2020/7/17 581view

未成年の子どもが傷害事件で逮捕!逮捕後の流れと家族が取るべき対処法

この記事で分かること
  1. 14歳未満の場合は、逮捕の可能性なし。
  2. 14歳以上であり傷害罪で逮捕された場合には、全員家庭裁判所に送致される。
  3. 大人と同じ罰則を受ける可能性は低く、少年審判にて①不処分、②保護観察処分、③保護処分、④都道府県または児童相談所長送致のいずれかとなる。
  4. 逮捕されたら、一刻も早く弁護士に依頼し、被害者と示談すること、学校の処分を回避すること、が重要である。

未成年の子どもが逮捕された場合、大人と同じ処分を受けるケースは極めて少なく多くは少年審判にて保護観察や保護処分等を受けることになります。少年審判まで少年鑑別所に収容されるケースもあるため、日常生活や学校に影響が出ないようできる限り早い釈放を目指す必要があります。逮捕の連絡があったら、すぐに弁護士に依頼し今後の対応策の相談をしましょう。

未成年でも傷害罪で逮捕されることはある?

未成年の子どもが傷害事件を起こした場合、逮捕される可能性があるのか心配になりますよね。そこで、未成年の傷害事件で逮捕される可能性はあるのかを見ていきましょう。

14歳以上であれば、逮捕の可能性はある

未成年の子どもが逮捕されてしまうと、将来に傷が残ることからできる限り避けたいと親は思うはずです。しかし、傷害事件となると相手の怪我次第では「逮捕される可能性もあるかもしれない…」と不安になりますよね。

結論から言うと、未成年でも逮捕される可能性は否定できません。もっとも、逮捕自体が年齢によってはできないことが法律上定められているため、年齢によっても異なると言えます。具体的には、14歳以上であれば逮捕される可能性は十分にあります。刑法上の規定(41条)により、14歳未満(13歳まで)の少年・少女については刑事処罰を科すことができないので、逮捕もありません。

14歳未満は補導や児童相談所の指導を受ける可能性あり

もっとも、逮捕が行われないだけであり、傷害事件を起こせば、補導や児童相談所の指導のもと、更生が必要になると判断されるケースもあります。また12歳以上であれば、少年院装置も可能になってきているため、14歳未満でも相手がひどい怪我を負っているケースなどでは注意が必要です。

このように、14歳以上であれば逮捕される可能性はあり、大人と同じ捜査手続きを受ける可能性があります。また14歳未満であったとしても、何らかの指導を受ける可能性があるでしょう。

少年傷害事件の件数と傷害罪の逮捕率

逮捕の可能性はあるとはいっても「どれくらいの未成年が逮捕されているの?」と気になる方も多いでしょう。刑事犯罪等に関する統計である犯罪白書を見てみると、平成30年度に傷害罪で検挙された少年犯罪は2477件です。全国的に見て少ないと思うか多いと思うかは人の感じ方によるでしょう。

傷害罪の逮捕率は6割だが、少年犯罪の場合はこれより少ない可能性

もっとも、平成15年で8000件を上回っていた事実があるため、それを考慮すると大きく減少していることがわかります。また平成27年の傷害事件に関する統計について、実際に逮捕が行われた傷害罪については6割程度となっています。

少年犯罪に関してはこの統計に含まれているかどうかは不明ですが大人よりも少年の更生に力を入れているため、これよりも逮捕の割合は少ない可能性があるでしょう。

【参考】
令和1年 犯罪白書
平成28年 犯罪白書

ワンポイントアドバイス
子どもが逮捕されたら、一刻も早く面会したいと思うのが親です。圧迫的な取り調べを受けていないか、など心配になるでしょう。しかし、逮捕後72時間は親出会っても面会はできません。面会である接見ができるのは弁護士のみとなります。子どもに伝えたいことがある場合は、弁護士に依頼し伝達してもらう他ありません。今後の対応なども相談できるので、逮捕されたら早めに弁護士に依頼することをおすすめします。

未成年が傷害罪で逮捕された後の流れ

14歳以上の場合、逮捕の可能性がありますが逮捕された後、基本的には成人と同じような捜査手続きを受けることになります。未成年の場合は、勾留が少年鑑別所で行われる可能性が高いことが大きな違いです。未成年で傷害罪で逮捕された後の流れを見ていきましょう。

逮捕から48時間までは、警察署で事情聴取

未成年が傷害事件で逮捕されたら、その後警察署へ連行され取り調べを受けることになります。取り調べでは事件の内容について事細かに聞かれることになります。例えば、被害者とは知り合いか、なぜ喧嘩が起きたのか、なぜ殴ったのか、凶器は何を使ったのか、共犯者はいるのか、犯行時刻はいつであり何時間暴行が続いたのか、などです。

この取調べは逮捕から48時間まで合法的に継続することができます。途中、事件と関係ないことや違法性が高くないことが判明した場合には、釈放されることもあります。しかし、逮捕事実が明らかで、本人が犯行を認めていない場合などは取り調べが長くなる傾向にあるでしょう。

逮捕されたら、すぐにでも家族に連絡したいと考えるのが通常ですが本人は家族と面会したりすることはできません。多くの場合は、逮捕されたら警察から連絡があるのみです。

検察送致後24時間以内は、検察での取り調べ

48時間以内の取り調べのあと、検察へ身柄が送致されます。検察では警察と同様に事件についての事情が詳しく聞かれ、捜査も続きます。被疑者である本人から検察が話を聞き、逃亡の可能性や証拠隠滅の可能性があると判断した場合には、勾留請求を行います。勾留請求は検察に身柄を送致してから24時間以内に行わなければいけません。

裁判所は検察からの勾留請求を受け、勾留が必要かどうかを判断します。ここで勾留が必要ないと判断されたら、無事釈放です。他方、勾留の必要性があると認められてしまったら、勾留が確定し家に帰ることはできません。

逮捕から勾留請求までは72時間以内と制限されている

逮捕後の身体拘束時間は厳しく制限されており、逮捕から勾留請求まで72時間(3日間)と決まってきます。これを超えると違法な身体拘束となるため、逮捕から3日間の間が捜査機関にとっても弁護側にとっても勝負となります。この間は弁護士が被疑者である本人に接見できるので、取り調べ時のアドバイスなどを行えます。

逮捕から72時間以内に家庭裁判所への身柄の送致、少年審判へ

検察への身柄送致から24時間以内の検察の捜査が終わったらすぐに家庭裁判所へ身柄が送致されます。成人に関しては、勾留中の間に起訴・不起訴が決定しますが、未成年の場合は全てのケースが家庭裁判所に移送されます。

少年鑑別所では、2週間~8週間過ごすことになる

住所不定や証拠隠滅の可能性、逃亡の恐れなどがある場合には、観護措置として身柄が拘束されます。留置場で3日程度勾留された後、少年鑑別所に収容されるのです。少年鑑別所での収容期間は原則として14日間ですが、最大8週間となります。鑑別所では、事件を起こした本人に対する調査が行われます。犯罪の原因究明や更生可能かどうかなどが判断されます。

勾留の場合は、原則10日間、延長されれば20日間帰ることはできない

観護措置ではなく勾留となった場合、その後原則10日間は家に帰ることができません。勾留中は取り調べを受けることになります。捜査上必要であると判断されたら、勾留期間の延長が請求され、勾留延長となることもあります。勾留延長の場合は、さらに10日間身体拘束期間が伸びてしまうでしょう。

少年審判で処分決定へ

家庭裁判所では、今後裁判にかわる少年審判の必要性が判断され、必要となれば少年審判が行われることになります。審判では、少年だけでなく保護者や家庭裁判所の調査官、付添人などが出席します。

裁判官がいくつか質問をした上で、更生可能性等を判断し、最終的な処分が下されます。少年審判については、非公開で行われます。少年審判が開かれない決定がされた場合には、釈放です。

以上が、未成年の逮捕後の流れです。観護措置や勾留となってしまうと、長期間家に帰れなくなってしまうため、生活への影響も大きくなります。学校にもいけなくなってしまうため、できる限り早く弁護活動を開始して早期釈放を目指すべきです。

ワンポイントアドバイス
少年審判で大人と同様の刑事裁判が必要と判断された場合には、検察に戻される措置(逆送)が行われることがあります。軽い傷害事件では逆送されることはありませんが、傷害致死など重大事件を起こした場合や、逮捕後に成人になった場合には、刑事裁判にかけられる可能性も否定できません。

未成年の傷害罪に対する処罰は?

逮捕されたとしても、大人と同様に傷害罪の罰則を受けてしまうのか、不安が残ります。そこで次は、未成年の傷害罪に対する罰則についてご説明いたします。傷害罪の罰則、少年事件の場合の措置、未成年の傷害罪に対する親の責任について、見ていきましょう。

傷害罪の刑罰は、「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

まず、成人が傷害罪を犯した場合の刑罰についてご説明いたします。刑法204条では、傷害罪を規定しています。「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と明記されているため、罰金と懲役のどちらかが課せられる可能性があるでしょう。

「人の身体を傷害した者」についてですが、これは、人の生理的機能を害した場合を指します。簡単にいうと、医者に見てもらう必要がある怪我があった場合には傷害罪が成立すると考えるべきです。軽い打撲程度では暴行罪となる可能性の方が高いでしょう。

傷害致死なら、「3年以上の有期懲役」となる

また、怪我をした被害者がその後死亡してしまった場合には、傷害致死罪(205条)となります。傷害致死罪が適用された場合には、「3年以上の有期懲役」に刑罰が上がります。さらに、集団で喧嘩となった場合にその場で加勢せずとも、野次などで暴行を強めるような言動を行った場合には、傷害現場助勢罪(206条)となります。傷害現場助勢罪が適用された場合には、「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が課される可能性があるでしょう。

同じ傷害罪となる行為でも、その後被害者の容体がどうなったのか、あるいは暴行への関わり方がどうであったのかによって罪が変わることを理解しておきましょう。

未成年の場合は、大人と同じ罰則を受ける可能性は極めて低い

では、少年事件の場合には成人と同じような刑罰が適用されるのでしょうか? 結論からいうと、年齢と事件の内容によって成人と同じ処罰が下るのかが変わります。先にご説明した通り、14歳未満の場合は、傷害罪に当たる罪を犯しても上記のような懲役や罰金の罪に問われることはありません。

14歳以上(19歳まで)の場合は、家庭裁判所に送致後に少年審判が開始され、処分が決定されます。つまり、原則として刑事罰に処されることはありません。もっとも、先に指摘した通り、重大犯罪の場合や年齢が19歳であった場合などは成人と同じく刑事裁判にかけられてしまうこともあります。この場合は成人と同じ罰則に処されてしまうことがあるでしょう。

少年審判の処分は、4つのうちのいずれかとなる

少年審判では、以下の処分を受けることになります。

  1. 不処分
  2. 保護観察処分
  3. 保護処分
  4. 都道府県または児童相談所長送致

(1)不処分

少年審判にて、非行事実がなかった場合や処分が不処分です。集団で暴行したような事実がある場合に、脅されてその場にいたようなケースでは処分の必要性がないと判断され、不処分となる可能性があるでしょう。

(2)保護観察処分

少年が社会の中で更生できると判断した場合に受ける処分です。保護観察官の指導のもと、月に1、2度の保護司との面談がありますが約束事等を守りながら通常通り家庭内で生活できます。不処分の次に軽い処分となるでしょう。

(3)保護処分

児童自立支援施設等への身柄の送致が行われる処分のことです。少年院送致の場合も含まれます。少年院装置は、非行を繰り返す恐れが強い場合に送致されるため、身柄が拘束され矯正教育が行われます。児童自立支援施設の場合には、開放的施設にて生活指導などの教育がおこなわれます。

(4)都道府県または児童相談所長送致

事件を起こした18歳未満の少年を児童福祉機関の指導に委ねる処分です。都道府県または児童相談所長への送致という処分となります。主に、家庭に問題がある場合に、児童相談所長等の判断により児童福祉司による指導を受けることになるでしょう。

未成年の傷害罪に対する親の責任は?

では、未成年の子どもが傷害罪を犯した場合に、親はどのような責任に問われるのでしょうか? まず、刑事罰について課されることはありません。子どもが罰せられない代わりに親が同様の処分を背負うということはないので安心して下さい。

心配すべきは、被害者に対する損害賠償といえるでしょう。未成年の子どもが誰かに怪我を負わせてしまった場合、民事にて不法行為に基づく損害賠償請求が行われます。12、3歳未満の場合、責任能力がないため本人は法律上の義務を背負うことはありません。

親が被害者に対し慰謝料を支払うことになる

しかし、親の監督責任違反(民法714条)があったとして親が代わりに損害賠償責任を負うことはありません。14歳以上であった場合は本人が法的責任を負うことになります。しかし、未成年は支払い能力がないことが通常である他、適用条文は変わるものの監督義務違反と損害に因果関係がある場合は、親が損害賠償責任を負うことになるでしょう。

このように、相手方の被害者に対する損害賠償責任を負うことになります。どれくらいの金額を支払うことになるのかは、相手の被害の程度にもよるでしょう。

ワンポイントアドバイス
被害者が打撲程度の怪我であった場合には、暴行罪が適用される可能性もあります。暴行罪の場合は傷害罪よりも刑罰が軽く、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」となります。また暴行罪であれば微罪処分として逮捕されずに、警察署で注意を受け、釈放となるケースもあります。

子どもが傷害罪で逮捕された時に親が取るべき対応

最後に、子どもが傷害罪で逮捕された場合に親が取るべき対応についてご説明します。重要なことは①弁護士に相談すること、②被害者と示談をすること、③学校の処分を回避するための活動をすること、です。以下、詳しく見ていきましょう。

逮捕されたらできるだけ早く弁護士に相談すること

逮捕されたら、勾留や観護措置が決定するまでの3日間は家族が面会することは叶いません。この間、未成年の子どもは捜査官から厳しい取り調べを受けることになります。不利な内容を口にしないようにするためにも、少年事件に精通した弁護士による弁護活動が必要です。逮捕から3日以内であれば日常生活にも復帰しやすく、将来への影響も最小限で済む可能性が高くなるでしょう。

仮に勾留や観護措置が決定した場合でも、逮捕から23日間、あるいは観護措置決定から8週間は家に帰れなくなってしまいます。そうすると学校にも通うことができなくなってしまうため、影響は大きくなります。弁護士がいれば、取り調べ時のアドバイスはもちろん、余計な不安を感じないように精神的な支えになれるよう家族の伝言も伝えます。早期釈放のために、検察官への働きかけも行うでしょう。

処分が軽くなるよう最大限のサポートが得られる

少年審判が決定した後も、少年院に送られないよう裁判官に意見書を書くこともできます。家族のもとで十分に更生ができることを示すことが必要です。少年自身にも反省をアピールできるようにどう振る舞えば良いのかアドバイスをすることができます。

刑事事件では弁護活動を早期に開始することで、少年の将来への影響も少なくすることが可能です。逮捕されたら、すぐに弁護士に依頼するようにしてください。

被害者との示談を図る

通常の大人の事件の場合、被害者と示談をすれば不起訴となる、早期釈放が認められるなどのメリットを享受できます。捜査機関としても、当事者同士で和解が済んでいるのであれば、刑事事件として立件する必要はないと考えます。特に、飲んだ末の喧嘩などの暴力事件であれば、処罰を望まない被害者の意思を重視するでしょう。

更生可能性を示談で示すことが可能

少年事件の場合は、被害者感情よりも少年に更生可能性がどの程度があるのかが重要です。少年院に行かずとも、家庭内での更生が十分に可能と判断されれば、早期釈放や少年審判不開始の決定となりえます。そして、被害者との示談も更生可能性の1つとして判断されます。

本人が十分に反省し、家族と共に被害者に謝罪し示談を成立させているのであれば、更生可能性も高いと判断されるでしょう。

学校の処分を回避するための活動が必要

少年事件の場合、学校に逮捕が知られてしまったら学校でも処分の対象となってしまいます。お子さんがスムーズに学校に復帰できるよう処分を回避する、軽くするための対策を講じる必要があるでしょう。

最近では、逮捕されたらすぐに学校に連絡がいくような態勢が取られていますが、早期に弁護活動を開始すれば捜査機関から学校に連絡しないよう働きかけをすることもできます。学校に連絡がいく前であれば、逮捕の事実がバレずに処分を受けずに済む可能性もあるでしょう。

退学とならないよう弁護士から申し入れをすることも

学校に連絡が入ってしまった場合でも、退学という重い処分にならないよう学校生活の継続が必要であることを弁護士から学校へ申し入れを行うことができます。最終的な処分が下るまで学校の処分を保留にしてもらうなどの措置も考えられるでしょう。

このように、未成年の子どもが逮捕されたら、学校での処分についても対処していく必要があります。少年事件に慣れた弁護士に任せれば、処分回避のための活動を過不足なく行ってくれるはずです。

ワンポイントアドバイス
仮に退学となった場合でも、少年事件を多く取り扱う弁護士であれば、退学後に通える学校や夜間学校などの紹介も行ってくれます。弁護士を選ぶ際は、逮捕手続きから処分後のケアまで一貫して行ってくれる少年事件に慣れた弁護士や法律事務所を選ぶことが重要です。

未成年の子どもが傷害罪で逮捕されたら弁護士に相談を

未成年のお子さんが傷害罪で逮捕されたら、すぐに弁護士に連絡してください。お伝えした通り、刑事弁護は時間が勝負です。逮捕されて3日以内の釈放を目指すことが大切です。お子さんの将来に傷をつけないようにするためにも、最大限の配慮が必要となります。

少年審判になったとしても、できるだけこれまで通りの生活が送れるよう弁護士が尽力してくれます。子どもが逮捕されたら、少年事件を多く取り扱う弁護士事務所・法律事務所にご相談ください。

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