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宥恕(ゆうじょ)とは?示談書の重要文言

この記事で分かること

  • 宥恕(ゆうじょ)とは何か・被害者が処罰を望まない意思
  • なぜ示談書の宥恕文言が重要なのか
  • 宥恕文言があるとどう違うのか
  • 宥恕文言の具体例と書き方の注意
  • 宥恕を得る方法(誠実な対応と示談)
  • 宥恕文言をめぐる弁護士の役割
  • 宥恕と示談の違い

宥恕とは、被害者が加害者を許し処罰を望まない意思を示すことです。これを示談書に宥恕文言として記載すると、被害者が処罰を望まないことが検察官に明確に伝わり、不起訴に傾きやすくなります。宥恕は被害者の自発的な意思で、誠実な謝罪と示談を通じて得るものです。弁護士に相談を。

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示談を進めるなかで、「宥恕(ゆうじょ)」という、あまり聞き慣れない言葉を目にして、戸惑った方もいるのではないでしょうか。弁護士から「示談書に宥恕文言を入れることが大切です」と言われても、それがどういう意味で、なぜ重要なのか、ピンとこない方も多いでしょう。実は、この宥恕文言があるかどうかが、不起訴を勝ち取れるかどうかを左右することもある、とても大切なポイントなのです。

この記事では、宥恕とは何か、なぜ示談書の宥恕文言が重要なのか、宥恕文言があるとどう違うのかを、弁護士の視点でわかりやすく解説します。宥恕文言の書き方の注意点や、宥恕を得るためにどうすればよいかまで、現場で役立つ知識をお伝えします。示談や被害者対応に取り組んでいる方は、ぜひ落ち着いて読み進めてください。言葉の意味を正しく理解することが、適切な示談への第一歩になります。

宥恕(ゆうじょ)とは?被害者が処罰を望まない意思

まず、宥恕とは何かを確認しておきましょう。宥恕とは、被害者が加害者の行為を許し、「加害者の処罰を望まない」という意思を示すことをいいます。簡単に言えば、被害者が加害者を許す、という気持ちの表れです。刑事事件の示談においては、この宥恕の意思を、示談書のなかに「宥恕文言」として記載することが、しばしば行われます。この宥恕文言こそ、示談書の効果を大きく左右する、いわば心臓部ともいえる部分です。言葉は難しそうに見えますが、その中身は「被害者が許してくれたかどうか」という、とてもシンプルなものです。

「宥恕」という言葉は、日常ではほとんど使われませんが、刑事事件の世界では重要な意味を持つ用語です。被害者が、加害者に対して「もう処罰までは望まない」「許します」という気持ちを持ち、それを明確に示すこと——これが宥恕です。被害者が示談に応じ、被害の弁償を受け、加害者の謝罪と反省を受け入れたうえで、宥恕の意思を示してくれれば、それは加害者にとって、非常に有利な事情になります。読み方は「ゆうじょ」で、「宥」には「なだめる・ゆるす」、「恕」には「思いやる・ゆるす」という意味があり、二文字あわせて「相手を思いやって許す」という意味合いを持つ言葉です。

まず押さえたいポイント
宥恕(ゆうじょ)とは、被害者が加害者を許し、「処罰を望まない」という意思を示すことです。この意思を示談書に記載した「宥恕文言」が、不起訴を勝ち取るうえで重要な意味を持ちます。

ここで大切なのは、宥恕は、被害者の自発的な意思である、という点です。加害者が無理に求めたり、強要したりするものではありません。被害者が、加害者の誠実な謝罪と反省、被害の弁償を受け入れ、自らの意思で「許す」と思えたときに、初めて宥恕の意思が生まれます。だからこそ、宥恕を得るためには、被害者に対して誠実に向き合うことが何より大切になります。次に、なぜこの宥恕文言が、これほど重要なのかを見ていきましょう。

なお、「宥恕」と似た場面で使われる言葉に、「嘆願」があります。嘆願は、被害者が「加害者を寛大に処分してほしい」と願い出ることで、宥恕と近い意味合いで用いられることがあります。いずれも、被害者が加害者に対して厳しい処罰を望んでいない、という気持ちを示すものであり、刑事処分において加害者に有利に働く点では共通しています。表現や形式に違いはあっても、本質的に重要なのは、「被害者が加害者をどう思っているか」「処罰を望んでいるかどうか」という、被害者の気持ちそのものです。宥恕という言葉の形式にこだわるよりも、被害者の処罰感情が本当に和らいでいるかどうかが、結果を左右するのだということを、押さえておきましょう。

なぜ示談書の宥恕文言が重要なのか

宥恕文言が重要だとされるのは、それが検察官の判断に、大きな影響を与えるからです。その理由を、刑事手続きの仕組みから見ていきましょう。なぜ被害者の「許す」という気持ちが、加害者の処分を左右するのか——その仕組みを知ることが大切です。

検察官が、ある事件を起訴するか不起訴にするかを判断する際、被害者がどう感じているかは、非常に重要な判断材料になります。被害者が「厳しく処罰してほしい」と強く望んでいる事件では、検察官は起訴に傾きやすくなります。一方、被害者が「示談も成立し、もう処罰は望まない」という意思、すなわち宥恕の意思を示している事件では、検察官は不起訴(とくに起訴猶予)に傾きやすくなります。被害者がもはや処罰を望んでいないのであれば、あえて起訴して加害者を罰する必要性は小さくなる、と考えられるからです。刑事事件で示談が重要とされる理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。

なぜ、検察官は被害者の気持ちをそれほど重視するのでしょうか。それは、刑事事件において、被害者は、その事件によって直接の被害を受けた当事者だからです。被害者が、加害者を許し、もはや処罰を望んでいないのであれば、国家があえて刑罰を科してまで加害者を罰する必要性は、相対的に小さくなります。とくに、被害が回復され、加害者が反省し、被害者も納得しているような事件では、刑事処分によって達成すべき目的の多くが、すでに果たされているとも考えられます。こうした考え方から、被害者の処罰感情、そしてその解消を示す宥恕の意思は、検察官の判断において、大きな比重を占めるのです。宥恕文言は、まさにこの被害者の意思を、検察官に伝える役割を担っています。

つまり、示談書のなかに宥恕文言があるということは、「被害者が処罰を望んでいない」ことを、検察官に対して明確に示す証拠になるのです。単に示談が成立した、被害が弁償された、というだけでなく、被害者が加害者を許し、処罰を望まない意思まで示している——この事実が、不起訴という結果を後押しします。起訴猶予による不起訴については、こちらの記事で詳しく解説しています。だからこそ、示談を成立させる際には、宥恕文言をきちんと盛り込むことが、非常に重要になるのです。

具体的に考えてみましょう。たとえば、同じ程度の事件で、二人の加害者がいたとします。一人は、被害を弁償して示談はしたものの、被害者の処罰感情についてははっきりしないまま。もう一人は、被害を弁償したうえで、被害者から「許します。処罰は望みません」という宥恕の意思まで得て、それを示談書に明記している。この二人を比べたとき、検察官は、後者のほうを、より不起訴にしやすいと考えるでしょう。被害者がもはや処罰を望んでいないことが、書面ではっきりしているからです。このように、宥恕文言があるかどうかは、不起訴の判断において、現実的な差を生む可能性があるのです。だからこそ、示談を進める際には、単に金銭の授受で終わらせるのではなく、宥恕の意思を得て、それを書面に残すところまで、しっかりと行うことが大切になります。同じ示談でも、一歩踏み込んだ対応が、結果の違いとなって表れるのです。

宥恕文言があるとどう違うのか

では、示談書に宥恕文言がある場合と、ない場合とでは、具体的にどう違うのでしょうか。両者を比べてみましょう。この違いを知ると、宥恕文言の重要性がいっそうはっきりします。

示談書に宥恕文言がない場合、検察官に伝わるのは、「示談が成立し、被害が弁償された」という事実までです。これも、もちろん有利な事情ではあります。しかし、被害者が加害者を許し、処罰を望まない意思を示しているかどうかは、明確には伝わりません。被害者としては、お金は受け取ったが、処罰自体は望んでいる、という可能性も残ってしまうのです。被害弁償と処罰感情は、本来別の問題であり、弁償を受けたからといって、必ずしも処罰を望まなくなるとは限らないからです。

これに対し、宥恕文言がある場合、検察官には、「示談が成立し、被害が弁償され、さらに被害者が加害者を許し、処罰を望まない意思を示している」ことが、明確に伝わります。被害者の処罰感情が解消されていることがはっきりするため、検察官は、より不起訴に傾きやすくなります。つまり、宥恕文言の有無は、同じ示談でも、検察官に与える印象を大きく変えるのです。せっかく示談を成立させるのであれば、宥恕文言まで盛り込んでこそ、その効果を最大限に引き出せる、ということになります。同じ労力をかけるなら、得られる効果は大きいほうがよいに決まっています。

項目 宥恕文言がない示談書 宥恕文言がある示談書
伝わる事実 示談成立・被害弁償 示談成立・被害弁償+処罰を望まない意思
処罰感情 解消されたか不明確 解消されたことが明確
不起訴への効果 一定の効果 より強い効果

このように整理すると、宥恕文言の有無が、いかに大きな違いを生むかが分かります。示談という同じ行為をしても、宥恕の意思まで明確に示されているかどうかで、検察官に伝わる内容が変わり、結果として不起訴になりやすさも変わってくるのです。せっかく時間と労力をかけて示談を成立させるのですから、その効果を最大限に引き出すためにも、宥恕文言まできちんと盛り込むことが大切だといえます。逆に、宥恕文言を入れ忘れたり、あいまいな表現にとどめたりすると、本来得られたはずの不起訴の可能性を、十分に活かせないことにもなりかねません。だからこそ、示談書を作成する段階で、宥恕文言の重要性を理解し、適切に対応することが求められるのです。

宥恕文言の具体例と書き方の注意

宥恕文言は、実際には示談書のなかに、どのように記載されるのでしょうか。書き方のポイントと注意点を見ていきましょう。

宥恕文言は、一般的には、被害者が加害者の処罰を望まない旨を、明確に表す形で記載されます。たとえば、被害者が加害者を許し、その刑事処罰を求めない、という趣旨の文言が盛り込まれます。大切なのは、「処罰を望まない」という意思が、あいまいさなく、はっきりと示されていることです。表現があいまいだと、被害者が本当に処罰を望んでいないのかどうかが、検察官に正確に伝わらないおそれがあります。

たとえば、「被害者は加害者を許し、加害者の刑事処罰を求めない」といった趣旨が、明確に記載されることが望まれます。これに対し、単に「示談が成立した」とだけ書かれていて、処罰を望むか望まないかには触れられていないと、宥恕の意思があるのかどうかが不明確になってしまいます。被害者の気持ちは、本人にしかわからないものですから、それを書面のうえで、誤解の余地なく表現することが重要なのです。なお、宥恕文言の具体的な文面は、事件の内容や被害者の意向によって調整する必要があり、決まった「ひな形」をそのまま使えばよいというものではありません。被害者の真意を正確にくみ取り、それを適切な表現で書面化するには、やはり専門的な配慮が求められます。

ここで注意したいのは、宥恕文言は、ただ形式的に入れればよいというものではない、という点です。被害者の真意に沿った、適切な内容でなければなりません。また、示談書全体のなかで、示談金の額や、追加請求をしないことなど、ほかの条項とも整合性が取れている必要があります。さらに、事件の内容によっては、宥恕文言だけでなく、告訴の取り下げなど、ほかの対応も併せて検討すべき場合があります。こうした点を踏まえて、適切な示談書を作成するには、専門的な知識が欠かせません。示談書の作成を含む示談全体の進め方については、こちらの記事も参考になります。

不起訴を後押しする示談書には、一般に、次のような要素が盛り込まれます。これらが過不足なく、整合的に記載されていることが大切です。

  • 示談金の額と支払い方法
  • 被害者が加害者を許し、処罰を望まないという宥恕の意思
  • 今後この件について追加の請求をしないこと
  • 示談によって当該事件が解決したこと
  • 必要に応じて、告訴を取り下げる旨

これらの要素が、ばらばらに記載されていたり、表現が食い違っていたりすると、後から「示談の範囲はどこまでか」「本当に処罰を望んでいないのか」といった争いを招きかねません。とくに、宥恕の意思を示す文言は、不起訴を目指すうえで核心となる部分ですから、あいまいさを残さず、明確に記載することが重要です。形式だけ整えた示談書ではなく、被害者の真意を正確に反映し、かつ刑事手続きのなかで効果を発揮する示談書を作ることが、求められるのです。

注意
宥恕文言は、ただ形式的に入れればよいものではありません。被害者の真意に沿い、処罰を望まない意思が明確に示され、示談書全体と整合している必要があります。作成には専門的な知識が欠かせません。

宥恕を得るには(誠実な対応と示談)

では、被害者から宥恕の意思を得るには、どうすればよいのでしょうか。宥恕は、被害者の自発的な意思ですから、無理に引き出せるものではありません。だからこそ、加害者の向き合い方が問われます。ここを誤ると、かえって被害者の態度を硬化させてしまうこともあります。

宥恕を得るための出発点は、何より、被害者に対する誠実な謝罪です。加害者が、自らの行為を深く反省し、被害者に心から謝罪する。その姿勢が伝わって初めて、被害者の気持ちもやわらいでいきます。形だけの謝罪や、処分を軽くするための手段としか思っていない態度では、被害者の心は動きません。本当に申し訳ないと思う気持ちを、誠実に伝えることが、宥恕への第一歩です。被害者は、加害者の態度を敏感に感じ取ります。口先だけの謝罪なのか、本心からの反省なのかは、案外伝わってしまうものです。だからこそ、小手先のテクニックではなく、本当の意味で自分の行為と向き合うことが、何より大切になります。

そのうえで、被害の弁償を適切に行い、被害者が納得できる形で示談を成立させることが大切です。被害者が、加害者の反省を受け入れ、被害の弁償も受け、「もうこれ以上の処罰は望まない」と思えたとき、宥恕の意思が生まれます。ただし、こうした交渉を、加害者本人が直接行うのは難しく、かえって被害者の感情を害するおそれもあります。被害者との示談交渉は、第三者である弁護士を通じて、被害者の気持ちに配慮しながら、丁寧に進めるのが確実です。被害者対応で気をつけるべき点については、こちらの記事も参考になります。

とくに意識しておきたいのは、宥恕は「結果」であって、「目的」そのものではない、ということです。「宥恕文言をもらうこと」を最初の目的にして、形だけ被害者に許しを求めても、被害者の心は動きません。むしろ、加害者が、自分の行為がどれだけ被害者を傷つけたかを真摯に受け止め、心から反省し、誠実に償おうとする——その姿勢の「結果」として、被害者の気持ちがやわらぎ、宥恕の意思が生まれるのです。順序を取り違えて、宥恕文言という「成果」だけを求めると、かえってうまくいきません。被害者一人ひとりに、それぞれの感情があり、許せる時期も、許せるかどうかも異なります。その気持ちを尊重し、誠実に向き合い続けることが、結果として宥恕につながる——この姿勢を、加害者本人も、そして交渉にあたる弁護士も、忘れてはならないのです。

宥恕文言をめぐる弁護士の役割

宥恕文言をめぐって、弁護士はどんな役割を果たすのでしょうか。その重要性を整理しておきましょう。宥恕は、得るのも、書面にするのも、活かすのも、いずれも専門性を要する場面です。

まず、弁護士は、被害者との交渉のなかで、宥恕の意思を引き出すよう努めます。被害者の気持ちに配慮し、加害者の誠実な反省を伝え、信頼を築きながら、最終的に被害者が処罰を望まない意思を持てるよう、丁寧に対応します。これは、被害者の感情を扱う、繊細で専門的な仕事です。当事者本人が直接行えば、かえって反発を招きかねないことも、弁護士が間に入ることで、円滑に進められます。被害者のなかには、加害者本人とは一切話したくないが、弁護士となら冷静に話せる、という方も少なくありません。弁護士という中立的な立場の第三者が窓口になることで、被害者も感情的にならずに済み、結果として宥恕の意思が得られやすくなるのです。

そして、宥恕の意思を得られた場合、弁護士は、それを示談書のなかに、適切な宥恕文言として記載します。どのような表現で、どのように盛り込めば、被害者の真意を正確に反映し、かつ検察官に対して効果的に伝わるか——弁護士は、こうした点を踏まえて、過不足のない示談書を作成します。さらに、その示談書を検察官に提出し、宥恕の意思が示されていることを的確に伝えて、不起訴を働きかけます。宥恕を引き出すところから、それを書面にし、検察官に伝えるところまで、一貫して対応できるのが、弁護士に依頼する大きな強みです。家族が逮捕されてお困りの場合の対応については、こちらの記事も参考になります。

逆に言えば、これらを当事者本人だけで行うのは、非常に困難です。まず、被害者から宥恕の意思を引き出す交渉自体が、感情のからむ繊細なものです。加害者が直接交渉すれば、被害者の警戒や反発を招き、宥恕どころか、示談すらまとまらなくなりかねません。また、仮に被害者が口頭で「許す」と言ってくれたとしても、それを刑事手続きのなかで効果的に機能する宥恕文言として、適切に書面化するには、専門的な知識が要ります。さらに、その書面を検察官にどう提出し、どう伝えるかにも、ノウハウが必要です。これらのどこか一つでもうまくいかなければ、せっかくの宥恕が、不起訴という結果に十分に結びつかないおそれがあります。だからこそ、宥恕文言をめぐる対応は、最初から弁護士に任せることが、確実なのです。

  • 弁護士が被害者と交渉し、誠実な謝罪を通じて宥恕の意思を引き出す。
  • 宥恕の意思を、適切な宥恕文言として示談書に記載する。
  • 示談書を検察官に提出し、処罰を望まない意思を伝える。
  • 不起訴(起訴猶予)を働きかける。
  • よくある質問(FAQ)

    宥恕文言があれば必ず不起訴になりますか?

    宥恕文言は不起訴に大きく近づく要素ですが、それだけで必ず不起訴になると保証されるわけではありません。事件の重大性など、ほかの事情も考慮されるためです。とはいえ、被害者が処罰を望まない意思を明確に示していることは、検察官の判断において非常に重要な材料になります。示談を成立させる際には、宥恕文言を盛り込むことが大切です。可能性を最大限に高めるための、有力な手段だと考えておくとよいでしょう。

    宥恕文言は自分で書いてもよいですか?

    おすすめしません。宥恕文言は、被害者の真意に沿い、処罰を望まない意思が明確に示され、示談書全体と整合している必要があります。表現があいまいだと、効果が十分に得られないおそれもあります。また、被害者から宥恕の意思を引き出す交渉自体が、専門的で繊細なものです。示談書の作成は弁護士に任せるのが確実です。

    被害者が宥恕してくれない場合はどうなりますか?

    被害者が宥恕の意思を示してくれない場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。弁護士が誠実に交渉を続けることで、時間の経過とともに被害者の気持ちがやわらぎ、最終的に宥恕の意思を示してくれることもあります。また、宥恕までは得られなくても、示談の成立や被害弁償の事実が、処分において考慮されることもあります。被害者が最初に示す態度が最終結論とは限らないため、まずは弁護士に相談しましょう。

    宥恕と示談は何が違いますか?

    示談は、加害者と被害者が話し合い、被害の弁償や謝罪を通じて事件を解決する合意です。宥恕は、そのなかで被害者が「加害者を許し、処罰を望まない」という意思を示すことです。示談のなかに宥恕の意思が含まれ、それが示談書に宥恕文言として記載されることで、不起訴に向けた効果がより強まる、という関係にあります。つまり、示談という大きな枠組みのなかに、宥恕という要素が含まれる、と理解するとよいでしょう。

    まとめ|宥恕文言が不起訴を後押しする

    宥恕(ゆうじょ)とは、被害者が加害者を許し、「処罰を望まない」という意思を示すことです。刑事事件の示談では、この宥恕の意思を、示談書のなかに宥恕文言として記載します。検察官が起訴・不起訴を判断する際、被害者の処罰感情は重要な材料になるため、宥恕文言があることで、「被害者が処罰を望んでいない」ことが明確に伝わり、不起訴(起訴猶予)につながりやすくなります。宥恕文言の有無は、同じ示談でも、検察官に与える印象を大きく変えるのです。

    そして、宥恕は、被害者の自発的な意思ですから、無理に引き出せるものではありません。加害者の誠実な謝罪と反省、適切な被害弁償を通じて、被害者の気持ちがやわらいで初めて、宥恕の意思が生まれます。こうした交渉や、適切な宥恕文言を盛り込んだ示談書の作成は、専門的で繊細な仕事であり、弁護士に任せるのが確実です。宥恕を引き出し、それを書面にし、検察官に伝えるところまで、一貫して対応できるのが、弁護士に依頼する強みです。示談や被害者対応に取り組んでいる方は、一人で抱え込まず、まずは刑事事件にくわしい弁護士に相談してみてください。早く動くほど、とれる手立ては多くなります。

    「宥恕」という耳慣れない言葉に、最初は戸惑うかもしれません。しかし、その本質は、とてもシンプルです。被害者に誠実に向き合い、心から謝罪し、きちんと償う。その結果として、被害者が「もう許します」と思ってくれる——それが宥恕です。難しい言葉の形式にとらわれるよりも、被害者の気持ちにどう寄り添うかを考えることが、結果的に宥恕につながり、不起訴という結末を引き寄せます。そして、その過程を適切に進め、得られた宥恕を確実に結果に結びつけるために、専門家の力を借りることが大切です。被害者対応という難しい局面も、正しい理解と弁護士のサポートがあれば、乗り越えていけます。この記事が、その一助になれば幸いです。

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