2019/12/13 3,969view

刑事事件の種類~刑法犯と特別法犯、犯罪の種類を整理する

刑事事件とは

刑事事件とは、法律の適用によって刑罰を受けることになる事件のことをいいます。刑事事件の刑罰は、刑事裁判を経て決められます。

被疑者は、弁護活動する権利が保証されており、私選弁護人や国選弁護人に弁護を依頼することができます。私人が独自に刑罰を与えることはできません。刑事裁判を起こすかどうか、つまり、起訴するかどうかについては、検察官が事件の証拠収集や事情聴取などから判断します。

刑事事件の種類

刑事事件は大きく「刑法犯」と「特別法犯」に分類できます。刑法犯は、事件内容によって処罰が下されるものをいいます。警視庁では、下記の6分類に刑法犯は分けられているのです。

特別法犯とは、法律や条例の規定内容によって処罰が下されるものをいいます。特別法犯は、さまざまな事件が含まれるので刑法犯のように分類は難しいです。特別法犯の検挙率は刑法犯の3分の1程度と報告されています。

主なものとしては、道路交通法違反・覚せい剤取締法違反、売春防止法違反などがあげられます。

警視庁による刑法犯の分類

  1. 凶悪犯:殺人、強盗、放火、強制性交等(強姦)
  2. 粗暴犯:暴行、傷害、脅迫、恐喝、凶器準備集合
  3. 窃盗犯:窃盗
  4. 知能犯:詐欺、横領(占有離脱物横領を除く。)、偽造、汚職、背任
  5. 風俗犯:賭博、わいせつ
  6. その他の刑法犯:公務執行妨害、住居侵入、逮捕監禁、器物損壊、占有離脱物横領等上記に掲げるもの以外の刑法犯
ワンポイントアドバイス
刑事事件とは、法律の適用によって刑罰を受けることになる事件のことをいい、警視庁による分類では、凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、風俗犯、その他の6種類に分類されています。

刑罰の種類

刑法で定められている刑の種類は、①死刑、②懲役、③禁錮、④拘留、⑤罰金、⑥科料、⑦没収、の7種類です。(刑法9条)

刑罰の名前 刑罰の内容の説明 刑の定めがある犯罪
①死刑 死刑は、命を奪う刑罰で、絞首によって行われると定められています。 殺人罪・強盗致死罪など
②懲役 懲役とは、身柄を1か月以上刑務所に拘束され、刑務所にて刑務作業を行うことになる刑罰です。 窃盗罪・強盗罪など
③禁錮 禁錮とは、懲役と同じように、1か月以上の間、身柄を刑務所で拘束される刑罰です。懲役との違いとしては、刑務作業を行う義務がないことです。 業務上過失致死罪など
④罰金 1万円以上の金銭を納付します。納付できなければ、労役留置場に留置され、働いて支払うことになります。 住居侵入罪・器物損壊罪など
⑤拘留 1日以上30日未満の期間身柄を拘束されます。 公然わいせつ罪など
⑥科料 1000円以上1万円未満の金銭を納付します。納付できなければ、労役場に留置され、働いて支払うことになります。 器物損壊罪など
⑦没収 犯人が持っている犯罪に関わった財物を国庫に帰属させることです。財物を没収できない場合、代わりにその価額を追徴します。 刑法19条。全ての罪に適用あり。

※ 懲役・禁錮については、「改悛の状」があるときは、有期刑で刑期の3分の1を、無期刑で10年を経過した後に仮釈放することが認められます。
※ 罰金・科料を完納することができない場合は、労役場に留置されることとなります。労役場留置の処分では、刑務所に付属する施設に留置して軽作業を行うこととなります。

ワンポイントアドバイス
刑罰には、①死刑、②懲役、③禁錮、④拘留、⑤罰金、⑥科料、⑦没収の7種類があります。実際の刑事事件についてどのような刑罰となる可能性があるかについては、専門家である弁護士が最も詳しいですので相談してみることをおすすめします。

各都道府県別の刑法犯認知検挙件数

警視庁が発表している刑法犯の認知件数と検挙状況を確認していきましょう。

【東京都の刑法犯検挙件数】
刑法犯総数 凶悪犯 粗暴犯 窃盗犯 知能犯 風俗犯 その他刑法
東京 37,639件 645件 6,420件 19,165件 3,514件 873件 7,013件
【関東地方の刑法犯検挙件数】
刑法犯総数 凶悪犯 粗暴犯 窃盗犯 知能犯 風俗犯 その他刑法
合計 75,630件 868件 11,066件 49,426件 3,612件 1,822件 8,836件
茨城県 8,067件 88件 1,400件 5,542件 278件 113件 646件
栃木県 4,605件 45件 651件 3,133件 288件 64件 424件
群馬県 6,899件 56件 1203件 4,407件 615件 101件 517件
埼玉県 17,776件 254件 3,007件 10,729件 799件 491件 2,496件
千葉県 15,945件 206件 1,878件 11,070件 585件 294件 1,912件
神奈川県 22,338件 219件 2,927件 14,545件 1,047件 759件 2,841件
ワンポイントアドバイス
刑事事件の中でも多いのは、窃盗犯と粗暴犯になります。具体的には、暴行罪、傷害罪、窃盗罪となり、犯罪の中では比較的身近なものといえるでしょう。このような種類の刑事事件では、示談成立が重要になりますのでできるだけ早期に弁護士に相談することをおすすめします。

刑事事件の公訴時効について

刑事事件の公訴時効とは、検察官が起訴できるまでの期間のことを示します。公訴時効は事件が発生した日から数えていきますが、その期日を過ぎると検察官は起訴することができません。そのため、刑罰を与えることができなくなるのです。

時効期間については、事件の罪の重たさによって変わってくるので、ここでは時効期間が長い順番に時効期間を解説します。

殺人や強盗致死によって人を殺害してしまった場合

殺人や強盗致死によって人を死亡させた場合は最高刑が死刑となります。このような事件には時効はありません。

その他の罪で人を死亡させた場合

その他の罪で人を死亡させた場合は、最高刑の内容によって時効が下記のように変わっていきます。

  • 無期懲役・無期禁錮…時効30年
    (該当する内容)強制わいせつ等致死、強制性交等致死
  • 最長20年の懲役または禁錮…時効20年
    (該当する内容)傷害致死、危険運転致死
  • その他…時効10年
    (該当する内容)過失運転致死、業務上過失致死

上記以外の場合の犯罪

先ほど説明した罪以外の犯罪の場合は、最高形の内容によって時効が下記のように変わってきます。

  • 死刑…時効25年
    (該当する内容)現住建造物等放火、外患誘致
  • 無期懲役・無期禁錮…時効15年
    (該当する内容)強盗致傷、強盗強姦、強制わいせつ致死傷、強制性交等致死傷
  • 15年以上の懲役・禁錮…時効10年
    (該当する内容)強盗、傷害、傷害致死、覚せい剤輸出入
  • 15年以下の懲役・禁錮…時効7年
    (該当する内容)窃盗、詐欺、業務上横領、恐喝、覚せい剤使用・所持
  • 10年未満の懲役・禁錮…時効5年
    (該当する内容)大麻所持、私文書偽造、酒酔い運転、過失運転致傷
  • 5年未満の懲役・禁錮…時効3年
    (該当する内容)痴漢、盗撮、公然わいせつ、住居侵入、暴行、酒気帯び運転
  • 拘留・科料…時効1年
    (該当する内容)軽犯罪法違反

刑事事件の刑の消滅時効とは

刑事事件の刑の消滅時効とは、確定した判決に基づいて刑罰を執行できる期間のことをいいます。時間が経過するとともに、国民の処罰感情も緩和されることもあって、刑の消滅時効が設けられました。

刑の消滅時効が設定されて問題になるケースが逃亡するケースです。しかし、実際に逃亡して、刑事事件の刑の消滅時効にかかったような人は出現していません。刑の消滅時効も宣告された刑によって時効が異なります。

  • 無期懲役・禁錮刑…時効30年
  • 10年以上の懲役・禁錮…時効20年
  • 3年以上10年三万の懲役・禁錮…時効10年
  • 3年未満の懲役・禁錮…時効5年
  • 罰金…時効3年
  • 拘留・科料・没収…時効1年
ワンポイントアドバイス
時効制度があるとはいえ多くの場合には時効を狙うことは現実的ではない場合が多いです。そのため、犯罪行為をしたもののまだ逮捕されていない状況にある場合には、刑事事件に強い弁護士に事前に相談しておくようにしましょう。弁護士には守秘義務がありますので、弁護士に相談したからと言って警察に通報されるようなことはありませんので、安心して相談をしてみましょう。

刑事事件に関してよくある質問

家族が逮捕されてしまった場合や、自分が罪を犯してしまった場合にどうなるのかはとても気になるものです。そのため、刑事事件に関する質問はさまざまなものがあります。ここでは、刑事事件に関しての質問で、よくある内容を紹介していきます。

再度の執行猶予について

Q.執行猶予中に罪を犯した場合は、再度執行猶予がつくことはあるのでしょうか?
A.実刑判決が下されるのか、執行猶予がつくのかはとても気になる点だと思います。執行猶予がつくかどうかは「刑法第25条」に詳しく記載されています。

刑法第25条によると、下記に該当する人は執行猶予が与えられる可能性があります。

  • 以前に禁錮以上の刑を受けたことがない人
  • 以前に禁錮以上の刑を受けたことがあるけれど、執行が終わった日から5年以内に禁錮以上の刑を受けたことがない人

自首による減刑について

Q.自首すると刑罰は軽くなるのでしょうか?

A.罪を犯した場合に捜査機関が発覚する前に自首した場合は、刑罰を軽くすることができると「刑罰第42条」に記載されています。ただし、確実に刑罰が軽くなることが保証されているものでもありませんので、その点は注意が必要です。

自首が成立する要件

  • 捜査機関に対して事件があったことを知らされていない
  • 犯人が特定できていない

要件からわかるように、被害者が捜査機関に被害届を出したり、事件が発覚したりした場合で犯人の所在がわからないという状況で自首しても、自首は不成立となります。そのため、自首をして減刑されたい場合は、早めに自首をするようにしましょう。

しかし、先程も述べましたように、自首した場合には刑罰が軽くなる可能性がありますが、自首したからといって必ず減刑されるわけではないことを理解しておきましょう。

逮捕と勾留の違いについて

Q.逮捕と勾留はどう違うのか?

A.違う点は大きく2つあります。「期間の長さ」と「面会の可否」です。

期間の長さについて

逮捕の期間は、逮捕から勾留請求までの72時間をいいます。勾留は請求されれば最長20日間に延長されます。

20日間、身柄を拘束されてしまうので、勾留期間が長引くと社会的にも支障が出てしまいます。たとえば、20日もの間、会社や学校などを無断で休むようなことがあれば、そのことで懲戒解雇・退学・留年になってしまう可能性もあります。

面会について

逮捕中の72時間は、家族などの外部の人との面会は禁じられています。弁護士は面会可能です。そのため、逮捕されている家族に対して差し入れなどをしたい場合も弁護士を通じて行うことになります。

勾留中は、接見禁止処分されてない場合は、家族と面会できます。勾留中でも、接見禁止処分がされている場合は、家族との面会はできません。

有罪判決の割合について

Q.起訴された場合は、どのぐらいの確率で有罪となるのでしょうか?

A.起訴された場合に有罪判決が下される場合は、99%以上です。

起訴するか否かの決定権は、原則として検察官が持っています。検察官は、限られた時間内で調査を行いますが、証拠をシッカリと集めて罪を証明できると判断した場合に起訴するのです。

安易な気持ちで検察官は、起訴・不起訴を判断しません。そのため、判断できない場合は、勾留請求して被疑者の身柄を長期間拘束して捜査が続けられるのです。

逮捕後について

Q.家族が逮捕されてしまった場合、今後はどのようになりますか?

A.警察に家族が逮捕されると、48時間以内に検察へ送検されていきます。勾留する必要があると検察官に判断された場合は、拘束時間が延長(最大20日間)されます。

検察官が不起訴だと判断した場合は、その時点で身柄が解放されます。検察官が起訴だと判断した場合は、刑事裁判に進みます。

裁判について

Q.裁判員制度とはなんでしょうか?

A.刑事裁判のうち、地方裁判所で行われる刑事裁判で、国民が裁判員として参加する裁判のことをいいます。

刑事裁判の中でも、地方裁判で行われる刑事裁判は、国民から選ばれた裁判員が参加する裁判員裁判です。国民から選ばれた裁判員ですが、裁判官と対等に議論して、有罪の場合はどのような刑を処すればいいのかを裁判官と一緒に決めていくことになります。

そのため、弁護士に弁護活動する場合は専門知識があることも大事ですが、誰でも理解できるようなプレゼンテーション能力などがある弁護士に依頼することも重要です。

ワンポイントアドバイス
刑事事件に巻き込まれた場合にはほとんどの人が対応に困ると思いますし、さまざまな疑問点が出てくることでしょう。疑問点はケースごとに異なると思いますので、具体的な事件で疑問点が少しでもある場合には、専門の弁護士に相談をするようにしましょう。

刑事事件は種類を問わず弁護士に相談しよう!

ここまでに、刑事事件の種類や刑罰の種類などについて解説してきましたが、どのような事件であれ対応するためには、刑法・刑事訴訟法についての知識、刑事手続の実務的な経験が必要になります。

通常の人は刑事事件に巻き込まれた経験もほとんどないと思いますし、法律の知識もほとんどないでしょう。そのため、専門家である弁護士に依頼することがとても重要です。弁護士にはそれぞれの得意分野がありますので、相談するときには刑事事件に強い弁護士を探して連絡をとることをおすすめします。

刑事事件では対応のスピードが重要になります。たとえば、逮捕されている状態ですと職場などに行くこともできません。早く対応することで身柄開放も早めにされる可能性が上がりますので、弁護士への相談はなるべく早くするようにしましょう。

刑事事件はスピードが重要!
刑事事件に巻き込まれたら弁護士へすぐに相談を
逮捕後72時間、自由に面会できるのは弁護士だけ。
23日間以内の迅速な対応が必要
不起訴の可能性を上げることが大事
刑事事件で起訴された場合、日本の有罪率は99.9%
起訴された場合、弁護士なしだと有罪はほぼ確実
上記に当てはまるなら弁護士に相談