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不当解雇だと訴えられたら?会社側の対応と備え

不当解雇だと訴えられたら?会社側の対応と備え

この記事で分かること

  • 解雇が争われると客観的で合理的な理由と相当性を満たしていたかが問われる
  • 解雇が無効とされると従業員はなお在籍していることになる
  • 会社を離れていた期間の賃金の支払いを求められることがある
  • 争いが長引くほど会社の負担が積み重なるため早い対応が求められる
  • 争いでは解雇の理由と相当性に加え注意や指導を尽くしたかも問われる
  • 日ごろの指導の記録の有無が会社の立場を大きく左右する
  • 通知を受け取ったら企業の労務にくわしい弁護士にすぐ相談する

解雇が争われると、客観的で合理的な理由があり、社会の常識に照らして相当といえたかが、あらためて問われます。無効とされれば従業員はなお在籍することになり、離れていた期間の賃金を求められることもあります。争いが長引くほど負担は積み重なるため、早い対応が肝心です。注意や指導を尽くしたか、その記録があるかも問われます。通知を受け取ったらすぐ専門家に相談すると安心です。

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解雇した従業員から争われたときに何が起きるか

やむをえず解雇した従業員が、その解雇は不当だとして、争いを起こしてきた。会社としては、正当な理由があって解雇したつもりでも、相手が納得しなければ、こうした事態は起こりえます。突然そうした通知を受け取れば、経営者としては、動揺するでしょう。まずは、こうしたときに何が起き、どう向き合うべきかを整理しておきましょう。

こうした通知は、多くの場合、思いがけない形で届きます。もう終わったはずの話が、蒸し返される。しかも、会社の側に非があるかのように言われる。理不尽に感じるのも、無理はありません。しかし、そこで感情的に反応してしまうと、事態を悪くしかねません。まずは冷静に、何が起きているのかを見きわめることが大切です。

解雇が争われるというのは、その解雇が有効だったのかどうかが、あらためて問われるということです。会社が、正当な理由に基づいて、正しい手順を踏んで解雇したのか。それが、法律の考え方に照らして、検討されることになります。会社の判断が、そのまま通るとは限らない。ここが、この問題の根本にある点です。

経営者としては、自分が下した経営判断が、後から他人に覆されるということ自体に、違和感を覚えるかもしれません。しかし、解雇は、相手の生活の基盤を奪う、重い行為です。それゆえ、会社の判断が正しかったのかを、あらためて検証する仕組みが設けられています。この趣旨を理解しておくと、冷静に向き合いやすくなります。

そして、押さえておかなければならないのが、日本では、会社が従業員を解雇することが、そもそも簡単ではないという点です。解雇には、客観的で合理的な理由と、社会の常識に照らして相当といえることが求められます。この高いハードルを満たしていなければ、その解雇は、無効と判断されることになるのです。

このハードルの高さは、多くの経営者が想像している以上のものです。会社の常識では、これだけの事情があれば当然、と思えることでも、法律の観点からは足りないとされることがあります。この落差を知らずに解雇に踏み切ると、後で厳しい結果に直面します。まずは、その厳しさを受けとめておくことが必要です。

ここで押さえておきたいのは、解雇が争われた場合には会社の判断がそのまま通るわけではなく客観的で合理的な理由と相当性を満たしていたかがあらためて問われるという発想です。会社としては当然の措置のつもりでも、その前提が崩れることがあります。この現実を、まず受けとめておく必要があります。

ここで大切なのは、開き直ることでも、諦めることでもありません。正しく現状を認識したうえで、自社の立場を冷静に見きわめ、取りうる最善の対応を選ぶことです。楽観も悲観もせず、事実に即して判断する。その姿勢が、争いのなかで、会社の被害を最小限に抑えることにつながっていきます。

この記事では、解雇が争われたときに会社が直面する事態、まず何をすべきか、争いのなかで何が問われるのか、そもそも争われないためにどう備えるべきかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。従業員から解雇を争われた、あるいはその可能性を懸念する経営者の方に、判断の土台をお伝えします。

読者の方のなかには、まさに今、解雇をめぐる争いに直面していて、どう動けばよいか分からず不安な方もいるでしょう。あるいは、これから解雇を検討していて、争われることを心配している、という方もいるかもしれません。どちらの場合でも、まずは基本の考え方を、正しく理解することが出発点になります。順を追って見ていきましょう。

なお、この記事でお伝えするのは、解雇をめぐる争いの基本の考え方です。実際の見通しは、解雇の理由や、それまでの会社の対応によって大きく変わります。ここで得た知識を土台にしながら、具体的な判断は、専門家と一緒に進めていただければと思います。基本を知ることが、慌てず対応するための支えになります。

解雇が無効とされるとどうなるか

まず、もし解雇が無効と判断されたら、会社にはどのような事態が待っているのでしょうか。ここを知っておくことは、この問題の重さを理解するうえで、とても大切です。解雇が覆ることの影響は、想像以上に大きいものです。順に見ていきましょう。

まず、解雇が無効とされれば、その従業員は、なお会社に在籍していることになります。解雇によって雇用の関係が終わったはずが、そうではなかった、ということです。会社としては、その従業員を、再び受け入れなければなりません。人員の計画は、その前提から崩れることになります。

実務のうえでは、いったん解雇を告げた従業員を、再び職場に迎えることには、難しさも伴います。本人にとっても、周囲にとっても、気まずさが残るからです。人員の計画が崩れるという以上に、職場の関係そのものが、ぎくしゃくしかねません。解雇が覆ることの影響は、数字の面だけにとどまらないのです。

さらに、会社を離れていた期間についても、その従業員は、働く意思があったのに会社の都合で働けなかった、と扱われます。そのため、会社は、その期間の賃金についても、支払いを求められることがあります。争いが長引けば、その分だけ、この負担も積み重なっていくことになります。

この点は、対応を先延ばしにすることの危うさを、はっきりと示しています。争いを放っておけば、その間も、負担は積み上がり続けます。会社としては、認めたくない気持ちから、対応を後回しにしたくなることもあるでしょう。しかし、それは、傷を深めるだけの選択になりかねないのです。

ここが、この問題の、とりわけ厳しいところです。争いが長引くほど、会社の負担が増えていく。だからこそ、解雇をめぐる争いは、放置したり、引き延ばしたりするのではなく、早い段階で、適切に対応することが求められるのです。時間が味方をしてくれるとは限らない、という点を心得ておく必要があります。

通常の争いごとであれば、時間をかけて相手が諦めるのを待つ、という選択もありえます。しかし、この問題では、時間の経過が、会社の負担を増やす方向に働きます。だからこそ、引き延ばしは得策ではありません。早い段階で自社の立場を見きわめ、適切な着地点を探ることが、結果として被害を小さくするのです。

また、こうした争いへの対応そのものにも、会社は時間と労力を割かれます。本来の事業に注ぐべき力を、争いへの対応にとられる。これは、目に見えにくいものの、決して小さくない負担です。とりわけ、規模の大きくない会社にとって、その影響は深刻なものになりえます。

争いへの対応には、資料の整理や、経緯の説明など、少なからぬ手間がかかります。経営者自身が、その多くを担わなければならないこともあります。事業に集中すべき時間を、こうした対応に奪われることの損失は、金額には表れにくいものの、実は非常に大きいのだと理解しておく必要があります。

そして、こうした争いは、社内にも影響を及ぼします。同僚が会社と争っているという状況は、ほかの従業員にも、動揺を与えます。会社への信頼が揺らぎ、職場の雰囲気が悪くなることもあります。解雇をめぐる争いの影響は、当事者だけにとどまらないのだと、心得ておく必要があります。

ほかの従業員は、会社がその争いにどう向き合うかを、よく見ています。誠実に、筋を通して対応していれば、それは信頼につながります。逆に、場当たり的な対応や、感情的な言動が見えれば、会社への不信が広がります。争いへの向き合い方そのものが、社内に対するメッセージになるのです。

争われたらまず何をすべきか

では、実際に解雇を争われたとき、会社はまず何をすべきなのでしょうか。動揺のなかでも、押さえておきたい対応の順序があります。ここでは、その要点を整理しておきましょう。適切な初動が、その後の展開を大きく左右します。

  1. 相手が何を主張しているのかを、正確に把握する。
  2. 解雇に至った経緯と、その理由を、事実に基づいて整理する。
  3. 関係する資料や記録を、散逸しないよう集めておく。
  4. 会社の立場が法律上どうなるかを、専門家に確かめる。
  5. 専門家の助言のもとで、対応の方針を決める。

この流れのなかで、まず大切なのが、相手が何を主張しているのかを、正確に把握することです。どのような理由で、解雇が不当だと言っているのか。何を求めているのか。これを正しくつかまなければ、適切な対応はできません。感情的に反発する前に、まずは相手の主張を、冷静に読み解くことが出発点になります。

相手の主張のなかには、会社から見れば事実と異なる部分もあるでしょう。しかし、それを一つひとつ感情的に打ち消しても、前には進みません。どこが争点で、どこは争いようのない事実なのかを、冷静に切り分ける。その作業が、その後の対応の方針を立てる、確かな土台になります。

次に欠かせないのが、解雇に至った経緯と、その理由を、事実に基づいて整理することです。なぜ解雇したのか、その前にどのような対応をしてきたのか。時系列に沿って、事実を洗い出す。この整理が、会社の立場を検討するうえでの、土台になります。記憶があいまいなまま進めては、正しい判断はできません。

時間がたつと、当時の経緯は、驚くほど記憶から抜け落ちていきます。だからこそ、争いが起きたら、できるだけ早い段階で、関係者の記憶が鮮明なうちに、経緯を整理しておくことが大切です。この作業を後回しにすると、後になって、肝心の事実を再現できなくなってしまうこともあるのです。

そして、関係する資料や記録を、集めておくことも重要です。解雇に至る経緯を示す記録、指導や注意をした際の記録、就業規則、交わした書面。こうした材料が、会社の対応が適切だったことを示す、手がかりになります。時間がたつと散逸しがちですから、早い段階で集めておくことが大切です。

資料は、会社の主張を裏づける、最も確かな材料です。口頭の説明だけでは、事実として認めてもらうのは難しいものです。日ごろの記録が、ここで生きてきます。逆に、何も残していなければ、正当な対応をしていたとしても、それを示すことができません。記録の有無が、争いの行方を左右するのです。

争いのなかで何が問われるのか

解雇が争われたとき、具体的には、何が問われることになるのでしょうか。ここを理解しておくことは、自社の立場を見きわめ、対応を考えるうえで、とても重要です。問われる点を知っておけば、備えるべきことも見えてきます。

まず問われるのが、解雇に、客観的で合理的な理由があったかどうかです。会社が挙げる解雇の理由が、誰が見ても納得できる、確かなものであったか。単に気に入らない、なんとなく合わない、といった主観的な理由では足りません。事実に裏づけられた、確かな理由があったかが、厳しく問われることになります。

ここで重要なのは、会社がその理由を、事実として示せるかどうかです。能力に問題があった、勤務態度が悪かったといっても、それを裏づける具体的な事実がなければ、主観的な評価に過ぎないと見られかねません。いつ、どのような問題があったのかを、具体的に示せるかが、鍵を握ることになります。

次に問われるのが、その解雇が、社会の常識に照らして相当といえるかどうかです。仮に理由があったとしても、その程度の事情で解雇までするのは重すぎる、と判断されれば、解雇は認められません。問題の程度と、解雇という重い措置とが、釣り合っているか。この釣り合いが、慎重に検討されることになります。

この釣り合いの判断は、会社が思うより、厳しいものになりがちです。一度の失敗、一度の規律違反では、解雇まではやりすぎだと見られることが少なくありません。解雇は、雇用の関係を終わらせる、最も重い措置です。それに見合うだけの事情があったのかが、慎重に見きわめられるのだと理解しておく必要があります。

注意
解雇の理由があったとしても、それだけでは足りません。いきなり解雇するのではなく、注意や指導を重ねて改善の機会を与えたか、より軽い措置で対応できなかったかも問われます。手順を尽くさないまま解雇に踏み切っていると、理由があっても解雇が認められないことがあります。

さらに、解雇に至るまでに、会社が適切な手順を踏んだかも問われます。いきなり解雇するのではなく、注意や指導を重ねて、改善の機会を与えたか。より軽い措置で対応できなかったか。こうした手順を尽くしたうえでの、やむをえない解雇だったのかが、検討されることになります。手順の軽視は、大きな弱点になります。

会社としては、もう改善の見込みはないと感じていても、それを客観的に示すには、実際に改善の機会を与えたという事実が必要です。注意もせず、指導もせずに、いきなり解雇していれば、その判断が本当にやむをえなかったのかが、疑われます。手順を尽くしたという事実そのものが、会社の立場を支えるのです。

そして、これらを裏づける記録があるかどうかも、実務のうえでは、極めて重要です。会社が、口では指導してきたと言っても、それを示すものがなければ、事実として認めてもらうのは難しくなります。日ごろの記録の有無が、会社の立場を大きく左右するのです。この点は、備えの重要性にも直結します。

記録は、争いになってから作れるものではありません。日々の指導や対応を、その都度、簡潔にでも書き留めておく。その地道な積み重ねが、いざというときに、会社を守る力になります。手間に感じられるかもしれませんが、これほど確かな備えは、ほかにないといってもよいでしょう。

これらの点は、いずれも、解雇の前の段階での、会社の対応にかかっています。争いが起きてから、慌てて取り繕えるものではありません。だからこそ、解雇をめぐる争いへの備えは、解雇を検討する、その前から始まっているのだと理解しておく必要があるのです。

言いかえれば、争いに強い会社とは、日ごろの労務の管理が行き届いている会社のことです。ルールを整え、問題があれば指導し、その経緯を記録に残す。この当たり前のことを続けている会社は、いざ争われても、慌てることがありません。備えは、平時の地道な積み重ねのなかにあるのです。

争われないためにどう備えるか

解雇をめぐる争いは、起きてから対応するよりも、そもそも起きないように備えるほうが、はるかに賢明です。ここでは、そのために日ごろから心がけたいことを見ていきましょう。地道な備えが、無用な争いを防ぎます。

まず、最も大切なのが、解雇という判断そのものを、慎重に行うことです。本当に解雇するしかないのか、ほかに取りうる手立てはないのか。この見きわめを丁寧に行うことが、争いを防ぐ、最も確実な方法です。解雇は、あらゆる手を尽くしたうえでの、最後の選択と位置づけるべきものなのです。

この意識を持つだけでも、対応は変わってきます。すぐに解雇を考えるのではなく、まず何ができるかを探る。その過程を経ることで、そもそも解雇せずに済む場合もありますし、やむをえず解雇に至った場合にも、その正当性を支える材料が積み上がります。急がば回れ、が当てはまる場面なのです。

次に、解雇に至る前に、注意や指導を重ね、改善の機会を与えることです。問題があるなら、まずそれを本人に伝え、直す機会を与える。それでも改まらない場合に、初めて重い措置を考える。この段階を踏むことが、解雇の相当性を支えるとともに、そもそも解雇せずに済む可能性を生むことにもなります。

指導によって、人は変わることがあります。問題があると見えた従業員が、適切な働きかけによって、力を発揮するようになることも珍しくありません。その可能性を試さずに解雇するのは、会社にとっても損失になりえます。人を活かす視点を持つことが、めぐりめぐって、会社の力を高めることにもつながるのです。

さらに、そうした指導や対応の経緯を、記録に残しておくことも欠かせません。いつ、どのような問題があり、どう指導し、本人がどう応じたのか。この記録があるかどうかで、いざ争いになったときの会社の立場は、大きく変わります。面倒に見えても、記録は、会社を守る確かな備えになるのです。

記録といっても、大がかりなものである必要はありません。いつ、誰に、どのような話をしたかを、短くても書き留めておく。それだけで、後から経緯を再現できます。この小さな習慣が、いざというときに、会社の主張を裏づける確かな材料になるのです。日々の一手間が、大きな備えになります。

そして、就業規則を整え、日ごろから従業員に周知しておくことも大切です。どのような行為が問題となるのか、どのような場合に処分がありうるのかを、明確にしておく。ルールがあいまいなままでは、いざというときに拠りどころを示せません。ルールの整備と周知が、公正な対応の土台になります。

就業規則は、作って終わりではなく、実際に従業員に知らされ、日ごろから運用されていて、初めて意味を持ちます。誰も内容を知らない規則では、いざというときに拠りどころになりません。定めたルールを周知し、それに沿って公正に運用する。その積み重ねが、会社の対応の正当性を、静かに支えていくのです。

解雇を検討する段階での心構え

これから解雇を検討する、という段階にある経営者の方に向けて、持っておきたい心構えを整理しておきましょう。ここでの判断が、後に争いを招くかどうかを、大きく左右します。慎重な心構えが、会社を守ることにつながります。

まず持っておきたいのが、解雇は認められにくいものだ、という認識です。会社の感覚では当然の措置に思えても、法律の観点からは認められないことが、少なくありません。この落差を理解しておかないと、思わぬところでつまずきます。まずは、解雇のハードルの高さを、正しく受けとめることが大切です。

この認識があるかどうかで、解雇に向けた進め方は、まったく違うものになります。簡単に解雇できると思っていれば、手順も記録もおろそかになります。逆に、認められにくいと知っていれば、慎重に段階を踏み、証拠を残すようになります。認識の差が、そのまま、いざというときの結果の差になって表れるのです。

次に、感情に流されないことです。問題のある従業員への不満が募ると、早く辞めさせたいという思いが先に立ち、手順を省いてしまいがちです。しかし、そこで踏むべき段階を飛ばせば、後で大きな代償を払うことになります。苦しいときこそ、冷静に、正しい手順を踏むことが求められます。

感情に任せた解雇は、多くの場合、争いを招きます。相手にも、その一方的な進め方が伝わるからです。一方、丁寧に事情を説明し、手順を尽くして進めた解雇であれば、たとえ相手が不満を持っても、争いにまで至らないこともあります。冷静さと誠実さが、無用な争いを避ける、最も現実的な手立てなのです。

さらに、解雇以外の道も、幅広く検討することです。配置を変えて活かす道、注意や指導によって改善を促す道、話し合いによって円満に区切りをつける道。解雇だけが唯一の解決策ではありません。ほかの道を検討することが、争いを避けるとともに、会社にとってより良い結果を生むこともあるのです。

とりわけ、話し合いによって円満に区切りをつける道は、双方にとって望ましい結果になることが少なくありません。一方的に解雇するのではなく、事情を説明し、納得のうえで別れる。その形が取れれば、後の争いも起きにくくなります。ただし、その進め方が強要にならないよう、慎重さが求められる点には注意が必要です。

そして、事を起こす前に、専門家に相談することです。この理由で解雇できるのか、この手順で問題はないか。解雇は、一歩間違えば大きな争いを招きます。だからこそ、自己流で進めるのではなく、あらかじめ専門家の助言を得ておくことが、後の争いを防ぐ、最も確実な備えになるのです。

会社が取り組むべきことと専門家の活用

ここまで、解雇が争われたときに何が起きるのか、無効とされた場合の帰結、まず何をすべきか、争いのなかで問われる点、備え方、そして解雇を検討する段階での心構えまで見てきました。あらためて整理すると、会社が心がけるべきことは、いくつかの柱にまとめられます。解雇のハードルの高さを理解すること。手順を尽くし記録を残すこと。争われたら早く専門家に相談すること。そして、解雇の前から備えておくこと。これらが基本の姿勢になります。

解雇をめぐる争いは、会社にとって、重い負担です。争いが長引けば、その負担はさらに増していきます。しかし、日ごろから正しい手順を踏み、記録を残していれば、会社の立場は、格段に強くなります。備えのあるなしが、いざというときの明暗を分けるのだと、心に留めておいていただきたいのです。

同じような事情で解雇しても、日ごろの備えがある会社と、ない会社とでは、争いになったときの結果が、大きく変わることがあります。備えのある会社は、自社の対応が適切だったことを、事実に基づいて示せるからです。この差は、争いが起きてから埋めることはできません。平時の備えこそが、決め手になるのです。

とはいえ、実際に争われたとき、どう対応すべきか、自社の立場はどうなのか、どのような見通しなのか。こうした判断は、専門的で難しいものです。判断を誤れば、争いが長引き、会社の負担がいっそう重くなります。少しでも不安があれば、自己流で進めず、専門家の助けを借りることをおすすめします。

とりわけ、従業員から解雇を争われた場面では、企業の労務にくわしい弁護士に相談することが不可欠です。弁護士は、会社の立場が法律上どうなるのか、どう対応すべきかを、具体的に助言してくれます。争いは、時間がたつほど会社の負担が増していきます。だからこそ、通知を受け取ったら、できるだけ早く相談することが大切です。

また、早く相談することには、対応の選択肢を広げるという意味もあります。初期の段階であれば、話し合いによる解決を探る余地も残されています。しかし、対応が遅れ、相手の態度が硬化してからでは、そうした道も閉ざされかねません。早い相談が、より穏当な着地を可能にすることもあるのです。

また、争いが起きてからだけでなく、解雇を検討する段階から相談することにも、大きな意味があります。事を起こす前に専門家の目を通しておけば、そもそも争いを招かない進め方を選べます。従業員との関係を適切に保ちながら会社を運営する。そのために、信頼できる専門家とつながっておくことが、大きな支えになるのです。

解雇をめぐる争いは、経営者にとって、心身ともに消耗する出来事です。しかし、正しい知識と備えがあれば、必要以上に恐れることはありません。日ごろから手順を尽くし、記録を残し、迷ったら専門家に相談する。この記事が、そうした備えを見直すきっかけとなれば幸いです。

不当解雇の主張に関するよくある質問

解雇が無効とされると、どうなりますか

解雇が無効とされれば、その従業員はなお会社に在籍していることになり、会社は再び受け入れなければなりません。さらに、会社を離れていた期間についても、働く意思があったのに会社の都合で働けなかったと扱われ、その期間の賃金の支払いを求められることがあります。争いが長引くほどこの負担は積み重なるため、放置や引き延ばしをせず、早い段階で適切に対応することが求められます。

解雇を争われたら、まず何をすべきですか

まず、相手が何を主張しているのかを、感情的に反発する前に、冷静に正確に把握することが大切です。そのうえで、解雇に至った経緯と理由を、時系列に沿って事実に基づいて整理します。あわせて、解雇に至る経緯を示す記録や指導の記録、就業規則などの資料を、散逸しないうちに集めておきます。そして、会社の立場が法律上どうなるかを専門家に確かめ、対応の方針を決めます。

争いのなかでは、何が問われますか

まず、解雇に客観的で合理的な理由があったかが問われます。気に入らない、なんとなく合わないといった主観的な理由では足りません。次に、その解雇が社会の常識に照らして相当といえるか、つまり問題の程度と解雇という重い措置が釣り合っているかも検討されます。さらに、注意や指導を重ねて改善の機会を与えたかといった手順、そしてそれらを裏づける記録があるかも、極めて重要になります。

解雇をめぐる争いは、誰に相談すればよいですか

会社の立場が法律上どうなるのか、どう対応すべきかといった判断は難しいため、企業の労務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。とりわけ、この争いは時間がたつほど会社の負担が増していくため、通知を受け取ったらできるだけ早く相談することが大切です。また、争いが起きてからだけでなく、解雇を検討する段階から相談すれば、そもそも争いを招かない進め方を選べます。

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