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ダブル不倫の慰謝料相場|請求と相殺の注意点

ダブル不倫の慰謝料相場|請求と相殺の注意点

この記事で分かること

  • ダブル不倫が通常の不倫と異なる点と慰謝料の仕組み
  • 慰謝料の相場と金額を左右する事情
  • 自分も請求される立場になる点と相殺や求償
  • 請求する側とされる側それぞれの進め方
  • 離婚するかしないかで変わる対応と発覚時にすべきこと

ダブル不倫は、不倫をした二人とその配偶者の四人が関わり、両家の間で慰謝料の請求が交錯します。双方に配偶者がいるため一方だけが被害者とはならず、請求すればこちらも請求され、相殺や求償が問題になります。金額は不倫の期間や悪質さ、婚姻への影響で変わり、双方に責任があるぶん控えめになりがちです。感情的に動かず、証拠を踏まえて全体を見渡し、できるだけ早めに弁護士へ相談することが大切です。

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ダブル不倫とは、通常の不倫と何が違うのか

不倫の慰謝料と一口に言っても、その相手が独身か既婚かで、事情は大きく変わります。とりわけ複雑になるのが、いわゆるダブル不倫です。「相手にも家庭があり、自分にも家庭がある。この場合、慰謝料はどうなるのだろうか」。そんな不安を抱えて、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。まずは、ダブル不倫がなぜ特殊なのかを整理していきましょう。

ダブル不倫とは、不倫関係にある二人が、それぞれに配偶者を持っている状態を指します。つまり、四人の当事者、すなわち不倫をした二人と、それぞれの配偶者が関わることになります。通常の不倫が三人の関係であるのに対し、ダブル不倫は四人が絡む、より入り組んだ構図になるのです。この構図の違いが、慰謝料の問題を複雑にします。

何が複雑になるのか。最大のポイントは、慰謝料を請求する立場と、請求される立場が、双方に生じるという点です。自分の配偶者が不倫の被害者として相手に慰謝料を請求できる一方で、相手の配偶者からは、自分が慰謝料を請求される立場になります。つまり、両家の間で、慰謝料の請求が交錯することになるのです。

読者の中には、自分がダブル不倫の当事者として、これからどうなるのか不安な方もいれば、配偶者のダブル不倫が発覚し、相手にどう請求すべきか悩んでいる方もいるでしょう。立場によって、取るべき対応は変わります。この記事では、ダブル不倫の慰謝料の仕組みや相場、そして立場ごとの進め方を、弁護士の視点から解説していきます。

ダブル不倫が、通常の不倫よりもこじれやすいのには、理由があります。当事者が四人に増えるだけでなく、それぞれの家庭に配偶者や子どもがいて、多くの人生が複雑に絡み合うからです。一つの家庭で発覚した事実が、もう一つの家庭にも波及し、事態が連鎖的に広がっていくこともあります。だからこそ、感情のままに動くのではなく、全体の構図を冷静に見据えて対応することが、とりわけ重要になります。

また、ダブル不倫では、自分が加害者でもあり被害者でもある、という複雑な立場に立たされることが少なくありません。配偶者を裏切った加害者でありながら、相手の裏切りの被害者でもある。こうした立場の複雑さが、心の整理を難しくし、対応を誤らせる原因にもなります。まずは、自分がどの位置にいるのかを客観的に把握することが、冷静な対応への第一歩です。

ダブル不倫でも慰謝料を請求できるのか

結論から言えば、ダブル不倫であっても、慰謝料の請求は可能です。不倫、法律的には不貞行為は、配偶者に対する義務に反する行為であり、それによって精神的な苦痛を受けた側は、慰謝料を請求できます。これは、相手が既婚であっても変わりません。むしろ、双方に配偶者がいるぶん、請求が二方向で生じることになります。

そもそも、なぜ不倫で慰謝料が発生するのかを、確認しておきましょう。夫婦には、互いに貞操を守る義務があります。不貞行為は、この義務に反して、配偶者の平穏な結婚生活を害する行為です。だからこそ、被害を受けた配偶者は、その精神的な苦痛に対して慰謝料を請求できるのです。この理屈は、相手が既婚か独身かにかかわらず当てはまります。ダブル不倫では、二つの家庭それぞれにこの理屈が働く、というだけのことなのです。

つまり、難しく感じられるダブル不倫の慰謝料も、根っこにある考え方は、通常の不倫と同じです。ただ、それが二組で同時に起きるために、請求が交錯し、相殺や求償といった調整が必要になる。そう捉えると、少し全体像がつかみやすくなるのではないでしょうか。基本の理屈を押さえたうえで、自分の家庭に特有の事情を重ねて考えていくことが、解決への近道になります。

具体的に、誰が誰に請求できるのかを整理してみましょう。不倫をした二人を、それぞれの家庭の視点から見ると、請求の関係は次のようになります。

  • 自分の配偶者が不倫をした場合、その不倫相手に対して、慰謝料を請求できる
  • 同時に、不倫相手の配偶者からは、自分の配偶者が慰謝料を請求される
  • 不倫の被害を受けた配偶者は、不倫をした自分の配偶者に対しても請求できる
  • 結果として、二つの家庭の間で、請求と支払いが交錯することになる

このように、双方の配偶者が、それぞれ相手方に対して請求できるのが、ダブル不倫の基本構造です。片方の家庭だけが被害者という単純な図式にはならず、両家がそれぞれ加害と被害の両面を抱えることになります。

ここで知っておきたいのが、慰謝料を請求できる相手についてです。不倫の被害を受けた配偶者は、不倫をした自分の配偶者に対しても、その不倫相手に対しても、慰謝料を請求できます。ダブル不倫では、この関係が二組で生じます。誰が誰に請求できるのかを整理しておくと、自分の立場で何ができるのかが見えてきます。

この整理をおろそかにすると、自分が請求できる相手を見落としたり、逆に、思わぬ相手から請求されて慌てたりします。四人が絡むダブル不倫では、関係図を紙に書き出してみるくらいの丁寧さがちょうどよいでしょう。誰と誰が夫婦で、誰が誰に対してどんな請求権を持つのか。この全体像をつかむことが、冷静な対応の土台になります。

ワンポイントアドバイス
ダブル不倫では、請求する側と請求される側が入り混じります。自分の家庭が被害を受けた立場であっても、配偶者が不倫の当事者である以上、相手の家庭からは加害者側と見られます。感情的に一方的な請求だけを進めると、思わぬ反撃を受けることがあります。全体の構図を踏まえた対応が欠かせません。

なお、慰謝料が認められるには、不貞行為があったことを証拠で示す必要があります。単に「怪しい」というだけでは足りません。二人が不貞の関係にあったことを裏づける証拠がなければ、請求は難しくなります。この点は、通常の不倫の慰謝料請求と共通しています。証拠の重要性は、ダブル不倫でも変わりません。

ただし、ダブル不倫では、証拠の扱いに独特の難しさがあります。自分の配偶者の不倫を立証しようとして集めた証拠が、裏を返せば、自分の配偶者が加害者であることの証拠にもなるからです。相手方の家庭も、同じ不貞の事実をもとに、こちらへ請求してくることになります。つまり、証拠は諸刃の剣になり得るのです。だからこそ、証拠をどう扱い、どのタイミングで、どこまで示すかは、全体の戦略の中で慎重に判断する必要があります。この見極めこそ、専門家の力が生きる場面です。

証拠について、もう少し具体的に触れておきましょう。不貞行為を裏づける証拠としては、二人が親密な関係にあったことを示すやりとりや、繰り返し二人きりで過ごしていたことがわかる記録などが挙げられます。単なる仲の良さではなく、一線を越えた関係であったことを示せるかどうかが問われます。証拠が不十分だと、相手に不貞を否定されて、請求が行き詰まってしまうことがあります。

慰謝料の相場と金額を左右する事情

ダブル不倫の慰謝料は、いくらくらいになるのでしょうか。多くの方が知りたい点ですが、金額は事案によって大きく異なり、一律に示せるものではありません。不倫の期間や悪質さ、婚姻関係への影響など、さまざまな事情を総合して決まるため、幅があります。まずは、金額を左右する要素を理解しておきましょう。

慰謝料の金額に決まった額がないのは、それが人の心の傷を金銭に換算するものだからです。同じ不倫でも、受ける苦痛は人によって異なり、関係の深さや期間、家庭の状況によっても変わります。だからこそ、機械的に額が決まるのではなく、個々の事情を丁寧に見て判断されるのです。相場という言葉はあくまで目安であり、自分のケースがその目安のどのあたりに位置するかは、事情を踏まえて考える必要があります。

金額に影響する主な事情としては、不倫関係が続いた期間、不倫の頻度や悪質さ、それによって婚姻関係が破綻したかどうか、子どもの有無などが挙げられます。一般に、不倫が原因で離婚に至った場合は、婚姻関係が継続する場合よりも、慰謝料は高くなる傾向にあります。受けた被害が大きいほど、金額も大きくなると考えると、わかりやすいでしょう。

ダブル不倫に特有の事情として、金額が抑えられる方向にはたらく要素もあります。双方に配偶者がいる場合、不倫に至った責任は、どちらか一方だけにあるとは言いにくいことが多いためです。互いに既婚であることを知りながら関係を持った場合、双方が同程度の責任を負うと評価され、請求できる金額が、独身の相手との不倫の場合より控えめになることもあります。

補足
慰謝料の金額は、不倫によって婚姻関係がどうなったかで大きく変わります。離婚に至った場合、別居に至った場合、関係を修復して婚姻を続ける場合とで、認められやすい金額の水準は異なります。自分のケースがどれにあたるかを踏まえて、見通しを立てることが大切です。

相手が提示してくる金額や、こちらが請求しようとする金額が、適正な範囲にあるかどうかは、素人には判断が難しいものです。高すぎる請求は相手に拒まれ、安すぎる請求では損をします。自分のケースでどの程度が妥当なのかを知るためにも、金額を決める前に、専門家の見立てを受けておくことをおすすめします。相場観を持って交渉に臨むことが、納得のいく結果につながります。

金額を考えるうえで、もう一つ知っておきたいのが、婚姻関係の状態との関係です。不倫が発覚した時点で、すでに夫婦関係が冷え切っていて、実質的に破綻していたような場合には、慰謝料が認められにくくなったり、金額が抑えられたりすることがあります。慰謝料は、円満だった家庭が不倫によって壊された、という被害に対して支払われるものだからです。もともと関係が壊れていたのであれば、不倫による被害は小さいと評価されるのです。

この点は、ダブル不倫では特に問題になりやすいところです。双方の家庭の事情が絡むため、それぞれの婚姻関係がどのような状態だったかによって、請求できる金額が変わってきます。自分の家庭の状況だけでなく、相手の家庭の事情も、間接的に影響してくることがあるのです。だからこそ、一般的な相場だけを見て判断するのではなく、双方の事情を踏まえた見立てが欠かせません。

ダブル不倫特有の注意点

ダブル不倫の慰謝料には、通常の不倫にはない、特有の注意点がいくつもあります。これを知らずに進めると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。特に、自分の家庭が被害者側だと思って一方的に請求すると、痛い目を見ることがあるのです。ここは、しっかり押さえておきたい部分です。

最大の注意点が、自分の側も請求される立場にある、ということです。あなたの配偶者が不倫の被害者として相手に慰謝料を請求すれば、当然、相手の配偶者も、加害者であるあなたの配偶者に対して慰謝料を請求してきます。つまり、こちらが請求すれば、あちらも請求してくる。一方的に得をする関係ではないのです。この点を見落とすと、請求したはずが、かえって支払う羽目になることもあります。

もう一つ知っておきたいのが、相殺という考え方です。双方が互いに慰謝料を請求し合う関係にある場合、それぞれの請求額を差し引きして、差額だけをやりとりする、という解決が図られることがあります。両家がそれぞれ請求と支払いを繰り返すよりも、相殺によって一度に清算するほうが、合理的な場合があるのです。ダブル不倫特有の解決方法として、覚えておくとよいでしょう。

さらに、求償という問題もあります。不倫をした二人は、被害者に対して連帯して責任を負う関係にあります。そのため、一方が慰謝料を全額支払った場合、その一部を、もう一方に対して負担するよう求められることがあります。これを求償といいます。ダブル不倫では、こうした当事者間の負担の分担も絡んでくるため、話がいっそう複雑になります。

求償の仕組みは、少しわかりにくいかもしれません。不倫をした二人は、被害を受けた配偶者に対して、一緒になって責任を負う関係にあります。ですから、被害者はどちらか一方に全額を請求することもできます。全額を支払わされた側は、本来もう一方が負担すべきだった分を、後からその相手に請求できる、というのが求償の考え方です。ダブル不倫では、この求償の関係が、両方の家庭で生じ得るため、当事者間の精算がいっそう入り組むことになります。

相殺という考え方を、もう少しかみ砕いて説明しましょう。仮に、二つの家庭が互いに同じくらいの慰謝料を請求し合う関係にあるとします。このとき、両家が別々に満額を支払い合うのは、手間ばかりで意味がありません。そこで、互いの請求額を差し引きして、多いほうが差額だけを支払う、という形で決着させることがあるのです。これが相殺です。ダブル不倫のように請求が交錯する場面では、こうした一括清算が現実的な解決になることがあります。

ただし、相殺が成立するには、双方が請求し合う関係にあることや、両家が合意することなど、いくつかの条件があります。常に相殺で解決できるわけではありません。一方の不倫が特に悪質で、請求額に大きな差がある場合などは、単純な相殺にはなじみません。どのような解決が自分にとって有利かは、事情によって変わりますので、専門家と相談しながら見極めることが大切です。

慰謝料を請求する側・される側の進め方

ダブル不倫の慰謝料は、自分がどの立場にあるかによって、取るべき対応が変わります。請求する側なのか、請求される側なのか。あるいはその両方なのか。立場を整理したうえで、進め方を考える必要があります。ここでは、それぞれの立場での基本的な対応を見ていきましょう。

ダブル不倫では、多くの人が「請求する側」と「請求される側」の両方を、同時に経験することになります。自分の配偶者が被害者として相手に請求する一方で、自分の配偶者が加害者として相手方から請求される。この二つが同時に進むため、頭が混乱しがちです。だからこそ、それぞれの請求を切り分けて整理し、全体としてどう決着させるのが得策かを、俯瞰して考える視点が求められます。

まず、配偶者の不倫の被害を受け、相手方に慰謝料を請求する側の場合です。この立場では、不貞行為の証拠を固めたうえで、相手方に請求の意思を伝えることになります。ただし、前述のとおり、こちらの配偶者も加害者である以上、相手方からの反対請求を念頭に置く必要があります。感情に任せて請求だけを突き進めるのではなく、全体の着地点を見据えて動くことが求められます。

次に、自分自身が不倫の当事者で、相手の配偶者から慰謝料を請求される側の場合です。この立場では、まず、請求の内容が正当かどうかを冷静に見極める必要があります。請求された金額が相場から見て高すぎないか、そもそも請求の根拠となる事実があるか。慌てて言われるままに支払うのではなく、内容を確認したうえで対応することが大切です。ひとりで抱え込まず、専門家に相談するのが賢明です。

いずれの立場であっても、当事者だけで直接やりとりすると、感情的にこじれてしまいがちです。相手方と直接顔を合わせて交渉するのは、精神的な負担も大きいものです。話し合いがまとまらない場合や、直接のやりとりが難しい場合は、家庭裁判所の調停を利用したり、弁護士を代理人に立てたりすることで、冷静に手続きを進められます。

請求される側になったとき、最もやってはいけないのが、動揺のあまり相手の言いなりになってしまうことです。突然、高額の慰謝料を請求されると、早く解決したい一心で、内容を確かめずに応じてしまう方がいます。しかし、その金額が相場に照らして妥当とは限りませんし、そもそも請求の根拠が乏しい場合もあります。まずは支払いを保留し、内容を精査してから対応する。この落ち着きが、不当に高い支払いを避けることにつながります。

代理人を立てることには、金額面以外の大きな利点もあります。ダブル不倫では、相手方の家庭と直接やりとりすること自体が、強い精神的な負担になります。相手の配偶者から責め立てられたり、感情的な言葉を浴びせられたりするのは、耐えがたいものです。弁護士が窓口になれば、そうした直接の衝突から解放され、冷静に交渉を進められます。心の平穏を保ちながら解決に向かえることは、金額には換えられない価値があります。

離婚するかしないかで変わる対応

ダブル不倫が発覚した後の対応は、その先、離婚を選ぶのか、それとも婚姻関係を続けるのかによって、大きく変わってきます。どちらを選ぶかは、それぞれの家庭の事情や気持ち次第ですが、選択によって取るべき対応が異なることは、知っておく必要があります。まずは、この分かれ道を意識しておきましょう。

離婚か継続かの選択は、慰謝料の金額そのものにも影響します。前に触れたように、不倫が原因で離婚に至った場合は、婚姻を続ける場合よりも、被害が大きいと評価され、慰謝料が高くなる傾向にあります。つまり、離婚を選ぶかどうかは、感情や生活の問題であると同時に、金銭面にも関わる判断なのです。ただし、金額のためだけに離婚を選ぶ、といった本末転倒に陥らないよう、あくまで自分の人生にとって何が最善かを軸に考えてください。

離婚を選ぶ場合は、慰謝料に加えて、財産分与や、子どもがいれば親権や養育費など、決めるべきことが一気に増えます。不倫相手への慰謝料請求と、配偶者との離婚条件の取り決めを、並行して進めていくことになります。離婚に伴うお金や子どもの問題は、それ自体が大きなテーマですので、全体を見渡して、抜けのないように進める必要があります。

一方、婚姻関係を続けることを選ぶ場合は、不倫相手に対する慰謝料請求が中心になります。夫婦としてやり直すと決めたのであれば、不倫をした配偶者との間では、再発を防ぐための取り決めを交わすこともあります。この場合、相手方への慰謝料請求も、婚姻を続けることを前提とした金額感で考えることになります。修復を目指すのか、離婚に進むのかで、請求の意味合いも変わってくるのです。

離婚を選ぶ場合に気をつけたいのが、慰謝料と財産分与を混同しないことです。慰謝料は不倫という不法行為への償いであり、財産分与は夫婦で築いた財産の清算です。この二つは別のものですから、それぞれ分けて考える必要があります。不倫をした配偶者と離婚する場合、慰謝料を請求しつつ、財産分与も適正に受け取る。両方をきちんと押さえることで、離婚後の生活の基盤を守れます。

婚姻を続ける道を選んだ場合にも、留意すべき点があります。夫婦としてやり直すと決めても、不倫相手への慰謝料請求は別に行えます。ただし、相手への請求を進める過程で、不倫の詳細が改めて明るみに出ることもあり、それが夫婦関係に新たな波風を立てることもあります。修復を優先するなら、相手への請求をどこまで、どのように進めるかを、慎重に考える必要があります。

どちらの道を選ぶにせよ、感情が激しく揺れ動く中で、冷静な判断を下すのは容易ではありません。裏切られた怒り、家庭を守りたい思い、この先の生活への不安。さまざまな感情が入り混じる中で、大切な決断を迫られます。だからこそ、ひとりで抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しながら、自分にとって最善の道を選んでいくことが大切です。

子どもがいる家庭では、選択の重みはさらに増します。離婚を選べば子どもの生活環境が変わり、婚姻を続ければ、両親の間のわだかまりを子どもが感じ取るかもしれません。どちらを選ぶにせよ、子どもへの影響を最小限にする配慮が欠かせません。親の問題で子どもを傷つけないという視点は、慰謝料や離婚条件を考えるうえでも、常に念頭に置いておきたいものです。

ダブル不倫が発覚したときにまずすべきこと

配偶者のダブル不倫が発覚したとき、あるいは自分の不倫が配偶者に知られたとき、頭が真っ白になってしまうものです。しかし、その後の対応を誤ると、状況がさらに悪化することがあります。まず何をすべきかを、あらかじめ知っておくと、いざというときに落ち着いて動けます。順を追って整理しておきましょう。

  1. 感情的な行動を控える。相手を問い詰めたり、勢いで結論を出したりせず、いったん冷静になります。
  2. 事実と証拠を確認する。不貞の事実を裏づける証拠があるか、状況を整理します。
  3. 自分の立場を整理する。請求する側か、される側か、その両方かを見極めます。
  4. 今後の方向性を考える。離婚するのか、関係を続けるのか、大まかな希望を持ちます。
  5. 専門家に相談する。感情が高ぶるうちに動く前に、法的な見通しを得ておきます。

特に大切なのが、感情的な行動を避けることです。裏切りを知った直後は、相手を激しく責めたくなるものです。しかし、勢いに任せた言動が、後々自分にとって不利にはたらくことがあります。相手に暴力を振るったり、相手の職場に押しかけたりすれば、逆にこちらが責任を問われかねません。まずは深呼吸をして、冷静さを取り戻すことが、何よりの第一歩です。

そして、証拠の確保も重要になります。不貞の事実を示す証拠は、相手が警戒すると隠されてしまうことがあります。慰謝料を請求するにせよ、離婚を考えるにせよ、証拠は交渉の土台になります。ただし、証拠を集める際に、違法な手段に出ないよう注意が必要です。何が有効な証拠になり、どう集めればよいかは、早い段階で専門家に相談しておくと安心です。

発覚直後の対応で、もう一つ意識したいのが、相手方の家庭への接触の仕方です。ダブル不倫では、相手の配偶者に直接連絡を取りたくなることがあります。しかし、感情的な接触は、事態をこじらせるだけでなく、相手から名誉を傷つけられたなどと反論される火種にもなりかねません。相手方とのやりとりが必要な場合でも、冷静さを保ち、できれば専門家を通じて行うのが安全です。勢いに任せた行動は、後で自分の首を絞めることになります。

ダブル不倫の慰謝料に関するよくある質問

ダブル不倫の慰謝料は普通の不倫より安くなるのですか

一概には言えませんが、そうなる傾向があります。双方に配偶者がいる場合、不倫の責任がどちらか一方だけにあるとは言いにくく、双方が同程度の責任を負うと評価されることが多いためです。その結果、独身の相手との不倫に比べて、請求できる金額が控えめになることがあります。ただし、金額は不倫の期間や悪質さ、婚姻への影響など、さまざまな事情で変わります。自分のケースでの見通しは、専門家に確認するのが確実です。

こちらも請求される立場なのに、慰謝料を請求する意味はありますか

意味はあります。双方が請求し合う関係であっても、それぞれの事情によって、認められる金額に差が出ることがあるからです。たとえば、一方の不倫が特に悪質だった場合などには、請求額に違いが生じます。また、互いの請求を相殺して差額で清算する、という解決もあります。請求される立場だからと最初からあきらめるのではなく、全体を見渡して、自分にとって有利な着地点を探ることが大切です。専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。

ダブル不倫の慰謝料請求に時効はありますか

あります。慰謝料の請求権は、一定の期間が過ぎると時効によって消滅します。不貞の事実と相手を知ってから、一定の期間が経つと、請求ができなくなってしまうのです。ダブル不倫は当事者が多く、対応を迷っているうちに時間が過ぎがちですが、時効は待ってくれません。関係が発覚してから時間が経っている場合は、早めに対応することが大切です。時効が心配なときは、できるだけ早く専門家に相談してください。

時効は、ダブル不倫では特に見落とされやすいので注意が必要です。当事者が多く、それぞれの家庭の対応を待っているうちに、気づけば長い時間が経っていた、ということが起こりがちだからです。時効が完成してしまえば、正当な請求権があっても行使できなくなります。「そのうち考えよう」と先延ばしにせず、発覚した段階で、まずは相談だけでも早めに済ませておくことが、権利を守るうえで肝心です。

相手の配偶者に不倫を知られたくない場合はどうすればよいですか

ダブル不倫では、一方の家庭で発覚したことが、もう一方の家庭に伝わり、事態が一気に広がることがあります。知られたくないという思いは理解できますが、隠し通すことを前提にした対応には限界があり、かえって傷を深めることもあります。まずは、自分の状況で何が起こり得るのかを冷静に見極めることが大切です。今後の対応に迷う場合は、秘密が守られる専門家に相談し、現実的な進め方を一緒に考えてもらうのがよいでしょう。

最後に、ダブル不倫の問題に直面している方へ、お伝えしておきたいことがあります。この状況は、当事者にとって非常に苦しく、出口が見えないように感じられるものです。裏切りへの怒り、家庭を失うかもしれない恐れ、自分自身の後ろめたさ。さまざまな感情が渦巻く中で、正しい判断を下すのは並大抵のことではありません。だからこそ、ひとりで抱え込まないでください。冷静な第三者の視点を借りることで、絡まった糸をほぐし、進むべき道を見つけやすくなります。

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