。

検索結果の削除をめぐる2017年の最高裁決定

日本で過去の情報の削除を考えるうえで、最も重要なのが2017年1月31日の最高裁判所の決定です。児童買春で逮捕され罰金刑を受けた男性が、検索事業者に対し、逮捕に関する検索結果の削除を求めた事件でした。

最高裁が示した基準

最高裁は、検索結果の提供も検索事業者自身の表現行為の側面を持つとしたうえで、その事実を公表されない法的利益が、検索結果として提供する理由に優越することが明らかな場合に削除を求められる、という基準を示しました。判断にあたって考慮する事情として、次のものが挙げられています。

考慮される事情 具体的な中身
事実の性質と内容 どんな事実か、私生活に関わる度合いはどの程度か
伝わる範囲と被害の程度 検索結果によって誰にどの程度伝わり、どんな被害が生じるか
本人の社会的地位や影響力 公人か私人か、社会にどれほど影響を与える立場か
記事などの目的や意義 元の記事がどんな目的で、どんな意義を持って書かれたか
掲載時と現在の社会状況 掲載当時の状況と、その後の変化
その事実を記載する必要性 記事の中でその事実に触れる必要があったか

「明らか」という言葉の重み

最高裁の基準は、公表されない利益が上回るというだけでなく、それが明らかであることを求めています。どちらの利益が大きいか微妙な場合は、削除は認められません。実務では、この「明らか」の壁をどう越えるかが、検索結果の削除を求める際の最大の課題になります。時間の経過や処分の軽さなど、有利な事情を一つでも多く積み上げることが必要です。

検索事業者の役割

最高裁は、検索サービスが、インターネット上の膨大な情報の中から必要なものを探し出すための、現代社会の情報流通の基盤になっていることにも触れました。検索結果を削除すると、その情報にたどり着く道がふさがれ、表現の自由や知る権利に大きな影響が出ます。削除の基準が厳しめに設定されたのは、この役割の重さを考えたためです。

この決定は、検索結果の削除について最高裁が初めて具体的な判断の枠組みを示したもので、その後の裁判や、検索事業者の運用の基準になっています。

この事件の結論

この事件では、児童買春が社会的に強い非難の対象とされ、罰則で禁じられていることから、今なお公共の利害に関わる事実であるとして、削除は認められませんでした。「明らかな場合」という基準は、削除を求める側にとって高いハードルであることが分かります。

SNSの投稿の削除をめぐる2022年の最高裁判決

検索結果ではなく、SNSの投稿そのものの削除が争われたのが、2022年6月24日の最高裁判所の判決です。約8年前に建造物侵入の疑いで逮捕され、罰金刑を受けた男性が、逮捕を伝える報道を引用した投稿の削除を、SNSの運営会社に求めました。

この判決は、SNSの投稿について最高裁が削除の基準を示した初めての判断として、実務に大きな影響を与えました。

削除が認められた理由

最高裁は、この事件で投稿の削除を認めました。判断の中では、次のような事情が考慮されています。

  • 逮捕から長い年月が経ち、刑の言い渡しの効力もすでに失われていたこと
  • 元になった報道記事は、すでに削除されていたこと
  • 投稿は、速報を目的としたもので、長く閲覧され続けることを想定したものではなかったこと
  • 男性は公的な立場にある人物ではなかったこと

元の記事が消えていることの意味

この事件では、報道機関の記事がすでに削除されていたことも重視されました。報道の元になった記事が消えているのに、それを引用した投稿だけが残り続けるのは不自然だ、という考え方です。削除を求める際には、元の報道がまだ残っているかどうかを確認し、消えていればそのことを主張の材料にしましょう。

検索結果の場合との違い

この判決では、2017年の決定のような「明らかな場合」という表現は使われず、公表されない利益が投稿を公開し続ける理由に優越する場合に削除を求められる、とされました。検索結果とSNSの投稿とでは、社会の中で果たす役割が違うため、判断の枠組みにも違いが出たと理解されています。SNSの投稿については、検索結果よりも削除が認められやすい面があるといえます。

判決が実務に与えた影響

この判決以降、SNSの運営会社も、古い逮捕に関する投稿の削除に応じる場面が増えたといわれています。もっとも、すべての投稿が削除されるわけではありません。事件の性質や経過した時間、投稿の目的など、判決が挙げた事情に照らして、一つひとつ判断されます。

逮捕歴や前科の情報が残り続ける問題

忘れられる権利が最も切実に問題となるのが、逮捕歴や前科の情報です。

本人にとっては終わったはずの事件が、ネット上ではいつまでも「現在」のことのように扱われる。ここに、この問題の根深さがあります。

ニュースから掲示板やまとめサイトへ広がる

逮捕が報道されると、まず報道機関のサイトに記事が掲載されます。報道機関の記事は一定期間が過ぎると削除されることが多いものの、その前に掲示板やまとめサイト、SNS、ブログなどに転載されていきます。元の記事が消えても、転載された情報がいくつも残り続けるのが実情です。

実名報道の慣行

日本では、成人が逮捕されると、実名で報道されることが少なくありません。逮捕の段階では、まだ有罪と決まったわけではないにもかかわらず、名前と住所の一部、職業などが報じられます。そして、その後に不起訴になっても、同じ規模で報じられることはほとんどありません。この不均衡が、ネット上に不正確な印象を残し続ける原因になっています。

保存サービスによって消えにくくなる

ウェブページをそのまま保存しておくサービスを使うと、元のページが削除された後も、保存された内容を閲覧できてしまいます。いわゆる魚拓と呼ばれるものです。関心を集めた事件ほど魚拓を取られやすく、情報が完全に消えるまでに時間がかかる原因になっています。

少年のころの事件

少年法は、20歳未満のときの事件について、本人を推測できるような報道を禁じています。それにもかかわらず、ネット上には少年事件の加害者とされる人物の実名や写真が書き込まれることがあります。こうした書き込みは、少年法の趣旨にも反するものとして、削除が認められやすい類型です。ただし、18歳と19歳については、起訴された後に実名報道が認められる例外が設けられています。

本人と家族に及ぶ影響

逮捕歴の情報は、本人の就職や転職、結婚、住まいを借りる場面などに影響します。事件と関係のない家族まで、名前を調べられたり、職場や学校に嫌がらせを受けたりすることもあります。不起訴になった人や、裁判で無罪になった人の逮捕の記事が残り続けるケースもあり、その被害は深刻です。

家族や勤務先の特定

逮捕の記事をきっかけに、ネット上で本人の家族構成や勤務先、自宅の住所まで調べ上げられ、書き込まれることもあります。こうした書き込みは、逮捕の事実そのものとは別に、プライバシーの侵害として削除を求めやすいものです。家族が嫌がらせを受けているなら、家族自身の被害として対処することもできます。

ワンポイントアドバイス

不起訴や無罪になった場合は、そのことを示す資料をそろえておきましょう。不起訴処分告知書や無罪の判決書は、削除を求める際の有力な根拠になります。逮捕されたという事実だけが残り、その後の結果が伝わっていない状態は、本人の名誉にとって特に不当だからです。

刑の消滅と前科の扱い

過去の情報の削除を考えるうえで知っておきたいのが、刑の消滅という制度です。刑法は、刑の執行を終えた人が、一定の期間、罰金以上の刑を受けずに過ごした場合、刑の言い渡しの効力が失われると定めています。

受けた刑 効力が失われるまでの期間
拘禁刑 刑の執行を終えてから10年
罰金 刑の執行を終えてから5年
執行猶予付きの判決 猶予の期間を無事に満了したとき

刑の消滅が持つ意味

刑の言い渡しの効力が失われると、法律上は、その刑を受けなかったのと同じように扱われます。資格の制限なども解かれます。2022年の最高裁判決でも、刑の言い渡しの効力が失われていたことが、削除を認める理由の一つとして挙げられました。法律が本人の社会復帰を認めている以上、過去の情報を公開し続ける必要性は小さくなる、という考え方です。

前科の記録を他人が調べられるか

前科の記録は、検察庁や市区町村が管理していますが、一般の人や会社が照会して調べることはできません。前科について他人に知られる経路は、主に報道とネット上の情報です。だからこそ、ネット上の情報を削除することが、過去から自由になるための現実的な手段になります。

資格の制限の解除

一定の刑を受けると、公務員や一部の国家資格に就けない期間が生じることがあります。刑の言い渡しの効力が失われれば、こうした制限も解かれます。資格を取り直して新しい仕事を始めようとしている人にとって、ネット上の過去の情報は、法律上の制限がなくなった後も残る見えない障害になりかねません。

就職の場面での扱い

履歴書の賞罰の欄に記載が求められるのは、一般に確定した有罪判決、つまり前科です。不起訴になった逮捕の事実は、前科ではありません。刑の言い渡しの効力が失われた前科についても、記載する必要はないと考えられています。面接で聞かれていないのに、自分から過去を説明する義務もありません。

削除が認められやすいケースと難しいケース

判例の基準をもとに、削除の見込みを整理すると次のようになります。あくまで目安であり、実際には個別の事情を総合して判断されます。

事情 削除が認められやすい方向 削除が難しい方向
時間の経過 長い年月が経っている 最近の出来事である
処分の結果 不起訴、無罪、軽い罰金刑 重い刑が言い渡された
本人の立場 一般の私人 政治家、企業の経営者など公的な立場
事件の性質 軽微で社会的な関心が薄い 重大な事件、社会的に強く非難される事件
情報の場所 個人の投稿、まとめサイト 報道機関の記事、検索結果
その後の生活 更生し、平穏な生活を送っている 同じような問題が続いている

具体例で考える

20代のころに酒に酔って口論になり、暴行の疑いで逮捕されて罰金刑を受けた会社員が、10年以上経った今も名前で検索すると当時の記事が表示される、という相談を考えてみましょう。事件は比較的軽微で、本人は一般の会社員、刑の言い渡しの効力もすでに失われています。元の報道記事が削除されていれば、掲示板やまとめサイトへの転載は、削除が認められる見込みが十分にある類型だといえます。

何年経てば、という目安

判例は、具体的な年数の基準を示していません。ただ、刑の言い渡しの効力が失われる期間は、一つの目安として意識されています。罰金なら5年、拘禁刑なら10年という期間を過ぎ、その間に新たな問題を起こしていなければ、公表されない利益はかなり重く評価されるようになります。

公的な立場にある人の場合

政治家や公務員、大企業の役員などの過去の不祥事は、社会が知る必要性が高いと判断されやすく、削除が認められにくい傾向にあります。その人が今後も公的な役割を担う可能性がある限り、過去の行為は評価の材料として意味を持つからです。

削除を求める方法

過去の情報の削除を求める方法は、情報がどこにあるかによって異なります。

  1. 自分の名前で検索し、情報が掲載されているページをすべて洗い出す
  2. ページごとに、URL、掲載の日付、内容を記録する
  3. サイトの運営者に、削除を求める
  4. 検索事業者に、検索結果からの削除を申請する
  5. それでも消えなければ、裁判所の仮処分で削除を命じてもらう

情報の洗い出しは、名前だけでなく、名前と地名、名前と勤務先など、組み合わせを変えて検索すると漏れが少なくなります。

サイトの運営者への請求

元のページがある限り、検索結果から消しても、別の経路で見つけられる可能性が残ります。根本的な解決のためには、情報が掲載されているサイトの運営者に削除を求めることが基本です。掲示板やまとめサイトの多くは、削除依頼の窓口を設けています。

削除を求める文面で伝えること

  • 掲載されている情報が、いつの、どんな事件に関するものか
  • 処分の結果(不起訴、罰金など)と、その後に経過した年月
  • 現在の生活の状況と、情報によって生じている具体的な不利益
  • 自分が公的な立場にないこと

判例が挙げる考慮事情に沿って説明すると、運営者も判断しやすくなります。

検索事業者への申請

主要な検索サービスには、私生活に関わる情報を検索結果から外すよう申請できる専用の窓口があります。元のサイトの運営者が分からない場合や、海外のサイトで削除に応じてもらえない場合に、特に役立つ方法です。

報道機関への申し出

報道機関の中には、過去の記事の削除や匿名化について、申し出の窓口を設けているところもあります。判決の確定や不起訴の事実を伝え、記事を現在の状況に合わせて更新してもらうよう求めることも一つの方法です。報道機関は独自の基準で判断するため、応じてもらえるかどうかは事案によります。

裁判所の手続き

話し合いで消してもらえないときは、仮処分という裁判所の手続きを使います。判例の基準に沿って、公表されない利益が優越することを主張し、資料をもとに説明していくことになります。

削除までにかかる期間

サイトの運営者や検索事業者が任意に応じてくれれば、数日から数週間で削除されることが多いでしょう。裁判所の手続きを使う場合は、準備を含めて数か月かかることもあります。多数のサイトに転載されている場合は、すべてに対応し終えるまでに、さらに時間がかかります。

魚拓や転載への対応

元のページを削除しても、保存サービスの記録や別のサイトへの転載が残っていることがあります。保存サービスの多くも、削除の申請を受け付けています。元のページの削除が完了したら、保存された記録や転載先を改めて調べ、順番に削除を求めていきましょう。

弁護士に相談するメリット

過去の情報の削除は、判例の基準に沿って、どれだけ説得力のある主張を組み立てられるかで結果が変わります。

過去の情報の削除は、判例の考え方を踏まえた主張の組み立てが欠かせない分野です。

見込みを正確に判断できる

弁護士は、事件の内容や経過した時間、情報の掲載場所などをもとに、削除が認められる見込みを判断します。見込みの高いものから優先して取り組むことで、時間と費用を有効に使えます。

どの情報が最も生活に影響しているかを見極め、優先順位をつけて取り組むことも、弁護士が手伝える部分です。

多数のサイトに一括して対応できる

逮捕歴の情報は、数十のサイトに転載されていることも珍しくありません。弁護士に依頼すれば、転載先を調べて一覧にし、まとめて削除を求めることができます。自分で一つひとつ対応すると、過去の記事を何度も読み返すことになり、精神的な負担も大きくなります。

精神的な負担を軽くできる

過去の事件と向き合い続けるのは、本人にとってつらいことです。記事を探し、読み返し、削除の理由を書く作業を弁護士に任せれば、その負担から離れることができます。新しい生活に目を向けるためにも、専門家の手を借りることをためらわないでください。

相談の際に用意するもの

  • 削除したい情報が掲載されたページのURLの一覧
  • 事件の処分の結果が分かる書類(判決書、略式命令、不起訴処分告知書など)
  • 刑の執行を終えた時期が分かる資料
  • 情報によって受けている不利益を示す事情のメモ

業者との違い

「逮捕歴を消します」とうたう業者もありますが、弁護士の資格のない者が、お金を受け取って削除の交渉を代行すると、弁護士法に触れる可能性があります。裁判所の手続きまで見据えるなら、最初から弁護士に相談するのが確実です。

よくある質問

執行猶予付きの判決を受けた場合はどうなりますか

執行猶予の期間を無事に終えれば、刑の言い渡しの効力は失われます。猶予の期間を満了したことは、削除を求めるうえで有利な事情になります。満了の時期が分かる資料を用意しておきましょう。

何年経てば削除してもらえますか

何年経てば必ず削除される、という決まった基準はありません。事件の性質や本人の立場、処分の結果など、さまざまな事情を合わせて判断されます。軽微な事件で、刑の言い渡しの効力が失われるほどの年月が経っていれば、削除が認められる可能性は高まります。

報道機関の記事も削除してもらえますか

報道機関に記事の削除を求めることはできます。報道機関の多くは、一定の期間が過ぎた記事を自ら削除したり、個別の申し出に応じて匿名化したりしています。ただ、報道の自由との関係で、転載先の個人のサイトより慎重に判断される傾向があります。

不起訴になったのに逮捕の記事が残っています

不起訴になった事実は、削除を求めるうえで有力な事情です。不起訴処分告知書を取り寄せ、逮捕の事実だけが残っていることがどれほど不当かを具体的に説明しましょう。逮捕から時間があまり経っていなくても、削除が認められる可能性があります。

SNSのアカウントに残る自分の古い投稿も消せますか

自分の投稿であれば、自分で削除できます。他人が自分の古い投稿を保存して再び拡散している場合は、その投稿の削除を求めることになります。

削除された情報が再び投稿されたらどうなりますか

一度削除された情報が、別の人によって再び投稿されることもあります。その場合も、改めて削除を求めることができます。同じ人物が繰り返し投稿しているようなら、投稿者を特定して、損害賠償の請求を検討することも考えられます。

削除にかかる費用はどのくらいですか

費用は、削除を求めるサイトの数や、裁判所の手続きが必要かどうかによって変わります。転載先が多い場合は、優先順位をつけて段階的に進めることで、費用を抑えながら効果を上げることもできます。依頼の前に、見積もりを出してもらいましょう。

海外のサイトに掲載された情報も削除できますか

海外のサイトでも、削除の申請を受け付けている運営者は多くあります。応じてもらえない場合は、日本の検索事業者に対して、検索結果からの削除を求めるのが現実的です。日本語で検索したときに表示されなくなれば、日常生活への影響は大きく減らせます。

自分で削除を申請しても問題ありませんか

本人が申請することに問題はありません。ただ、削除の理由が十分に伝わらず断られると、同じ情報について再び申請しても結論が変わりにくくなることがあります。見込みが微妙な情報や、削除されなかった情報は、弁護士に相談してから次の手を考えるのがよいでしょう。

削除を求めると、かえって注目を集めませんか

掲示板などでは、削除依頼を出したこと自体が話題にされる場合がまれにあります。そうした心配があるなら、依頼の順番や方法を弁護士と相談してください。多くの場合、削除は静かに行われ、依頼したことが公になることはありません。

家族の逮捕歴が自分の名前と一緒に書かれています

事件と関係のない家族の名前が書かれているなら、家族自身のプライバシーの侵害として、削除を求めることができます。家族には、事件について社会が知る必要性はほとんど認められないため、削除が認められやすい類型です。

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