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内定取消は自由にできる?認められる条件と進め方

内定取消は自由にできる?認められる条件と進め方

この記事で分かること

  • 内定を出した段階で会社と相手の間には一定の関係が成立していると考えられる
  • そのため会社が内定を一方的に自由に取り消すことはできない
  • 取り消しには客観的で合理的な理由が必要で認められるのは限られた場合
  • 会社の都合が変わったなんとなく不安という程度の理由では取り消せない
  • 経営上の理由による取り消しは必要性や他の手立ての有無が厳しく問われる
  • 内定を出す段階から慎重に判断することがトラブルを防ぐ確実な方法になる
  • 判断に迷えば企業の労務にくわしい弁護士に相談する

内定を出した段階で、会社と相手との間には一定の関係が成立していると考えられるため、会社が内定を一方的に自由に取り消すことはできません。取り消しには客観的で合理的な理由が必要で、都合が変わった、なんとなく不安といった程度では認められません。安易な取り消しは会社が責任を問われかねず、内定を出す段階からの慎重な判断が大切です。迷うときは専門家に相談すると安心です。

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内定を取り消すことは自由にはできない

採用を決めて内定を出したものの、その後、経営の状況が変わってしまった。あるいは、その人を採用することに、不安が出てきた。そうした事情から、内定を取り消したいと考える経営者の方もいるでしょう。しかし、まずお伝えしておきたいことがあります。会社が、いったん出した内定を、自由に取り消すことはできないのです。ここを軽く見ると、思わぬ問題を招きます。

内定を出すという行為を、会社は、それほど重いものとは受け止めていないことがあります。まだ働き始めてもいないのだから、こちらの都合で取り消しても大きな問題にはならないだろう、と。しかし、その感覚こそが、落とし穴です。内定には、思っている以上の重みがある。まずは、その認識を持つことが大切なのです。

内定というと、まだ正式に働き始める前の、あいまいな段階だと考える方もいるかもしれません。しかし、内定を出した段階で、会社と相手との間には、すでに一定の関係が生じていると考えられています。それだけに、その内定を取り消すことは、いったん決まっていた採用を、会社の側から一方的に覆すことになり、慎重な扱いが求められるのです。

いったん決まっていたことを、あとから一方的に覆すという点では、内定の取り消しは、働いている社員を辞めさせる解雇と、通じるところがあります。どちらも、会社の都合だけで、相手の立場を大きく左右する行為だからです。それゆえ、内定の取り消しにも、解雇に準じた慎重さが求められる、と考えておくのが安全です。

相手の立場に立てば、そのことは、よく分かります。内定を受けた人は、その会社で働くことを前提に、生活の計画を立てます。ほかの就職の機会を断ることもあるでしょう。そうして準備を進めてきた相手にとって、内定を取り消されることは、大きな打撃です。その打撃の大きさゆえに、内定の取り消しには、厳しい歯止めがかけられているのです。

内定を受けた人の多くは、それを、確かな約束として受け止めています。だからこそ、安心して、ほかの選択肢を手放すのです。その信頼を、会社の都合で裏切ることが、どれほど相手を打ちのめすか。その想像力を持つことが、内定の取り消しを、軽々しく考えないための、出発点になります。相手の立場を思うことが大切です。

ここを軽く見て、安易に内定を取り消すと、会社は思わぬ事態に直面します。その取り消しが認められず、会社が責任を問われることもあります。取り消された相手から、争いを起こされることもあります。会社の都合で気軽に取り消したつもりが、かえって大きな問題を抱え込むことになりかねないのです。慎重な対応が求められます。

目先の問題を解決しようとした取り消しが、より大きな問題を生む。これは、避けたい事態です。内定を取り消せば、その場の悩みは消えるように見えても、その後に、責任を問われたり、争いを起こされたりする火種を、抱え込むことになりかねません。取り消しの前に、その先に何が待つかを、冷静に見通しておくことが大切です。

この記事では、内定の取り消しがなぜ自由にできないのか、どのような場合なら取り消せるのか、取り消しを検討する際にどう進めるべきか、そして内定をめぐるトラブルをどう防ぐかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。内定の取り消しを考えている、あるいは採用にかかわる経営者の方に、判断の土台をお伝えします。

読者の方のなかには、まさに今、内定の取り消しを検討している方もいるでしょう。あるいは、採用にあたって、あらかじめ知っておきたい、という方もいるかもしれません。どちらの場合でも、まずは内定の取り消しをめぐる考え方を、正しく理解することが出発点になります。順を追って見ていきましょう。

なお、この記事でお伝えするのは、内定の取り消しをめぐる基本の考え方です。実際に取り消しが認められるかは、その事情や、会社の対応によって変わってきます。ここで得た知識を土台にしながら、迷う場面では専門家の助言も得て慎重に進めていただければと思います。基本を知ることが、誤った判断を避ける第一歩になります。

なぜ内定は自由に取り消せないのか

まず、なぜ内定を自由に取り消せないのか、その理由を理解しておきましょう。ここがあいまいなままだと、内定を軽く考え、安易な取り消しに踏み込んでしまいます。内定というものの性格を、正しくつかんでおくことが大切です。順に見ていきましょう。

まず根本にあるのが、内定を出した段階で、会社と相手との間に、すでに一定の関係が成立していると考えられている、という点です。内定は、単なる口約束や、あいまいな見込みではありません。会社が採用の意思を示し、相手がそれに応じている以上、そこには、一定の約束が成り立っていると見られるのです。この点が、出発点になります。

内定を、単なる採用の予告のように捉えるのは、正しくありません。内定を出し、相手がそれを受けた時点で、そこには、双方を結ぶ一定の約束が生じていると見られます。この約束が成り立っているという理解こそが、内定の取り消しをめぐる、あらゆる判断の土台になるのです。この点を、まず押さえておく必要があります。

そうである以上、その関係を、会社の側から一方的に解消することは、いったん交わした約束を、会社の都合で反故にすることを意味します。約束は、守られるべきものです。会社の都合が変わったからといって、簡単に破ってよいものではありません。だからこそ、内定の取り消しには、正当な理由と、慎重な手順が求められるのです。

約束を破るには、それ相応の、正当な理由が要ります。ただ気が変わった、都合が悪くなった、という程度では、約束を破る理由にはなりません。これは、日常の約束でも、同じことです。まして、相手の人生を左右する内定の約束を覆すには、誰もが納得するだけの、確かな理由が求められるのは、当然のことなのです。

ここで押さえておきたいのは、内定を出した段階で会社と相手との間には一定の関係が成立していると考えられるため会社が内定を一方的に自由に取り消すことはできないという発想です。内定を、まだ何も決まっていない段階だと軽く考えるのは、誤りです。すでに一定の約束が成り立っている、という認識を持つことが大切です。

この認識を欠いたまま内定を扱うと、あちこちで判断を誤ります。内定を出すこと、それを維持すること、取り消すこと。そのすべてが、約束にかかわる、重い行為だからです。内定は約束である。このシンプルな認識を、採用にかかわる場面で、常に念頭に置いておくことが、トラブルを避けるための、基本になるのです。

さらに、内定を取り消される相手の打撃の大きさも、内定を簡単に取り消せない理由になっています。内定を受けた相手は、それを前提に、生活の計画を立て、ほかの機会を断つこともあります。そうして準備を進めてきた相手の立場を、会社の都合で一方的に覆すことは、その相手に、あまりに大きな不利益を与えることになるのです。

内定を信じて、ほかの就職の機会を断った相手が、内定を取り消されれば、行き場を失います。次の機会は、すでに閉ざされているかもしれません。会社にとっては、一人の内定の取り消しでも、相手にとっては、生活の土台が崩れる一大事です。この、立場の重みの違いを、会社は忘れてはならないのです。

これらを踏まえれば、内定の取り消しが、いかに慎重を要するものかが分かります。それは、いったん成り立った約束を覆し、相手に大きな打撃を与える行為なのです。会社としては、内定を出すこと自体を慎重に判断するとともに、いったん出した内定を取り消す際には、極めて慎重に対応する必要があります。

言いかえれば、内定をめぐる慎重さは、取り消しの場面だけでなく、内定を出す、その前の段階から求められる、ということです。取り消すのが難しいからこそ、出すときに、しっかり見きわめる。この、入り口での慎重さが、後で取り消しに悩む事態を防ぐ、最も確実な方法になるのです。この点は、後で改めて触れます。

どのような場合なら取り消せるのか

では、内定は、どのような場合になら取り消せるのでしょうか。まったく取り消せないわけではありませんが、認められるのは、限られた場合に限られます。ここでは、その考え方を整理しておきましょう。どのような場合なら取り消せるかを、正しく理解しておくことが大切です。

まず、大前提として、内定を取り消すには、それを正当とするだけの、しっかりとした理由が必要です。会社の都合が変わった、気が変わった、という程度の理由では、取り消しは認められません。誰が見ても、なるほどそれなら取り消しもやむをえない、と納得できるような、客観的で合理的な理由があること。これが、第一の条件になります。

客観的で合理的、という言葉が意味するのは、その理由が、経営者の主観を離れて、誰が見ても納得できるものであることです。経営者本人がどれほど正当だと信じていても、それだけでは足りません。第三者が見ても、それなら取り消しもやむをえない、と思えるだけの、確かな理由が必要なのです。ここは、しっかりと押さえておく必要があります。

たとえば、内定を受けた相手の側に、内定の前提を覆すような、重大な事情が明らかになった場合には、取り消しが認められることもあります。あるいは、会社の経営が著しく悪化し、採用を維持することがどうしても難しくなった場合にも、取り消しが問題となりえます。ただし、いずれの場合も、その事情が本当に取り消しにあたるほどのものかが、慎重に問われます。

ここで注意したいのは、こうした事情があれば必ず取り消せる、というわけではない、という点です。相手の事情にせよ、経営の事情にせよ、それが、内定という約束を覆すに足るほど、重大なものといえるかが、あくまで慎重に問われます。事情の存在だけでなく、その重さまで問われる。この点を、取り違えてはなりません。

注意
会社の都合が変わった、なんとなく不安になった、という程度の理由で内定を取り消すことはできません。取り消しには、客観的で合理的な理由が必要であり、その理由が本当に取り消しにあたるほどのものかが慎重に問われます。安易な取り消しは認められず、会社が責任を問われることにもなりかねません。

とりわけ、会社の経営上の理由による取り消しは、慎重に判断されます。経営が苦しくなったからといって、簡単に内定を取り消せるわけではありません。人員削減のための解雇が厳しく問われるのと同じように、経営上の理由による内定の取り消しも、その必要性や、ほかに取りうる手立てがなかったかが、厳しく問われることになります。

経営が苦しいという事情は、会社の側の事情です。その事情を理由に、何の落ち度もない相手の内定を取り消すには、よほどの必要性が求められます。ほかに削れるものはなかったのか、内定の取り消しを避ける手立てはなかったのか。そうした点を尽くしたうえでの、やむをえない取り消しでなければ、認められにくいのです。

また、取り消しが認められるかどうかは、個々の事情によって変わってきます。同じような理由に見えても、その具体的な中身や、会社がそれまでどう対応してきたかによって、判断は異なります。だからこそ、内定の取り消しを考える際には、その理由が本当に取り消しにあたるのかを、慎重に見きわめる必要があるのです。

この見きわめは、会社にとって、都合のよい方向に傾きがちです。取り消したいという思いがあると、その理由を、実際より重く見てしまうのです。しかし、その思い込みのまま取り消せば、後で認められず、痛い目を見ます。自社の都合を離れて、客観的に見きわめること。そのために、外の視点が役に立つのです。

そして、その見きわめは、自己流の判断では、誤りやすいものです。会社としては、取り消しもやむをえないと考えていても、法律の観点からは、認められないことも少なくありません。だからこそ、内定の取り消しを検討する際には、その可否を、専門家に確かめることが大切になるのです。

取り消せると思い込んで進めた末に、それが認められないと判明すれば、会社は、より苦しい立場に立たされます。そうならないためにも、取り消しを実行する前に、その可否を、専門家に確かめておくことが肝心です。この理由で本当に取り消せるのか。その確認を経ることが、取り返しのつかない失敗を防ぐことにつながるのです。

取り消しを検討する際の進め方

内定の取り消しが認められる場合が限られていることを踏まえたうえで、実際に取り消しを検討する際には、どう進めるべきなのでしょうか。ここでは、慎重に進めるための、基本的な考え方を整理しておきましょう。丁寧な進め方が、無用な争いを防ぎます。

  1. 内定を取り消したい理由を、具体的に、事実に基づいて整理する。
  2. その理由が、取り消しを正当とするに足るかを、慎重に見きわめる。
  3. 取り消し以外に、取りうる道がないかを検討する。
  4. やむをえず取り消す場合も、相手に誠実に説明し、対応する。
  5. これらの経緯を、記録として残しておく。

この流れのなかで、まず大切なのが、取り消したい理由を、具体的に整理することです。なんとなく不安だ、という漠然とした理由では、取り消しは認められません。何が、どのように問題なのかを、具体的な事実として押さえておく。この整理が、その取り消しが認められうるものかを判断する、土台になります。

理由を具体的に整理する作業は、実は、取り消しが妥当かを、自ら見つめ直す機会にもなります。いざ書き出してみると、取り消しの理由が、思ったほど確かなものではないと気づくこともあります。漠然とした不安を、具体的な事実に落とし込む。その過程で、取り消しの是非が、より冷静に見えてくることもあるのです。

次に欠かせないのが、取り消し以外に、取りうる道がないかを検討することです。とりわけ、経営上の理由による場合には、内定の取り消しに踏み切る前に、ほかに打つ手はないのかが問われます。取り消しを、真っ先の手段とするのではなく、ほかの道を尽くしたうえでの、やむをえない選択と位置づけることが大切です。

とりわけ経営上の理由による場合、内定の取り消しの前に、検討すべきことは少なくありません。ほかに削れる費用はないか、採用の時期をずらすなどの調整はできないか。そうした手立てを尽くしたうえで、なお取り消しがやむをえないのか。この順序を踏むこと自体が、取り消しの正当性を、支えることにもつながるのです。

そして、やむをえず取り消す場合であっても、相手に対して、誠実に対応することが重要です。なぜ取り消さざるをえないのかを、丁寧に説明し、可能な限りの配慮をする。事務的に、冷たく取り消しを告げるのではなく、相手の立場に配慮した対応を心がける。その誠実さが、無用な争いを避けることにも、つながっていくのです。

取り消しを告げる際の対応の仕方は、その後、争いになるかどうかを、大きく左右します。誠実に事情を説明し、相手の心情に配慮すれば、たとえ取り消しに至っても、相手が矛を収めることもあります。逆に、一方的に、冷たく告げれば、相手の怒りを買い、争いを招きます。伝え方ひとつで、結果は変わるのです。

内定をめぐるトラブルを防ぐために

内定をめぐるトラブルは、その場の対応だけでなく、採用の段階からの、慎重な進め方によって、大きく減らすことができます。ここでは、トラブルを防ぐために心がけたいことを見ていきましょう。日ごろの備えが、無用な争いを避けることにつながります。

まず、最も大切なのが、内定を出すこと自体を、慎重に判断することです。いったん内定を出せば、それを取り消すのは容易ではありません。だからこそ、内定を出す前の段階で、その人を本当に採用してよいかを、しっかりと見きわめておく。内定を出す判断を慎重にすることが、後で取り消しに悩む事態を防ぐ、最も確実な方法なのです。

採用を焦るあまり、十分に見きわめないまま内定を出すと、後で悩むことになります。この人でよいのか、迷いが残るなら、内定を出す前に、その迷いを解消しておくべきです。いったん出した内定は、簡単には引っ込められません。だからこそ、出す前の見きわめに、時間と手間をかけることが、結局は近道になるのです。

次に、採用の条件や、内定にあたっての取り決めを、明確にしておくことも大切です。どのような条件で採用するのか、内定がどのような場合に取り消されうるのかを、あらかじめはっきりさせておく。これがあいまいだと、後で認識の食い違いから、トラブルが生じかねません。取り決めを明確にしておくことが、双方を守ることにつながります。

さらに、内定を出した後は、相手との連絡を、丁寧に保つことも大切です。内定を出したまま、相手を放置すれば、相手は不安を抱きます。働き始めるまでの間、必要な連絡を丁寧に行い、相手の不安を和らげる。そうした丁寧な対応が、相手との信頼を築き、いざというときの、無用な対立を防ぐことにもつながるのです。

内定から入社までの間、相手は、期待とともに、少なからぬ不安も抱えています。会社からの連絡が途絶えれば、その不安は膨らみます。折にふれて連絡を取り、疑問に答え、入社への準備を一緒に進める。そうした丁寧な関わりが、相手の会社への信頼を育て、双方にとって、良い船出につながっていくのです。

そして、内定の取り消しを考えざるをえない事態になったら、事を起こす前に、専門家に相談することです。この理由で取り消せるのか、この進め方で問題はないか。内定の取り消しは、一歩間違えば大きな争いを招きます。だからこそ、自己流で進めるのではなく、あらかじめ専門家の助言を得ておくことが、安全な進め方につながるのです。

安易な取り消しがもたらすもの

内定を安易に取り消すと、会社にはどのような事態がもたらされるのでしょうか。ここを知っておくことは、慎重な対応を促すうえで、とても大切です。会社の都合で気軽に取り消したつもりが、思わぬ重い結果を招くことがあります。

まず、その取り消しが認められなければ、会社は、責任を問われることになります。正当な理由のない取り消しは、相手に対する、約束の一方的な破棄と見られます。その結果、会社は、取り消しによって相手が被った不利益について、責任を負うことにもなりかねません。安易な取り消しは、会社にとって、重い負担を招く行為なのです。

さらに、取り消された相手から、争いを起こされることもあります。納得のいかない取り消しを受けた相手が、その取り消しは不当だとして、争いに訴える。そうなれば、会社は、その対応に時間と労力を割かれることになります。気軽な取り消しが、長引く争いの引き金になることもあるのです。

加えて、内定の取り消しをめぐる対応のまずさは、会社の評判にも影響します。内定を平気で取り消す会社。そうした評価が広まれば、その後の採用にも、響きかねません。人を大切にしない会社だという印象は、会社にとって、大きな損失になります。目先の都合のために、会社の信用そのものを損なうことにもなりかねないのです。

とりわけ、働く環境や採用の評判が、思いのほか広く伝わる時代です。内定を軽んじる会社という評判が立てば、その後、良い人材を集めることは難しくなります。一人の内定の取り消しが、会社の採用力そのものを、長く損なうことにもなりかねません。目先の判断が、将来に大きな影を落としうることを、忘れてはならないのです。

そして、こうした事態は、いずれも、内定を軽く考えたことから生じます。内定を、まだ何も決まっていない段階だと軽く見て、安易に取り消せば、これらの問題を招きます。逆に、内定の重みを正しく理解し、慎重に対応すれば、多くのトラブルは、避けることができるのです。内定を軽く見ないことが、何より大切になります。

結局のところ、内定をめぐるトラブルの多くは、内定を軽く扱ったことに端を発します。まだ正式ではないから、という油断が、安易な取り消しを招き、争いへと発展させるのです。内定は、相手の人生を左右する、重い約束である。この一点を、採用にかかわるすべての場面で忘れないことが、無用なトラブルを避ける、根本の心得になります。

会社が取り組むべきことと専門家の活用

ここまで、内定がなぜ自由に取り消せないのか、どのような場合なら取り消せるのか、取り消しを検討する際の進め方、トラブルを防ぐための備え、そして安易な取り消しがもたらすものまで見てきました。あらためて整理すると、会社が心がけるべきことは、いくつかの柱にまとめられます。内定は自由に取り消せないと理解すること。取り消しには正当な理由が要ること。内定を出す段階から慎重に判断すること。そして、取り消しを検討する際は専門家に相談すること。これらが基本の姿勢になります。

内定の取り消しは、いったん成り立った約束を覆し、相手に大きな打撃を与える、重い行為です。それだけに、会社の側にも、慎重さと、正当な理由が求められます。会社の都合で気軽に取り消せば、その取り消しは認められず、会社は重い負担を負いかねません。内定の重みを正しく理解し、慎重に対応することが、何より大切なのです。

とはいえ、実際の場面では、判断に迷うことが多いでしょう。この理由で取り消せるのか、どう進めればよいのか、相手にどう対応すべきか。こうした判断を誤れば、取り消しが認められず、思わぬ争いを招きます。少しでも不安があれば、自己流で進めず、専門家の助けを借りることをおすすめします。

とりわけ、内定の取り消しを検討している場面では、企業の労務にくわしい弁護士に相談することが有効です。弁護士は、その取り消しが認められる見込みがあるか、どう進めるべきかを、法律の考え方に照らして具体的に助言してくれます。取り消しを告げる前に専門家の目を通しておくことが、後の大きな争いを防ぐことにつながります。

また、問題が起きてからだけでなく、採用の進め方そのものについて、平時から相談できる体制を整えておくことにも意味があります。採用にあたっての取り決めや、内定の出し方について、日ごろから助言を得られる関係を築いておけば、いざというときにも、慌てずに済みます。採用をめぐる問題を適切に扱いながら会社を運営する。そのために、信頼できる専門家とつながっておくことが、大きな支えになるのです。

内定の取り消しは、会社にとっても、相手にとっても、望ましくない事態です。しかし、経営の状況によっては、避けられない場面もあります。そのとき、内定の重みを正しく理解し、慎重に、誠実に対応できるかどうかが、会社の行方を左右します。この記事が、内定をめぐる判断の一助となれば幸いです。

内定取消に関するよくある質問

会社の都合で、内定を自由に取り消せますか

できません。内定を出した段階で、会社と相手との間には、すでに一定の関係が成立していると考えられており、会社が一方的に自由に取り消すことはできないのです。内定を取り消すには、客観的で合理的な理由が必要です。会社の都合が変わった、なんとなく不安になった、という程度の理由では認められません。安易な取り消しは、その取り消しが認められず、会社が責任を問われることにもなりかねません。

どのような場合なら、内定を取り消せますか

取り消しには、それを正当とするだけの、客観的で合理的な理由が必要です。たとえば、相手の側に内定の前提を覆すような重大な事情が明らかになった場合や、会社の経営が著しく悪化して採用の維持がどうしても難しくなった場合などに、取り消しが問題となりえます。ただし、いずれの場合も、その事情が本当に取り消しにあたるほどのものかが慎重に問われ、認められるのは限られた場合に限られます。

内定を取り消すときは、どう進めればよいですか

まず、取り消したい理由を、なんとなくではなく、具体的な事実に基づいて整理します。そのうえで、その理由が取り消しを正当とするに足るかを慎重に見きわめ、取り消し以外に取りうる道がないかを検討します。やむをえず取り消す場合も、なぜ取り消さざるをえないのかを相手に誠実に説明し、可能な限りの配慮をすることが大切です。これらの経緯を記録に残しておくことも、後々のために役立ちます。

内定の取り消しは、誰に相談すればよいですか

この理由で取り消せるのか、どう進めればよいのかといった判断は難しいため、企業の労務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。会社としては取り消しもやむをえないと考えていても、法律の観点からは認められないことも少なくありません。弁護士は、その取り消しが認められる見込みがあるかを助言してくれます。告げてしまう前に一度専門家に確かめておくことが、後々の深刻な争いを避ける近道になるのです。

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