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代物弁済に対して税金が発生するケース
この記事で分かること
- 代物弁済は売買と同じようなもの
- 代物弁済は債権者も税金を払います
- 代物弁済でも非課税になる場合を知っておこう
代物弁済でどうして税金が発生するのか、それは代物弁済がモノを渡すことで債務に値する金額の利益を得たと判断するからです。そのため、現金で返せば非課税でも代物弁済には税金が発生します。そして、弁済だからと原則的に免税されないのは債権者も一緒です。どちらも税金を払い忘れないようご注意ください。
代物弁済の時に発生する税金とは?
代物弁済は債務を消滅させる代わりに債務者が持っている動産や不動産、債権を譲渡するものです。債務者には税金が発生しないものですが、代物弁済の場合は”債務者も”税金を支払う場合が少なくありません。
まずは弁済と税金について簡単に解説します。
債権者が受け取った所得には税金がかかる
債権には様々な種類がありますが、基本的には債務履行としてお金を支払うのが原則です。したがって金銭を受け取る債権者が所得に応じた税金を支払います。
事業活動をしている主体が売買によって売り上げを得た場合は消費税がかかるし、譲渡所得税なども関わります。もちろん、不動産売買の場合は買主にも不動産取得及び登記についての税金が生じます。
少なくとも取引があるところに税金が生じます。ただし、国は正当な課税をするために二重課税を防ぐための努力もしています。
借金のやりとりでは、債権者が得る利息の分だけ税金がかかる
取引によって得た財物に伴って税金が発生しますが、借金の場合はどうでしょう?お金を借りたからと所得税は発生しないし、逆にお金を貸したからと減税されるわけでもありません。
この場合、お金は利益でも損失でもなく売り物です。もう少しわかりやすく言えば「元本を売って利息を得る」ことが融資の仕組みです。
したがって借金の返済によって債権者が得られる所得は利息の分だけです。
代物弁済でなぜ余計な税金が発生するのか?
このように、債務の弁済で税金が発生すること自体は何ら問題はありません。ところが代物弁済をした場合は、金銭で支払った場合では発生しない税金が生じます。しかも債務者まで代物弁済の税金を払うことになっています。
代物弁済は「モノを債務と同じ価格で売買した取引」とみなされる
それは、代物弁済の場合は「モノで債務を帳消し=モノを債務と同じ価格で売買した」とみなされるからです。代物弁済をする場合も、ある目的物を第三者に売ってその利益を弁済するのも実質的には同じです。
そうである以上、代物弁済の場合が第三者への売却より有利になってはいけないというのが代物弁済に対する課税の趣旨です。
モノの価格が債務より高い場合、債権者の所得が発生、税金がかかる
さらに譲渡したモノが債務より高額なら債権者は一方的に得をします。そこで債権者にも代物弁済に際して新たな税金が発生するわけです。
代物弁済した債務者が支払う税金
代物弁済での税金を知っておくべきは債務者の方です。特に金銭での支払いが十分にできる状態で代物弁済した場合はこれらの税金を払う前提で臨みましょう。
譲渡所得税
代物弁済を選択して債務の弁済を図った債務者は、債務の金額あるいは時価の安い方で動産や不動産、あるいは債権を売ってその代金を返済したものとみなされます。したがって、消滅した債務に応じた譲渡所得税を支払います。
不動産は譲渡価格から取得費を引いたものが課税の基本となる原則ですが、代物弁済の場合は債務が基準となります。動産の場合は、特に計算で気をつけるポイントはありませんが逆に不動産と異なり通常の所得と合算されることには気をつけたいですね。
債権の場合も動産と同じように扱われます。弁済した財物の評価額が債務を上回っていた場合、債権者が精算金を債務者に支払えばそれも譲渡所得に上乗せされます。ゆえに税金が増えます。
消費税
消費税は事業を営んでいて、かつ1000万円以上の売り上げがある場合に支払う税金です。現在はその10%を支払いますが、仕入時に支払った消費税とは相殺します。
代物弁済においては代金を得ている以上、消費税が発生する可能性があります。ただし、それは事業を営んでいて課税が免除されない事業者に限定されます。
したがって、一般個人が代物弁済による消費税を支払うことはありません。特に自らの債権である限り債権譲渡のは非課税と判断されます。
法人税
法人は、個人とは異なる枠組みで法人税を支払います。さらに、免除された債務の金額が所得として判断されるため、時価が債務の金額に満たない時、所得が多く計算されます。
代物弁済を受けた債権者が支払う税金
債権に基づく弁済を受けた人は、それに応じた税金を支払います。代物弁済を受けた場合もこのような税金を支払うことになるでしょう。
所得税
債権者は利益を得るわけですから所得税を支払います。債権に基づく所得税は現物による弁済を受けた場合でも同じように発生します。これは代物弁済以外でも低用されます。現物給付にはその評価額に基づく所得税が生じます。
ちなみに、債権者は債権額ではなく時価で所得を計算するところが債務者と異なります。
贈与税
ただし代物弁済においては、債権に応じ多額が取引による所得となります。それよりも高額な財産を受けた場合は債権では賄えない部分が贈与されたものとみなします。
つまり代物弁済によって債権者が支払う贈与税は次のように計算されます。
贈与税=(代物弁済されたものの時価-債権額-各種控除)× 贈与税率
不動産取得税
不動産を取得した場合は不動産取得税がかかります。したがって不動産の代物弁済には収入印紙が必要となります。
不動産取得税は固定資産税評価額に税率を掛けて導きます。居住用不動産であれば不動産取得税を安くできます。
代物弁済の税金を払わなくて良い場合を解説
代物弁済の税金については、支払わなくて良い場合があります。それについてここでは解説します。
債務者の支払う税金が減る場合
債務者の支払う税金が減るのは次の場合です。
債務超過にある
債務超過にある場合は、税金を払えず譲渡所得を得たとも言えない状態です。そのため債務超過時における代物弁済で譲渡所得は発生しません。
債務超過とは資産より負債が多く、バランスシート上で純負債が計上される状態のことを言います。
清算金を他の弁済に充てた
清算金を他の債権者に支払った場合は、債務者が金銭所得を得ていないため所得税も発生しません。逆に、債務がある状態でも清算金を保持している場合はそれに税金が課されます。
競売にかけられた
強制換価された場合は課税されません。そもそも競売が必要になっている時点で債務超過であることが予想されます。
土地を弁済に充てた
土地は譲渡所得税が生じる一方で、消費税が発生しません。これは土地に消費という発想がないからです。土地と建物を弁済に充てた場合は両方の譲渡所得税を計算し、建物だけの消費税を計算します。
消費税課税免除の条件に該当する
売り上げ1000万円以上でも消費税を課されない場合があります。それが売り上げ5億円以下、かつ課税売上割合95%以上という基準です。つまり非課税の売り上げが少ないほど消費税を免除されやすいです。
債権者の税金が減る場合
債権者の税金が減るのは清算金を全て債務者に支払った場合です。清算金を全て債務者に支払えば贈与を受けていないことになるため、税金を減らせます。
代物弁済での税金未納を防ぎたいなら弁護士に相談を
代物弁済をいざ受ける時、これ以降の債権債務関係がどうなるのか?財物の動きに応じてどのように課税されるのか気になるところだと思います。
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