目次[非表示]
警察から「お話を聞かせてください」と連絡が来たとき、自分が「参考人」として呼ばれているのか、それとも「被疑者」として疑われているのか。その違いがわからず、不安でいっぱいになっている方もいるのではないでしょうか。同じ「事情を聞かれる」でも、この二つの立場には、実は大きな違いがあります。そして、自分がどちらの立場なのかによって、心構えも対応も変わってきます。
この記事では、参考人と被疑者は何が違うのか、呼び出されたときにどう対応すればよいのか、そして参考人だったはずが被疑者に変わるのはどんな場合かを、弁護士の視点でわかりやすく解説します。「自分はただの参考人だから大丈夫」と油断していると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。警察から呼び出された方、家族が事情を聞かれることになった方は、ぜひ落ち着いて読み進めてください。立場の違いを知るだけで、対応の質が変わります。
参考人と被疑者は何が違うのか
まず、二つの言葉の意味を整理しておきましょう。被疑者とは、犯罪を行った疑いをかけられ、捜査の対象となっている人のことをいいます。いわゆる「容疑者」と同じ意味です。これに対し、参考人とは、事件について何らかの情報を持っているとして、事情を聞かれる人のことをいいます。被害者や目撃者、関係者などが参考人にあたります。
ニュースなどでは「容疑者」という言葉がよく使われますが、これは報道上の呼び方で、法律上は「被疑者」といいます。どちらも、罪を犯した疑いをかけられている人を指す言葉です。一方、「参考人」という言葉は、報道でもそのまま使われることが多く、事件について事情を知っている第三者を指します。まずは、この「疑われている人」と「事情を知っている人」という根本的な違いを押さえておくことが、立場を理解する出発点になります。
つまり、被疑者は「疑われている本人」、参考人は「事件について話を聞かれる第三者」という違いがあります。被疑者は捜査の対象そのものであり、その供述は自分に不利な証拠にもなりえます。一方、参考人は、原則として自分が疑われているわけではなく、捜査に協力する立場で話を聞かれます。この立場の違いが、手続きや権利の違いにつながっていきます。
身近な例で考えてみましょう。たとえば、ある傷害事件があったとします。その場でけがをさせたと疑われている人は、被疑者です。一方、たまたまその現場に居合わせて一部始終を見ていた人や、当事者の知人で事情を知っている人は、参考人として話を聞かれることになります。同じ事件をめぐって警察に呼ばれても、疑われている本人と、事情を知る周囲の人とでは、まったく立場が違うわけです。この違いを理解しておくと、自分が今どういう状況で呼ばれているのかが見えてきます。
注意しておきたいのは、この二つの立場が、いつも明確に分かれているとは限らない、ということです。最初は参考人として呼ばれたのに、話を聞かれるうちに疑いをかけられ、被疑者に変わっていく。そんなケースもあります。だからこそ、「自分はどちらの立場なのか」を意識しておくことが大切です。逆に言えば、この意識さえ持っていれば、状況の変化にいち早く気づき、適切に対応できるようになります。
参考人と被疑者の権利・手続きの違い
立場が違えば、認められる権利や手続きも変わってきます。具体的にどう違うのか、整理してみましょう。表で見比べると、二つの立場の差がはっきりと見えてきます。
| 項目 | 被疑者 | 参考人 |
|---|---|---|
| 立場 | 疑いをかけられた本人 | 事情を聞かれる第三者 |
| 逮捕・勾留 | 対象になりうる | 原則として対象にならない |
| 取り調べ | 被疑者として取り調べを受ける | 事情聴取という形で話を聞かれる |
| 供述調書 | 被疑者供述調書が作られる | 参考人供述調書が作られる |
| 黙秘権 | 明確に保障されている | 答えたくないことは話さなくてよい |
大きな違いは、逮捕や勾留の対象になるかどうかです。被疑者は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあれば、逮捕・勾留されることがあります。これに対し、参考人は、原則として身柄を拘束されることはありません。あくまで協力を求められる立場だからです。
この違いは、本人の生活への影響という点でも大きな意味を持ちます。被疑者として逮捕されれば、その間は仕事にも行けず、家族とも自由に会えなくなります。これに対し、参考人であれば、事情聴取に応じる以外は、これまでどおりの生活を続けられます。ただし、繰り返しになりますが、参考人だからといって、その立場が最後まで保証されているわけではありません。捜査の進展によって被疑者に変われば、逮捕・勾留の可能性も生じます。そのため、参考人のうちから、自分の立場や発言に注意を払っておくことが欠かせません。
もっとも、参考人であっても、答えたくないことに無理に答える必要はありません。話すかどうかは本人の判断にゆだねられています。そして、参考人として話した内容も、供述調書という書面にまとめられ、事件の証拠として扱われます。「参考人だから何を話しても関係ない」というわけではない、という点は押さえておくべきでしょう。
また、被疑者と参考人とでは、作られる調書の種類も異なります。被疑者の供述は「被疑者供述調書」、参考人の供述は「参考人供述調書」としてまとめられます。名称こそ違いますが、どちらも事件の証拠になるという点では同じです。とりわけ参考人供述調書は、後にその事件が裁判になった際、目撃証言などとして重要な意味を持つことがあります。自分の話した内容が、事件の行方を左右する証拠になりうる。参考人であっても、この意識を持って事情聴取に臨むことが肝心です。軽い気持ちで適当なことを話すと、思わぬ形で誰かの不利益につながることもあります。
参考人として呼ばれたときの対応
では、参考人として事情を聞かれることになったら、どう対応すればよいのでしょうか。基本的な心構えを押さえておきましょう。協力する立場とはいえ、いくつかの注意点を知っておくだけで、対応の質は大きく変わります。準備のあるなしが、結果に差を生むこともあります。
参考人は、事件について知っていることを話すよう求められます。協力する立場ですから、知っていることを正直に話すのが基本です。ただし、いくつか注意しておきたい点があります。まず、記憶があいまいなことを、断定的に話さないことです。あいまいな記憶を確定的に語ると、後で事実と食い違ったときに、かえって混乱を招きます。「覚えていません」「はっきりしません」と正直に答えることも、大切な対応です。
人の記憶は、思っている以上にあいまいで、時間がたつほど不確かになります。とくに、ずいぶん前の出来事や、とっさの出来事については、細部まで正確に覚えていないのが普通です。そんなとき、捜査官に「このときこうでしたよね」と促されると、つい「そうだったかもしれない」と話を合わせてしまいがちです。しかし、確かでないことを確定的に語れば、それが事実として調書に残り、後で別の証拠と食い違ったときに、供述全体の信用性が揺らいでしまいます。覚えていないことは「覚えていない」と正直に言う。これは、いいかげんな態度ではなく、むしろ誠実で正確な対応です。
- 知っていることは正直に話す
- 記憶があいまいなことは断定せず「覚えていない」と答える
- 事件に関する憶測や、自分の想像を事実のように話さない
- 供述調書の内容をよく確認してから署名する
- 自分に不利になりそうな話は、慎重に対応する
とくに気をつけたいのが、自分自身が事件に関わっている可能性がある場合です。参考人として呼ばれたつもりでも、話の流れによっては、自分が疑われる方向に進むことがあります。そんなときは、安易に話を進めず、慎重になる必要があります。取り調べや事情聴取での受け答えの注意点については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
もう一つ、見落とされがちな注意点があります。それは、ほかの人をかばおうとして、事実と違うことを話してしまわない、ということです。親しい人が事件に関わっている場合、その人を守りたいという気持ちから、つい都合のよい説明をしてしまうことがあります。しかし、参考人として話した内容も証拠になりますから、事実と異なる供述をすれば、後でそれが問題になり、自分自身が偽証や犯人隠避といった別の罪に問われるおそれすらあります。誰かをかばう気持ちは自然なものですが、事情聴取では、あくまで自分が知っている事実だけを、ありのままに話すことが必要です。情に流されて事実を曲げることは、結局、自分にも相手にも不利益をもたらしかねません。
参考人が被疑者に変わるケース
ここが、参考人として呼ばれた人がもっとも気をつけるべきところです。参考人だったはずが、いつのまにか被疑者に変わっている。そんなことが、実際に起こりえます。立場の変化は、本人が気づかないうちに進むこともあるため、特に注意が必要です。
たとえば、事件の関係者として参考人で呼ばれ、事情を話すうちに、その人自身に疑いが向けられることがあります。話した内容に矛盾があったり、事件への関与をうかがわせる事情が出てきたりすれば、捜査機関の見方が変わり、参考人から被疑者へと立場が移っていきます。本人としては「ただ協力していただけ」のつもりでも、気づけば自分が捜査の対象になっていた、という展開もありえます。
もう一つ知っておきたいのは、捜査機関が、はじめから本人を疑っているにもかかわらず、あえて「参考人」として呼ぶことがある、という点です。いきなり被疑者として呼べば本人が警戒するため、まず参考人という形で話を聞き、そのなかで証拠を集めていく、という進め方をすることもあります。本人が「自分はただの参考人だ」と油断して、聞かれるままに何でも話してしまえば、その供述が後で自分に不利な証拠として使われることになりかねません。この点から、「参考人」という言葉だけで安心せず、自分が話している内容がどう受け取られるかを意識することが大切です。
こうした切り替わりは、本人にはわかりにくいものです。捜査機関が「この人を被疑者として扱う」と明言してくれるとは限りません。質問の内容が、だんだん自分の行動に踏み込んでくる、同じことを何度も確認される、といった変化があれば、立場が変わりつつあるサインかもしれません。少しでも「自分が疑われているのでは」と感じたら、その時点で慎重になることが欠かせません。
参考人でも気をつけたい供述調書
参考人として事情を聞かれた場合でも、その内容は供述調書という書面にまとめられます。この点を軽く見てはいけません。被疑者の調書と同じように、参考人の調書もまた、事件を左右する証拠になりうるからです。
参考人の供述をまとめた書面は「参考人供述調書」と呼ばれ、事件の証拠として扱われます。被疑者の供述調書と同じく、捜査官がまとめた文章であり、本人が署名・押印することで証拠としての力を持ちます。ここで注意したいのは、参考人だからといって油断し、内容をよく確認しないまま署名してしまうと、事実と違う記述や、不利な表現が残ってしまうおそれがある、ということです。一度署名してしまえば、後から訂正するのは簡単ではありません。
とくに、自分が事件に関わっている可能性がある場合、参考人としての供述が、後で自分に不利な証拠になることもあります。署名を求められたら、面倒でも調書を最後まで自分の目で確認し、違う部分は遠慮なく訂正を求めてください。供述調書のニュアンスがずれる怖さと、署名の前に確認すべきことについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
供述調書は、捜査官が話の要点をまとめた文章であり、本人が一言一句そのまま語ったものではありません。そのため、自分が伝えたかったニュアンスと微妙にずれていたり、本来そこまで断定していないのに強い表現になっていたりすることがあります。参考人だからといって、読み聞かせを聞き流して「だいたい合っている」と署名してしまうと、後で「自分はそんなつもりで言っていない」と思っても手遅れです。たとえ第三者として協力する立場であっても、自分の名前で署名する書面である以上、内容には責任が生じます。納得できるまで確認し、違う点はその場で直してもらう。この姿勢を、参考人であっても忘れないでください。
参考人として呼ばれたら弁護士に相談すべきか
「自分はただの参考人なのに、弁護士に相談する必要があるのか」と思う方もいるかもしれません。しかし、状況によっては、参考人であっても相談する意味があります。むしろ、参考人の段階そうであれば、相談が活きる場面もあります。
とくに、自分自身が事件に関わっている可能性がある場合や、参考人として呼ばれたものの、自分が疑われているのではないかと不安を感じる場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、その状況で事情聴取にどう臨むべきか、どこまで話すべきか、どんな点に気をつけるべきかを助言してくれます。万が一、参考人から被疑者に立場が変わっても、すでに弁護士が関わっていれば、すぐに対応を相談できます。
「参考人の段階で弁護士に相談するのは大げさではないか」と感じる方もいるかもしれません。しかし、立場が被疑者に変わってから慌てて動くよりも、参考人のうちに見通しを立てておくほうが、はるかに有利です。とくに、自分が事件に関わっている可能性がある場合、最初の事情聴取でどう答えるかが、その後の捜査の方向を左右することもあります。一度供述してしまった内容は、後から覆すのが難しいだけに、話す前に専門家の助言を得ておく意味は大きいです。最初に状況を整理するためにも、気軽に相談してみるとよいでしょう。
純粋に第三者として事情を聞かれるだけであれば、必ずしも弁護士が必要とは限りません。しかし、「自分にも何か関係があるかもしれない」と少しでも感じるなら、相談しておくほうが安心です。被害者がいる事件で自分に関与の可能性がある場合、早い段階での対応が結果を左右します。本人や家族だけで判断に迷うときは、専門家に状況を話すだけでも、進むべき方向が見えてくるものです。次のような状況に心当たりがあれば、注意してください。
- 呼び出しを受けたら、自分が参考人か被疑者かを意識する。
- 自分が事件に関わる可能性があれば、弁護士に相談する。
- 事情聴取では、知っていることを正直に、あいまいなことは断定せず話す。
- 供述調書の内容を確認し、納得できなければ署名を控える。
家族が参考人として呼ばれたとき
自分ではなく、家族が参考人として事情を聞かれることになった場合も、いくつか知っておきたいことがあります。家族としてどう向き合えばよいのか、迷う方も多いでしょう。
家族が参考人として呼ばれた場合、基本的には捜査に協力する立場ですから、過度に心配する必要はありません。ただし、その家族が事件に関わっている可能性がある場合や、参考人から被疑者に変わるおそれがある場合には、注意が必要です。本人が一人で抱え込まないよう、話を聞いて支えてあげることが肝心です。そのうえで、不安が大きいときは、一緒に弁護士に相談するとよいでしょう。代表的なものを挙げます。
家族の立場としては、本人がどんな状況に置かれているのかを正しく理解し、冷静に支えることが何よりの助けになります。あわてて本人を問い詰めたり、事件に関する口裏合わせのような相談をしたりするのは、かえって状況を悪くしかねません。本人が誠実に対応できる環境を整えること、そして必要に応じて専門家の力を借りることが、家族にできる大切な対応です。
とくに注意したいのは、家族間での「口裏合わせ」です。よかれと思って「こう話しておこう」と打ち合わせをしても、それが後で発覚すれば、証拠隠滅や口裏合わせを疑われ、かえって本人の立場を悪くします。家族としてできるのは、本人が事実をありのままに話せるよう、精神的に支えることであって、話す内容を操作することではありません。不安なときほど、自己流で動くのではなく、弁護士に相談して、家族としての適切な関わり方を確認することをすすめます。冷静な家族の存在は、本人にとって大きな支えになります。
参考人と被疑者で何が違うか
| 比べる点 | 参考人 | 被疑者 |
|---|---|---|
| 立場 | 事件の事情を知る第三者 | 犯罪を行った疑いをかけられている人 |
| 取調べ | 任意。出頭を断ることもできる | 逮捕されていれば取調べを受ける(黙秘は可能) |
| 黙秘権の告知 | 原則としてない | 取調べの前に告げられる |
| 逮捕の可能性 | 原則としてない | 要件を満たせばある |
| 調書 | 参考人供述調書が作られる | 被疑者供述調書が作られる |
注意したいのは、参考人として呼ばれても、話の内容によっては途中から被疑者として扱われることがある点です。事件の関係者として事情を聞かれているうちに、自分の関与が疑われ、そのまま被疑者の取調べに切り替わるケースもあります。心当たりがある場合は、参考人として呼ばれた段階で弁護士に相談しておくと安心です。
参考人として呼ばれたときの対応
- 誰の、どの事件について聞かれるのかを確認する
- 自分に関与の疑いがかかる可能性がないかを考える
- 不安があれば、出頭の前に弁護士に相談する
- 取調べでは、事実を正確に、記憶の範囲で答える
- 調書の内容を確認し、事実と違う部分は訂正を求める
参考人から被疑者に変わる兆候
参考人として呼ばれたはずなのに、質問の内容が自分の行動に集中してきたら、被疑者として疑われ始めている可能性があります。次のような兆候に注意してください。
- 事件当日の自分の行動を、時間を追って細かく聞かれる
- 自分の所持品や携帯電話の内容について質問される
- 他の人の話と食い違う点を、繰り返し問いただされる
- 黙秘権があることを告げられる
- 指紋や唾液の採取に協力するよう求められる
こうした場面では、その場で無理に説明を続けるより、いったん取調べを終えて弁護士に相談するほうが安全です。任意の取調べであれば、途中で退席することもできます。
任意の取調べと逮捕後の取調べの違い
| 比べる点 | 任意の取調べ | 逮捕後の取調べ |
|---|---|---|
| 出頭の義務 | なし。日程の調整も相談できる | 留置施設から取調室に連れて行かれる |
| 退席 | 原則としていつでも退席できる | 自分の意思では退席できない |
| 弁護士への相談 | 取調べの前後に自由に相談できる | 接見を申し入れて弁護士に来てもらう |
| 時間 | 数時間程度で終わることが多い | 連日、長時間に及ぶこともある |
任意の取調べであっても、話した内容は調書に残り、後の裁判で証拠になります。「任意だから軽い気持ちで」と考えず、逮捕後の取調べと同じ慎重さで臨むことが大切です。
任意の取調べを断ると、かえって疑われるのではないかと心配する方もいます。しかし、日程の都合や体調を理由に日を改めてもらうことは、不自然なことではありません。準備のないまま臨んで不正確な供述をするより、弁護士に相談してから出頭するほうが、結果として自分を守ることになります。
参考人として協力するつもりで出頭したのに、思いがけず長時間の取調べになることもあります。時間の見通しを事前に確認し、予定がある場合はその旨を伝えておくとよいでしょう。取調べの後は、話した内容を覚えているうちにメモに残しておくと、後で弁護士に相談するときに役立ちます。
参考人であっても、事件との関わり方によっては、後から被疑者になる可能性があります。自分の立場がどちらなのかを意識し、少しでも不安があれば弁護士に相談してください。早い段階で相談しておけば、万が一立場が変わったときにも落ち着いて対応できます。
警察から連絡が来ること自体に不安を感じる方も多いはずです。事情を聞かれる理由がわからないまま出頭するより、一度弁護士に相談し、想定される質問や答え方を確認しておくと、落ち着いて臨めます。
取調べに呼ばれること自体は、必ずしも不利を意味しません。事実を正確に伝え、誤解を解く機会にもなります。準備を整えて臨んでください。
わからないことは、その場で質問して構いません。
質問することは失礼にはあたりません。
まとめ|自分の「立場」を意識することが第一歩
参考人と被疑者は、同じ「事情を聞かれる」でも、その立場がまったく異なります。被疑者は疑われている本人で、逮捕・勾留の対象になりえますが、参考人は事件について話を聞かれる第三者で、原則として身柄を拘束されることはありません。しかし、参考人として呼ばれたはずが、話の流れで被疑者に変わることもあります。また、参考人の供述も調書にまとめられ、証拠として扱われます。「参考人だから大丈夫」と油断せず、自分がどちらの立場なのかを意識することが、適切な対応の第一歩です。立場を正しく把握できれば、過度に恐れることも、不用意に油断することもなくなります。
とくに、自分自身が事件に関わっている可能性がある場合や、疑われているのではないかと不安を感じる場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。事情聴取にどう臨むべきか、どこまで話すべきか、どんな点に気をつけるべきか。専門家の助言を得られれば、不利な状況を避け、落ち着いて対応できます。警察から呼び出された方、家族が事情を聞かれることになった方は、一人で抱え込まず、まず刑事事件にくわしい弁護士に相談してみてください。早めの対応が、安心につながります。
「参考人」と「被疑者」は、たった数文字の違いに見えますが、その背後にある立場の差は決して小さくありません。そして、その境界は、ときに曖昧で、流動的でもあります。だからこそ、自分が今どの立場で呼ばれているのかを意識し、状況の変化に注意を払うことが必要です。協力する立場であっても、自分の発言が証拠になるという事実を忘れず、誠実かつ慎重に対応する。少しでも不安があれば、専門家の力を借りる。この基本を押さえておけば、不必要に恐れることも、不用意に油断することもなく、適切に対応できるはずです。
よくある質問
参考人として呼ばれたら、必ず行かなければなりませんか?
参考人としての事情聴取は、原則として任意であり、強制ではありません。日程の調整を求めることもできます。ただし、捜査に協力する立場であることや、正当な理由なく拒み続けると不審に思われる可能性もあるため、対応は慎重に考えるとよいでしょう。自分が事件に関わる可能性がある場合は、事前に弁護士に相談するのが安心です。やみくもに拒否するのではなく、行ける日を提案するなど、誠実に対応する姿勢を示すことが大切です。
参考人でも黙秘できますか?
参考人には、被疑者のような形で黙秘権が明確に保障されているわけではありませんが、答えたくないことに無理に答える義務はありません。とくに、自分に不利になりそうな事柄については、慎重に対応することができます。話すかどうかの判断に迷うときは、弁護士に相談するとよいでしょう。自分が疑われる方向に話が進んでいると感じたら、その時点で慎重になることが欠かせません。
参考人から被疑者に変わったら、どうすればよいですか?
すぐに弁護士に相談してください。立場が被疑者に変われば、逮捕・勾留の対象になる可能性も出てきますし、供述の持つ意味も変わります。早い段階で弁護士が関わることで、取り調べへの対応を整え、不利な状況を避けやすくなります。「疑われているかもしれない」と感じた時点で、相談しておくのが安心です。立場の変化は本人には分かりにくいことも多いため、少しでも違和感があれば、早めに専門家の意見を聞くことを検討してください。
参考人として話した内容は、後で使われますか?
参考人として話した内容も供述調書にまとめられ、事件の証拠として使われることがあります。「参考人だから関係ない」というわけではありません。そのため、事情聴取では正直に、ただし記憶があいまいなことは断定せずに話し、調書の内容をよく確認することが肝心です。とくに、その事件が裁判になった場合、参考人の供述が目撃証言などとして重要な意味を持つこともあります。自分の言葉が事件の行方に影響しうると意識して臨みましょう。
