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不動産売買の流れ|買う・売るの手順と費用、期間の目安

不動産売買の流れ|買う・売るの手順と費用、期間の目安

この記事で分かること

  • 不動産を売却するに際しては、売却の理由を整理することから始める
  • 不動産を購入するに際しては、契約前に契約書の内容を確認する
  • 売買契約書の内容は、後のトラブルを防ぐため、慎重に検討する

不動産売買取引は、多くのお金が動きますので、ちょっとした契約書の不備が大きなトラブルに発展することがあります。売買契約は慎重の上にも慎重を重ねて交わしましょう。この記事では、売却する場合、購入する場合それぞれの不動産売買取引の流れ、および契約書を締結する上での注意点を解説します。

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不動産の売買は、流れを知っておけば怖くない

初めて家を買うことになったが、何から始めればよいのか分からない。物件を見に行く前に何を準備すればよいのか、いつ住宅ローンを申し込むのか、契約から引渡しまでどれくらいかかるのか。反対に、家を売る場合も、査定を頼んでから代金を受け取るまでの流れが見えず、不安を感じる方は多いでしょう。

不動産の売買は、多くの人にとって、一生のうちに何度もない大きな取引です。しかも、金額が大きく、手続きも複雑です。売買契約、住宅ローン、登記、税金と、いくつもの手続きが重なり、それぞれに期限や注意点があります。流れを知らずに進めると、思わぬところでつまずいたり、不利な条件で契約してしまったりすることもあります。

一方で、全体の流れと、それぞれの段階で確かめるべきことを知っておけば、不動産の売買は決して怖いものではありません。各段階で何が起きるのかを理解し、トラブルになりやすいポイントを事前に押さえておくことが、安心して取引を進めるための鍵です。

この記事では、不動産の売買の相談を受ける弁護士の立場から、買う場合と売る場合のそれぞれの流れ、各段階で確かめたいこと、かかる費用、取引の期間の目安、そしてトラブルを防ぐためのポイントまでを説明していきます。

不動産の売買は、買主と売主のどちらの立場でも、多くの人や手続きが関わります。自分が今どの段階にいて、次に何が起きるのかが分かっていれば、落ち着いて判断することができます。

不動産を買うときの流れ

まずは、買う場合の流れから見ていきます。不動産会社の仲介で家を買う場合の、一般的な流れは次のとおりです。

  1. 資金計画を立てる(自己資金、住宅ローンの借入れの目安、諸費用)。
  2. 希望の条件を整理し、物件を探す。
  3. 気になる物件を内見する。
  4. 購入の申込みをする(買付証明書を出す)。
  5. 住宅ローンの事前審査を受ける。
  6. 重要事項説明を受ける。
  7. 売買契約を結び、手付金を支払う。
  8. 住宅ローンの本審査を受け、金融機関と契約する。
  9. 残代金を支払い、引渡しを受け、登記をする。
  10. 入居する。

親からの資金援助

親から住宅の購入の資金の援助を受ける場合は、贈与税の扱いに注意が必要です。一定の要件を満たせば、住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を使えることがありますが、要件や期限が改正されることもあります。援助を受ける前に、税理士に確かめておきましょう。

全体の流れの中の山場

買う場合の流れの中で、とくに大切なのは、購入の申込み、重要事項説明と売買契約、決済と引渡しの三つの段階です。購入の申込みで条件を固め、契約で権利と義務を確定させ、決済で代金と物件を交換する。それぞれの段階で、何を確かめるべきかを押さえておけば、流れに振り回されずに済みます。

住宅ローンの選び方

住宅ローンには、金利が変わる変動金利型、一定の期間の金利が決まっている固定期間選択型、返済の期間を通じて金利が変わらない全期間固定金利型などがあります。金利の低さだけでなく、将来の金利の上昇のリスクや、手数料、保証料なども比べて選びましょう。複数の金融機関の条件を比べることで、総返済額に大きな差が出ることもあります。

資金計画

物件を探す前に、何よりもまず資金計画を立てます。物件の価格のほかに、仲介手数料、登記の費用、住宅ローンの手数料、税金など、諸費用がかかります。自己資金をどれだけ用意できるか、毎月の返済にいくらまで充てられるかを考え、無理のない予算を決めておきましょう。

物件の探し方

物件は、不動産の情報サイト、不動産会社の店頭、チラシなどで探します。希望の地域、広さ、予算、駅からの距離など、条件に優先順位をつけておくと、効率よく探せます。すべての条件を満たす物件はなかなか見つからないので、譲れない条件と、妥協できる条件を整理しておきましょう。

不動産会社の選び方

物件を探すときは、希望の地域に詳しい不動産会社に相談すると、広告に出る前の物件の情報や、周辺の相場について詳しい話を聞けることがあります。担当者の説明が分かりやすいか、こちらの希望をよく聞いてくれるか、デメリットも率直に説明してくれるかを見て、信頼できる会社を選びましょう。

購入の申込み

買いたい物件が見つかったら、できるだけ早く、不動産会社を通じて、売主に購入の申込みをします。購入の希望の価格や、引渡しの希望の時期などを書いた買付証明書(購入申込書)を出すのが一般的です。買付証明書は、購入の意思を示すもので、これを出しただけでは契約は成立しません。価格や条件の交渉は、この段階で行います。

申込みの際の申込金

購入の申込みの際に、申込金や預り金を求められることがあります。申込金は、契約が成立しなかった場合には返されるのが原則ですが、返還の条件は不動産会社によって違うので、預ける前に確かめておきましょう。預けた場合は、預り証を受け取っておくことが大切です。

住宅ローンの事前審査と本審査

住宅ローンを使う場合は、売買契約の前に事前審査を受け、借りられる見込みを確かめておきます。事前審査に通ったら売買契約を結び、その後、正式な本審査を受けます。本審査に通れば、金融機関と金銭消費貸借契約を結び、決済の日に融資が実行されます。

入居の後にすること

入居の後は、住民票の移動、電気やガス、水道の手続きのほか、不動産取得税の納付、住宅ローン控除を受けるための確定申告などが必要です。住宅ローン控除は、入居した年の翌年の確定申告で手続きをし、会社員であれば、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。

不動産を売るときの流れ

次に、売る場合の流れです。不動産会社の仲介で家を売る場合の、一般的な流れは次のとおりです。

段階 内容
1. 査定 複数の不動産会社に査定を依頼し、売却の価格の目安を知る
2. 媒介契約 仲介を依頼する不動産会社と媒介契約を結ぶ
3. 販売活動 広告を出し、購入を検討する人の内見に対応する
4. 購入の申込みと条件の交渉 買主から申込みを受け、価格や引渡しの時期を交渉する
5. 売買契約 契約を結び、手付金を受け取る
6. 引渡しの準備 引越し、抵当権の抹消の準備、境界の確認
7. 決済と引渡し 残代金を受け取り、鍵を渡し、登記の手続きをする
8. 確定申告 売却の翌年に、譲渡所得の確定申告をする

仲介と買取

家を売る方法には、不動産会社に買主を探してもらう仲介のほかに、不動産会社に直接買い取ってもらう買取もあります。買取は、価格は仲介より低くなるのが一般的ですが、早く確実に売れ、内見の対応や販売活動の手間がかかりません。売却を急ぐ場合や、古い家で買い手がつきにくい場合は、買取も選択肢になります。

売り出しの時期

不動産の需要は、時期によって変わることがあります。新しい年度の始まりに合わせて住まいを探す人が増える時期は、買い手が見つかりやすいといわれています。ただし、売主の住み替えの予定や、税金の特例の期限なども考えて、売り出しの時期を決めることが大切です。

査定と価格の決め方

売却の価格は、不動産会社の査定を参考にして、売主が最終的に決めます。査定の額は会社によって差があるので、複数の会社に依頼して比べるのが基本です。高い査定額に惹かれて依頼先を決めると、実際には売れずに値下げを重ねることになることもあります。査定の根拠を尋ね、周辺の取引の事例と比べて、現実的な価格を見きわめましょう。

販売活動の間に売主がすること

販売活動の間、売主は、購入を検討する人の内見に対応します。部屋を片づけ、明るく清潔な印象にすることで、買い手の印象が良くなります。住みながら売る場合は、内見の日程の調整に協力することも必要です。不動産会社から販売の状況の報告を受け、反応が少なければ、価格の見直しも検討します。

売主の告知の大切さ

売主は、物件の不具合や、近隣とのもめごと、過去の事故など、買主の判断に影響する事情を知っている場合は、正直に伝える必要があります。事実を隠して売ると、後で買主から契約不適合責任や損害賠償を求められることがあります。不動産会社に正確に伝え、物件状況等報告書に記載してもらいましょう。

購入の申込みを受けたら

買主から購入の申込みを受けたら、価格だけでなく、住宅ローンの事前審査に通っているか、引渡しの希望の時期、手付金の額などの条件も比べて判断します。複数の申込みがある場合は、価格が一番高い人ではなく、確実に取引を終えられそうな人を選ぶことも大切です。

媒介契約の種類を選ぶ

仲介を依頼する際に結ぶ媒介契約には、複数の会社に同時に依頼できる一般媒介と、一社にだけ依頼する専任媒介、専属専任媒介があります。専任媒介と専属専任媒介では、不動産会社から販売の状況の定期的な報告を受けられます。自分の状況に合った種類を選びましょう。

売却の準備

売り出す前に、登記簿、購入したときの売買契約書、建物の図面、固定資産税の納税通知書、マンションであれば管理規約などの書類をそろえておきましょう。雨漏りや設備の故障など、知っている不具合は整理しておき、物件状況等報告書に正直に書けるようにしておきます。

価格の交渉への対応

買主から値下げの交渉を受けることはよくあります。売り出しの段階で、どこまでなら値下げに応じられるかを決めておくと、交渉の場で迷わずに済みます。値下げに応じる代わりに、引渡しの時期を早めてもらう、残置物の撤去を買主に任せるといった条件の交換をすることもできます。

住宅ローンが残っている場合

まだ住宅ローンが残っている家を売る場合は、売却の代金でローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。売却の価格がローンの残高を下回る場合は、不足分を自己資金で用意するか、金融機関と相談することになります。売り出す前に、ローンの残高を確かめておきましょう。

各段階で確かめたいこと

売買の各段階には、確かめておきたいポイントがあります。段階ごとに確認を重ねることで、後からの後悔を防げます。

段階 確かめたいこと
内見 建物の傷み、雨漏りの跡、日当たりと風通し、周辺の環境(騒音、臭い、坂道)
購入の申込み 価格、引渡しの時期、引き渡される設備、住宅ローン特約の有無
重要事項説明 登記の内容、法令上の制限、道路との関係、災害のリスク、契約の解除の条件
売買契約 手付による解除の期限、住宅ローン特約の期限、契約不適合責任の範囲と期間、特約の内容
決済と引渡し 設備の状態、鍵の本数、固定資産税などの精算、登記の書類

決済と引渡しで確かめること

決済の日には、引渡しの前に、物件の最終の確認をしておくと安心です。約束していた修理が済んでいるか、引き渡される設備が付帯設備表どおりか、残置物がないかを確かめます。鍵を受け取ったら、本数を確かめ、必要なら入居の前に鍵を交換しましょう。

売買契約の前の最終確認

売買契約の前には、重要事項説明書と売買契約書の案を事前に受け取り、内容を確かめます。代金、手付金、引渡しの日、住宅ローン特約の期限、手付による解除の期限、契約不適合責任の範囲と期間は、とくに注意して確かめたい点です。疑問があれば、契約の日までに不動産会社に質問しておきましょう。

内見で確かめること

内見では、部屋の広さや間取り、日当たりだけでなく、建物の状態や周辺の環境も確かめます。天井や壁のしみは雨漏りの跡かもしれませんし、床の傾きは建物の問題を示していることもあります。昼と夜、平日と休日で周辺の様子が変わることもあるので、時間を変えて何度か現地を訪れるのもよい方法です。

申込みの前に確かめたい書類

購入の申込みの前に、登記簿、物件の図面、マンションであれば管理規約や管理費の資料を見せてもらいましょう。申込みの段階で気になる点を確かめておけば、契約の直前になって慌てることがありません。

周辺の環境の調べ方

物件の周辺の環境は、実際に歩いてみるのが一番です。駅や学校、スーパー、病院までの道のりを歩き、坂道や交通量、街灯の有無を確かめましょう。自治体のハザードマップで浸水や土砂災害のリスクを確かめ、近くに騒音や臭いの発生源がないかも見ておきます。

中古住宅の建物状況調査

中古住宅を買う場合は、建築士に建物の状態を調べてもらう建物状況調査(インスペクション)を利用する方法があります。建物の構造や雨漏りに関わる部分の劣化の状況が分かり、購入の判断や、価格の交渉の材料になります。売主がすでに調査を受けている場合は、その結果を見せてもらいましょう。

ワンポイントアドバイス
購入の申込みをする前に、住宅ローンの事前審査を受けておくと、売主との交渉が有利に進むことがあります。売主にとっては、ローンが通るかどうか分からない買主より、事前審査に通っている買主のほうが安心して取引できるからです。

物件の種類による流れの違い

基本的な流れは同じでも、物件の種類によって、確かめるべきことや手続きが少しずつ違います。

新築の分譲住宅やマンション

  • 売主が不動産会社であることが多く、仲介手数料がかからない場合がある
  • 完成前の物件では、モデルルームや図面で判断することになる
  • 手付金などの保全の措置がとられているかを確かめる
  • 引渡しの前に内覧会があり、不具合を確かめて補修を求められる

中古の一戸建てやマンション

  • 売主が個人であることが多く、契約不適合責任の期間が短く定められることが多い
  • 建物状況調査やリフォームの履歴を確かめる
  • マンションでは、管理費や修繕積立金、管理の状況を確かめる
  • 売主が住みながら売っている場合は、引渡しの日の調整が必要になる

土地

  • 境界の確定と、公簿売買か実測売買かを確かめる
  • 建築の条件(建築条件付き土地かどうか)を確かめる
  • 上下水道やガスの引き込みの状況を確かめる
  • 地盤や土壌、地中埋設物の状況を確かめる

建築条件付き土地

建築条件付き土地は、土地を買った後、一定の期間内に、売主が指定する建設会社と建物の請負契約を結ぶことが条件になっている土地です。請負契約がまとまらなかった場合は、土地の売買契約も白紙に戻され、支払った手付金なども返されるのが通常です。条件の内容と、白紙に戻る場合の扱いをよく確かめておきましょう。

売買にかかる費用

不動産の売買には、代金のほかに、さまざまな費用がかかります。予算を立てる段階で、これらの費用を見込んでおきましょう。

買主がかかる主な費用

費用 内容
仲介手数料 不動産会社に支払う報酬。上限は法律で定められている
印紙税 売買契約書やローンの契約書に貼る印紙の費用(電子契約では不要)
登録免許税 所有権の移転や抵当権の設定の登記にかかる税金
司法書士の報酬 登記の手続きを依頼する費用
住宅ローンの諸費用 事務手数料、保証料、団体信用生命保険料など
火災保険料 建物の火災保険や地震保険の保険料
固定資産税などの精算金 引渡しの日以降の分を、売主に支払う
不動産取得税 不動産を取得した後にかかる税金

買主の諸費用は、物件の価格や住宅ローンの借入れの額によって変わりますが、新築か中古か、仲介か売主との直接の取引かによっても差が出ます。資金計画を立てる段階で、不動産会社や金融機関に、諸費用の概算を出してもらいましょう。

諸費用は、物件の引渡しを受ける決済の日にまとめて支払うものが多く、住宅ローンの対象にならない費用もあります。現金で用意しておくべき額を、事前に確かめておきましょう。

住宅ローン控除

住宅ローンを使って家を買った場合は、一定の要件を満たせば、年末のローンの残高に応じて、所得税や住民税が軽くなる住宅ローン控除を受けられます。控除の対象になる借入れの限度額や期間は、住宅の性能や入居の時期によって変わります。制度の内容は改正されることが多いので、最新の要件を確かめておきましょう。

売主がかかる主な費用

費用 内容
仲介手数料 不動産会社に支払う報酬
印紙税 売買契約書に貼る印紙の費用
抵当権の抹消の費用 登録免許税と司法書士の報酬
ローンの繰上げ返済の手数料 住宅ローンを完済する際の手数料
測量や解体の費用 境界の確定や建物の取り壊しが必要な場合
譲渡所得税 売却で利益が出た場合にかかる税金

取引の期間の目安

どのくらいの期間で取引が終わるのかも、気になるところです。不動産の売買にかかる期間は、物件や状況によって大きく変わりますが、おおよその目安は次のとおりです。

段階 期間の目安
物件探しから購入の申込みまで(買主) 数週間から数か月
査定から買主が見つかるまで(売主) 数週間から数か月
購入の申込みから売買契約まで 1〜2週間程度
売買契約から決済・引渡しまで 1〜2か月程度

売買契約から決済までの期間は、住宅ローンの本審査や、売主の引越し、抵当権の抹消の準備などにかかる時間を考えて決めます。売主が住み替えのために新しい家を探している場合は、さらに時間がかかることもあります。

契約から決済までの間にすること

買主は、住宅ローンの本審査を受け、金融機関と契約を結び、火災保険に加入し、引越しの準備をします。売主は、引越しの準備をし、住宅ローンを完済する手続きを金融機関と打ち合わせ、境界の確認や、約束した修理を済ませます。どちらも、決済の日から逆算して、やるべきことを一覧にしておくと安心です。

期間を短くするために

取引の期間を短くするには、必要な書類を早めにそろえ、住宅ローンの事前審査を先に済ませておくことが効果的です。売主の場合は、境界の確定や、抵当権の抹消に必要な手続きを、売り出しの段階から準備しておくと、買主が見つかってからの手続きがスムーズに進みます。

引渡しの日の設定

引渡しの日は、売主の引越し、買主の住宅ローンの実行、抵当権の抹消の準備などを考えて決めます。買主が今の住まいの賃貸借契約を解約する必要がある場合は、解約の予告の期間も考えておかなければなりません。関係者の都合を早めにすり合わせておきましょう。

期間は、売主と買主の事情によって大きく変わります。急いでいる事情があれば、購入の申込みや売り出しの段階で伝えておくと、相手もそれを踏まえて日程を考えてくれます。

決済の日に行うこと

決済の日は、通常、平日の午前中に、買主が住宅ローンを借りる金融機関に、売主、買主、不動産会社、司法書士が集まります。司法書士が登記の書類を確かめた後、金融機関が融資を実行し、買主が残代金を売主に支払います。売主は住宅ローンを完済し、鍵を買主に渡します。司法書士は、その日のうちに法務局に登記を申請します。

売買のトラブルを防ぐためのポイント

不動産の売買では、次のようなトラブルがよく起こります。いずれも、事前の確認で防げるものが少なくありません。

トラブル 防ぐためのポイント
引き渡された家に欠陥があった 内見や建物状況調査で確かめる。契約不適合責任の範囲と期間を確かめる
住宅ローンが通らなかった 事前審査を受けておく。住宅ローン特約を入れ、期限を管理する
契約をやめたくなった 手付による解除の期限を確かめる。安易に契約しない
説明と実際が違った 重要事項説明をよく聞き、疑問は質問する。広告を保存する
境界や面積が違った 測量図や境界の目印を確かめる。公簿売買か実測売買かを確かめる
引渡しが遅れた 引渡しの日と、遅れた場合の扱いを契約書で決めておく

契約を急がない

「ほかにも検討している人がいる」「今月中に決めれば値引きする」と言われると、焦って契約したくなるものです。けれども、不動産は大きな買い物です。重要事項説明の内容に納得できない点がある、資金計画に不安があるといった場合は、契約を急がず、疑問を解消してから判断しましょう。

引き渡された後に不具合が見つかったら

引渡しを受けた後に雨漏りや設備の故障などの不具合が見つかったら、契約書で定めた期間内に、売主に通知しましょう。中古住宅では、売主の責任の期間が短く定められていることが多いので、入居したらすぐに、家の中の状態を確かめることが大切です。

引渡しの遅れへの備え

売主の引越し先の工事が遅れた、住宅ローンの手続きが間に合わなかったなどの理由で、引渡しが遅れることがあります。契約書に、引渡しが遅れた場合の扱い、たとえば遅れた日数に応じた損害金の定めを入れておくと、争いを防げます。遅れる可能性が分かった時点で、早めに相手に伝えて日程を調整することも大切です。

口約束をしない

売買の過程で、売主と買主、不動産会社の間で交わした約束は、必ず書面に残しましょう。「エアコンは置いていきます」「引渡しまでに雨どいを直しておきます」といった口約束は、後で言った、言わないの争いになりがちです。約束したことは、売買契約書の特約や付帯設備表に書いてもらいましょう。

とくに、不動産会社の担当者が口頭で説明した内容は、担当者の異動や退職で確かめられなくなることがあります。大切なことは、メールで送ってもらうなど、記録が残る形でやり取りしましょう。

専門家を上手に使う

不動産の売買には、不動産会社、司法書士、金融機関、税理士など、多くの専門家が関わります。分からないことは遠慮なく尋ね、それぞれの専門家の役割を上手に使うことが大切です。売主や不動産会社との間で争いになりそうな場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

具体例で考える|住み替えで売りと買いを同時に進めたケース

住み替えの例を見てみましょう。ある夫婦は、子どもの成長に合わせて、今住んでいるマンションを売り、郊外の一戸建てに住み替えることにしました。マンションには住宅ローンが残っていて、売却の代金でローンを完済し、残りを新しい家の頭金にする計画でした。

夫婦は、まず今のマンションの査定を複数の不動産会社に依頼し、ローンの残高を上回る価格で売れる見込みを確かめました。そのうえで、新しい家を探し始めました。気に入った一戸建てが見つかったとき、マンションはまだ売れていませんでした。そこで、一戸建ての売買契約書に、マンションが一定の期限までに一定の価格以上で売れなかった場合は契約を解除できるという買い替えの特約を入れてもらいました。

売り出しから2か月後にマンションの買主が見つかり、売買契約を結びました。マンションの引渡しと一戸建ての決済の日を同じ日にそろえ、マンションの売却の代金でローンを完済し、その残りと新しい住宅ローンで一戸建ての代金を支払いました。引越しの時期の調整のため、マンションの買主の了解を得て、引渡しを1週間だけ猶予してもらいました。

夫婦は、売りと買いの流れを並行して管理し、特約や日程の調整を活用したことで、仮住まいをせずに住み替えを終えることができました。

住み替えでは、売りと買いの二つの取引を同時に進めるため、日程や資金の管理が複雑になります。不動産会社と早めに相談し、どちらを先に進めるか、つなぎの資金が必要かどうかを検討しておくことが大切です。

売りと買いを同時に進めるときは、それぞれの契約書に、相手の取引とのつながりを考えた条項を入れておくことが大切です。一方の取引が遅れたり、取りやめになったりしたときに、もう一方の取引にどう影響するかを想定しておきましょう。

弁護士に相談する場面

一般的な売買であれば、不動産会社の説明をよく聞いて進めれば足りることが多いでしょう。一方、売主や不動産会社の説明に疑問がある、契約の条件に納得できない、引渡しの後に欠陥が見つかった、相手が契約を守らないといった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

不動産売買の流れに関するよくある質問

不動産の売買は、自分だけでもできますか

不動産会社を通さずに、売主と買主が直接取引することも法律上はできます。仲介手数料はかかりませんが、重要事項説明は行われず、契約書の作成や登記の手続き、物件の調査も自分たちで行う必要があります。トラブルを防ぐため、契約書の作成は弁護士に、登記は司法書士に依頼するのが安心です。

購入の申込みをした後に、キャンセルできますか

購入の申込みの段階では、まだ売買契約は成立していないので、原則としてキャンセルできます。ただし、申込みの際に申込金を預けた場合は、その返還の条件を確かめておきましょう。売買契約を結んだ後は、手付による解除などの方法によることになります。

売買契約から引渡しまでの間に、売主が亡くなったらどうなりますか

売主が亡くなっても、売買契約そのものは相続人に引き継がれます。相続人が売主の立場で、引渡しと登記の手続きを行います。ただし、相続人を確かめ、相続登記をするための手続きが必要になるので、引渡しが遅れることがあります。

売った後に、税金の申告は必要ですか

不動産を売って利益が出た場合は、原則として、売った年の翌年に、譲渡所得の確定申告が必要です。自分が住んでいた家を売った場合の特別控除などの特例を使う場合も、申告が必要です。利益が出なかった場合でも、損失を他の所得と差し引く特例を使う場合は、申告をしましょう。

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