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顧問契約を結ぶかどうかで迷っている経営者へ
顧問弁護士を持ったほうがよいのだろうか。必要になったときに相談すれば足りるのではないか。そう迷っている経営者の方は、少なくないでしょう。継続的な費用がかかるだけに、その判断には慎重になるものです。まずは、顧問契約を結ぶことに、どのようなメリットがあるのかを、整理しておきます。
この迷いは、決して珍しいものではありません。むしろ、慎重に考えること自体は、経営者として当然の姿勢です。ただ、迷ったまま結論を先送りにしていると、その間に相談すべき場面を逃してしまうこともあります。判断の材料をそろえて、一度きちんと考えてみる。その機会として、この記事を役立てていただければと思います。
顧問契約とは、特定の問題が起きたときだけでなく、継続的に相談に応じてもらう関係を、弁護士との間で結ぶことです。何かあるたびに、その都度依頼するのではなく、あらかじめ関係を結んでおく。この、あらかじめ結んでおくという点に、顧問契約ならではの意味があります。
問題が起きてから弁護士を探し、事情を説明し、信頼できるかを見きわめる。この一連の手間を、毎回繰り返すのは、決して小さな負担ではありません。あらかじめ関係を結んでおけば、その手間を省いて、すぐに本題に入れます。この、いつでも頼れる状態をつくっておくことに、顧問契約の本質があります。
ここで大切なのは、顧問契約を、単なる費用の問題として捉えないことです。継続的な費用がかかることは事実ですが、それによって何が得られるのかを、あわせて考える必要があります。得られるものと、かかるものとを、天秤にかけて判断する。それが、この問題への向き合い方になります。
この天秤にかける作業を、感覚だけで済ませてしまうと、判断を誤りがちです。費用は数字としてはっきり見える一方、得られるものは目に見えにくいからです。だからこそ、何が得られるのかを、具体的に言葉にして整理する必要があります。それをしてこそ、公平な比較ができるようになります。
ここで押さえておきたいのは、顧問契約を結ぶかどうかは費用の額だけで判断するのではなくそれによって何が得られるのかとあわせて考えるべきものだという発想です。費用を出費としてのみ見るか、備えへの投資として見るか。その捉え方の違いが、判断を大きく分けることになります。
同じ費用でも、出費と見るか、投資と見るかで、その意味はまるで違ってきます。出費であれば、少ないほど良いことになります。しかし投資であれば、それに見合う効果があるかが問われます。顧問契約の費用は、後者として捉えるのが実態に近い。この見方を持つところから始めていただきたいと考えています。
この記事では、顧問契約を結ぶことでどのようなメリットが得られるのか、どのような会社に向いているのか、判断にあたって何を考えるべきか、そしてどう活かせばよいのかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。顧問契約を結ぶかどうか迷っている経営者の方に、判断の材料をお伝えします。
読者の方のなかには、まさに今、顧問契約の話を受けていて、どう判断すべきか悩んでいる方もいるでしょう。あるいは、法律の相談が増えてきて、その必要を感じ始めた、という方もいるかもしれません。どちらの場合でも、まずはメリットを正しく理解することが出発点になります。順を追って見ていきます。
なお、この記事でお伝えするのは、顧問契約を判断するための基本の考え方です。実際に自社に必要かどうかは、事業の中身や、直面する問題の頻度によって変わってきます。ここで得た視点を土台にしながら、最終的な判断は、実際に相談したうえで下していただければと思います。判断の材料をそろえることが大切です。
顧問契約で得られるおもなメリット
まず、顧問契約を結ぶことで、どのようなメリットが得られるのかを整理しておきます。これらを踏まえたうえで、自社にとってその価値があるかを、判断していただければと思います。おもなメリットには、次のようなものがあります。
- 小さな疑問でも、気軽に相談できるようになる。
- 問題を未然に防ぎやすくなる。
- いざというときに、素早く動ける。
- 会社を理解した相手から、実情に即した助言を得られる。
- 法律の不安を抱えずに、経営に集中できる。
まず、最も日常的なメリットが、小さな疑問でも気軽に相談できるようになることです。個別に依頼する関係では、こんなことで相談してよいのかと、つい遠慮しがちです。しかし、顧問契約があれば、そうした気兼ねなく尋ねられます。この気軽さが、疑問を抱えたまま進むことを防いでくれます。
法律にかかわる疑問は、抱えたまま放置すると、判断を誤る原因になります。そうした事態を防ぐには、疑問が生じたその場で確かめられることが大切です。この積み重ねが、大きな失敗を未然に防ぐことにつながっていきます。
次に大きいのが、問題を未然に防ぎやすくなることです。契約を交わす前に確かめてもらう、対応の進め方を事前に相談する。そうした日ごろの関与によって、そもそもトラブルが起きにくくなります。問題が起きてから対応するより、起きないように備えるほうが、負担ははるかに小さくて済むのです。
何も起きなければ、その効果は実感しにくいものです。しかし、起きたはずの問題が起きなかったこと自体が、成果です。
そして、いざというときに素早く動けることも、大きなメリットです。会社のことを知っている弁護士がいれば、問題が起きたときに、一から事情を説明する必要がありません。すぐに本題に入り、必要な手を打てます。初動の速さが結果を左右する場面では、この差が決定的に効いてきます。
とりわけ、対応の遅れが被害を広げるような問題では、この差は大きくなります。緊急を要する場面で、一から相談先を探している余裕はありません。すぐに連絡が取れて、すぐに動いてもらえる相手がいること。その安心感は、実際に危機に直面したときに、初めて実感されるものです。
説明の手間が省けるということは、単に時間の節約にとどまりません。焦っている状況で、自社の事情を筋道立てて説明するのは、想像以上に難しいものです。すでに事情を知る相手であれば、要点だけ伝えれば通じます。その差が、混乱のなかでの対応の質を、大きく左右することになります。
費用をどう捉えるか
顧問契約の判断で、多くの経営者が最も気にするのが、継続的な費用のことでしょう。ここでは、その費用をどう捉えればよいのかを考えていきます。捉え方が変われば、判断も変わってきます。
まず知っておきたいのが、顧問としての費用は、その内容によってさまざまだという点です。その範囲によって、費用は変わってきます。ですから、自社に必要な内容と、それに見合う費用を、弁護士と相談して決めることになります。
この点は、あらかじめ理解しておくことが肝心です。どこまでの対応を求めるかによって、内容も費用も変わるからです。自社が何を必要としているのかを整理して、相談に臨むとよいでしょう。
次に考えたいのが、その費用を、何と比べるかということです。単に出ていくお金として見れば、負担にしか見えません。しかし、それによって防げた問題、早く動けたことによる被害の抑制、そして安心して経営に集中できたこと。これらとあわせて見れば、その意味は違って見えてきます。
たとえば、契約書の不備を事前に指摘してもらえたことで、後の大きな損失を免れたとします。その効果は、数字には表れません。しかし、それこそが、顧問契約によって得られた実質的な価値です。目に見えない成果まで含めて評価しなければ、正しい比較にはなりません。
顧問契約の効果は、防げた問題という形で表れるため、記録にも残りません。ですから、意識して振り返ってみることが欠かせません。この一年で、どのような相談をし、それによって何を避けられたか。そう問い直してみると、その価値が、あらためて見えてくることもあります。
この点は、保険の考え方に似ています。何事もなければ、支払いは無駄に見えます。しかし、いざというときの備えとして、その価値が問われます。もっとも、顧問契約は、備えにとどまらず、日ごろの相談によって問題そのものを減らす働きもします。その点で、単なる保険以上の意味を持つといえます。
保険は、事故が起きたときに支払われるものですが、顧問契約は、事故そのものを減らす働きをします。日ごろの相談によって、危うい判断を避けられる。契約の不備を事前に正せる。この予防の働きこそが、顧問契約の、最も大きな価値だといってもよいかもしれません。
そして、費用の面で無理があると感じるなら、その旨を率直に伝えることも大切です。信頼できる弁護士であれば、会社の状況を踏まえて、無理のない範囲での付き合い方を一緒に考えてくれます。費用が心配だから相談しない、ではなく、費用も含めて相談する。その姿勢が、現実的な答えにつながります。
費用のことを尋ねるのに、遠慮は要りません。むしろ、率直に話し合えるかどうかは、その弁護士と長く付き合えるかを見きわめる目安にもなります。予算の範囲を伝えたうえで、その範囲でできることを提案してもらう。そうした現実的なやり取りができる相手であれば、安心して関係を築けます。
顧問契約を結んだ場合と、必要なときだけ依頼する場合を比べると、違いがはっきりします。
| 比べる点 | 顧問契約あり | 必要なときだけ依頼 |
|---|---|---|
| 相談までの早さ | 電話やメールですぐに聞ける | 事務所探しと面談の予約から始まる |
| 会社の事情の理解 | 業務や社内の決まりを踏まえた助言が出る | 毎回、会社の説明から始める必要がある |
| 費用の形 | 毎月定額(範囲外の業務は別料金) | 相談や依頼のたびに費用がかかる |
| 向いている場面 | 契約書の確認や労務の相談が毎月のようにある | 法律問題がまれにしか起きない |
判断に迷うときは、過去1年に起きた法律がらみの出来事を書き出してみてください。取引先との契約書の確認、社員とのもめごと、未払いの督促などが月に1件以上あったなら、顧問契約を検討する価値があります。
どのような会社に向いているか
顧問契約は、すべての会社にとって最善というわけではありません。では、どのような会社に向いているのでしょうか。自社に当てはまるかを、確かめながら読んでいただければと思います。
まず、法律にかかわる判断が頻繁に生じる会社は、顧問契約が向いています。多くの契約を交わす、取引先とのやり取りが複雑、従業員をめぐる問題が生じやすい。そうした会社では、その都度依頼するより、継続的な関係を持つほうが、安心で、結果として効率もよいわけです。
相談の機会が多ければ多いほど、その都度の手間も積み重なります。一件ごとに依頼の手続きを踏み、事情を説明し直す。その繰り返しは、時間の面でも、精神的な面でも、負担になります。継続的な関係があれば、その負担が解消され、必要なときにすぐ相談できるようになります。
次に、これから事業を広げていこうとする会社にも向いています。事業の拡大には、新たな契約や取り組みがつきものであり、それにともなって法律の判断も増えていきます。成長の局面で、いつでも相談できる相手がいることは、安心して前に進むための支えになります。
そうした局面で、法律の面から支えてくれる存在がいれば、より大胆に、しかし安全に、前へ進むことができます。
さらに、社内に法律を扱う体制がない会社にとっても、顧問契約は心強いものです。社内に弁護士を抱えることが難しくても、顧問契約という形であれば、必要なときに専門的な助言を得られます。これは、規模の大きくない会社にとって、現実的で有効な選択肢だといえます。
社内に弁護士を置くことは、多くの会社にとって現実的ではありません。その点、顧問契約であれば、必要なときだけ専門的な知見を借りられます。いわば、外部に法律の担い手を持つようなものです。限られた体制で事業を営む会社にこそ、この仕組みの価値は大きいといえます。
一方で、法律にかかわる場面がごく少ない会社であれば、必要なときに個別に依頼する形が合っていることもあります。大切なのは、他社がそうしているからではなく、自社の事業の中身や、直面する問題の頻度に照らして判断することです。実態に即して考えることが、無駄のない判断につながります。
周囲の会社が顧問弁護士を持っているから、という理由だけで決めるのは、賢明ではありません。逆に、自社は小さいから必要ない、と決めつけるのも早計です。大切なのは、自社が実際にどれだけ法律にかかわる場面に直面しているかです。その事実に基づいて判断することが、後悔のない選択につながります。
判断にあたって考えたいこと
では、実際に顧問契約を結ぶかどうかを判断するにあたっては、何を考えればよいのでしょうか。ここでは、その判断の視点を整理しておきます。順序立てて考えることで、迷いも整理されます。
まず考えたいのが、この一年を振り返って、法律にかかわる判断が何回あったかということです。契約を交わした、従業員への対応に迷った、取引先ともめた。そうした場面を数えてみると、自社の実態が見えてきます。頻度が高ければ、継続的な関係の価値も高くなります。
意外に思われるかもしれませんが、振り返ってみると、想像以上に多くの場面があったと気づく経営者は少なくありません。契約書に目を通す場面、従業員への対応を考える場面、取引先とのやり取りに悩む場面。日常に紛れて意識していなかっただけで、法律にかかわる判断は、意外に頻繁に生じているものです。
次に考えたいのが、相談したかったのに、しなかった場面がなかったかということです。費用や手間を思って、相談をためらったことはないでしょうか。もしそうした場面が思い当たるなら、それは、気軽に相談できる関係があれば防げた不安かもしれません。潜在的な需要にも目を向けることが求められます。
相談しなかった場面には、二つの種類があります。相談する必要がなかった場面と、本当は相談したかったのにできなかった場面です。後者が多いのであれば、それは、気軽に相談できる関係が不足しているという証拠です。表に出ていない需要にこそ、目を向ける価値があります。
相談をためらった結果、自己流で判断してしまった場面はないでしょうか。そのときは何事もなかったとしても、それは運が良かっただけかもしれません。気軽に確かめられる相手がいれば避けられた危うさが、日常のなかに潜んでいることは、決して珍しくありません。
さらに、今後の事業の見通しも、判断の材料になります。事業を広げる予定があるか、新たな取り組みを考えているか。今は相談の機会が少なくても、これから増える見込みがあるなら、あらかじめ関係を築いておく価値はあります。先を見据えた判断も、必要になります。
顧問契約は、結んですぐに効果が出るとは限りません。会社への理解が深まり、関係が築かれるにつれて、その価値は高まっていきます。そのため、必要になってから慌てて結ぶより、少し早めに関係を築いておくほうが、いざというときに、その力を十分に発揮できます。
そして、いきなり顧問契約を結ぶことに迷いがあるなら、まずは個別の相談から始める、という進め方もあります。実際に相談してみて、その弁護士との相性や、助言の質を確かめる。そのうえで、継続的な関係を考える。段階を踏むことで、納得のいく判断ができます。
いきなり長期の関係を決めることに、抵抗を感じるのは自然なことです。まずは一度相談してみて、話しやすいか、説明は分かりやすいか、費用の説明は明確かを確かめる。その体験を経てから判断すれば、机上で悩み続けるより、はるかに確かな結論にたどり着けます。
顧問契約を活かすために
顧問契約を結んだとして、その価値を十分に引き出すには、どうすればよいのでしょうか。契約を結んだだけでは、そのメリットは活きません。ここでは、活かすための心がけを見ていきます。
まず何より大切なのが、遠慮せずに相談することです。せっかく契約を結びながら、こんなことで相談してよいのかと遠慮していては、もったいないことです。小さな疑問こそ、早めに確かめる。それが、問題を大きくしないための、最も確実な方法になります。
顧問契約を結びながら、ほとんど相談しないという会社も、実際にはあります。しかし、それでは費用に見合う価値を得られません。契約したからには、積極的に使う。相談を重ねるほど、弁護士も会社への理解を深め、助言の質も高まっていきます。使うことが、価値を生みます。
相談の回数を気にして遠慮する必要もありません。むしろ、よく相談してくれる会社ほど、弁護士の側も状況を把握しやすく、的確な助言をしやすくなります。使えば使うほど、関係の質が高まっていく。そうした好循環を生み出せるかどうかが、顧問契約を活かせるかの分かれ目になります。
次に、会社の状況を、日ごろから共有しておくことも役立ちます。事業の状況や、新たな取り組みについて伝えておけば、弁護士も会社への理解を深められます。
共有といっても、堅苦しい報告は要りません。新しい取引を始めた、人を増やした、といった変化を、折にふれて伝えておく。その程度でも、弁護士の理解は着実に深まります。会社の姿を知っている相手からの助言は、一般論とはまるで違う、実用的なものになります。
さらに、都合の悪いことも含めて、率直に伝えることが肝心です。肝心なことを伏せたままでは、的確な助言は望めません。その率直さが、自社を守る助言につながります。
都合の悪いことほど、伝えにくいものです。すべてを話したうえで対応を考えてもらうことが、結局は、自社にとって最も有利な結果につながるのだと心得ておきたいところです。
そして、契約の内容が実態に合っているかを、折にふれて見直すことも大切です。会社が成長すれば、必要とする相談も変わってきます。契約を結んだときの内容が、今も適切とは限りません。実態とのずれを感じたら、率直に相談し、内容を調整する。その柔軟さが、良い関係を長く続ける鍵になります。
顧問契約は、一度結んだら永久に同じ形で続けるものではありません。会社が変われば、必要な支えも変わります。相談の頻度が想定より多い、あるいは少ない。扱う問題の性質が変わった。そうした変化に応じて、内容を話し合い、調整していく。その柔軟さがあってこそ、関係は長く続いていきます。
顧問契約を結んだ後に、思ったほど活用できなかったという声もあります。その多くは、社内で誰が弁護士に相談してよいのかが決まっていないことが原因です。総務の担当者や各部門の責任者にも相談の窓口を開いておくと、現場の小さな疑問が早めに弁護士へ届くようになります。
会社が取り組むべきことと弁護士の活用
ここまで、顧問契約で得られるメリット、費用の捉え方、向いている会社、判断の視点、そして活かすための心がけまで見てきました。費用と得られるものをあわせて考えること。自社の実態に照らして判断すること。結んだら遠慮せず相談すること。そして、内容を折にふれて見直すこと。これらが基本の姿勢になります。
顧問契約は、それ自体が目的ではありません。法律にかかわる不安を減らし、経営者が本来の仕事に集中できるようにするための、手段です。その手段が自社に必要かどうかを、実態に即して見きわめる。それが、この判断において、最も大切なことです。
手段は、目的にかなってこそ意味を持ちます。顧問契約を結ぶこと自体が目的になってしまえば、費用に見合う価値は得られません。逆に、必要なのに結ばずにいれば、防げたはずの問題を招きます。自社の目的に照らして、この手段が有効かを冷静に見きわめる。その姿勢が、賢明な判断につながります。
とはいえ、自社に顧問契約が必要かどうか、どの弁護士と結ぶべきか。こうした判断には、迷いもあるでしょう。しかし、迷ったまま何もしないでいると、相談すべき場面で相談できないまま、時間が過ぎていきます。
迷い続けることには、目に見えないコストがあります。その間にも、法律にかかわる判断は次々と生じ、そのたびに不安を抱えることになるからです。結論を出すために、まず一歩動いてみる。相談してみた結果、やはり今は必要ないと分かれば、それはそれで一つの答えです。動くこと自体に、意味があります。
とりわけ、法律にかかわる相談が増えてきた場面や、事業を広げていこうとする場面では、顧問契約を検討する価値があります。その安心が、経営者を本来の仕事に集中させてくれます。
法律にかかわる部分を、信頼できる相手に任せられれば、経営者は、自分がすべきことに、力を注げるようになります。
また、いきなり顧問という形でなくても、まずは個別の相談から始め、信頼できると感じられたら継続的な関係を考える、という進め方もあります。大切なのは、法律にかかわる不安を一人で抱え込まないことです。安心して経営に集中する。
顧問契約を結ぶかどうかは、会社の実情によって答えの分かれる問題です。しかし、法律にかかわる不安を一人で抱え込むべきでないという点は、どの会社にも共通します。この記事が、自社にとって適した弁護士との関わり方を考える、きっかけとなれば幸いです。
経営者は、多くの判断を、一人で背負いがちです。相談できる相手がいなければ、その負担はさらに重くなります。法律にかかわる不安を、誰かと分かち合えること。その価値は、金額では測りにくいものの、日々の経営を支える、確かな力になります。
顧問契約を結ぶ前には、次の点を確かめておくと、結んだ後の食い違いを防げます。
- 顧問料で対応してもらえる業務の範囲と、月あたりの時間の目安
- 電話、メール、チャットなど、相談に使える手段と返事の早さ
- 訴訟や交渉を依頼するときの費用の割引の有無
- 担当する弁護士が一人か、複数の弁護士で対応するのか
- 契約の期間と、解約するときの手続き
ある製造業の会社では、顧問契約を結んで最初の半年で、取引基本契約書の見直しと、未払いが続く取引先への督促を任せました。以前は、契約書を読まずに判を押すことが多かったそうです。見直しの過程で、不利な損害賠償の条項がいくつも見つかり、取引先と交渉して修正できました。顧問契約の価値は、こうした目に見えにくい損失を防ぐところに表れます。
顧問契約に関するよくある質問
顧問契約を結ぶと、どのようなメリットがありますか
小さな疑問でも気軽に相談できるようになること、日ごろの関与によって問題を未然に防ぎやすくなること、いざというときに一から事情を説明せず素早く動けること、会社を理解した相手から実情に即した助言を得られること、法律の不安を抱えずに経営に集中できることなどが挙げられます。とりわけ、問題が起きてから対応するより、起きないように備えられる点は、大きな価値になります。
顧問料の負担を、どう考えればよいですか
単に出ていくお金として見れば負担にしか見えませんが、それによって防げた問題、早く動けたことによる被害の抑制、安心して経営に集中できたことも、あわせて考える必要があります。何も起きなければ無駄に見えても、備えの効果はいざというときに表れます。費用の面で無理があると感じるなら、その旨を率直に伝え、無理のない付き合い方を一緒に考えてもらうとよいでしょう。
どのような会社に向いていますか
法律にかかわる判断が頻繁に生じる会社、これから事業を広げていこうとする会社、社内に法律を扱う体制がない会社などに向いています。一方、法律にかかわる場面がごく少ない会社であれば、必要なときに個別に依頼する形が合っていることもあります。他社がそうしているからではなく、自社の事業の中身や直面する問題の頻度に照らして判断することが欠かせません。
結ぶかどうか迷ったら、どうすればよいですか
この一年で法律にかかわる判断が何回あったか、相談したかったのにしなかった場面はなかったか、今後事業を広げる予定があるかといった点を振り返ってみるとよいでしょう。そのうえで、いきなり顧問契約を結ぶことに迷いがあるなら、まずは個別の相談から始めるという進め方もあります。実際に相談し、相性や助言の質を確かめてから判断すれば、納得のいく選択ができます。
相談の場では、費用の説明が明確か、こちらの話を丁寧に聞いてくれるか、専門的な内容を分かりやすく伝えてくれるかを見るとよいでしょう。長く付き合う相手それゆえ、条件だけでなく、実際に接したときの印象も大切です。その感覚も踏まえて判断すれば、後悔のない選択につながります。
