2019/12/25 1,210view

微罪逮捕とは?別件逮捕の可能性も潜む微罪逮捕への正しい対処法

この記事で分かること
  1. 微罪逮捕は軽微な罪で逮捕をすること
  2. 微罪逮捕は別件逮捕の目的で行われることが多い
  3. 微罪処分と微罪逮捕は違う
  4. なるべく早く弁護士に相談することが重要

微罪逮捕はさまざまな理由でされる可能性があり、別件逮捕の目的で行われることもあります。そのため、容疑が軽いからといって軽視せずに、刑事事件に強い弁護士になるべく早く相談することをおすすめします。

微罪逮捕とは

「微罪逮捕」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

逮捕にも様々な分類の仕方があり、法令上の逮捕の種類としては「通常逮捕」、「現行犯逮捕」や「緊急逮捕」がありますが、ほかにも、ここで解説する微罪逮捕や別件逮捕と呼ばれる逮捕もあります。

まずは微罪逮捕がどういう意味を持つのか、別件逮捕とは何か、微罪逮捕にあった場合どう対処すべきなのか紹介していきます。また、よく似た用語に「微罪処分」というものもあります。これらの違いについてもここで解説していきます。

微罪逮捕は軽微な罪で逮捕をすること

微罪逮捕とは、軽微な罪に対して行われる逮捕のことを言います。軽微であったとしても罪を犯せば逮捕されるのが当たり前、と思う方が多いかもしれません。

しかし、実はあらゆる犯罪に対して逮捕が行われているわけではありません。悪質性の低い、非常に軽微な罪であれば注意程度で終わることも珍しくありません。

実際、罪の重さというのは逮捕の要件にも関係してきます。たとえば現行犯逮捕であれば私人も行うこともでき、令状も必要ありません。目の前で罪を犯している者を見つけた場合にはその者を捕まえることが許されています。

法定されている比較的軽微な罪に対しては目の前で罪が行われているだけではなく、他のいくつかの条件を満たした上でなければ現行犯逮捕をすることが許されないのです。そのため、通常は積極的に行われることのない軽微な罪に対する逮捕を区別して「微罪逮捕」と呼ぶのです。

別件逮捕の目的で行われることも多い

逮捕をする場合、原則令状が求められます。そして令状のもと行われる逮捕を「通常逮捕」と呼びます。

これに対して令状をなくして行われる例外的な逮捕を「現行犯逮捕」と呼びます。ただし、いずれの場合でも要件を満たした上で行わなければ違法です。一般的に見て犯罪者であるように思える者であったとしても、形式的に要件を満たさなければなりません。

そのため、ある事件に関して取調べをしたいと思っても要件を満たしていないため逮捕ができず捜査が進められないという事態も起こり得ます。こうした場合に行われることがあるのが「別件逮捕」です。これは、ある事件に関して捜査を進めるためという魂胆のもと、その事件とは別の事件の容疑で逮捕をするというものです。

たとえば、ある重大事件を犯したと思われる者がいるものの逮捕ができる状況ではない、そこでその者が犯した別の傷害事件につき逮捕を実施し、その取調べに併せて重大事件に関する取調べも行うという形になります。

ただし、別件逮捕における取調べに関し、適切ではないという批判もなされています。ここで特に問題となるのが別件逮捕として微罪逮捕を行う場合です。つまり、上の例では重大事件とは別の傷害事件で逮捕をしていましたが、これを被害の小さな万引きに適用させるようなケースです。

背景に重大事件の存在がなければ本来は注意程度で済んでいたことが考えられます。それにもかかわらず別件について取調べを行うために微罪逮捕としてこれを捕まえるのです。微罪逮捕はこうした別件逮捕を目的になされることも多いです。

違法な逮捕も起こり得る

別の事件について疑いがかけられていることを理由に、見逃されることの多い軽微な罪について逮捕を行うことはおかしいという意見もあります。

ただし、黙認を期待し軽微な罪であるからこれを許せ、というのは当然に受け入れられるものではないでしょう。軽い罪であったとしても要件さえ満たしていれば逮捕をされても仕方がないという見方もできます。

残念なことですが、逮捕要件を十分に満たしていないにもかかわらず捕まえる、違法な逮捕というものも現実に起こっています。現行犯逮捕であれば、今まさに罪を行っている者、もしくはその罪を行い終わった者に対し執行することが可能です。

また、「泥棒!」と言われながら追われている者や盗品、血の付いた刃物を持っている者、服に返り血を浴びている者、警察官に声をかけられたとたん逃げ出した者についても同様に現行犯逮捕を行うことができると法定されています。

しかし、例外もあります。それが微罪逮捕に関するものです。法定刑が30万円以下の罰金、拘留、または科料にあたる罪については現行犯逮捕をするための要件がより厳しく設定されています。

  • 住居もしくは氏名が明らかでない
  • 逃げ出すおそれがある

このいずれかに該当することが必要とされます。

軽犯罪法違反などでは上の要件を満たさなければなりません。そのため、目の前で罪を犯したとしてもその者の氏名が明らかであれば即座に逮捕をすることはできません。そしてこの氏名については戸籍上の氏名である必要はないとされ、本人を特定できる通名等でもかまいません。

住居が明らかであることや逃げ出さないことを要件に掲げているのも、要は行方をくらますことができないのであれば現行犯逮捕を許さないという意味です。そのため、微罪逮捕にあたるような罪を犯したとしても、自らを特定できるような氏名または住居を示し、逃走するとみられないような態度をとればその場で逮捕されるということはないはずなのです。

ただし、逃げ出すおそれがあるのかどうかの判断は犯人の挙動などから合理的になされるだけでなく、比較的広くその認定ができると考えられていますので、ちょっとした言動を言いがかりに現行犯逮捕をされてしまう可能性もあります。別件逮捕にあたり微罪逮捕を行うケースでは、警察官は強引にその認定をしてくることも可能性としてはあり、これが問題になることが考えられます。

軽犯罪法には、当該法律の適用にあたり国民の権利を不当に害することのないように配慮すること、そして他の目的のためにこれを濫用してはいけないと、わざわざ明文化されています。それにもかかわらず微罪による別件逮捕が行われているケースは少なくありません。

ワンポイントアドバイス
微罪逮捕とは、軽微な罪に対して行われる逮捕のことを言います。微罪逮捕は別件逮捕の目的で行われることもありますので、軽く見ずに、刑事事件に強い弁護士にしっかりと相談するようにしましょう。

微罪逮捕の実例

実際にどのような微罪逮捕がこれまでにあったのか、その一部を紹介していきます。

軽犯罪法違反で微罪逮捕された事例

ある者が懐中電灯を持ち歩いていたところ、微罪逮捕されたという事件がありました。もちろんその者の挙動などから総合的に判断した上での逮捕ではありますが、この事例では懐中電灯を持つという行為が軽犯罪法にあたるとされています。他人の家に侵入するために所持していたと扱われたのです。もちろん、懐中電灯を持つだけで誰もが逮捕されるわけではありません。

キャンプで使用するといった正当な理由がある場合や、隠さず見える状態で持っていた場合などには基本的に逮捕をされることはないでしょう。しかし結局のところ逮捕を行う警察官等がその判断をするため、ちょっとした行為がきっかけで逮捕をされるという事態は誰にでも起こり得ることなのです。

ちなみに軽犯罪法違反になり得る他の行為としては、ドライバーを隠し持つ行為、立入禁止と表示されている場所に入る行為、タクシーやバスで待っている人の行列に割り込む、人につきまとう行為などがこれにあたります。

転び公妨による微罪逮捕

連続企業爆破事件などのテロ事件につき、微罪逮捕および別件逮捕が複数なされたという事件がありました。道路上に唾を吐いたことにつき軽犯罪法違反で逮捕、赤信号の状態で横断歩道を渡ったことにつき道路交通法違反で逮捕をするなどです。また、このときには「転び公妨」という方法でも逮捕が行われています。

転び公妨とは意図的に公務執行妨害を発生させるというものです。対象に触れられた程度で暴行を受けたと言い公務執行妨害の罪で逮捕を行います。この場合の公務執行妨害については起訴されるほどのことでもありませんが、目的は逮捕をすることにありますので捜査機関としては目標を達成できることになります。

別の有名な事件でも転び公妨による微罪逮捕および別件逮捕がなされています。オウム真理教信者に対し、カッターナイフを所持していたことによる銃刀法違反、ビラ配布時の建造物侵入の罪、ホテルの宿泊者名簿に偽名を使用したとして旅館業法違反などを理由に微罪逮捕がなされました。ほかにも、それ単体では逮捕されるということが通常考えられないような行為に対し逮捕が行われました。

批判がされることも多い

微罪逮捕や、特に転び公妨に対しては批判的な意見が多くあります。これらを自由に認めてしまうと不当・違法な逮捕が多く発生してしまうからです。

上のオウム真理教信者に対する微罪逮捕では、背景にあった事件が非常に重大であったことからそれほど批判的ではなかったとされていますが、反戦のビラを自衛隊宿舎に投函した際に住居侵入罪で逮捕された事例では表現の抑圧にあたると問題になったこともあります。

微罪逮捕後無罪となった事例

微罪逮捕が違法であるとして無罪になった事件です。覚せい剤の使用が疑われ、職務質問を実施、しかし、覚せい剤使用が発覚しなかったために浮浪の罪で微罪逮捕、その後覚せい剤使用の容疑に関して取調べが行われ起訴されています。

微罪逮捕および別件逮捕が正当化された事例も多くありますが、罪を犯した者を処罰するためであれば違法な捜査も許されるわけではありません。原則は適法な手続きを採らなければなりません。これがいき過ぎたケースが今回の事例になります。

浮浪の罪など聞いたことがない人がほとんどだと思いますが、これも軽犯罪法に規定されているものです。「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」を処罰する規定になります。

そもそも軽微な罪である上に、この事件で逮捕された者は就職活動中であったため浮浪の要件すら満たしていませんでした。そこで刑事裁判において、尿検査の結果も証拠としては認められず無罪となっています。

ただしここで注意しておきたいのは、違法な逮捕や違法な方法で入手した証拠が必ずしも認められず無罪としてもらえるわけではないということです。事件の重大性と手続きの違法性、このバランスを考慮して判断されますので、多少の違法性には目をつぶり有罪になることもあるのです。

ワンポイントアドバイス
ここで紹介したように、懐中電灯やカッターナイフを持っていただけなど、さまざまな理由で微罪逮捕をされる可能性があります。微罪逮捕されてしまった場合には弁護士にすぐ相談するようにしましょう。

微罪処分と微罪逮捕の違い

「微罪処分」というものについても簡単に紹介しておきます。微罪処分とは、比較的軽い犯罪に対し、警察の判断で釈放し、送検しない処分のことを言います。

微罪処分ではない通常のケースでは、警察官に逮捕され取り調べ等を受けた後、身柄が検察に移されます。このことを送検と言います。そして検察官が引き続き捜査を行い起訴・不起訴の判断を行うのです。起訴処分となれば刑事裁判が始まり有罪・無罪の判決が下されます。

しかし、すべての容疑者に対してすべての手続きを行い、身柄拘束をしていると収容施設の不足などの問題が生じてきます。そこで、警察の段階で事件の事情を考慮して釈放することが例外的に認められるのです。微罪逮捕については特に何が微罪にあたるのかについて具体的な範囲は定められていません。

一方で微罪処分については、その処分が認められる範囲が検察官によって定められています。そういう意味で微罪逮捕とは異なるとも言えます。ただし最終的な判断は警察官が行うという点は共通しています。

また、微罪逮捕は別件逮捕を目的になされることが多いため、基本的に逮捕される者としては好ましいものではありません。これに対し微罪処分は早期に身柄が釈放されることもあり、この処分が好ましいとされるケースも考えられます。

微罪処分を受けるための明確な要件は定められていませんが、一般的に以下の条件が必要とされます。

  • 被害が小さい
  • 悪質な犯行ではない
  • 被害者が処罰を望んでいない
  • 初犯であること
  • 身元引受人がいること
  • 逃げるおそれがないこと

被害者の動向や加害者の前科等が関係する点は微罪逮捕と異なると言えるでしょう。また被害者と示談をしていると微罪処分として釈放してもらえる可能性は高くなります。ただし、微罪処分となったとしてもその後呼び出しを受け、捜査に協力する必要はあるでしょう。

ワンポイントアドバイス
微罪処分とは、比較的軽い犯罪に対し、警察の判断で釈放し、送検しない処分のことを言います。微罪処分は早期に身柄が釈放されることもあり、この処分が好ましいケースも考えられます。

微罪逮捕された場合は弁護士に相談!

微罪逮捕は軽微で悪質性の低い行為に対してもなされる可能性があることから、多くの人に起こり得る逮捕です。さらに、不当であることや違法であることもあり得ます。それでは、微罪逮捕にあってしまった場合にはどのように対処すべきなのでしょうか。

逮捕された場合、真っ先にすべきことは弁護士を呼ぶということです。不当に微罪逮捕されてしまった場合には特に呼ぶべきです。逮捕後は家族であっても自由に面会することなどはできず、外界との情報が途絶えてしまいます。そのため自分の状況を伝えることや、周りの状況がどうなっているのか知ることができません。精神的にも不安な状態が続きます。

弁護士を依頼しておけば時間や回数制限などを受けることなく接見でき、情報収集およびその伝達を行うこと、精神的な支えにもなり多方面でサポートが受けられるでしょう。その後弁護士は検察官に勾留をしないように働きかけてくれ、裁判官のした勾留決定に対し不服申立てを行うことなどもしてくれます。つまり、弁護士を呼ぶということは、刑事裁判における弁護活動だけでなく、早期釈放に向けた活動もしてくれます。

逮捕後、被疑者には弁護士を付ける正当な権利がありますので、特定の弁護士と連絡が取れる状況ではなくても、警察に対し弁護士を呼んで欲しいと伝えれば当番弁護士と呼ばれる弁護士が来てくれます。専門家に相談を無料ですることができるなどの利点もありますので、まずは費用などを気にせず弁護士を呼ぶようにすると良いでしょう。

また、軽い犯罪に対し行われる微罪逮捕であれば微罪処分を期待することもできます。そのため逮捕後の言動に注意し、反省の態度を見せ、逃げるおそれがないと見えるように行動しなければなりません。

刑事事件の対応はスピードが重要になりますので、刑事事件に強い弁護士にできる限り早く相談することをおすすめします。

刑事事件はスピードが重要!
刑事事件に巻き込まれたら弁護士へすぐに相談を
逮捕後72時間、自由に面会できるのは弁護士だけ。
23日間以内の迅速な対応が必要
不起訴の可能性を上げることが大事
刑事事件で起訴された場合、日本の有罪率は99.9%
起訴された場合、弁護士なしだと有罪はほぼ確実
上記に当てはまるなら弁護士に相談