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内部通報制度とは|社内の問題を早期に把握する仕組み
会社のなかで、何か問題のある行いが起きている。けれど、それが経営者の耳には届かないまま、水面下で広がっていく。こうした事態は、どんな会社にも起こりうるものです。そして、問題が大きくなってから発覚すれば、会社が受ける打撃は計り知れません。そうならないよう、社内の問題を早い段階でつかむための仕組みが、内部通報制度です。
内部通報制度という言葉は、近年よく耳にするようになりました。しかし、その中身や、なぜ必要とされているのかまでは、意外と知られていないかもしれません。単に通報の窓口を置けばよい、というものではなく、正しく設計し、運用してこそ意味を持つ仕組みです。まずは、その基本をしっかり理解しておくことが大切です。
内部通報制度とは、会社のなかで法令に反する行為や不正が行われているとき、従業員などがその事実を会社に伝えられるようにする仕組みのことをいいます。社内に専用の窓口を設け、そこに通報が寄せられれば、会社は問題を早い段階で把握し、対応に動くことができます。問題が外部に漏れて大きな騒ぎになる前に、社内で気づいて手を打てるようにする。それが、この制度のねらいです。
なぜ、こうした仕組みが必要なのでしょうか。会社のなかで不正やトラブルが起きても、それに気づいた従業員が声を上げにくいという事情があるからです。上司や同僚のことを告げるのはためらわれますし、告げたことで自分が不利な扱いを受けるのではないか、という不安もあります。そうした心理的な壁があるために、問題は放置されがちなのです。内部通報制度は、この壁を低くし、問題を早く表に出すための仕組みだといえます。
この壁を低くするには、二つのことが欠かせません。一つは、安心して声を上げられる窓口を用意すること。もう一つは、声を上げた人が守られると信じられる運用を続けることです。窓口という入り口を整えるだけでは足りず、その先で通報者が本当に守られるという信頼がなければ、壁は低くなりません。仕組みと信頼の両方があってはじめて、人は一歩を踏み出せるのです。
問題を早く把握できれば、会社は素早く対応でき、被害の拡大を防げます。反対に、気づくのが遅れれば、同じ不正が繰り返され、やがて外部に発覚して、会社の信用が大きく傷つくことにもなりかねません。内部通報制度は、いわば会社が自ら問題を見つけて正すための、早期発見の仕組みなのです。この記事では、制度の背景にある法律から、窓口の整え方、通報者の保護、通報後の対応までを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。
近年、企業の不祥事が社会の大きな関心を集めるようになりました。ひとたび不正が明るみに出れば、その会社への信頼は大きく揺らぎます。だからこそ、問題を内部で早く見つけ、自ら正す力を持つことが、これまで以上に重要になっています。内部通報制度は、そうした自浄の力を支える仕組みとして、多くの会社で取り組みが進められているのです。
制度の設計を考えている経営者の方や、すでに窓口はあるけれどうまく使われていない、という方にとっても、役に立つ内容にしたいと思います。内部通報制度は、正しく理解して運用してこそ、その力を発揮します。名前だけを整えるのではなく、なぜこの仕組みが必要なのか、どうすれば生きた制度になるのかを、一緒に考えていきましょう。
公益通報者保護法とは|通報者を守るための法律
内部通報制度を語るうえで欠かせないのが、公益通報者保護法という法律です。この法律を理解しておくことが、制度を正しく整える土台になります。少し専門的な話になりますが、要点を押さえておきましょう。
公益通報者保護法は、その名のとおり、公益のために通報をした人を保護することを目的とした法律です。会社の不正などを通報した従業員が、そのことを理由に不利益な扱いを受けないよう、法律の力で守ろうとするものです。せっかく勇気を出して問題を告げた人が、そのために職を追われたり、冷遇されたりするようでは、誰も声を上げなくなってしまいます。それを防ぐための仕組みが、この法律には込められています。
この法律のもとでは、一定の要件を満たす通報をした人に対して、それを理由とした解雇やその他の不利益な取り扱いをすることが禁じられています。つまり、正しく通報した人を、会社が報復的に扱うことは許されない、ということです。通報者が安心して声を上げられる環境を整えることが、法律の求めるところなのです。
また、この法律は、会社に対して、内部通報に適切に対応するための体制を整えることを求めています。一定の規模を超える事業者には、通報を受け付け、調査し、是正するための窓口や仕組みを整えることが義務づけられており、それ以下の事業者にも、そうした体制を整える努力が求められています。会社の規模によって求められる度合いは異なりますが、通報に向き合う姿勢そのものは、あらゆる会社に求められているといえます。
さらに、通報に関わる業務を担う人には、通報者が誰であるかといった情報を守る義務が課されています。通報者の情報が漏れてしまえば、その人は報復を恐れて安心して通報できません。誰が通報したのかを厳格に守ることは、制度の信頼を支える大切な柱です。会社としては、こうした法律の要請を踏まえて、制度を設計していく必要があります。
通報者の情報を守るという要請は、法律の求めであると同時に、制度が実際に機能するための前提でもあります。もし、通報したことが本人に知られずに済む保証がなければ、多くの人は口をつぐみます。誰にも知られずに問題を告げられるという安心があってはじめて、人は勇気を出せます。情報の保護は、通報者一人を守るだけでなく、制度全体を成り立たせる基盤なのだと理解しておく必要があります。
ここで押さえておきたいのは、この法律が、通報者を守ることと、会社が問題に向き合うことの、両方を求めているという点です。通報者だけを守れば足りるのでも、体制だけを整えれば足りるのでもありません。安心して声を上げられる環境と、その声を受け止めてきちんと対応する仕組みが、両輪としてそろってはじめて、法律の求める姿に近づきます。会社は、この二つを一体のものとして整えていく必要があります。
内部通報制度を整えることが企業に求められる理由
内部通報制度は、法律で求められているから整える、というだけのものではありません。会社自身を守るうえでも、大きな意味を持つ仕組みです。なぜ、企業がこの制度に取り組むべきなのかを、いくつかの角度から見ていきましょう。
第一に、問題を早く見つけて対処できることです。社内で不正やトラブルが芽生えたとき、それを早い段階でつかめれば、被害が小さいうちに手を打てます。放置して大きくなってから対応するのとでは、会社が受ける損害の大きさがまるで違います。内部通報制度は、こうした早期対応を可能にする仕組みとして働きます。
たとえば、ある部署で不適切な処理が続いていたとします。それが早い段階で通報され、すぐに正されれば、影響はその部署にとどまります。ところが、誰も気づかないまま何年も続けば、やがて大きな問題として表面化し、会社全体を揺るがしかねません。同じ問題でも、いつ気づくかによって、その後の展開はまるで変わってきます。早く気づける仕組みを持つことの価値は、ここにあります。
第二に、会社の信用を守ることにつながります。もし社内の不正が、内部で気づかれることなく外部に発覚すれば、会社の信用は大きく傷つきます。しかし、自ら問題を見つけて正していれば、その姿勢はむしろ信頼につながります。問題が起きること自体を完全になくすことは難しくても、それにきちんと向き合う仕組みを持っているかどうかで、会社の受け止められ方は変わってきます。
不正やトラブルは、どんなに気をつけていても、起きるときには起きてしまうものです。大切なのは、それが起きたときにどう向き合うかです。問題を隠そうとする会社と、自ら見つけて正そうとする会社とでは、まわりからの信頼はまるで違います。内部通報の仕組みを持ち、それを実際に生かしていることは、会社の誠実な姿勢を示す一つのあかしになるのです。
第三に、従業員が安心して働ける環境づくりにつながります。おかしいと感じたことを声に出せる仕組みがあることは、従業員にとっての安心材料になります。声を上げても守られる、という信頼があれば、職場の風通しはよくなり、健全な組織文化が育ちます。反対に、問題に気づいても言い出せない職場では、不満やひずみが内側にたまっていきます。
風通しのよい職場と、そうでない職場の違いは、長い目で見ると大きな差を生みます。声を上げられる職場では、小さな問題のうちに芽が摘まれ、大事に至りにくくなります。一方、何も言えない職場では、問題が水面下でくすぶり続け、あるとき一気に噴き出します。内部通報制度は、こうした職場の空気そのものを変えていく、きっかけにもなりうるのです。
第四に、法律の要請に応えるという意味もあります。一定の規模の会社には、通報に対応する体制を整えることが義務づけられています。これに応えることは、法令を守る会社としての基本的な姿勢を示すことにもなります。制度を整えることは、法律への対応であると同時に、会社の姿勢を内外に示すことでもあるのです。
これらの理由を貫いているのは、一つの考え方です。問題は、隠すよりも早く見つけて正すほうが、会社にとってはるかに得だという発想です。不正やトラブルは、放っておいて自然に消えることはまずありません。むしろ、時間がたつほど深く根を張り、発覚したときの打撃は大きくなります。早期発見の仕組みを持つことは、会社を守るための、いわば保険のような役割を果たすのです。
内部通報の窓口を整備するときのポイント
内部通報制度を機能させるうえで、要となるのが窓口の整備です。ただ窓口を置けばよいというものではなく、通報者が安心して使え、寄せられた通報がきちんと処理される仕組みにしておく必要があります。順序立てて整えていきましょう。
窓口を整えるおおまかな流れは、次のようになります。どの段階でも「通報者が安心して使えるか」「通報が正しく処理されるか」という視点を持ち続けることが大切です。
- 通報を受け付ける窓口を、社内あるいは社外に設ける。
- 誰が通報できるのか、どんな内容を扱うのかを明確に定める。
- 通報を受けてから調査し、是正するまでの手順を決めておく。
- 通報者の情報を守るための取り扱いのルールを整える。
- 制度の存在と使い方を、従業員にきちんと周知する。
まず考えるべきは、窓口をどこに置くかです。社内に設ける方法もあれば、社外の専門家などに委ねる方法もあります。社内窓口は身近で利用しやすい一方、通報者が知り合いに告げることをためらう面もあります。社外窓口は、そうした心理的な抵抗を和らげやすいという利点があります。会社の実情に合わせて、どちらか、あるいは両方を組み合わせて設けるとよいでしょう。
窓口を選ぶ際には、通報する側の気持ちを想像してみることが役立ちます。社内の顔見知りに、上司や同僚の問題を告げるのは、多くの人にとって勇気のいることです。その心理的な負担を少しでも軽くする工夫が、通報のしやすさを左右します。利用者の目線に立って窓口の形を考えることが、実際に使われる制度への第一歩になります。
次に、制度の対象や範囲をはっきりさせます。誰が通報できるのか、どんな内容を受け付けるのかがあいまいだと、通報する側も受ける側も迷ってしまいます。対象を明確にしておくことで、制度は使いやすく、運用しやすいものになります。
そして、通報を受けた後の流れをあらかじめ決めておくことも欠かせません。通報が寄せられてから、誰がどのように調査し、どう是正につなげるのか。その手順が定まっていなければ、せっかくの通報が宙に浮いてしまいます。受け付けから対応までの一連の流れを整えておくことが、制度を実際に機能させる鍵になります。
もう一つ、忘れてはならないのが、制度の周知です。どれだけ丁寧に窓口を整えても、その存在が従業員に知られていなければ、通報は寄せられません。制度があること、どう使えばよいか、通報しても守られることを、繰り返し伝えていく必要があります。整備と周知は、いわばセットの取り組みです。作って終わりにせず、知ってもらうところまでを一つの仕事として考えることが大切です。
通報者を保護するために会社が守るべきこと
内部通報制度がうまく機能するかどうかは、通報者をきちんと守れるかにかかっています。通報したことで不利益を受けるおそれがあれば、誰も安心して声を上げません。会社が守るべきことを、しっかり押さえておきましょう。
最も大切なのは、通報を理由に不利益な扱いをしないことです。通報した従業員を、そのことを理由に解雇したり、不当に配置を変えたり、評価を下げたりすることは許されません。こうした報復的な扱いは、法律でも禁じられています。通報者を守るという約束が確かなものでなければ、制度への信頼は生まれません。
あわせて重要なのが、通報者が誰であるかという情報を守ることです。通報者の身元が社内に知れ渡れば、その人は居づらくなり、目に見えない形での不利益を受けかねません。通報に関わる担当者には、通報者の情報を厳格に守ることが求められます。情報の管理をおろそかにすれば、制度は形だけのものになってしまいます。
通報者の情報を守るためには、通報に関わる人を必要な範囲にとどめ、情報が広がらないようにすることが大切です。多くの人が通報の内容を知る状態では、どこから身元が漏れるか分かりません。誰が通報を扱い、その情報をどう管理するのかを、あらかじめルールとして定めておくことが求められます。情報の取り扱いに関する備えは、通報者を守るための、目立たないけれど重要な土台なのです。
読者のなかには、「通報を受け付ける側として、どこまで気をつければよいのか」と不安を感じている方もいるかもしれません。基本は、通報者の立場に立って考えることです。もし自分が通報する側だったら、どうすれば安心して声を上げられるか。その視点を持てば、守るべきことがおのずと見えてきます。通報者を守ることは、制度を守ることであり、ひいては会社を守ることにつながります。
通報を受けた後の調査と対応の進め方
通報が寄せられたら、会社はそれにきちんと向き合わなければなりません。通報を受け付けるだけで、その後の対応がおろそかであれば、制度は機能しているとはいえません。受けた後の流れを、あらかじめ整えておくことが大切です。
通報を受けた後の対応は、おおむね次のような流れで進みます。それぞれの段階で、公平さと通報者の保護を意識することが求められます。
- 寄せられた通報の内容を確認し、事実関係を整理する。
- 必要に応じて関係者から話を聞くなど、事実を調べる。
- 調査の結果、問題が確認されれば、是正のための対応を取る。
- 通報者に対し、可能な範囲で対応の状況を伝える。
まず行うべきは、通報の内容を正確につかむことです。何が起きているとされているのか、どこに問題があるのかを、落ち着いて整理します。感情的にならず、事実にもとづいて向き合う姿勢が、この段階では欠かせません。
通報の内容が、上司や親しい同僚に関わるものであることも少なくありません。そうしたとき、対応する側にも、思わず身内をかばいたくなる気持ちが働くことがあります。しかし、そこで公平さを欠けば、制度は信頼を失います。誰が関わっているかにかかわらず、事実にもとづいて淡々と調べる。その姿勢を貫くことが、制度を生かすうえで欠かせません。
調査によって問題が確認されたら、それを正すための対応に移ります。原因を突き止め、再び同じことが起きないよう手を打つことが大切です。単に個別の問題を処理するだけでなく、そもそもなぜそうした問題が生じたのかを見つめ、仕組みそのものを改めていく視点が求められます。表面的な対応で終わらせず、根本から正すことが、会社を強くします。
再発を防ぐという観点は、内部通報制度の価値を大きく高めます。一つの通報をきっかけに、同じような問題が他にも潜んでいないかを見渡し、仕組みそのものを見直す。そうした取り組みができれば、制度は単なる通報の受け皿を超えて、会社を健全に保つための装置として働きます。目の前の問題を処理するだけでなく、その先を見据えて対応する姿勢が、会社の底力を養うのです。
また、通報者に対しては、可能な範囲でその後の状況を伝えることが望まれます。通報したものの、その後どうなったのか分からないままでは、通報者は不安を抱えます。すべてを詳しく伝えられない場合でも、通報が受け止められ、対応が進んでいることが分かるだけで、通報者の安心は大きく変わります。こうした丁寧な対応の積み重ねが、制度への信頼を育てていくのです。
通報者への配慮は、その後の制度の使われ方を左右します。きちんと対応してもらえたという経験は、通報者本人だけでなく、それを見聞きしたまわりの従業員にも伝わります。この制度は信頼できる、という評判が広がれば、次の通報につながっていきます。逆に、通報しても放っておかれたという印象が広まれば、制度は次第に使われなくなります。一件一件への誠実な対応が、制度の未来をつくるのです。
内部通報制度を形だけにしないために気をつけたいこと
内部通報制度は、整えればそれで終わり、というものではありません。せっかく制度を作っても、実際には使われず、形だけのものになってしまっては意味がありません。制度を生きたものにするために、気をつけたいことを見ていきましょう。
まず大切なのは、制度の存在を従業員に知ってもらうことです。どんなに立派な窓口を設けても、その存在が知られていなければ、通報は寄せられません。制度があること、どう使えばよいのか、通報しても守られることを、繰り返し伝えていく必要があります。周知が足りなければ、制度は眠ったままになってしまいます。
周知の方法は、一度きりの説明で終わらせないことが肝心です。人は、一度聞いただけのことはすぐに忘れてしまいます。折にふれて制度のことを伝え、いざというときに思い出してもらえるようにしておくことが大切です。窓口の連絡先や使い方を、いつでも確認できる形にしておくのもよいでしょう。繰り返し伝える地道な努力が、制度を生きたものに保ちます。
次に、通報しても守られる、という信頼を実際の運用で示すことです。制度の説明でいくら「通報者を守る」とうたっても、実際に通報した人が不利益を受ける例があれば、信頼は一気に崩れます。一度でもそうしたことが起きれば、以後は誰も声を上げなくなります。約束を運用のなかで確かに守り続けることが、制度の命を保ちます。
信頼は、築くのに時間がかかり、失うのは一瞬です。通報者を守るという約束も、日々の運用のなかで一つずつ積み重ねてはじめて、確かなものになります。逆に、たった一度の裏切りが、それまでの積み重ねを台無しにします。制度を運用する側は、この重みを常に意識しておく必要があります。目立たない日々の対応の積み重ねこそが、制度の信頼を静かに支えているのです。
また、寄せられた通報にきちんと向き合う姿勢も欠かせません。通報が来ても対応がなおざりであれば、通報しても無駄だという空気が広がります。一つひとつの通報に誠実に向き合うことが、次の通報を呼び、問題の早期発見につながっていきます。制度は、運用する側の姿勢によって、生きも死にもするのです。
同じ制度でも、運用する人の姿勢しだいで、その働きはまるで違ってきます。通報を面倒なものとして扱えば、制度はやがて形だけの存在になります。反対に、通報を会社を良くする貴重な機会として受け止めれば、制度は健全な組織を支える力になります。大切なのは、制度そのものよりも、それを動かす人の心構えなのかもしれません。運用にあたる人が、その意義を深く理解していることが、何より大切です。
読者のなかには、すでに制度を持っているけれど、あまり使われていない、という会社の方もいるかもしれません。そうしたときは、周知が足りているか、通報者を守る運用ができているか、通報に誠実に対応しているか、といった点を見直してみてください。制度を形だけにしないためには、絶えず運用を点検し、改めていく姿勢が求められます。整え方や運用に迷ったときは、専門家の力を借りるのも一つの方法です。
内部通報制度に関するよくある質問
内部通報制度は、どんな会社でも整えなければなりませんか
会社の規模によって、求められる度合いが異なります。一定の規模を超える事業者には、通報に対応する体制を整えることが義務づけられており、それ以下の事業者にも、体制を整える努力が求められています。ただし、規模にかかわらず、社内の問題を早く把握し、健全な組織を保つうえで、内部通報の仕組みを整えておく意義は大きいといえます。義務の有無だけでなく、制度の効用にも目を向けるとよいでしょう。
規模の小さな会社であっても、社内の問題を早く知る手立てを持っておくことには、大きな意味があります。会社が大きくなるほど、経営者の目が隅々まで届かなくなります。小さいうちから通報の仕組みに慣れておけば、成長したときにも慌てずにすみます。義務があるかないかにとらわれず、自社にとって何が役立つかという視点で考えることをおすすめします。
通報した従業員を、通報を理由に処分することはできますか
できません。一定の要件を満たす通報をした人に対し、それを理由に解雇その他の不利益な扱いをすることは、法律で禁じられています。ほかの名目を掲げていたとしても、通報への仕返しであると評価されれば、やはり許されません。通報者を守ることは制度の根幹であり、報復的な扱いは、法的な問題を招くだけでなく、制度そのものへの信頼を失わせることになります。
処分をする側に悪気がなくても、通報の後にたまたま不利益な扱いが重なれば、通報者はそれを報復と受け止めることがあります。誤解を避けるためにも、通報者に何らかの措置を取る必要が生じた場合には、それが通報とは無関係であることを、客観的に説明できるようにしておくことが大切です。通報者の処遇には、平時以上に慎重な配慮が求められます。
窓口は社内と社外のどちらに設けるべきですか
どちらにも利点があり、一概にどちらがよいとは言えません。社内窓口は身近で利用しやすい一方、通報者が抵抗を感じることもあります。社外窓口は、そうした心理的な抵抗を和らげやすく、通報者が安心して利用しやすい面があります。会社の実情に応じて、いずれか、あるいは両方を組み合わせて設けることが考えられます。大切なのは、通報者が安心して使える形にすることです。
なお、社外に窓口を委ねる場合でも、会社が対応の責任から解放されるわけではありません。外部の窓口はあくまで通報の入り口であり、寄せられた通報にどう向き合い、どう是正するかは、最終的に会社が担うべき役割です。窓口を外に置くことと、会社が問題に向き合うことは、別のものだと理解しておく必要があります。
内部通報制度の整備で不安があるときは、どこに相談すればよいですか
制度をどう設計すればよいか、通報にどう対応すべきか判断に迷う場合には、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。制度の設計段階から相談しておけば、法律の要請を踏まえた形に整えられますし、実際に通報が寄せられた際にも、公平で適切な対応を検討できます。日ごろから相談できる体制を持っておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。
内部通報にまつわる対応は、通報者の保護や事実の調査など、慎重な判断を要する場面が多く含まれます。対応を誤れば、かえって新たなトラブルを招きかねません。判断に迷ったときに気軽に相談できる相手がいることは、会社にとって大きな支えになります。日ごろから専門家とのつながりを持っておくことで、いざというときにも、道を誤らずに対応を進めやすくなります。