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就業規則の作り方|記載事項と作成・届出の手順

この記事で分かること

  • 就業規則は会社と従業員が同じルールで働くための土台になる
  • 一定数以上の従業員がいる会社には作成と届出が義務づけられる
  • 記載事項には必ず書く事項と制度を設ける場合に書く事項がある
  • 作成には従業員代表の意見聴取が必要になる
  • 作成後は労働基準監督署への届出が求められる
  • 従業員への周知まで行って初めて機能する
  • 実態に合った内容にすることがトラブル防止につながる

就業規則は、会社と従業員が同じルールのもとで働くための土台です。一定数以上の従業員がいる会社には作成と届出が義務づけられ、記載すべき事項も定められています。作成にあたっては従業員の意見を聴き、労働基準監督署へ届け出て、内容を全員に周知するという流れを踏みます。形だけ整えるのではなく、実態に合った内容にしておくことが、後々のトラブルを防ぐことに確実につながります。

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就業規則とは|会社と従業員のルールを定めるもの

会社を運営していくうえで、「働くときのルール」をはっきりさせておくことは欠かせません。始業や終業の時刻はいつか、休みはどう取るのか、給料はどう決まるのか。こうした基本的な決まりを一つにまとめたものが、就業規則です。

就業規則は、いわば会社と従業員が同じルールブックを共有するためのものです。ルールが明文化されていないと、「言った・言わない」の争いが起きたり、人によって扱いが違うといった不公平が生まれたりします。あらかじめルールを定めて全員で共有しておくことで、こうしたトラブルを防ぎ、安心して働ける職場をつくることができます。

経営者のなかには、「うちは少人数で、みんな顔が見える関係だから、わざわざルールを文書にしなくても大丈夫」と考える方もいます。確かに、日ごろのコミュニケーションがうまくいっているうちは問題が表に出ないかもしれません。しかし、人が増えたり、考え方の違う人が入ってきたり、あるいは何か問題が起きたりしたとき、拠りどころとなる明文のルールがないと、対応に困ってしまいます。就業規則は、平穏なときには目立ちませんが、いざというときに会社と従業員の双方を支える土台になるのです。

とはいえ、いざ就業規則を作ろうとすると、何を書けばよいのか、どんな手続きが必要なのか、迷うことも多いはずです。この記事では、就業規則の作成が義務づけられる会社の条件から、記載すべき事項、作成・届出・周知までの流れを、弁護士の視点で順に見ていきます。これから作る方も、すでにあるものを見直したい方も、ぜひ参考にしてください。

就業規則は、一見すると堅苦しく、作るのが大変そうに感じられるかもしれません。しかし、その本質は「働くうえでの約束事を分かりやすくまとめる」というシンプルなものです。ポイントを押さえて順を追って進めれば、決して手の届かない作業ではありません。まずは全体像を知ることから始めていきましょう。

就業規則の作成が義務づけられるのはどんな会社か

すべての会社に就業規則の作成が義務づけられているわけではありません。法律では、常時一定数以上の従業員を使用する会社に対して、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出ることを求めています。この人数に達している会社は、就業規則を作ることが義務になります。

この義務は、会社の規模が大きくなるにつれて、就業規則の必要性が高まることを踏まえたものだと考えられます。従業員が少ないうちは、経営者が一人ひとりの状況を把握し、個別に対応することもできます。しかし、人数が増えてくると、そうした個別対応には限界が生じ、全員に共通するルールがないと運営が立ち行かなくなります。だからこそ、一定の人数を超えた会社には、就業規則という形でルールを明文化することが求められているのです。

自社が義務の対象かどうかを正しく把握しておくことは、法律を守るうえでの基本です。対象であるにもかかわらず就業規則を作っていない状態は、それ自体がリスクとなります。まずは自社の状況を確認するところから始めましょう。

ここで数える従業員には、正社員だけでなく、パートやアルバイトなども含まれます。「正社員は少ないから対象外だろう」と思っていても、パートなどを合わせると基準に達している、というケースは少なくありません。自社が作成義務のある会社に当たるかどうかは、雇用形態にかかわらず、実際に働いている人数で判断する必要があります。

「常時」という言葉にも注意が必要です。これは、たまたま一時的に人数が増えた場合ではなく、通常の状態として一定数以上の従業員がいるかどうかを見るものです。繁忙期だけ一時的に人手を増やしているようなケースと、恒常的に多くの人を雇っているケースとでは、扱いが変わってきます。自社の従業員数が微妙なラインにある場合は、どのように数えるべきか判断に迷うこともあるため、専門家に確認しておくと安心です。義務があるのに就業規則を作っていないと、それ自体が問題となることもあります。

なお、作成義務のない小規模な会社であっても、就業規則を作っておくことには大きな意味があります。ルールが明確になっていれば、従業員も安心して働けますし、いざトラブルが起きたときの判断の拠りどころにもなります。義務がないから作らない、と考えるのではなく、会社を守る備えとして前向きに検討するとよいでしょう。

特に、これから人を増やしていこうとしている会社にとっては、早い段階で就業規則を整えておく価値は大きいものです。人数が少ないうちにきちんとしたルールを作っておけば、その後に入ってくる従業員にも同じ基準を適用でき、公平で一貫した運営がしやすくなります。逆に、人が増えてから慌てて作ろうとすると、すでにばらばらになっている運用を後からそろえるのに苦労することになります。会社の成長を見据えるなら、就業規則の整備は先延ばしにしないほうが賢明です。

就業規則に必ず記載する事項・定めるなら記載する事項

就業規則に書く内容は、大きく分けて二種類あります。必ず記載しなければならない事項と、その制度を設ける場合には記載しなければならない事項です。この違いを理解しておくことが、もれのない就業規則をつくる第一歩になります。

この区別を知らないまま就業規則を作ると、書くべきことが抜けてしまったり、逆に必要のないことまで盛り込んでしまったりしがちです。特に、必ず記載しなければならない事項が抜けていると、就業規則としての体裁が整っていないと見なされることもあります。どの事項が必須で、どの事項が制度次第なのかを最初に整理しておけば、作成の作業がぐっと進めやすくなります。それぞれについて、順に見ていきましょう。

必ず記載しなければならない事項

どの会社の就業規則にも必ず書かなければならないのが、労働時間に関すること、賃金に関すること、退職に関することです。具体的には、始業・終業の時刻や休憩、休日、休暇について、給料の計算方法や支払いの時期について、そして退職や解雇に関することなどが含まれます。これらは働くうえでの根幹となる事項なので、省くことはできません。

これらの事項は、従業員が「自分はどんな条件で働いているのか」を知るうえで最も基本となる情報です。何時から何時まで働くのか、休みはどれくらいあるのか、給料はいつどのように支払われるのか。こうしたことがあいまいなままだと、従業員は不安を抱えながら働くことになりますし、認識の食い違いからトラブルが生じやすくなります。だからこそ、これらの根幹となる事項は必ず就業規則に明記し、誰が読んでも同じ理解ができるようにしておく必要があるのです。

これらの事項は、就業規則の骨格にあたる部分です。ここがしっかりしていれば、規則全体が安定したものになります。作成の際は、まずこの必須事項をもれなく押さえることから始めるとよいでしょう。

制度を設ける場合に記載する事項

一方、その制度を設ける場合にだけ記載すればよい事項もあります。たとえば、退職金や賞与といった臨時の賃金に関すること、従業員に食費や作業用品を負担させる場合のこと、表彰や制裁に関することなどです。これらの制度を設けないのであれば記載する必要はありませんが、設けるのであれば就業規則に書いておかなければなりません。

言い換えれば、これらは「制度があるかないか」で記載の要否が決まる事項です。自社にその制度があるのに書いていない、という状態が問題になります。

ここでよくあるのが、「賞与を出しているのに就業規則に書いていない」といった記載もれです。制度として運用しているのであれば、その内容を就業規則に定めておかないと、支給の基準があいまいになり、後で「もらえるはずだった」といった争いにつながることがあります。実際に自社で行っている制度をすべて洗い出し、記載が必要なものを見落としていないか、しっかり確認することが大切です。記載事項を整理すると、次のように分けて考えられます。

区分 内容の例
必ず記載する事項 労働時間・休憩・休日・休暇、賃金の計算と支払い、退職や解雇に関すること
制度を設ける場合に記載する事項 退職金や賞与、費用負担、表彰や制裁に関すること
会社が任意で定める事項 服務規律など、会社が独自に設けたいルール

会社独自のルールも定められる

法律で定められた事項のほかに、会社が独自に設けたいルールを記載することもできます。服務規律といった、従業員に守ってほしい行動の基準などがこれに当たります。ただし、こうした独自のルールも、法律に反する内容にすることはできません。

会社独自のルールは、その会社の考え方や大切にしている価値観を反映させられる部分でもあります。たとえば、情報の取り扱いに関する決まりや、副業についての考え方、職場での基本的なマナーなど、自社にとって重要だと考えることを盛り込んでおくと、従業員に会社の方針が伝わりやすくなります。ただし、あまりに細かく縛りすぎたり、従業員に過度な負担を強いたりする内容は、かえって反発を招いたり、法律上問題となったりすることがあります。何を定めるかは、自社にとっての必要性と、従業員にとっての納得感のバランスを考えて決めることが大切です。

独自ルールを設けるときは、なぜそのルールが必要なのかを従業員に説明できるようにしておくと、受け入れられやすくなります。理由の分からない決まりは反発を招きがちですが、背景や目的が理解されれば、自然と守られるようになります。

就業規則を作成するときの基本的な流れ

就業規則は、思いつくままに書けばよいというものではありません。いくつかの段階を踏んで、慎重に作り上げていく必要があります。全体の流れをつかんでおきましょう。就業規則の作成は、大きく見ると「案を作る」「意見を聴く」「届け出る」「周知する」という段階を順に踏んでいくことになります。

それぞれの段階には、それぞれの意味があります。案を作る段階では自社の実態を丁寧に反映させ、意見を聴く段階では従業員の声を取り入れ、届け出る段階では法律上の義務を果たし、周知する段階では規則を実際に機能させる。どの段階も飛ばすことはできず、一つひとつを丁寧に進めることで、はじめて実効性のある就業規則ができあがります。急がば回れの気持ちで、順を追って取り組んでいきましょう。

  1. 自社の実態を整理し、盛り込むべき内容を検討する。
  2. 必要な記載事項をもれなく含めて、就業規則の案を作成する。
  3. 従業員の代表から意見を聴き、意見書をまとめる。
  4. 就業規則と意見書を労働基準監督署へ届け出る。
  5. 作成した就業規則を、すべての従業員に周知する。

この流れのなかで特に大切なのが、案を作る段階です。ここで自社の実態に合わない内容にしてしまうと、後で「規則どおりに運用できない」という問題が生じます。実際の働き方をよく踏まえたうえで、無理なく守れる内容にしていくことが求められます。

就業規則の案を作るとき、他社のひな形をそのまま使ってしまうケースがよく見られます。手軽に見えますが、これには落とし穴があります。ひな形は一般的な内容にすぎず、自社の実情に合っているとは限らないからです。自社にはない制度が書かれていたり、逆に自社で行っている制度が抜けていたりすることもあります。ひな形はあくまで参考にとどめ、自社の働き方や制度に合わせて一つずつ内容を確認し、必要な調整を加えていくことが欠かせません。手間はかかりますが、その手間が後々のトラブルを防いでくれます。

従業員の意見聴取と労働基準監督署への届出

就業規則を作成したり変更したりするときには、従業員の意見を聴くという手続きが欠かせません。これは、会社が一方的にルールを決めるのではなく、働く人の声を反映させるための仕組みです。

この手続きが設けられているのは、就業規則が従業員の働き方や生活に直接関わるものだからです。会社が自分たちの都合だけでルールを決めてしまえば、そこで働く人にとって不本意な内容になりかねません。意見を聴くという段階をはさむことで、従業員の実情や希望を規則に反映させる機会が生まれます。この仕組みを面倒な手続きと捉えるか、よりよい職場をつくる機会と捉えるかで、就業規則の質は大きく変わってきます。

意見を聴く相手

意見を聴く相手は、従業員の過半数で組織する労働組合があればその組合、なければ従業員の過半数を代表する人です。この代表者は、会社が勝手に指名するのではなく、従業員の側で正しく選ばれた人でなければなりません。ここを軽く扱うと、手続きの正当性が問われることになります。

代表者の選び方については、特に注意が必要です。会社が「この人にお願いします」と一方的に決めたり、管理職の立場にある人を代表にしたりすると、正しい手続きとは認められないことがあります。あくまで、一般の従業員のなかから、投票や話し合いといった民主的な方法で選ばれた人でなければなりません。この点をおろそかにすると、せっかく届け出た就業規則の手続きに問題があると指摘され、効力をめぐって争いになるおそれがあります。手続きの入り口だからこそ、丁寧に進めることが大切です。

意見書の作成と届出

聴いた意見は、意見書という形にまとめます。ここで注意したいのは、あくまで「意見を聴く」ことが求められているのであって、従業員の同意を得る必要まではないという点です。仮に反対の意見が出たとしても、その意見書を添えて届け出ること自体は可能です。ただし、反対意見が出ているということは内容に問題がある可能性もあるため、その声には真摯に向き合うべきでしょう。

意見を聴く手続きは、形式的に済ませればよいというものではありません。従業員の声に耳を傾ける姿勢そのものが、会社と従業員の信頼関係を築くうえで意味を持ちます。反対意見や要望が出たときに、それを頭ごなしに退けるのではなく、「なぜそう感じるのか」を理解しようとすることで、より実態に合った、みんなが納得できる就業規則に近づいていきます。届出のために意見を聴くのではなく、よりよい規則にするために意見を聴く、という意識で臨むとよいでしょう。

就業規則を従業員に周知する方法

就業規則は、作成して届け出れば終わり、ではありません。その内容を従業員に知らせる、つまり周知することが必要です。周知されていない就業規則は、効力の面で問題が生じることがあります。

意外に見落とされがちなのが、この周知の手続きです。作成と届出まではきちんと行ったのに、従業員への周知があいまいなまま、というケースは少なくありません。しかし、従業員がその内容を知ることができない状態では、いくら立派な就業規則を作っても、実際にはルールとして機能しません。周知は、就業規則を「絵に描いた餅」で終わらせないための、重要な最終ステップなのです。

周知の方法にはいくつかあります。従業員がいつでも見られる場所に備え付けておく、書面にして配る、社内で誰もがアクセスできる形にしておくといった方法です。大切なのは、従業員が見ようと思えばいつでも内容を確認できる状態にしておくことです。金庫にしまい込んで誰も見られない、というのでは周知したことになりません。

周知は、単なる形式的な手続きではありません。従業員が就業規則の内容を知らなければ、そこに書かれたルールを守りようがありませんし、いざ規則に基づいて何かを判断しようとしても、「そんなルールは知らなかった」と言われかねません。だからこそ、ただ置いておくだけでなく、新しく入った従業員にはきちんと説明する、内容を変更したときは変わった点を伝えるといった工夫があると、より実効性が高まります。周知を丁寧に行うことは、就業規則を絵に描いた餅にしないための、大切な仕上げの作業だと言えます。

確認しておきたいこと
就業規則は「作る」「届け出る」「周知する」の三つがそろって、はじめてきちんと機能します。このうちどれか一つでも欠けていると、いざというときに規則の効力が問題になることがあります。自社の就業規則が三つとも満たしているか、確認しておきましょう。

トラブルを防ぐために就業規則で気をつけたいこと

就業規則は、うまく作れば会社を守る強い味方になりますが、内容に不備があると、かえってトラブルの火種にもなりかねません。作成・見直しの際に気をつけたい点を押さえておきましょう。就業規則をめぐってよく問題になるのは、次のような場面です。

  • 規則の内容が古く、現在の法律や実際の働き方に合っていない。
  • 解雇や懲戒の定めがあいまいで、いざというときに根拠にできない。
  • 実際に運用している制度が就業規則に書かれていない。
  • 作成や変更の手続き、周知が正しく行われていない。

これらはいずれも、日ごろは表に出にくい問題です。しかし、従業員との間で争いが起きたとき、こうした不備が会社にとって不利にはたらくことがあります。就業規則は、平穏なときにこそ点検し、整えておくことが大切なのです。

まず大切なのは、実態と合った内容にすることです。立派な規則を作っても、実際の運用とかけ離れていては意味がありません。たとえば、規則では認めていない働き方が現場で常態化していると、いざというときに「規則が守られていない」ことが問題視されます。現実に即した、守れる規則にしておくことが基本です。

規則と実態がずれてしまう原因の多くは、規則を一度作ったきり見直していないことにあります。事業を続けていれば、働き方も、扱う業務も、従業員の構成も少しずつ変わっていきます。ところが就業規則だけは昔のまま、というケースは珍しくありません。その結果、規則には残っているのに実際には行われていない制度があったり、逆に新しく始めた取り組みが規則に反映されていなかったりします。こうしたずれを放置せず、定期的に実態と照らし合わせて規則を更新していくことが、トラブルを防ぐうえで欠かせません。

ワンポイントアドバイス
就業規則は一度作ったら終わりではありません。法律の改正や働き方の変化に合わせて、定期的に見直すことが大切です。古い内容のまま放置していると、現在の基準に合わなくなり、思わぬトラブルにつながることがあります。折を見て点検する習慣をつけておきましょう。

見直しのきっかけとしては、法律の改正があったとき、事業内容が変わったとき、従業員数が大きく増えたときなどが挙げられます。何もなくても、年に一度は内容を確認する機会を設けておくと安心です。

また、解雇や懲戒に関する定めは、特に慎重に作る必要があります。これらは従業員の身分に直接関わる重要な事項であり、規則の定め方があいまいだと、いざ処分をしようとしたときに根拠が不十分だと判断されることがあります。どのような場合にどんな処分をするのかを、明確に定めておくことが求められます。

実際、会社が従業員を懲戒しようとしたときに、「就業規則にその場合の定めがなかった」ために処分ができなかった、あるいは処分が無効とされてしまった、という例は少なくありません。懲戒は、就業規則に定められた事由と手続きに基づいて行うのが原則だからです。問題のある行為に対してきちんと対応できるようにしておくためにも、どんな行為がどの処分に当たるのかを、具体的に、かつもれなく定めておくことが重要になります。この部分は特に専門的な判断を要するため、作成の際には慎重を期したいところです。

服務規律など、従業員に守ってほしい行動の基準についても、就業規則にきちんと定めておくと、問題行動があったときの対応がしやすくなります。ハラスメントの防止といった観点からも、規律を明文化しておく意義は大きいと言えます。

職場で守るべきルールがあらかじめ明確に示されていれば、従業員も何が求められているのかを理解しやすくなり、問題そのものが起きにくくなります。また、万一ルールに反する行為があったときにも、就業規則という明確な根拠に基づいて対応できるため、公平で一貫した処理がしやすくなります。規律を定めることは、従業員を縛るためというより、みんなが気持ちよく働ける秩序を保つためのものだと捉えるとよいでしょう。

就業規則の内容や作り方で判断に迷うときは、専門家に相談しながら進めると安心です。特に、自社独自のルールを盛り込みたい場合や、既存の規則を大きく見直したい場合には、法律に照らして問題がないかを確認してもらうとよいでしょう。人事異動などの根拠となる定めも、規則の中でどう位置づけるかが後の対応を左右します。

就業規則は、いわば会社の運営の基盤となる文書です。そこに不備があると、日々の労務管理のあちこちに影響が及び、思わぬところでトラブルの原因になります。逆に、しっかりと作り込まれた就業規則は、従業員との関係を安定させ、経営者が安心して事業に集中できる土台となります。作成や見直しには手間も専門的な知識も必要ですが、その労力は必ず会社の力になって返ってきます。困ったときは一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら、自社にとって最良の就業規則を整えていきましょう。

就業規則に関するよくある質問

従業員が少ない会社でも就業規則は必要ですか

法律上、就業規則の作成が義務づけられるのは常時一定数以上の従業員を使用する会社です。この人数に満たない小規模な会社には、作成の義務はありません。ただし、義務がなくても就業規則を作っておくことには大きな意味があります。ルールが明確になっていれば、従業員も安心して働けますし、トラブルが起きたときの判断のよりどころにもなります。将来的に従業員が増えることも見据えて、早めに整えておくとよいでしょう。

就業規則を変更するときも届出は必要ですか

必要です。就業規則は、作成するときだけでなく、変更するときにも同じ手続きが求められます。従業員の代表から意見を聴き、意見書を添えて労働基準監督署へ届け出て、変更後の内容を従業員に周知する、という流れです。一部だけを変える場合でも、この手続きを踏む必要がありますので、忘れないようにしましょう。

特に気をつけたいのが、従業員にとって不利益となる変更をする場合です。給料や休日など、従業員の待遇を引き下げるような変更は、単に手続きを踏めばよいというものではなく、その変更に合理的な理由があるかどうかが問われます。会社の都合だけで一方的に不利益な変更を押しつけると、後で効力を争われることがあります。変更を検討する際には、その内容が妥当かどうかも含めて、慎重に判断することが大切です。

就業規則の内容は会社が自由に決められますか

会社独自のルールを定めること自体は可能ですが、何でも自由に決められるわけではありません。就業規則の内容が法律に反している場合、その部分は効力を持ちません。従業員に一方的に不利益となるような定めは、慎重に扱う必要があります。会社の都合だけで内容を決めるのではなく、法律の範囲内で、従業員にとっても納得できるものにしていくことが大切です。

たとえば、法律で認められている権利を制限するような定めや、従業員に一方的に重い負担を課すような定めは、たとえ就業規則に書いてあっても効力が認められないことがあります。就業規則は会社が定めるものですが、その内容は法律という枠の中に収まっていなければならないのです。自社にとって都合のよいルールを盛り込みたくなる場面もあるかもしれませんが、法律に反していないか、従業員にとって著しく不公平になっていないかを、冷静に確認することが求められます。判断に迷う内容については、専門家の意見を聞いておくと安心です。

従業員が就業規則の内容に反対したらどうなりますか

就業規則の作成や変更にあたって求められているのは、従業員の意見を聴くことであって、同意を得ることまでは必要とされていません。そのため、反対の意見が出たとしても、その意見書を添えて届け出ること自体は可能です。ただし、反対意見があるということは内容に見直すべき点があるのかもしれません。その声に耳を傾け、必要に応じて調整する姿勢を持つことが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

反対意見を単なる形式として処理してしまうと、たとえ手続き上は問題がなくても、従業員の不満がくすぶり続けることになります。特に、待遇に関わるような重要な変更について反対の声が上がっている場合は、なぜ反対なのかをよく聞き取り、可能な範囲で歩み寄る努力をすることが望まれます。就業規則は、会社と従業員が長く良い関係を保っていくための土台です。届出さえできればよいと考えるのではなく、双方が納得できる形を目指す姿勢が、結局は円満な職場づくりにつながっていきます。

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