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人身事故への切り替え方法|必要書類と期限

人身事故への切り替え方法|必要書類と期限

この記事で分かること

  • 物損事故から人身事故へ切り替える方法と手順
  • 切り替えに必要な診断書と期限の目安
  • 物損のままにするデメリット(慰謝料・実況見分調書・過失立証)
  • 切り替えで受け取れる賠償(慰謝料・治療費・休業損害)
  • 弁護士に相談するメリット

事故でケガをしているなら、物損事故から人身事故への切り替えが可能です。病院でケガの診断書を取り、それを持って警察に届け出ます。明確な期限はありませんが、時間がたつほど切り替えは難しくなるため、早めの対応が肝心です。切り替えれば、物損のままでは受け取れなかった慰謝料や治療費、休業損害を請求できるようになります。切り替えの方法とメリットを弁護士が解説します。

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人身事故への切り替えとは

事故の直後は痛みがなかったので、物損事故として届け出た。ところが翌日から首が回らなくなり、病院で診断を受けた。この場合、警察に申し出て人身事故として扱い直してもらうことができます。これが切り替えです。

手続きそのものは難しくありません。診断書を取り、事故を届け出た警察署に提出して申し出る。基本はこれだけです。

費用もほとんどかかりません。診断書の文書料が数千円程度で、警察への申し出そのものに手数料は生じません。

時間としても、電話で確認したうえで一度警察署に出向き、後日の実況見分に立ち会う。この程度です。負担を理由に見送るほどのものではありません。

むしろ、手続きをしないまま治療を続けるほうが、後で大きな不利益になります。治療費の支払いが止まったとき、求める根拠がないからです。

ただし、時期を逃すと受け付けてもらえなくなります。また、警察の窓口で渋られることもあります。何をどう準備すればよいのかを知っておくと、無駄な往復を避けられます。

とくに、痛みを我慢しているうちに日が経ってしまう方が多くいます。受診が遅れると、そのぶん切り替えも難しくなります。

「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに一週間、二週間と過ぎる。よくある経過ですが、手続きの面では不利に働きます。

痛みの程度と、手続きの締まり方は別物です。軽く感じても、受診だけは早めに済ませてください。

この記事では、切り替えの手順、必要な書類、期限の考え方、断られたときの対処までを整理します。二つの扱いで何が変わるのかという点は、別の記事で詳しく扱っています。

まだ届け出を済ませていない段階であれば、最初から人身として届け出るほうが早道です。この記事は、すでに物損で処理してしまった方に向けたものです。

加害者の立場で、切り替えを求められている方にも参考になる内容です。後半で、切り替わることでどういう負担が生じるのかも扱っています。

結論だけ先に申し上げれば、妨げようとするほうが不利になります。

切り替えると何が変わるのか

手続きに入る前に、要点だけ押さえておきます。

物損事故のままでは、治療費も慰謝料も請求の枠に入りません。相手方が任意で治療費を払ってくれることはありますが、途中で止められたときに求める根拠がありません。

最初のうちは払ってもらえていたのに、三か月を過ぎたあたりで打ち切られる。物損のままだと、そこから先を争う足場がありません。

交渉の前提として、人身として処理されているかどうかが効いてくるということです。

自賠責への請求も、人身でなければ受け付けられません。相手が任意保険に入っていない事案では、この違いが決定的になります。

また、物損では実況見分が行われないため、事故の状況を示す客観的な記録が残りません。過失割合が争いになったとき、こちらの立証の負担が重くなります。

信号の色や車の位置をめぐって主張が食い違う事故では、この差が金額に直結します。

過失割合が一割動くだけでも、受け取れる額は変わります。

被害が大きい事案ほど、その差は大きくなります。

相手が任意保険に入っていない場合も差が出ます。人身であれば相手の自賠責に直接請求できますが、物損では自賠責が使えません。

つまり、治療を受けているのであれば、切り替えないという選択に利点はありません。

手間を惜しんで放置すると、後から取り返せなくなります。動くなら早いうちです。

では、具体的にどう進めるのか。順に見ていきます。

難しい手続きではありませんので、身構える必要はありません。

切り替えの手順

実際の流れは次のとおりです。

  1. 医療機関を受診し、診断書を作成してもらう
  2. 事故を届け出た警察署に電話し、切り替えたい旨を伝える
  3. 担当の窓口と、出向く日時を確認する
  4. 診断書を持参して警察署へ行き、申し出る
  5. 後日、実況見分に立ち会う
  6. 保険会社へ連絡し、人身に切り替わった旨を伝える

二番目が意外と大切です。いきなり出向いても、担当者が不在で出直しになることがあります。交通課の事故係が窓口になりますので、電話で確認してから行ってください。

その際、診断書のほかに何を持参すべきかも尋ねておくと確実です。警察署によって求められるものが少し違います。

あわせて、実況見分の日程についても聞いておくと、予定を立てやすくなります。

当日その場で決まることもありますので、手帳を持っていくとよいでしょう。

実況見分について

切り替えが受理されると、あらためて実況見分が行われます。現場に出向き、事故の状況を説明することになります。

相手方も呼ばれるのが通常ですが、別々に行われることもあります。日程は警察が調整します。

仕事の都合がつかない場合は、その旨を伝えれば調整してもらえます。ただし、あまり先延ばしにすると記憶があいまいになります。

できるだけ早い日程で受けてください。

現場の状況も、時間が経てば変わります。路面の痕跡は、雨が降れば消えてしまいます。

ここで作られる調書は、過失割合を判断するうえで重みを持つ資料です。記憶している事柄と、はっきりしない事柄を切り分けて話してください。当て推量で答えると、その内容が前提として残ってしまいます。

走行速度は、感覚と計測値が食い違いやすい代表例です。覚えていないなら、覚えていないと答えて差し支えありません。できあがった調書は読み上げられますので、記載に違いがあればその場で直してもらってください。

必要な書類

持参するものを整理しておきます。

  • 医師が作成した診断書。警察提出用として発行してもらう
  • 運転免許証などの身分証
  • 車検証。車両で被害に遭った場合
  • 印鑑。求められることがある
  • 事故の届け出をした際に受け取った書類があれば、それも

中心になるのは診断書です。受診の際に「交通事故によるもので、警察に提出します」と伝えてください。用途を伝えないと、保険会社提出用のものが出てくることがあります。

様式が違うため、そのままでは受け付けてもらえないことがあります。二度手間になりますので、最初に伝えておいてください。

保険会社にも提出するのであれば、そちらの分もあわせて依頼しておくと効率的です。

受診のたびに発行を頼むより、必要な分をまとめたほうが費用も抑えられます。

診断書の記載で確認すること

傷病名と、治療にかかる見込み期間が記載されているかを確認してください。この期間が、加害者の違反点数にも影響します。

治療期間が15日以上かどうかで付加点数が変わりますので、医師の記載がそのまま処分に反映されます。

とはいえ、こちらが期間を調整してもらうような話ではありません。実際の症状に応じて書かれるものです。

医師に対して、期間を長く書いてほしいと求めるようなことはしないでください。

事実と異なる記載は、後で問題になります。

痛む箇所が複数あるのであれば、すべて記載してもらってください。後から別の部位を訴えても、事故との関係を疑われます。

気になる箇所は、小さな違和感でも伝えておいてください。診察の場で言いそびれると、記録に残りません。

首と腰の両方が痛むのに首だけ伝えた、という例をよく見ます。

後から腰の治療を始めても、事故との関係を認めてもらいにくくなります。

初診の段階で、痛む場所をすべて挙げておいてください。

後から思い出した場合は、次の診察で早めに伝えてください。

時間が空くほど、事故との関係を示しにくくなります。

ワンポイントアドバイス
診断書の発行には費用がかかります。文書料として数千円程度が一般的です。この費用も、後から損害として請求できますので、領収書は保管しておいてください。

時期ごとの見通し

事故からの経過 切り替えの見通し
当日〜3日 ほぼ問題なく受理される
1週間以内 受理される。受診の遅れを尋ねられることがある
2週間〜1か月 事情の説明を求められる。受理されることは多い
1か月超 断られることがある。理由の説明が不可欠
数か月後 受理は難しい。代替の手段を検討する

あくまで目安で、警察署によって対応は分かれます。ただ、早く動くほど確実になるという傾向は共通しています。

数か月が経ってしまった場合でも、あきらめる前に相談してみてください。事情によっては受理されることもあります。

期限の考え方

法律で「何日以内」と定められているわけではありません。ただし、実務上の目安はあります。

受診は事故から数日以内に

最も重要なのがここです。事故から受診までの期間が空くほど、そのケガが事故によるものかを疑われます。

当日か翌日に受診しておけば、まず問題になりません。一週間を超えると、説明を求められる場面が出てきます。

相手方の保険会社からも、同じ点を確認されます。受診の遅れは、治療費の支払いを渋られる理由にもなります。

切り替えの申し出も早いほうがよい

診断書を取ったら、間を置かずに警察へ出向いてください。事故から一か月を超えると、受理してもらえないことがあります。

明確な基準があるわけではなく、警察署によって対応が分かれるところです。だからこそ、早く動くほど確実になります。

診断書が出た日に電話を入れ、翌日か翌々日には出向く。この程度の速さで動ければ、まず問題になりません。

遅れる事情があるなら伝える

入院していて動けなかった、症状が後から出たといった事情があれば、そのまま説明してください。合理的な理由があれば、考慮されます。

作り話をする必要はありません。事実をそのまま述べてください。

警察で受け付けてもらえない場合

残念ながら、こうした事態は起こります。

よくある理由

事故から時間が経ちすぎている、症状と事故の関係がはっきりしない、加害者が事故そのものを否定している。こうした事情があると、受理に消極的になることがあります。

「物損のままでも保険は使えますよ」と言われることもありますが、実際には使える範囲が限られます。

相手方が任意で治療費を払っている間は問題が表面化しませんが、打ち切られた時点で困ることになります。

粘るべき場面

診断書があり、事故から日も浅いのであれば、あらためて事情を説明してください。なぜ受診が遅れたのか、どういう症状が出ているのか。具体的に伝えることで、扱いが変わることがあります。

「痛みを我慢していたが、仕事に支障が出るようになったので受診した」といった経緯も、伝える価値があります。

どうしても受け付けてもらえない場合は、その理由を確認しておいてください。後の手続きで説明が必要になります。

保険会社に事情を伝える際にも、警察がどう判断したかを説明することになります。

こんな場面で迷いやすい

実際の相談で多い三つの場面を挙げておきます。

症状が軽く、通院も数回で終わりそう

それでも切り替えておく価値があります。慰謝料は通院の期間や日数に応じて算定されますので、短期間でも対象になります。物損のままでは、そもそも枠に入りません。

数回の通院で終わったとしても、後から症状がぶり返すことがあります。記録が残っていれば、そのときに対応できます。

治療が数回で済むなら、加害者の点数も軽く収まります。相手にとっても、極端な負担にはなりません。

過度に遠慮する必要はないと考えてください。

治療を受ける以上、その費用は加害者側が負担すべきものです。

自分で抱え込む理由はどこにもありません。

治療に専念できる状態を作ることが、回復にもつながります。

金銭の心配をしながらの通院では、続けるのが難しくなります。

相手が知人や同僚で、事を荒立てたくない

気持ちとしては理解できます。ただ、賠償は相手方の保険から支払われるのが通常で、本人の懐が直接痛むわけではありません。

免許の点数は避けられませんが、それを理由に治療費を自己負担するのは筋が違います。関係を保ちたいのであれば、手続きは事実どおりに進めたうえで、伝え方を工夫するほうが現実的です。

「保険の手続きで必要なので」と伝えれば、角が立ちにくくなります。

実際、保険を使ううえで必要な手続きです。嘘にはなりません。

相手も、保険会社から同じ説明を受けることになります。

こちらから頭を下げて頼むような話ではありません。

制度に沿って処理するだけのことです。

自分にも過失がある

双方に落ち度がある事故でも、切り替えはできます。過失割合に応じて減額はされますが、請求できないわけではありません。

むしろ、実況見分が行われることで割合の判断材料が残ります。物損のままだと、相手の言い分だけが通ってしまうこともあります。

過失が大きいからと遠慮する必要はありません。手続きとしては、同じように進められます。

割合の判断は、後から交渉する余地もあります。

相手方の提示をそのまま受け入れる必要はありません。

納得できない点があれば、根拠を尋ねてみてください。

説明できない提示であれば、見直しの余地があります。

実況見分の記録を取り寄せて確認するという方法もあります。

切り替えられない場合の代替手段

人身事故として処理してもらえなくても、賠償を受ける道が閉ざされるわけではありません。

人身事故証明書入手不能理由書

交通事故証明書に人身事故と記載されないとき、それを補うための書面が用意されています。書式は保険会社が持っていますので、担当者に申し出てください。

記載するのは、事故の状況、ケガの内容、なぜ人身事故として扱われていないのか、といった内容です。作成するのは原則として被害者本人です。

実際と異なる内容を書けば、後々もめる原因になります。ありのままを記入してください。記入のしかたに迷ったら、担当者に尋ねれば教えてもらえます。

これを出すことで、自賠責への請求に進める場合があります。とはいえ、人身事故と記載された証明書がある場合に比べると、追加の説明を求められる機会は多くなります。

受け付けてもらえるかどうかは保険会社の判断によりますので、確実な方法ではないという前提で考えてください。

補強する材料

事故の直後に撮影した写真、ドライブレコーダーの映像、相手とのやり取りの記録。こうしたものが残っていれば、事故の存在と状況を示せます。

受診の記録も重要です。事故の当日や翌日に医療機関にかかっていれば、時期の面からつながりを説明しやすくなります。

反対に、受診までの間が空いていると、事故が原因のケガだと示しにくくなります。

健康保険を使って治療を続ける

相手方からの支払いが止まっている状態でも、通院を打ち切らないでください。健康保険に切り替えれば、窓口で払う額はぐっと小さくなります。

利用するには、第三者行為による傷病届を出す必要があります。手続きは、加入先の健康保険組合や市区町村の窓口で案内してもらえます。

医療機関から自由診療を勧められることもありますが、自分で負担する段階では窓口の金額が大きくなります。健康保険に切り替えたい旨を伝えてください。

加害者から切り替えを止められたら

実際によくある場面です。

「人身にすると点数が付いて免許が危ない」「治療費は全額払うから物損のままで」。こうした申し出を受けることがあります。

応じる義務はありません。治療を受けている以上、実際にあったとおりに処理してもらうのが筋です。

相手の免許や処分を心配して譲る筋合いは、被害者の側にはありません。

そして、口約束は守られないことがあります。担当者が代わった途端に方針が変わる、支払いを途中で打ち切られる。こうした事態は、実際によく起きています。書面のない約束を前提に、請求できる権利を手放すべきではありません。

加害者の側から見ても、切り替えを妨げようとした事実が捜査で明らかになれば、かえって不利に働きます。隠そうとしたという評価を受けるためです。

誠意を示したいのであれば、弁償を早く進めることです。そちらのほうが、処分の判断でも評価されます。

治療費の支払いはどうなるか

切り替えの前後で、治療費の扱いが変わります。

切り替え前

物損として処理されている間は、相手方の保険会社が治療費を払う法的な根拠がありません。好意で支払われることもありますが、いつ止まってもおかしくない状態です。

自分で立て替えることになった場合は、健康保険を使ってください。窓口の負担が三割に抑えられます。

使えないと誤解している方が多いのですが、交通事故による治療でも健康保険は使えます。

医療機関から自由診療を勧められることもありますが、自己負担の段階では金額が大きく変わります。

健康保険を使いたい旨を、はっきり伝えてください。

切り替え後

人身として処理されれば、相手方の保険会社が医療機関へ直接支払う扱いに移るのが一般的です。窓口での負担がなくなり、治療に専念しやすくなります。

これを一括対応と呼びます。自賠責と任意保険をまとめて処理する仕組みで、被害者の手間が大きく減ります。

切り替えが済んだら、相手方の担当者に一括対応を依頼できるかを確認してみてください。

過失割合によっては、応じてもらえないこともあります。

こちらの過失が大きい事案では、断られることがあります。その場合も健康保険を使えば、負担は抑えられます。

自分の人身傷害保険が使えるかも、あわせて確認しておいてください。

過失割合にかかわらず支払いを受けられる補償です。

付いているかどうかは、証券を見れば分かります。

ただし、法律上の義務ではありません。一定の期間が過ぎると、打ち切りを告げられます。むち打ちであれば三か月程度が一つの目安ですが、症状によって変わります。

支払いを止めると言われても、そこで通院をやめる必要はありません。主治医が継続を要すると考えているのであれば、通い続けるべきです。

健康保険に切り替えて通院を続け、立て替えた分を後から請求する。この形で進めることになります。

途中で通院をやめると、症状が残っても後遺障害の認定を受けにくくなります。

継続した記録があることが、認定の前提になるためです。

症状が残りそうであれば、通院の頻度も含めて主治医と相談しておいてください。

週に一度は通っておくのが一つの目安です。月に一度では、記録として弱くなります。

とはいえ、必要もないのに通うのは本末転倒です。症状に応じて、医師と相談しながら決めてください。

過剰な通院は、かえって疑いを招きます。実態に沿った頻度が一番です。

症状固定と判断された時点で、治療は区切りを迎えます。そこから先は、後遺障害の手続きに移ります。

人身として処理されていれば、この流れに乗れます。切り替えは、その入口にあたる手続きです。

後から振り返ったときに、あのとき動いておいてよかったと感じる場面が、いずれ必ず訪れます。

立て替えた分の精算

切り替え前に自分で払った治療費も、後から請求できます。領収書と診療明細書を保管しておいてください。

通院のための交通費も請求できます。行った日と経路をメモしておけば、後でまとめるときに手間が省けます。

公共交通機関であれば実費、自家用車であれば距離に応じた額が目安になります。タクシーは、必要性が認められる場合に限られます。

骨折などで公共交通機関を使えない状態であれば、認められやすくなります。

領収書は必ず残しておいてください。

後からまとめて請求する際の根拠になります。

紛失すると、実際に払った額を示せません。

切り替えた後にすること

手続きが済んだら、次の三つを進めてください。

まず、保険会社への連絡です。物損として処理が進んでいた場合、扱いを変える必要があります。相手方の保険会社にも、人身に切り替わった旨が伝わります。

治療費の支払いについても、あらためて取り決めることになります。

次に、交通事故証明書の取り直しです。すでに取得していた場合、記載が物件事故のままになっています。切り替え後にあらためて申請してください。

警察の記録が更新されてから発行されますので、申し出の直後だとまだ間に合わないことがあります。

三つめは、治療を続けることです。症状が残っているうちは、主治医の判断に従って通院してください。間隔が空きすぎると、通う必要がなかったと受け取られます。

治療費の支払いを打ち切ると告げられても、そこでやめる必要はありません。医師が必要と判断しているなら、健康保険に切り替えてでも続けてください。後から請求できる余地が残ります。

症状が残るのであれば、後遺障害の認定を受けるという道もあります。そのためにも、治療の記録を積み上げておく必要があります。

切り替えによる加害者への影響

相手にどういう負担が生じるのかも、知っておくと交渉の見通しが立ちます。

刑事については、捜査が始まり、書類が検察庁へ送られます。後日呼び出しを受け、起訴するかどうかが判断されます。被害が軽微で示談も成立していれば、起訴されずに終わることが多くあります。

人身事故で起訴されるのは、被害が重い事案や悪質な違反が絡む事案です。

行政については、事故の原因となった違反の点数に加えて、被害の程度に応じた付加点数が加算されます。治療期間が長いほど、点数は重くなります。

被害が軽ければ、免許停止に届かないこともあります。

賠償については、任意保険から支払われるのが通常です。加害者本人の負担が直接増えるわけではありません。

つまり、加害者が恐れているのは主に点数と刑事処分です。ただし、それは被害者が譲るべき理由にはなりません。

加害者が負う責任と、被害者が受け取るべき補償は、別の話として整理してください。

よくある質問

物損から人身に切り替えるにはどうすればよいですか

医療機関で診断書を取り、事故を届け出た警察署に持参して申し出てください。事前に電話で担当の窓口と日時を確認しておくと、無駄な往復を避けられます。受理されると、後日あらためて実況見分が行われます。

いつまでに切り替えればよいですか

法律上の期限はありませんが、早いほど確実です。受診は事故から数日以内、切り替えの申し出も間を置かずに行ってください。一か月を超えると、受理されないことがあります。

診断書はどこでもらえますか

治療を受けた医療機関で作成してもらいます。警察へ出すものだと申し出てください。伝えずにいると、保険会社向けの様式で発行されることがあります。文書料は数千円程度で、後から損害として請求できます。領収書は保管しておいてください。

警察に断られました

理由を確認したうえで、事情をあらためて説明してみてください。それでも受け付けてもらえない場合は、人身事故証明書入手不能理由書を提出することで、保険の手続きを進められる場合があります。保険会社の担当者に相談してください。

切り替えると加害者はどうなりますか

刑事の捜査が始まり、違反点数にも付加点数が加算されます。ただし、被害が軽微で示談も成立していれば、起訴されずに終わることが多くあります。賠償は任意保険から支払われるのが通常です。

相手に「物損のままにしてほしい」と言われました

応じる義務はありません。治療費を全額払うと言われても、口約束が守られる保証はありません。ケガをしているのであれば、事実どおりに処理してもらってください。

切り替えないと治療費は請求できませんか

請求できないわけではありませんが、根拠が弱くなります。相手方が任意で支払っている間はよいのですが、打ち切られたときに求める手立てがありません。治療を続けるつもりなら、切り替えておくべきです。

事故から二か月経っています。もう無理でしょうか

難しくなりますが、試す価値はあります。なぜ受診や申し出が遅れたのかを具体的に説明してください。仕事を休めなかった、症状が後から強くなったといった事情があれば、考慮されることがあります。受け付けてもらえない場合は、人身事故証明書入手不能理由書を検討してください。

あきらめて放置すると、治療費の請求そのものが難しくなります。

まずは電話で相談してみてください。窓口で門前払いされたわけでなければ、道は残っています。

診断書を用意したうえで話すと、対応が変わることもあります。

口頭で相談するより、書面を示すほうが伝わります。

受診した記録があることも、あわせて伝えてください。

事故の直後から通っているのであれば、つながりを説明しやすくなります。

実況見分には必ず立ち会うのですか

原則として立ち会います。事故の状況を説明する必要があるためです。入院中などで動けない事情があれば、その旨を伝えて日程を調整してもらってください。作成される調書は、過失割合を判断する資料になります。

相手方と別々に行われることもありますので、顔を合わせるのが負担であれば、その旨を伝えてみてください。

対応してもらえることがあります。

切り替えた後、証明書は取り直す必要がありますか

すでに取得していた場合は、記載が物件事故のままです。人身事故と記載されたものが必要であれば、切り替え後にあらためて申請してください。

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