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債権回収ができず困ってしまったら?弁護士に依頼するメリットと費用相場を解説
この記事で分かること
- 債権回収は準備をきちんと行った上で、状況に合った適切な手段で行うことが大切
- 債権回収は個人で行うと難儀しがちですが、弁護士に依頼すると確実かつスピーディに高回収率での回収が可能
- 弁護士費用の相場は相談料が30分5000円、着手金が10万円~30万円です。成功報酬はケース毎に異なり、訴額が多い程高額に
- 成功報酬の発生条件に関して揉めるケースがあるので、事前にきちんと確認
債権回収は弁護士に依頼することで、的確で迅速な回収が可能になります。 成功報酬はケース毎に異なり、訴額が多い程高額になります。弁護士に依頼することによって債権回収率は高まります。
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債権回収ができない場合の対処法は
家賃に売掛金、貸したお金に未払給料…。一言で“債権”と言ってもその内容はさまざまです。取引開始時は返済能力があったはずの債務者が、経済状況の悪化等により、債権回収の際には返済能力が下がっていることはよくあります。そのような場合、債権者はどのようにして債権を回収すればよいのでしょうか。
債権回収で重要なこと
債権回収は行き当たりばったりで行っても、なかなか上手くいくものではありません。債権回収を有利に進めるためには、実際に回収にとりかかる前の段階できちんと準備をしておく必要があります。まずは債権回収事件において大切な点を押さえておきましょう。
債権回収において重要な2大要素
債務を履行させるに当たっては相手方の「債務履行能力」と「債務履行意思」が重要になってきます。お金がない者からは回収のしようがありませんし、あっても返済する意思がなければ回収は困難です。債権回収をしようという場合、お金がない相手に対してはどのようにお金を作らせるかがポイントです。そして、債務履行意思がない相手にはどのような圧力をかけて返済する気にさせるかが重要になってきます。
まずは、相手に“与信力”があるのかを見極める必要があるため、債務者の情報を丁寧に調査した上で、その状況に合わせて債権回収計画を立てるようにしなければなりません。
債権回収の手段
債権回収は、最終的には裁判による強制執行や差し押さえによって強制的に回収することになりますが、そこに行きつく前にとるべき手段があります。
まずは内容証明郵便で請求
期日までに返済がなかった場合まずは郵便で催促しましょう。この際内容証明郵便にすることが大切です。内容証明郵便はいつ、誰が、誰宛に、どんな内容の郵便を送ったのかを証明してくれる郵便です。一般的な郵便だと、後々「そんな郵便物は送られてきてこなかった」と主張されかねませんが、この内容証明郵便を利用した場合、内容の写しが郵便局に証拠として保管されているので、証拠となります。また特殊な郵便であるため、受け取った債務者に心理的なプレッシャーを与えることもできるでしょう。内容証明郵便の送付は裁判所を介さずに簡単に行え、債権回収の方法としてよく用いられる手段です。
支払い交渉する
内容証明郵便の督促に応じてくれるようなら、次にすべきは任意の支払い交渉をすることです。電話での交渉することもあります。その際、きちんと返済が遅延した理由を尋ねることが大切です。経済上の理由ならば、返済期限の延長等で譲歩する代わりに保証人や担保を付けてもらうように、話を付けるのも一つの手段です。
債権回収がうまくいかない場合は弁護士に依頼し法的措置へ
内容証明郵便による督促にも応じなかった場合や交渉が上手くいかなかった場合は、法的措置に移行し、強制的に回収する必要があります。法的手段には支払い督促や民事調停、訴訟等があります。その場合は、債権回収に強い弁護士に依頼しましょう。
スピーディな対応が重要
債務者が債務を履行しない理由が、返済に充てるお金がないことであるケースは多くあります。グズグズしていると債務者の経済状況が更に悪化し、回収がより一層困難になってしまいます。最終的には回収できずに終わってしまう危険もあります。
状況に合わせて回収方法を変える
また、債権回収では無用な軋轢を避けるために相手の出方に応じて適切な回収手段を考えるべきと言えます。例えば、法的手段を講じる場合にもまずは支払い督促をし、それでも支払いに応じなければ民事調停手続き、さらに合意に至らなければ訴訟と言った具合に段階的に進める必要があるのです。特に相手方と以後も関係を継続するつもりなら、下手をすると良好な関係を維持できなくなる恐れがあるので、いきなり訴訟にしたりすることのないよう、注意が必要です。
債権回収を弁護士に依頼するメリット
債権回収は自力で行うのではなく法の専門家である弁護士に依頼するのが得策です。
個人で債権回収に挑んだ場合、債務者がすんなりと返済に応じてくれないことがしばしばあります。つまり、債権者側が法律についての素人のみだと、債務者に“なめられる”可能性があるのです。その結果として一般の交渉や調停等の話し合いでは、本来の債権額よりも随分と少ない額での和解案で決着がつくことになりがちです。
力ずくで取り返すのは違法行為にあたる
だからと言って力ずくで返済させるのは不法行為に当たります。民法には「自力救済の禁止」と呼ばれる権利を侵害された権利者が法の定める手続きによらず、実力行使をもって権利の回復をしてはならないとする原則があるのです。例えば返済してくれないからといって債務者のもとに押しかけ、暴力や脅迫まがいの行為によって強制的に支払わせることは許されません。
弁護士に依頼するのが得策
個人で債権回収した場合に発生するこうした問題点も、弁護士に依頼すれば解決します。さらに法律のプロである弁護士ならば、スピーディかつ高い回収率での債権回収が可能になります。
確実、かつ迅速な回収が可能
債権回収手段の内支払い督促や民事調停は手続き工程こそさほど複雑ではないものの、提出が求められる書類が複数あります。また裁判所では厳しいチェックがありそれらの書類に不備があれば申し立ては受理されず手続きをまたやり直さなければならなりません。さらに、債務者側と話がつかなければ訴訟手続きへと移行することになります。前述の通り、債権回収事件では貸し倒れするリスクもあるため、スピードが肝心です。不慣れな個人が一連の手続きを行うと時間を浪費してしまう可能性がありますが、経験豊富な弁護士ならば確実かつスピーディな対応が可能なのです。
最善の方法を選べるので回収率が上がる
債権回収の事案にも、じっくり交渉すべき事案や訴訟を提起すべき事案、スピーディ―な回収を最優先すべき事案、コストをかけるべきでない事案等、さまざまなものがあります。場合によっては債権の一部は諦めた方が、最終的には債権者の利益に叶うケースもあります。そのよう中で、法的知識が乏しい個人が常に最善の選択を取るのは難しいと言わざるを得ません。法律のプロである弁護士に依頼すれば、ケースごとでベストな債権回収方法を提案してくれるでしょう。そういったことが、高い回収率を可能にするのです。
債権回収は個人で行うと難儀しがちですが、弁護士に依頼すると確実かつスピーディに高回収率での回収が可能です。
債権回収を弁護士に依頼する場合の費用
しかし債権回収を弁護士に依頼することを検討する際、多くの人が気にするポイントが弁護士費用です。ここでは実際に弁護士に債権回収を依頼した場合、費用はどれくらいかかるのかを解説します。
相談料は30分5000円、着手金は10万円~30万円が相場
相談料の相場は30分5000円です。ただ、近年は初回に限り相談料無料にしている事務所もあります。着手金は10万円~30万円が通常です。日当とは弁護士が相手方との交渉に出向く、あるいは裁判所に出頭する等、概ね事務所外へ出向くときにかかる費用ですが、これに関しては半日程度なら3万~5万、一日がかりなら6万~10万円程度を見ておくと良いでしょう。ただし着手金や相談料は通常、弁護士事務所のホームページに記載されているものの、日当は載っていないことが多いので確認が必要です。
成功報酬は事務所や事案、債権の額、回収方法による
成功報酬については一概にいくらが相場と言うことはできません。債権回収事件では着手金と成功報酬の料金体系をとる弁護士事務所が多いのですが、成功報酬は事案の条件によって大きく上下するのです。基本的には、請求金額や実際に回収できた額をもとに計算され、それらが大きい程費用もかかることになります。さらに交渉だけで済んだのか、あるいは訴訟までもつれ込んだのかといった回収方法や事案の難易によっても報酬に差が出てきます。
弁護士費用を安く抑える方法は
つまり民事事件の場合、費用に関して検討をつけることは困難なのです。しかし、弁護士費用は少しでも安く抑えたいと考えるのは当然です。では弁護士費用を安く済ませるにはどうすればよいのでしょうか。
できるだけ訴訟以外の方法で解決する
前述のように、債務者への督促や任意での交渉だけで済んだ場合と、訴訟の提起に至った場合では、弁護士費用は大幅に変わってきます。そのため、できるだけ訴訟以外の方法で決着をつけるのが安く済ませる方法と言えます。相手あっての話なので、債権者の思い通りにいくことばかりではありませんが、意識しておくだけでも随分と違うでしょう。
3分の2減額制度を利用できることも
また調停で解決した場合、成功報酬を3分の2に減額できることがあります。この仕組みを掲げている事務所も多いですので、確認してみることをおススメします。
債権回収の弁護士費用について知った上でメリットにつなげる
債権回収のための弁護士費用に関しては、落とし穴があります。“こんなはずではなかった”と嘆くことにならないように、依頼する前に知っておくべきことを解説します。きちんと弁護士の相場を知ることで、弁護士のメリットを十分に生かせるようにしましょう。
回収できなくても弁護士費用を払わなければならないことも
債権回収事件では、結果として一円たりとも回収できていないのにもかかわらず、弁護士費用を支払わなければならないケースがあります。
勝訴したものの、債務者が支払いに応じないケース
例えば、裁判で勝って300万円の支払いを命じる判決が出たのに債務者が支払いに応じない場合でも、成功報酬を請求されることがあります。これは委任契約時に、「成功報酬は獲得できた額の15%」等とする文言の契約を交わした場合に起こりやすいトラブルです。消費者側は獲得とは実際に手元にお金が戻ってくることを指すと思いがちですが、弁護士業界での獲得は“回収ではなく判決”なのです。つまり消費者と弁護士の認識に差が生じているわけです。
顧問契約料を支払わなければならないケース
また弁護士の中には顧問契約を結ぶことを受任の条件とする人もいます。この場合、一旦契約を結べば例え債権回収ができていなくても月々の顧問料を支払わなければなりません。。
トラブルを回避するために
こうしたトラブルを避けるためには、事前に報酬発生条件を確認したり、事務所の料金体系に注意することが有効です。
報酬発生条件をきちんと確認する
前者の例では、報酬発生条件に関する弁護士と消費者の認識に差があったことがわかります。こうした事態を避けるためには、委任契約の段階で報酬発生の条件について消費者と弁護士の認識に違いが生じないように、きちんと確認しておくことが必要です。
完全成功報酬型の事務所に相談する
また、完全成功報酬型(報酬は回収できた場合にのみ支払う)の料金体系を掲げている事務所を利用するのも一つの手段です。
債権回収を弁護士に依頼するメリットは大きい
債権回収を弁護士に依頼することには色々なメリットがあります。債権回収ができず頭に血が上るのも無理はありませんが、弁護士費用の相場をきちんと頭に入れ、費用倒れにならないよう注意するようにしましょう。弁護士に依頼するメリットを最大限にするためにも、債権回収のトラブルが生じたら、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
- 状況にあわせた適切な回収方法を実行できる
- 債務者に<回収する意思>がハッキリ伝わる
- スピーディーな債権回収が期待できる
- 当事者交渉に比べ、精神的負担を低減できる
- 法的見地から冷静な交渉が可能
- あきらめていた債権が回収できる可能性も