掲載弁護士・法律事務所 2,000以上/全国対応

名誉毀損と侮辱罪の違い|ネットの書き込みが罪になる基準と判例

名誉毀損と侮辱罪の違い|ネットの書き込みが罪になる基準と判例

この記事で分かること

  • ツイッターの名誉毀損とは
  • ツイッターの誹謗中傷が危険な理由
  • ツイッターの名誉毀損が認められた判例
  • ツイッターの名誉毀損対策

ツイッターでの誹謗中傷は例え投稿内容が事実であったとしても、名誉棄損罪に当たります。過去に実際にツイッターの投稿に高額な損害賠償が請求された事例も存在します。被害に合ったら是非IT弁護士に相談し、必要なら裁判所に訴えましょう。

ネット問題に強い弁護士を探す

「これって名誉毀損になりますか」。ネットの書き込みに関する相談で、いちばん多く受ける質問です。ひどい言葉を向けられた側からも、うっかり書き込んでしまった側からも、同じ問いが寄せられます。

名誉毀損と侮辱は、どちらも人の名誉を傷つける行為です。ところが、罪が成立する条件も、法定刑も、民事で責任を問われる場面も、少しずつ違います。その違いを知らないまま動くと、訴えるつもりが空振りに終わったり、反論のつもりが自分の責任を問われたりしかねません。

この記事では、弁護士として実際の事件を扱ってきた経験から、名誉毀損と侮辱の違い、成立する基準、ネットの書き込みで問題になりやすい論点を、判例も交えてお伝えします。

名誉毀損と侮辱の違い|ひと目で分かる比較

両者を分ける最大のポイントは、具体的な事実を示しているかどうかです。事実を示して評価を下げれば名誉毀損、事実を示さずに見下せば侮辱、と覚えておくと整理しやすくなります。

項目 名誉毀損罪(刑法230条) 侮辱罪(刑法231条)
事実の摘示 必要 不要
書き込みの例 「あの教師は生徒に体罰をしている」 「あの教師は無能で最低だ」
法定刑 拘禁刑(上限3年)か罰金(上限50万円) 拘禁刑(上限1年)、罰金(上限30万円)、拘留、科料のいずれか
真実だった場合 一定の条件で処罰されない 真実かどうかは関係しない
告訴の要否 親告罪(告訴が必要) 親告罪(告訴が必要)
公訴時効 3年 3年

表を見ると、法定刑は名誉毀損のほうが重く、侮辱は罰金の上限も低く設定されています。事実を示して評価を下げる行為のほうが、周囲に与える影響が大きいと考えられているためです。

ここでいう「事実」は、本当のことという意味ではありません。証拠によって真偽を確かめられる性質の内容、という意味です。「横領した」「不倫している」「前科がある」は、たとえ嘘であっても事実の摘示にあたります。

一方、「ブス」「無能」「死ね」といった言葉は、真偽を確かめようがない評価や罵倒です。こちらは侮辱の問題になります。

もう一つ覚えておきたいのは、どちらにあたるかで取れる手段が変わるという点です。名誉毀損なら、相手が真実性を立証できるかどうかが争点になりますが、侮辱では真偽は問題になりません。

2つが重なる書き込みもある

現実の書き込みは、きれいに分かれるとは限りません。「経費をごまかしている泥棒課長」のように、事実の摘示と罵倒が一つの文に入っていることもよくあります。この場合、より重い名誉毀損が問題になるのが通常です。

侮辱と正当な批判の境目

否定的な意見をすべて侮辱として扱えば、自由な議論が成り立ちません。「この政策は失敗だ」「この本はつまらなかった」という評価は、対象が行為や作品に向けられている限り、侮辱にはあたらないのが通常です。

問題になるのは、批判の矛先が行為から人格そのものに移ったときです。「この政策は失敗だ」は許されても、「こんな政策を作るやつは脳みそがない」となれば、侮辱の領域に入っていきます。投稿の目的が議論なのか、相手をおとしめることなのかも判断の材料になります。

名誉毀損罪が成立する3つの要件

刑法230条の名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立します。要件を分解すると、次の3つになります。

前提として「人」が特定されていること

名誉毀損も侮辱も、特定の人に向けられていることが前提です。「最近の若者は礼儀がない」のように漠然とした集団を対象にした発言では、誰かの名誉が傷つけられたとはいえません。一方で、「〇〇社の営業部の連中は全員詐欺師」のように範囲が限られた集団なら、その構成員一人ひとりへの名誉毀損と評価される余地があります。

公然性|不特定または多数の人が知り得ること

公然とは、不特定または多数の人が知ることのできる状態を指します。誰でも見られるSNSや掲示板への投稿は、閲覧者が実際に少なくても、原則として公然性が認められます。

少人数に伝えた場合でも、そこから広く伝わっていく可能性があれば公然性が認められることがあります。

具体的には、会社の会議で数人の同僚に向けて「〇〇さんは取引先から裏金をもらっている」と話したケースを考えてみましょう。聞いた同僚が社内で話を広めることが十分に予想されるなら、発言の場が少人数でも公然性が認められる可能性があります。

これを「伝播性の理論」と呼びます。友人数人のグループチャットで流した噂が、やがて職場中に広まった、というケースでは、この考え方が問題になり得ます。

事実の摘示|具体的な事実を示すこと

前の章で説明したとおり、真偽を確かめられる内容を示すことが必要です。書き方が断定でなくても構いません。「〜らしい」「〜という噂がある」といった伝聞や推測の形でも、読み手に事実として受け取られるなら、摘示にあたると判断されます。

投稿全体の印象で判断される

一文だけを取り出すと問題がなさそうでも、投稿全体を読むと特定の事実をほのめかしている、ということがあります。裁判所は、一般の読み手が普通の注意で読んだときに受ける印象を基準に、投稿が何を伝えているかを判断します。疑問形や遠回しな表現で逃げようとしても、全体として事実を示していると読めれば、摘示があったと評価されます。

名誉毀損|社会的評価を下げるおそれ

ここでいう名誉とは、その人に対する社会的な評価のことです。実際に評価が下がったことまでは必要なく、下げるおそれのある行為であれば足ります。被害者本人がどれだけ傷ついたかという主観ではなく、一般の読み手がどう受け取るかを基準に判断されます。

ワンポイントアドバイス

名誉毀損の成否を考えるときは、書かれた人の気持ちではなく、何も知らない第三者がその投稿を読んだらどう思うか、という目線で読み直してみてください。「この人はそういうことをする人なんだ」と受け取られる内容なら、社会的評価を下げる投稿である可能性が高いといえます。

名誉毀損にならない場合|真実性と相当性

事実を示して評価を下げたら、すべて処罰されるわけではありません。報道や正当な批判まで罰してしまえば、表現の自由が失われてしまうからです。刑法230条の2は、一定の場合に処罰しないと定めています。

公共性・公益目的・真実性の3つがそろう場合

  • 摘示した事実が、公共の利害に関するものであること
  • その目的が、もっぱら公益を図ることにあったこと
  • 事実が真実であると証明されたこと

この3つがすべてそろえば、名誉毀損罪は成立しません。政治家の不正や企業の不祥事を報じる記事が罰せられないのは、この規定があるからです。公務員や選挙の候補者に関する事実は、公共の利害に関するものとみなされるという特則もあります。

公共の利害に関する事実とは

公共の利害に関する事実とは、多くの人が正当な関心を寄せるべき事柄をいいます。政治家や公務員の職務に関すること、大企業の経営の問題、犯罪に関する事実などが代表例です。

私人の私生活は原則として含まれませんが、例外もあります。社会に大きな影響力を持つ宗教団体の代表者の私生活上の行状について、公共の利害に関する事実にあたると判断した最高裁の判例があります。その人の社会的な立場や影響力によって、判断は変わるということです。

公益目的が否定されやすい例

書いた内容が公共の利害に関わる事実でも、目的が相手への恨みや嫌がらせにあると判断されれば、公益目的は否定されます。表現が必要以上に攻撃的な場合や、同じ内容を執拗に繰り返している場合は、公益ではなく私怨によるものと見られやすくなります。

真実だと信じる相当の理由があった場合

最高裁は1969年の判決(夕刊和歌山時事事件)で、真実であることの証明ができなくても、確実な資料や根拠に照らして真実だと誤信したことに相当の理由があれば、名誉毀損罪は成立しないと判断しました。これを「相当性の法理」といいます。

相当性が認められにくいケース

相当の理由があったかどうかは、どんな資料を根拠にしたかで判断されます。次のような場合は、相当性が認められにくい傾向にあります。

  • 別の匿名掲示板の書き込みだけを根拠にした
  • 知人から聞いた噂を、確認せずにそのまま書いた
  • 本人や関係者に一度も事実を確かめなかった
  • 反対の内容を示す資料があるのに無視した

個人のネット投稿にも同じ基準が当てはまる

個人がネットに書き込む場合は、報道機関より基準を緩めてもよいのではないか。この点が争われたのが、2010年の最高裁決定(ラーメンフランチャイズ事件)です。最高裁は、ネットの個人利用者による表現でも、他の表現手段と同じ基準で判断すべきだとしました。ネットの情報は瞬時に広まり、被害が深刻になり得ることが理由の一つです。

補足

「本当のことを書いただけだから問題ない」という反論をよく耳にします。しかし、私人の私生活に関する事実は、公共の利害に関するものとは認められにくいのが実情です。真実であっても、他人の過去の離婚歴や病気の話を広める行為は、名誉毀損やプライバシー侵害になり得ます。

侮辱罪が成立する要件と2022年の厳罰化

侮辱罪は、事実を摘示しないで、公然と人を侮辱した場合に成立します。公然性の考え方は名誉毀損と共通です。違いは、事実の摘示がいらないという点にあります。

名誉毀損とのもう一つの違いは、伝える中身の具体性です。侮辱は具体的な事実を伴わないぶん、言葉の強さや繰り返しの程度によって違法性が判断されます。たった一度の「バカ」と、何十回も続く執拗な罵倒とでは、評価がまったく違ってきます。

侮辱にあたる表現の例

  • 容姿をあざける言葉(「ブス」「デブ」など)
  • 能力や人格を全否定する言葉(「無能」「クズ」「ゴミ」など)
  • 存在を否定する言葉(「消えろ」「生きている価値がない」など)

ただし、どんな否定的な言葉でも侮辱罪になるわけではありません。言葉の強さ、前後の文脈、投稿の回数などを総合して、社会通念上許される範囲を超えているかが問われます。

厳罰化の背景と内容

侮辱罪の法定刑は、長く「拘留または科料」という刑法の中でも最も軽いものでした。拘留は30日未満の身柄の拘束、科料は1万円未満の金銭の納付です。SNSでの誹謗中傷が社会問題となり、テレビ番組の出演者が中傷を受けて亡くなった事件をきっかけに、罰則の軽さが問題視されました。

2022年7月7日に施行された改正で、侮辱罪の法定刑に1年以下の懲役・禁錮と30万円以下の罰金が加わりました。2025年6月からは懲役と禁錮が拘禁刑にまとめられています。法定刑が重くなったことで、公訴時効も1年から3年に延びました。

時期 侮辱罪の法定刑 公訴時効
2022年7月6日まで 拘留または科料 1年
2022年7月7日から 1年以下の懲役・禁錮、30万円以下の罰金、拘留または科料 3年
2025年6月1日から 拘禁刑は1年まで、罰金は30万円まで(拘留・科料も可) 3年

厳罰化で何が変わったか

法定刑が引き上げられたことで、変わったのは刑の重さだけではありません。改正前は、侮辱罪で逮捕できるのは住所不定などの限られた場合に限られていましたが、改正後はその制限がなくなりました。教唆犯や幇助犯として、侮辱をそそのかした人や手助けした人を処罰することも可能になっています。

もっとも、厳罰化によって正当な批判まで萎縮することを懸念する声もありました。そのため、施行から3年後に運用状況を検証することが附則で定められています。

改正後に増えた相談

厳罰化のニュースが広く報じられた後、「侮辱罪で訴えたい」という被害者からの相談と、「自分の書き込みは侮辱罪になるのか」という書き込んだ側からの相談が、どちらも目に見えて増えました。罰則が重くなったことで、ネット上の言葉の重みを意識する人が増えたことは確かでしょう。

ネットの書き込みで問題になりやすい論点

ネット上の書き込みには、対面での発言にはない特有の問題があります。実際の事件でよく争点になるものを取り上げます。

ハンドルネームや伏せ字でも成立するか

実名が書かれていなくても、周囲の人が読めば誰のことか分かる場合は、名誉毀損や侮辱が成立し得ます。これを同定可能性といいます。「〇〇駅前の歯科医院の院長」「〇〇高校2年の山〇」のように、情報を組み合わせると特定できる書き方がその典型です。

ハンドルネームで活動している人への中傷については、ネット上の人格への攻撃が現実の本人の評価を下げると言えるかが問題になります。活動の実態や本人との結びつきの強さによって、判断が分かれるところです。

リツイートや引用で広めた場合

他人の投稿をそのまま再投稿しただけでも、元の投稿の内容に賛同して広めたものとして、名誉毀損の責任が認められた裁判例があります。2020年の大阪高等裁判所の判決は、その代表例として知られています。コメントを添えずに共有しただけ、という言い分が常に通るわけではない点に注意が必要です。

スクリーンショットを転載した場合

他人の中傷投稿を画面ごと撮影し、別のSNSに貼り付けて広めるケースもあります。このような転載も、中傷の内容をさらに多くの人に知らせる行為として、責任を問われる可能性があります。「元の投稿を紹介しただけ」という説明では、責任を逃れられないこともあると考えておきましょう。

ダイレクトメッセージや非公開アカウント

一対一のダイレクトメッセージは、原則として公然性がないため、名誉毀損罪や侮辱罪にはあたりません。ただし、内容によっては脅迫罪など別の犯罪になることがありますし、民事上の名誉感情の侵害として責任を問える場合もあります。鍵のかかったアカウントでも、フォロワーが多数いれば公然性が認められる可能性があります。

匿名掲示板での書き込み

匿名だから分からないだろう、と考えて書き込む人は少なくありません。しかし、発信者情報開示の手続きを使えば、多くの場合で投稿者を特定できます。匿名であることは、名誉毀損や侮辱の成否には影響しません。

炎上に便乗した書き込み

誰かが炎上しているとき、大勢の人が次々と非難の言葉を書き込むことがあります。一人ひとりは「みんなが書いているから」と軽い気持ちでも、被害者にとっては一つひとつが刃物のようなものです。多数の中の一人であっても、個々の書き込みが名誉毀損や侮辱にあたれば、それぞれが責任を問われます。実際に、炎上に加わった複数の投稿者が特定され、損害賠償を求められた事例は少なくありません。

会社や店舗に対する書き込み

名誉毀損罪と侮辱罪は、法人も被害者になり得ます。会社や店舗に対する根拠のない悪評は、これらの罪に加えて、信用毀損罪や業務妨害罪が問題になることもあります。

民事上の名誉毀損と名誉感情の侵害

ここまで刑事上の罪を中心に説明してきましたが、実際の相談では、民事で損害賠償を求めるケースのほうがずっと多いです。民事では、刑事とは少し違う枠組みで判断されます。

民事の名誉毀損は事実の摘示がなくても成立する

民事の名誉毀損は、社会的評価を下げる行為であれば成立します。刑事と違い、事実の摘示だけでなく、意見や論評の形で評価を下げる場合も含まれます。ただし、意見や論評については、前提となる事実が重要な部分で真実であり、人身攻撃に及ぶなど論評の域を逸脱していなければ、違法性がないとされます。

ここで気をつけたいのは、民事と刑事は別々に判断されるという点です。刑事で不起訴になっても、民事で賠償が認められることはありますし、その逆もあり得ます。

名誉感情の侵害

社会的評価は下がらなくても、本人のプライドや自尊心を著しく傷つける言葉は、名誉感情の侵害として違法になることがあります。刑事でいう侮辱に近い考え方です。社会通念上許される限度を超えた侮辱かどうかが基準になり、単なる悪口では認められにくい一方、執拗で過激な罵倒は認められやすい傾向があります。

比較 刑事 民事
目的 国が処罰する 被害者が金銭などで償いを求める
手続き 告訴し、捜査機関が捜査する 被害者が交渉や訴訟で請求する
成立の範囲 名誉毀損罪は事実の摘示が必要 意見や論評で評価を下げても成立し得る
結果 拘禁刑や罰金などの刑罰 慰謝料の支払い、投稿の削除など

慰謝料の考え方

民事で認められる慰謝料の額は、書き込みの内容の悪質さ、閲覧された範囲、書き込みが続いた期間、被害者の社会的な立場、実際に生じた影響などを総合して決まります。名誉毀損は、一般に名誉感情の侵害より重く評価される傾向にあります。

事業者が被害者の場合は、慰謝料ではなく、信用の低下による無形の損害として賠償が認められることがあります。売上が減ったことを証明できれば、その分の損害も請求の対象になり得ます。

削除や謝罪広告を求めること

民事では、金銭の支払いだけでなく、名誉を回復するための措置を求めることもできます。投稿の削除のほか、新聞や雑誌による名誉毀損では謝罪広告の掲載が命じられた例もあります。ネットの書き込みの場合は、削除と慰謝料の請求を組み合わせるのが一般的です。

名誉毀損や侮辱の被害を受けたときの対応

自分が名誉毀損や侮辱の被害に遭ったと感じたら、次の順で動くのが基本です。

  1. 投稿の内容、URL、日時が分かる形で画面を保存する
  2. 名誉毀損と侮辱のどちらにあたりそうか、弁護士の見立てを聞く
  3. 匿名なら、発信者情報開示の手続きで投稿者を特定する
  4. 投稿の削除を求める
  5. 損害賠償の請求や刑事告訴を検討する

投稿が一つの場合もあれば、同じ人物から繰り返し書き込まれている場合もあります。後者なら、どの投稿から優先的に手続きを進めるかを決めることも重要です。

告訴を考えているなら、期限に注意してください。名誉毀損罪も侮辱罪も、犯人を知った日から6か月を過ぎると告訴できなくなります。「相手が分かってから考えよう」と思っていても、分かった日から期限は進み始めます。

警察に相談するときのポイント

刑事告訴を考えて警察に相談する場合は、事前の準備が重要です。投稿の画面、投稿者について分かっていること、被害の状況をまとめた資料を持参しましょう。名誉毀損にあたるのか侮辱にあたるのかを自分なりに整理しておくと、話が伝わりやすくなります。

警察の窓口では、「民事で解決してください」と言われてしまうこともあります。被害の深刻さを具体的に説明できる資料をそろえ、それでも動いてもらえないときは、弁護士に告訴状の作成を依頼することも考えてみてください。

削除と責任追及のどちらを先にするか

投稿を早く消したい気持ちと、相手に責任を取らせたい気持ちは、ときにぶつかります。相手を特定する前に投稿が消えると、特定の手続きに影響することがあるからです。どちらを優先するかは、被害の深刻さと、相手に何を求めたいかによって変わります。迷ったら、証拠を保存したうえで弁護士に順番を相談してください。

書き込んでしまった側がとるべき対応

相談に来られるのは、被害者だけではありません。感情にまかせて書き込んでしまい、「訴えられるかもしれない」と不安になって連絡をくださる方も多くいます。

まず投稿を削除する

問題のある投稿に気づいたら、すぐに削除してください。削除しても責任が消えるわけではありませんが、被害の拡大を止めたという事情は、後の話し合いや刑事手続で考慮されます。

逮捕される可能性はあるのか

名誉毀損罪や侮辱罪で告訴されても、多くの事件では逮捕されずに捜査が進みます。ただし、書き込みが執拗に続いている、証拠を隠そうとしている、呼び出しに応じないといった事情があれば、逮捕されることもあります。捜査機関から連絡が来たら、誠実に対応することが何よりの防御になります。

意見照会が届いたら

回線の会社から開示に関する意見照会の書面が届いたら、無視せずに回答しましょう。回答の内容しだいで、その後の展開が変わります。開示に同意するか、拒むか、拒むならどんな理由を示すかは、弁護士と相談して決めるのが安全です。

早めの謝罪と示談

自分の投稿が名誉毀損や侮辱にあたると認める場合は、早い段階で謝罪し、示談を申し出ることで、訴訟や刑事告訴を避けられる可能性があります。示談が成立すれば、刑事事件になっても処分が軽くなることが期待できます。謝罪の言葉は、言い訳を交えず、何が悪かったのかを具体的に示すと相手に伝わりやすくなります。反省の気持ちを形にするために、投稿の削除を済ませたことや、今後同じことをしないための取り組みを添えるのも一つの方法です。

書き込んだ側が弁護士に相談する意味

加害者の立場で弁護士に相談することに、ためらいを感じる方もいるでしょう。けれども、弁護士が間に入ることで、被害者との話し合いが冷静に進み、結果として被害者にとっても早い解決につながることが多いのです。自分の書き込みが法的にどう評価されるのかを知ることは、誠実な謝罪の第一歩にもなります。

やってはいけないこと
  • 被害者に直接連絡して、訴えないよう圧力をかける
  • 別のアカウントを作って同じ内容を書き込む
  • 意見照会の書面を放置する

判断に迷う表現の具体例

実際の書き込みで、名誉毀損や侮辱にあたる可能性がどの程度あるのかを、例で比べてみましょう。あくまで目安であり、前後の文脈や投稿の回数によって結論は変わります。

書き込みの例 問題になり得るもの 評価の目安
「この店のラーメンはしょっぱくて好みではない」 ほぼなし 体験に基づく感想
「店長の接客態度が悪く、不快だった」 低い 体験に基づく評価。表現が穏当なら許されやすい
「この店は賞味期限切れの食材を使っている」 名誉毀損 根拠がなければ違法となる可能性が高い
「店長はバカで客をなめている」 侮辱 人格攻撃に及んでおり、問題になりやすい
「店長は前科持ちらしい」 名誉毀損、プライバシー侵害 伝聞の形でも事実の摘示にあたる

判断に迷ったら、書き込む前に「この文章を本人の目の前で読み上げられるか」と自問してみてください。読み上げられない内容なら、ネットに書くべきではありません。被害を受けた側であれば、表の右側の評価を参考に、弁護士に相談する価値があるかどうかを考える手がかりにしてください。

よくある質問

真実を書いた場合でも名誉毀損になりますか

なる可能性があります。公共性のある事柄について、世の中のためという目的で書いたと認められない限り、真実であっても名誉毀損は成立し得ます。一般の人の私生活に関することなら、真実でも責任を問われるおそれがあると考えてください。

社内のメールやチャットでの発言も対象になりますか

社内の複数の人が見られる場での発言なら、公然性が認められる可能性があります。社員全員が参加するチャットで同僚を名指しして非難すれば、名誉毀損や侮辱が問題になり得ます。職場のハラスメントとして、会社の責任が問われることもあります。

「死ね」という書き込みは何の罪になりますか

事実を示していないため、名誉毀損ではなく侮辱の問題になるのが通常です。ただし、「殺してやる」のように相手や家族に危害を加えることを告げる内容なら、脅迫罪が成立する可能性があります。身の危険を感じる場合は、すぐに警察に相談してください。

亡くなった人の名誉を傷つける書き込みは罪になりますか

刑法は、亡くなった人に対する名誉毀損について、虚偽の事実を摘示した場合に限って処罰すると定めています。真実を書いた場合は処罰の対象になりません。遺族自身の名誉や故人を敬う感情が傷つけられたとして、民事上の責任を問える場合もあります。

口コミサイトに事実を書いただけでも訴えられますか

実際に体験したことを、節度のある表現で書いた口コミであれば、違法とされる可能性は低いといえます。問題になるのは、体験していないことを書いたり、表現が過激すぎたりする場合です。「食中毒になった」のように店の評価を大きく下げる内容は、根拠を示せないと名誉毀損と判断されるおそれがあります。

冗談のつもりだった場合も責任を問われますか

書いた本人が冗談のつもりでも、読んだ人がどう受け取るかで判断されます。ふざけた調子の書き込みであっても、内容が社会的評価を下げるものなら責任を免れません。軽い気持ちで書いた一言が、訴訟に発展した例は数多くあります。

ネットで反論し合った場合、お互いに責任を問われますか

言い争いの中で双方が侮辱的な言葉を使えば、双方に責任が生じる可能性があります。先に攻撃されたから反撃した、という事情は考慮されることもありますが、責任がなくなるわけではありません。ヒートアップしたと感じたら、それ以上の書き込みをやめるのが自分を守ることにつながります。

名誉毀損で訴えられたら必ず負けますか

そうとは限りません。投稿が社会的評価を下げるものといえるか、同定可能性があるか、真実性や相当性が認められるかなど、争う余地のある論点はいくつもあります。訴状が届いたら、期限内に答弁書を出す必要があるため、すぐに弁護士へ相談してください。

ネット問題の悩みは弁護士に相談を
ひとりで悩まず法律のプロが解決
掲載2,000以上事務所 初回相談無料の事務所多数 全国対応

かんたん3ステップで相談できます

1
お住まいの
地域を選ぶ
2
事務所を
比べて選ぶ
3
無料相談を
申し込む
上記に当てはまるなら弁護士に相談
ネット問題に強い弁護士を探す