目次[非表示]
育児・介護休業法とは|仕事と育児・介護の両立を支える法律
従業員が、子どもを育てながら、あるいは家族の介護をしながら、働き続けられるようにする。今の時代、会社には、こうした両立への支えが求められています。子育てや介護は、誰にでも起こりうることです。そうした事情を抱えた従業員が、仕事を辞めずにすむよう、会社が環境を整えていく。その土台となるのが、育児・介護休業法です。
育児・介護休業法という名前は聞いたことがあっても、会社として具体的に何をすればよいのかまでは、はっきりつかめていない、という経営者の方も少なくないでしょう。この法律が何を求めているのか、自社は何に気をつければよいのか。まずは、この法律が何を意味するのかという基本から、整理していきましょう。基本を押さえておくことが、適切な対応の第一歩になります。
育児・介護休業法と聞くと、複雑で分かりにくいという印象を持つ方もいるかもしれません。たしかに、細かな決まりは多岐にわたります。しかし、その根っこにある考え方は、育児や介護を抱えた従業員が働き続けられるよう支える、という一貫したものです。この土台の考え方を押さえておけば、個々の対応も、その趣旨に沿って筋道立てて考えられます。まずは大きな考え方をつかむことが大切です。
細部にとらわれて全体を見失うより、まず「育児や介護を抱えた従業員を支える」という目的を胸に置くことです。その目的に照らせば、個々の場面で何が望ましい対応かも、おのずと見えてきます。細かな決まりは、この目的を実現するための手段にすぎません。目的をつかんだうえで、必要に応じて細部を確かめていく。その順序で臨めば、対応の勘所を外さずにすみます。
育児・介護休業法とは、従業員が、育児や介護をしながら働き続けられるよう、会社に一定の対応を求める法律です。子どもを育てるために、あるいは家族を介護するために、一定期間仕事を休めるようにしたり、働き方に配慮したりすることを、会社に求めています。仕事と、育児や介護との両立を支えることを目的とした法律だといえます。
この法律が支えようとしているのは、働く人が、人生の大切な役割と、仕事とを、両立できる状態です。子どもを育てることも、家族を介護することも、多くの人が人生のなかで担う、かけがえのない役割です。その役割のために、働くことをあきらめずにすむようにする。育児・介護休業法は、そうした両立を、社会の仕組みとして支えようとするものなのです。
ここで大切なのは、これらの対応は、会社の任意の親切ではなく、法律にもとづいて求められるものだ、という点です。従業員から育児や介護のための休業などの申し出があったとき、会社は、法律の求めるところに従って対応する必要があります。恩恵として与えるかどうかを会社が自由に決められるものではなく、従業員の権利として保障されているものだ、という理解が出発点になります。
ここを取り違えると、対応を誤りやすくなります。育児や介護のための休業などは、会社が施しとして与えるものではなく、従業員が当然に持つ権利だという発想が、正しい対応の土台です。会社の側に、応じるかどうかの裁量が広くあるかのように考えてしまうと、正当な申し出を軽く扱いかねません。まずは、これは権利なのだ、という理解に立つことが肝心です。
この記事では、なぜ企業に対応が求められるのか、企業に求められる主な対応は何か、休業の申し出にどう対応すればよいのか、そして対応を誤るとどうなるのかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。自社の対応を見つめ直すうえでの、手がかりにしていただければと思います。
育児や介護は、いつ、どの従業員に起こるか分かりません。今は関係なさそうに見えても、明日には、身近な従業員が直面するかもしれません。だからこそ、いざというときに慌てないよう、あらかじめ対応の考え方を知っておくことが大切です。備えがあれば、従業員からの申し出にも落ち着いて向き合えます。この記事が、その備えの一助になれば幸いです。
なぜ企業に対応が求められるのか
育児・介護休業法が、なぜ企業に対応を求めるのか。その背景を知っておくと、この法律の意味がより深く理解できます。単に決まりだから守る、というのではなく、なぜ必要なのかを腹に落として取り組むことが大切です。背景を見ていきましょう。
最も大きな理由は、育児や介護を理由に、働き続けることをあきらめる人を減らすためです。子育てや介護が始まったとたん、仕事を続けられなくなり、辞めざるをえない。そうした事態は、働く本人にとっても、貴重な人材を失う会社にとっても、大きな損失です。両立を支える仕組みを整えることは、こうした事態を防ぎ、働く人がその力を発揮し続けられるようにするためのものなのです。
人を一人育てるには、長い時間と多くの手間がかかります。せっかく経験を積んで戦力となった従業員が、育児や介護を理由に辞めてしまえば、会社はその力を一から育て直さねばなりません。両立を支え、働き続けてもらうことは、そうした損失を避け、培ってきた力を会社にとどめることでもあります。両立支援は、人材という財産を守る取り組みなのです。
また、社会全体として、仕事と育児や介護の両立を後押ししようという取り組みが進められています。会社が事業を営む以上、この取り組みに沿った対応をとることが求められます。両立支援に取り組むことは、会社の社会的な責任という観点からも、大切なことなのです。育児・介護休業法への対応は、こうした社会の要請に応えるものでもあります。
両立支援は、もはや一部の会社だけの取り組みではなく、社会全体で進められている流れです。この流れに沿った対応をとることは、会社が社会の一員として果たすべき務めでもあります。時代の求めに背を向け、両立への配慮を欠いたままでいれば、会社は社会からの信頼を失いかねません。両立支援への取り組みは、会社が社会とともに歩んでいくための、大切な一歩なのです。
さらに、会社にとっても、両立支援に取り組む意味は小さくありません。育児や介護をしながらでも安心して働ける会社には、人が集まり、定着します。逆に、こうした事情への配慮が乏しければ、せっかく育てた人材が離れていきかねません。両立を支えることは、単なる義務としてだけでなく、人材を大切にし、会社の力を保つうえでも意義のあることなのです。備えの有無が、会社の将来を左右することもあります。
人手を確保することが難しくなっていくなかで、いったん採用し、育てた人材にいかに長く働き続けてもらうかは、会社にとって切実な課題です。両立支援がしっかりしている会社は、育児や介護という節目でも人材を失わずにすみます。そうした会社は、長い目で見て、安定した人の力に支えられます。両立支援への取り組みは、会社の土台を固めることにもつながるのです。
企業に求められる主な対応
育児・介護休業法は、企業にどのような対応を求めているのでしょうか。求められる対応を知っておくことは、自社の取り組みを点検するうえで欠かせません。主な対応を、いくつか見ていきましょう。全体像をつかんでおくことが大切です。
企業に求められる主な対応として、たとえば次のようなものが挙げられます。いずれも、両立支援の土台となる大切な要素です。
- 従業員が育児や介護のために休業を申し出たとき、これに対応すること。
- 育児や介護をしながら働く従業員の、働き方に配慮すること。
- 育児や介護を理由に、従業員を不利益に取り扱わないこと。
- 両立を支える制度を整え、従業員に知らせておくこと。
まず、従業員から育児や介護のための休業の申し出があったときに、これに対応することです。従業員が、子育てや介護のために一定期間休みたいと申し出た場合、会社は、法律の定めるところに従って、これに応じる必要があります。正当な申し出を、会社の都合で拒むことはできません。ここが、両立支援の基本的な柱の一つになります。
正当な申し出を、会社の都合で拒めないというのは、裏を返せば、会社には、従業員が休業できるよう職場を回す工夫が求められる、ということでもあります。一人が休んでも業務が滞らないよう、あらかじめ備えておく。そうした職場づくりがあってはじめて、休業への対応も無理なく行えます。休業を受け入れる態勢を整えておくことも、両立支援の一環だといえます。
特定の従業員に業務が集中していると、その人が休業したとたんに、職場が回らなくなります。日ごろから、業務を複数の人で分担できるようにしておく、手順を共有しておくといった備えがあれば、いざ誰かが休んでも、慌てずにすみます。こうした職場づくりは、育児や介護の場面に限らず、会社を丈夫にすることにもつながります。備えは、両立支援の枠を超えて役立つのです。
次に、育児や介護をしながら働く従業員の、働き方への配慮です。休業だけでなく、育児や介護を抱えた従業員が、働き方の面で無理なく働き続けられるよう、会社には一定の配慮が求められます。事情を抱えた従業員が、仕事を続けられるよう支える。そうした働き方への目配りも、大切な対応の一つです。
育児や介護を抱えた従業員は、休業から復帰した後も、時間の制約などを抱えていることがあります。そうした従業員が、無理なく働き続けられるよう、働き方の面で配慮することが求められます。事情に応じた柔軟な働き方を支えることで、従業員は、育児や介護と仕事とを両立させやすくなります。休業だけでなく、日々の働き方への目配りも欠かせないのです。
そして、育児や介護を理由に、従業員を不利益に取り扱わないことも、極めて重要です。休業を申し出たこと、あるいは育児や介護のための制度を利用したことを理由に、その従業員を不当に扱うことは許されません。制度を利用したら不利益を受けるのでは、安心して両立できません。不利益な取り扱いをしないことは、両立支援を実のあるものにするための、欠かせない前提なのです。
いくら休業などの制度が整っていても、それを使えば不利に扱われるとなれば、従業員は安心して利用できません。制度が絵に描いた餅になってしまいます。従業員が、ためらいなく制度を使えるようにするには、利用しても不利益を受けない、という安心が欠かせないのです。不利益な取り扱いをしないことは、制度を実際に機能させるための、いわば命綱のようなものだといえます。
育児・介護休業をめぐる会社の実務
従業員から育児や介護のための休業の申し出があったとき、会社はどう対応すればよいのでしょうか。慌てず、適切に対応するために、大まかな流れを知っておくことが大切です。実務の進め方を見ていきましょう。段取りを整えておくことが、円滑な対応につながります。
育児・介護休業をめぐる会社の対応は、おおむね次のような流れで進んでいきます。一つずつ、丁寧に対応していくことが大切です。
- 従業員から、育児や介護のための休業の申し出を受ける。
- 申し出の内容を確かめ、法律の求めに沿って対応を検討する。
- 休業の期間や、その間の取り扱いについて、必要な確認を行う。
- 休業に入る従業員や、その後の復帰に向けて、必要な備えをする。
まず、従業員からの申し出を受けたら、その内容を確かめます。どのような理由で、いつからいつまで休業を希望しているのかを把握します。そのうえで、その申し出が法律の求めるところに沿ったものかを確認し、対応を検討します。申し出を受けたら、あいまいにせず、きちんと向き合うことが大切です。
申し出への対応が遅れたり、あいまいなままだったりすると、従業員は不安を募らせます。自分の申し出がどう扱われるのか分からないまま待たされるのは、心細いものです。申し出を受けたら、速やかに内容を確かめ、見通しを伝える。そうした丁寧な対応が、従業員の安心につながり、両立への信頼を築きます。最初の受け止め方が、その後の関係を左右するのです。
次に、休業の期間やその間の取り扱いについて、必要な確認や手続きを進めます。休業中の従業員の扱いや、職場としての備えなど、確かめておくべきことは少なくありません。こうした点を、あらかじめ整理しておけば、対応がぶれずにすみます。従業員が安心して休業に入れるよう、丁寧に対応することが求められます。
休業に入る従業員は、仕事のことも気がかりにしているものです。自分が抜けた後、業務は回るのか、周りに迷惑をかけないか、と。だからこそ、会社の側で、休業中の業務の引き継ぎや職場の備えをきちんと整えておくことが、従業員の安心につながります。安心して休業に入れる環境を用意することも、両立を支える大切な対応の一つなのです。
そして、忘れてはならないのが、休業した従業員の、その後の復帰に向けた備えです。育児や介護のための休業は、いずれ職場に戻ることを前提としたものです。休業する従業員が、安心して復帰できるよう、あらかじめ備えておくことが大切です。休業への対応は、送り出すところだけでなく、迎え入れるところまで見据えて考える必要があるのです。
休業した従業員がスムーズに職場に戻れるかどうかは、会社の備え方に大きく左右されます。長く職場を離れれば、本人も、戻ることに不安を感じるものです。復帰後にどんな形で働いてもらうのか、職場としてどう受け入れるのかを、あらかじめ考えておく。そうした配慮があれば、従業員は安心して休業に入り、また前向きに職場に戻ってこられます。復帰への備えは、両立支援の仕上げなのです。
対応を誤るとどうなるか
育児・介護休業法への対応を誤ると、会社にはさまざまな問題が生じます。どんなことになりうるのかを知っておくことは、適切に対応する意識を高めるうえで役立ちます。会社が直面しうるものを見ていきましょう。備えの大切さを、あらためて確かめておきましょう。
まず、法律の求めに反した対応をとれば、会社は法律上の問題を問われることになります。正当な休業の申し出を拒んだり、育児や介護を理由に従業員を不利益に扱ったりすることは、法律に反する行いです。こうした対応は、後になって是正を求められたり、会社が責任を問われたりする事態を招きかねません。安易な対応は、思わぬ問題につながるのです。
「これくらいなら大丈夫だろう」という軽い気持ちの対応が、後で大きな問題に発展することは少なくありません。育児や介護をめぐる従業員の権利は、法律でしっかりと守られています。それを軽んじた対応は、法律上の問題を招くだけでなく、従業員の心にも深い傷を残します。目先の都合だけで判断せず、慎重に、法律の求めに沿って対応することが肝心です。
次に、従業員との信頼関係が損なわれることも見過ごせません。育児や介護という、人生の大切な場面で、会社の対応が冷たければ、従業員は深く失望します。一度失われた信頼を取り戻すのは、簡単なことではありません。両立を支えるどころか、対応のまずさによって、貴重な人材を失うことにもなりかねないのです。
育児や介護という、支えを最も必要とする場面での会社の対応を、従業員は忘れないものです。親身に支えてくれた会社には、深い信頼と恩を感じ、長く力を尽くそうと思うでしょう。反対に、突き放すような対応をされれば、その失望は簡単には消えません。この大切な場面での向き合い方が、その後の関係を、良くも悪くも決定づけるのです。
従業員は、平時の言葉よりも、いざというときの会社の行いを見ています。困難に直面したときに、会社が本当に自分を支えてくれるのかどうか。その一点を、身をもって確かめるのです。両立支援への誠実な対応は、そうした従業員の問いに、行いをもって応えることでもあります。この場面での対応こそが、会社への信頼を、確かなものにするのです。
さらに、こうした問題が積み重なれば、会社の評判にも関わってきます。従業員の事情に配慮しない会社だと見られれば、人が集まりにくくなり、働く人も定着しなくなります。両立支援にきちんと取り組むことは、単に義務を果たすというだけでなく、会社が人材に選ばれ続けるための土台でもあるのです。目先の手間にとらわれず、誠実に対応することが大切です。
育児や介護をめぐる対応は、その従業員だけでなく、周りの従業員も見ています。困ったときに会社が支えてくれるのだと分かれば、ほかの従業員も、安心してこの会社で働き続けようと思えます。逆に、冷たい対応をとれば、それを見た周りの従業員の心も離れていきます。一人への対応が、職場全体の信頼に響く。そのことを意識して、誠実に向き合いたいところです。
制度改正への向き合い方
育児・介護休業法をめぐる制度は、社会の変化に応じて、これまでも見直しが重ねられてきました。会社としては、こうした制度の動きにも、目を配っておく必要があります。改正への向き合い方を見ていきましょう。変化に取り残されないための心構えが大切です。
両立支援をめぐる制度は、時代の要請に応じて、対応の内容が段階的に見直されてきました。社会の変化とともに、求められる対応も変わっていきます。会社としては、今の時点で求められる対応を満たすだけでなく、制度がどう変わっていくかにも、関心を持っておくことが望まれます。制度は変わりうるものだ、という意識を持っておくことが大切です。
大切なのは、一度対応を整えたら、それで終わりにしないことです。制度が見直されれば、これまでの対応では足りなくなることもあります。今の対応が、最新の求めに沿ったものになっているかを、折にふれて確かめる。そうした継続的な見直しが、制度の変化に取り残されないための備えになります。放っておくと、知らぬ間に対応が不十分になっていることもあるのです。
制度が見直されても、その変化に気づかずにいれば、これまでどおりの対応を続けてしまいます。そして、それが今の求めに足りていないことに、問題が起きてはじめて気づく、ということになりかねません。そうした後手の対応を避けるには、制度の動きに日ごろから目を配り、変化があれば速やかに自社の対応を見直す構えが欠かせません。変化を見逃さないことが、確かな対応を保つ鍵です。
とはいえ、制度の動きを絶えず追いかけるのは、会社にとって負担が大きいものです。だからこそ、こうした点については、専門家の力を借りることが役立ちます。専門家は、制度の動向を踏まえた助言をしてくれます。自社だけで抱え込まず、専門家とつながっておくことで、制度の変化にも無理なく対応していけるのです。
制度の動向を追い、その意味を正しく読み解くには、専門的な知見が要ります。日々の業務に追われるなかで、それを自社だけで担うのは、容易ではありません。専門家とつながっておけば、制度が変わった際にも、自社が何をすべきかを的確に教えてもらえます。変化への対応を専門家に支えてもらうことで、会社は本来の業務に集中しながら、確かな対応を保てるのです。
会社が取り組むべきことと専門家の活用
ここまで、育児・介護休業法の考え方と、求められる対応、実務の流れ、そして改正への向き合い方を見てきました。最後に、会社としてどう取り組んでいけばよいか、そして専門家をどう活かせばよいかを整理しておきましょう。前向きな取り組みが、よい職場をつくります。
まず心がけたいのは、両立支援を、義務としてだけでなく、人材を大切にする取り組みとしてとらえることです。育児や介護を抱えた従業員を支えることは、その人が働き続けられるようにするだけでなく、会社への信頼を育みます。安心して働ける職場は、人に選ばれ、人が定着します。両立支援は、会社の力を保つための、前向きな取り組みなのです。
義務としてしぶしぶ取り組むのと、人材を大切にする姿勢として前向きに取り組むのとでは、同じ対応でも、従業員への伝わり方がまるで違います。心のこもった支えは、従業員にまっすぐ届き、深い信頼を生みます。両立支援を、負担ではなく、よい職場をつくる機会としてとらえる。その姿勢の違いが、取り組みの実りを大きく左右するのです。
次に、育児・介護休業法への対応は、専門的な判断を要することを踏まえ、無理に自社だけで抱え込まないことです。何をどこまで対応すべきか、制度の変化にどう対応すべきかの判断は、簡単ではありません。あいまいなまま進めて、後で不備が見つかれば、かえって大きな問題になりかねません。判断に迷う点は、専門家に確かめながら進めるのが確実です。
とりわけ、育児や介護をめぐる従業員の権利は、細かな決まりが多く、その適用も一様ではありません。自己流の判断で対応すると、知らぬ間に法律の求めから外れてしまうおそれもあります。こうした場面では、専門家の助言を受けながら進めることが、対応の確かさを支えます。専門家に頼ることは、遠回りではなく、確実な対応への近道なのです。
また、自社の制度や対応を、折にふれて点検することも大切です。一度整えて終わり、ではなく、それが今の求めに沿ったものかを、定期的に確かめる。制度の変化に目を配り、必要に応じて対応を見直していく。そうした継続的な取り組みが、両立支援を実のあるものに保ちます。点検を怠れば、知らぬ間に対応が古びてしまうこともあります。
両立支援の対応は、いわば手入れを続けることで、はじめて生きた仕組みであり続けます。整えたときには十分だった対応も、時がたてば、実情や求めに合わなくなっていきます。だからこそ、折にふれて自社の対応を見直し、今の状況にかなったものへと整え直していく。そうした地道な点検の積み重ねが、両立支援を、形だけでない実のあるものに保つのです。
育児・介護休業法への対応や、制度の整備、変化への対応に不安があるときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。専門家の力を借りれば、求められる対応を的確に把握できますし、制度の変化にも、遅れることなく対応していけます。日ごろから相談できる関係を築いておくと、両立支援をめぐる問題にも落ち着いて対応できます。
両立支援をめぐる問題は、従業員の人生の大切な場面に関わるだけに、対応を誤れば、深刻なこじれにつながりかねません。だからこそ、いざというときに一から相談先を探すのではなく、日ごろから会社の事情を分かってくれる専門家とつながっておくことに意味があります。ふだんから相談できる相手がいれば、迷いが生じたその都度、確かめながら対応を進められます。
育児・介護休業法に関するよくある質問
従業員からの育児・介護休業の申し出は、断れますか
従業員からの正当な育児や介護のための休業の申し出を、会社の都合で拒むことはできません。これらの休業は、法律にもとづいて従業員に保障されているもので、会社が恩恵として与えるかどうかを自由に決められるものではありません。申し出を受けたら、あいまいにせず、法律の求めに沿って対応することが大切です。対応に迷うときは、専門家に相談すると安心です。
育児・介護休業を理由に、待遇を下げても問題ありませんか
育児や介護のための休業を申し出たことや、こうした制度を使ったことを理由に、その従業員の待遇を下げるといった不利益な扱いをすることは、認められていません。これは法律上の問題を招くうえ、従業員からの信頼も大きく損ないます。制度を使いづらい空気を職場に生まないよう、会社の姿勢そのものが問われる場面です。判断に迷うときは、専門家に確認することをおすすめします。
制度の改正には、どう対応すればよいですか
両立支援をめぐる制度は、これまでも段階的に見直されてきました。一度対応を整えたら終わりではなく、制度の動きに目を配り、変化に応じて自社の対応も見直していくことが大切です。ただし、制度の動向を絶えず追うのは負担が大きいため、専門家の力を借りるのが役立ちます。最新の求めに沿った対応ができているかを、折にふれて確かめるとよいでしょう。
育児・介護休業法への対応で不安があるときは、どこに相談すればよいですか
求められる対応の内容や、制度の整備、変化への対応で判断に迷うときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。対応を誤ると、法律上の問題や、従業員とのトラブルを招きかねません。平時から相談できる体制を整えておけば、両立支援をめぐる問題が生じたときにも、慌てず適切に対応を進めやすくなります。