2020/2/28 3,119view

債権・債務とは?意味と違い、基礎知識をわかり易く解説

この記事で分かること
  1. 債権は資産、債務は負債
  2. 債権者は債権執行できるが、限界がある
  3. 債権も債務も、契約書が根拠であることを忘れずに

債権債務関係は、契約の根幹であり、あなたが何を得られるのか、逆にあなたがどんな支払いをしなければいけないのかを定義したものです。そして、権利を侵害された場合の救済制度は有限ですから最善の手を選ぶことが求められます。債権回収の際は法律のプロである弁護士に相談しましょう。そもそも「支払いがされない≠債務不履行」の可能性さえあり得るのですから。

債権とは?債務とは?わかりやすく解説

「支払われるはずのお金が入ってこない」「支払わなければいけないお金に頭を悩ませている」という方は少なくありません。契約が人間同士のものである以上、それに関わる問題は避けられないものです。

ところで、あなたがお金を受け取れる、逆にお金を支払わなければいけないという根拠は何でしょうか?それは契約ですよね。

債権回収を考える前に、そもそも債権とは、債務とは何か知るべきでしょう。

債権とは

債権とはある人に、金銭や役務を求めることができる権利を言います。そして債権を持つ人間のことを債権者と呼びます。

契約によって債権を得た場合は、契約書に基づく条件を満たすまで債権を行使できません。つまり債権は契約時に発生しますが、債権の行使は債務不履行などの条件が必要となるわけです。

債権は実行されれば、自分にメリットがあるため資産と言えます。特に金銭を要求できる場合は会計上も資産と記録されます。

例えば、商売の掛取引による売掛債権や、貸したお金、投資した株式などがこれに当たります。ちなみに、固定資産によってお金を得ている場合は、債権が資産として記録されることはありません。

債務とは

債務とは、ある人に対して金銭や役務を与える義務のことを言います。そして、債務を持つ人のことを債務者と呼びます。

債務は契約に決められた期日までに履行しなくてはいけません。履行できなければ債権者が様々な手段を使って請求します。最終的には債務履行のために財産を差し押さえることも債権者の権利です。

債務は基本的には負債と考えられ、金銭に関わるものは会計上も負債と記録されます。

借金が好例です。基本的には流動負債ですね。

債権も債務も、移転できる

債権や債務は契約で認められる限り、他者に移転することができます。債権者としては債務が履行されればその相手が誰であっても良いし、債務者としてもその逆が言えます。

ただし、債権者にとっては債務履行の実現性という面で、債務者にとっては債権者との関係性という面で容易に債権債務の譲渡が行われては困ることがあります。

したがって契約において債権債務の譲渡が制限されている場合が基本です。

ちなみに、債権や債務は何人経由して譲渡しても良いです。例えば手形の裏書きは場合によって10人以上が名を連ねます。

法律に違反する債権債務関係は作れない

債権債務関係は契約で作られることが基本ですが、法律に違反するような契約は許されないし時には法律に基づいて債権債務関係が生じることもあります。

前者の例としては「労働契約に違約金を設定する」というものがよく知られています。これは労働基準法における賠償の予定を禁止する条項とバッティングします。

後者の例としては、やはり税金でしょう。税金を滞納した場合、国や地方自治体は債権者としてあなたの財産を差し押さえます。

ワンポイントアドバイス
債権は何かを相手に要求する権利、債務は相手に何かを与える義務という理解で概ね大丈夫です。要するに、「何を根拠に」「どんな権利義務が発生しているのか」を把握することがとても大事になるわけです。

よって債権回収においては「あなたは何を回収することができますか?」という問いに正しく答えられなければいけません。

債権や債務はどんな形で発生するの?

債権や債務は契約や法律において発生しますが、こちらではどのように債権債務関係が生じるのかを見ることで、法律行為に対する理解を深めます。

契約として思い浮かぶのは双務契約

まず、一般的な契約として思い浮かぶのは双務契約でしょう。これはお互いに債権と債務のどちらも持つタイプの契約です。

売買契約

例えば売買契約。売り手は代金をいただく権利を債権として得ますが、その一方で商品を渡す義務が債務として生じます。買い手は代金を支払う義務が債務として生じる一方で、商品を得る権利が債権として発生します。

労働契約

例えば労働契約。事業主は給与を支払う債務があり、労働力を提供してもらう権利を債権として得ます。労働者は労働力を提供する債務があり、賃金を得る権利を債権として得ます。

双務契約の場合はお互いがお互いの債務を果たすことで両者ともに債権を実現できます。双務契約におけるトラブルの多くは「片方が債務を履行した、あるいはする意思があるのに、もう一方が債務を履行しない」というものです。

贈与などの片務契約もある

契約の中には、片方だけが債務を持つ片務契約もあります。

贈与契約

例えば贈与契約。贈与契約においては贈与者が財産を与える債務者となり、受贈者は財産を受け取る債権者となります。受贈者が贈与者に対してその契約における債務が発生することはありません。

不法行為の場合は?

故意または過失によって権利を侵害されたものは、発生した損害を加害者に賠償してもらうことができます。この損害賠償の支払いについて契約をした場合は片務契約として扱われますし、裁判などによって支払いうことが決まった場合も当該書類に基づき債権と債務が発生します。よほどのことがない限り、加害者が被害者に対し一方的な債務を持つため、やはり片務契約のようなものです。

相続って契約?

相続そのものは契約と言えませんが、遺産分割協議書は合意による取り決めである以上、一種の契約と言えます。被相続人が何らかの契約をしていた場合は、相続放棄をしなければ、誰かに債権債務関係が引き継がれます。

ちなみに、遺言が残されていた場合は債権や債務が発生することなく相続関係を確定します。

遺留分減殺請求が認められた場合は、主張した人間が債権者となり相続人が債務者となります。

実は債権の目的も単純ではない

また、債権回収の難しさは債権の目的物にもあります。

金銭の支払いであれば特に問題とならないところですが、「モノ」を提供する契約の場合はどんなものを提供すれば良いのかで争ってしまうのです。

例えば、「卵500個」を養鶏場から送ってもらったとします。もし、そのうちの半分が割れていたとしても債務者は鶏卵500個を送ったことに変わりありません。しかし、債権者としては半分の卵がダメになっているわけですからもう半分の卵を再送して欲しいところです。したがっていざという場合のリスクヘッジが必要です。

また、種類債権であっても品質保証は求められるし確実性で言えば指名債権の方が無難です。

債権や債務が消滅する場合は?

債権は債務履行によって、債務もその履行によって消滅します。

もし債務履行ができなかった場合も債権執行によって債権が満足された場合、逆に債務者が破産して債務が免責となった場合も債権債務関係が消滅します。

また、お互いに債務を持っている場合は、片方が破産した時に債務の相殺を行います。これは破産によって債権を失った側が、債務だけを持ち続けることは不適当だからです。

ワンポイントアドバイス
一般的な契約は双務契約であり、双務契約においては片方が先に債務履行すること或いはその準備をすることで損害が発生する恐れがあります。だからこそ、債権回収においては双務契約が問題となりやすいです。

片務契約の場合、大きな問題となることは少ないですが「贈与をあてにして新たな売買契約を結んだ」ような場合は簡単に債権を諦められないものです。

債務が履行されない時、債権者ができることは?

契約に基づく債務は当然に履行されるもの、とは限りません。様々な事情や債務者の悪意によって債権の回収が難しくなることが珍しくないからです。

債権者は債権の執行ができる

債権者は債務履行を迫るために、請求や示談交渉などの手段を取れます。そして、訴訟を含め手を尽くしても債権回収が実現しなかった場合は債権の執行が可能です。

債権の執行とはいわゆる差し押さえのことで、裁判所に手続きを行います。なぜこのプロセスを経る必要があるのか?それは「契約関係は裁判によって確定する」からです。

いくら契約を結んでもそれが法的に正しいかどうかは、わからないのです。それでもお互いの信頼や法的紛争のコストを考え「間違い無く正しいものとして」取引を繰り返しているのが現状です。

債権の執行は勝訴により行われるものではありません、訴訟と別個での手続きが必要であることにご注意ください。

資力がない相手には何もできない

差し押さえは債務者の財産を収集し、それを換価して債権を満足させることです。ということは債務者の財産が充分になければ債権回収が実現しないことを意味します。

しかも、現行法においては債務者の財産を調査することができません。

債権譲渡はどんな時に用いれば良い?

回収が面倒な債権を持つくらいなら誰かに債権を売ってしまおう、と考える気持ちもわかります。銀行や消費者金融はサービサーという債権回収会社に債権を半額程度の値段で売り、損失を抑えているようです。しかし、一般的な業者はサービサーを利用できません。譲渡をしたくなるような不良債権は、着手金や成功報酬を支払い弁護士に回収代行してもらうことがおすすめです。

ちなみに一般的な業者にとって債権譲渡の使い所は自分の債権を売り渡すのではなく、債務者の持つ債権を戴く時です。債務者に目立った財産がない場合に債権を譲受し第三者からお金を払ってもらえればリスク回避になります。

ワンポイントアドバイス
債権は権利であり債務は義務。ですが、物理的に果たすことのできない債務の履行を求めたところで不毛なだけです。債権者の保護には限界があることを弁えた上で、合理的な契約を心がけましょう。

債権・債務をめぐるトラブルは弁護士に相談を

債権・債務は証明が求められる。相手が債務を承認しない場合は弁護士への相談がベター

債権・債務は証明が求められます。相手が債務を承認しているなら問題はないし時効も問題となりません。しかし、契約書の解釈で揉めている時は「そもそも債権者なのか?」という疑問符がついてしまいます。

争いを長引かせたくない、時間稼ぎのうちに財産を隠されたら困るという時はすぐに弁護士へご相談ください。

債権回収を弁護士に相談するメリット
状況にあわせた適切な回収方法を実行できる
債務者に<回収する意思>がハッキリ伝わる
スピーディーな債権回収が期待できる
当事者交渉に比べ、精神的負担を低減できる
法的見地から冷静な交渉が可能
あきらめていた債権が回収できる可能性も
上記に当てはまるなら弁護士に相談