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契約書に収入印紙が必要な理由

この記事で分かること

  • 会社分割とは、ひとつの会社を2つ以上の会社に分割すること
  • 会社分割には、大きく分けて「新設分割」と「吸収分割」がある
  • 会社分割の手続には手間暇がかかるので、弁護士に相談すると効率よく進めることができる

収入印紙は、日常的に使用されている身近なものですが、なぜ必要であるのか、どのような場合に必要なのかは、あまり意識されていないことが多いです。今回は、収入印紙の基礎的な知識から、節約の方法までを解説していきます。

契約書で使用する収入印紙とは?

収入印紙は、一般的に「印紙」と略されて呼ばれています。この収入印紙は、印紙税を支払うためのものであり、領収書や契約書などの課税文書に貼られて用いられます。

以下では、収入印紙についてみていきます。

収入印紙を貼る目的は?

収入印紙を貼るのは、これで税金を納めるためです。つまり、収入印紙を購入し、これを張り、消印を押すことで納税をしたことになります。しかし、すべての書類に収入印紙を貼る必要があるというわけではありません。

収入印紙を貼ることでよく知られているのは領収書ですが、領収書だけではなく、基準を満たす課税文書一般に貼る必要があります。

課税文書とは何か?

課税文書とは、経済活動において交わす文書のうち、課税の対象になる文書のことをいいます。基本的には、金銭のやり取りを含む文書ということになりますが、これには次の3つの全てに該当する文書である必要があります。

  • 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること(※下の方でより詳しく解説します)。
  • 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
  • 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

収入印紙が売っている場所

印紙は郵便局や法務局の窓口といった身近な場所で買うことができます。また、それ以外に「収入印紙売りさばき所」として認められている店で購入することができ、コンビニエンスストアでも販売しています。

なかには200円の収入印紙しか売っていない場所もありますが、それ以上の金額の収入印紙が必要な緊急の場合は、郵便局か法務局に行くか、複数枚貼り付けることで解決することができます。

領収書は5万円以上

収入印紙を貼る必要がある領収書の金額は、3万円以上だと覚えている方がいるかもしれません。確かに過去はそうだったのですが、法律が変わって、2014年(平成26年)の4月1日からは5万円未満の場合は非課税になりました。収入印紙を貼る必要のある領収書は、5万円以上のものになります。

消印を忘れずに

収入印紙は、貼り付けただけでは納税したことになりません。ではいつ納税したことになるのでしょうか。それは、消印を押したときになります。消印を忘れた時は、罰金が課せられることになりかねないので、忘れないようにしましょう。

ワンポイントアドバイス
収入印紙は切手のような形をしていますが、税金を納めるという役割があり、より重要なものです。収入印紙を貼る必要がある文書は、課税文書と呼ばれ、利益が発生する契約書や領収書になります。弁護士に依頼して作成した契約書でも、収入印紙を貼る必要がありますので、忘れないようにしましょう。

収入印紙が必要な契約書の課税文書

作成した文書が課税文書にあてはまるかどうかを、実際の場面で迷うこともあるでしょう。その場合は国税庁または管轄の税務署などに問い合わせ聞いてみることをおすすめしますが、ここでは上で説明した、収入印紙が必要な課税文書についてみていきます。

上では、印紙税法別表第一に掲載されている20種類の文書に当てはまる必要があるということを指摘しました。国税庁が公開している20種類のリストは以下の通りです。あまりなじみのないものについては、以下で説明いたします。

  1. 不動産等の譲渡に関する契約書
  2. 請負に関する契約書
  3. 約束手形または為替手形
  4. 株券・出資証券・社債券等
  5. 合併契約書または吸収分割契約書もしくは新設分割計画書
  6. 定款
  7. 継続的取引の基本となる契約書
  8. 預金証書、貯金証書
  9. 貨物引換証、倉庫証券、船荷証券
  10. 保険証券
  11. 信用状
  12. 信託行為に関する契約書
  13. 債務の保証に関する契約書
  14. 金銭または有価証券の寄託に関する契約書
  15. 債権譲渡または債務引受に関する契約書
  16. 配当金領収書など
  17. 金銭または有価証券の受取書
  18. 預貯金通帳など
  19. 請負通帳、金銭の受取通帳など
  20. 判取帳

定款

定款とは、法人の基礎的な規則のことをいいます。定款は会社法に則って作成され、自由に決められるわけではありません。一般に会社の設立の際に作成される定款には、収入印紙が必要ですが、以下にも説明する通り、電子定款の場合は収入印紙を節約することができます。

継続的取引の基本となる契約書

継続的取引の基本となる契約書にも一定の規定が設けられていますが、基本的には売買や運送に関して定めた継続的な契約書や、金融機関の業務や、保険募集、株式の発行に関する継続的な委託に関する契約書などが含まれます。

税率は1通につき4,000円ですが、契約期間が3ヶ月以内で更新の定めのないものは「継続的取引の基本となる契約書」に含まれません。

信用状

信用状とは、貿易取引の際に使用される文書のことです。英語では「Letter of Credit」といい、「L/C(エルシー)」と訳されることもあります。

信用状は、輸入者に変わって取引銀行が代金の支払いを確約する保証状のことをいい、貿易取引では、他国の商習慣や言葉、法律の異なる者の間で行われる商取引のリスクを軽減するために、この信用状が利用されます。

信託行為に関する契約書

「信託」とは、自分の財産を信頼できる第三者に託し、自分の目的のために運用し、管理してもらう制度のことをいい、大きく分けると個人・法人・公益や福祉のためのものがあります。しばしば信託銀行という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

信託銀行とは、「銀行業務」に加えて「信託業務」と「併営業務」を行っている銀行のことをいいます。信託行為に関する契約書とは、すなわち自分の財産を信頼のおける第三者に預けることに関連する契約書のことを指しています。

金銭または有価証券の寄託に関する契約書

「寄託」とはものを保管してもらうことを意味します。物を預ける側を寄託者といい、物を保管する側を受寄者といいます。

「金銭または有価証券の寄託に関する契約書」とはつまり、金銭や有価証券を保管してもらう契約の際に作成された文書のことで、この契約書には収入印紙を貼る必要があります。

預貯金通帳

最近では銀行がインターネットを活用し、通帳をなくす方向へと動いていますが、これは銀行が発行している通帳1つにつき200円の印紙税がかかることが一因だといわれています。預貯金通帳とは、お金の預金や払戻の証拠として交付する冊子のことをいいますが、これは課税文書のひとつとして位置付けられています。

判取帳

判取帳という言葉はあまり耳慣れないかもしれません。一種の領収書のようなものですが、支払いの際に受取人と金額、名前を記入する和式の帳簿になります。件数や冊数にかかわらず、1年で4,000円の印紙税がかかります。領収証を持ち歩かなくても取引ができるため、リサイクル業者や農産物取扱い業者が使用していることが多いようです。

ワンポイントアドバイス
収入印紙とは、原則的には金銭のやり取りが関わる文書に必要になります。近年では電子化することによって印紙税を節約するなどの方法もあるため、契約書の作成をインターネット上で専門の弁護士に依頼して作成してしまった方が、お得になる場合があります。

契約書での収入印紙の節約と電子化文書

最近では電子文書が活躍する場面が増えてきました。ここでは、電子文書を活用した印紙税の節約の方法などを紹介します。

PDFファイルの利用による節約

最近では、インターネットを介してリモートワークや業務委託契約をするという事例が増えています。書面で契約書を取り交わした場合には収入印紙が必要ですが、現状ではPDFやメール上で契約を交わした場合、収入印紙が必要ないことを国税局も認めています。

本来契約とは、口頭の取り交わしだけでも効力を発揮するものです。その延長として、メールやPDFファイルなどのインターネット上の契約でも、効果が認められています。また、メールで送られてきた契約書を印刷する場合やFAXの場合も、収入印紙を貼る必要はありません。

コピーを利用した節約~2通以上の契約書の場合~

もし契約書の原本を2通以上作成した場合は、それぞれに収入印紙を貼る必要がありますが、原本を1部作成し、残りをコピーで済ませる場合には、収入印紙もひとつで済ませることができます。ただし、これには「写しは原本と相違ない」などと記載しないようにするなどといった注意が必要です。

もし不安な場合は、専門の弁護士に相談して進めるとよいでしょう。

ワンポイントアドバイス
さらに印紙税を節約するために、契約書で交わす金額の記載方法などを工夫し、消費税別で記すという手法もあるようです。しかし、もしこのようなことをして誤っていたりすると、あとあと罰金などにもなりかねませんので、専門の弁護士に相談して方法を検討したほうがよいでしょう。

契約書の作成や収入印紙の節約には弁護士に相談を

専門にもよりますが、弁護士はあらゆる契約書作成のプロフェッショナルです。収入印紙は、その契約書で金銭のやり取りが発生した場合、原則として必要になるものです。

収入印紙とは、印紙税を支払うためのものですが、印紙税がかかるのは課税文書の規定内の文書になります。最近では、インターネットの発達によって、電子文書や、コピーを用いるなどの方法によって節約する方法も出てきました。

契約書の作成や、印紙税の節約の仕方にかんしては、弁護士に相談してみることをおすすめします。

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