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団体交渉とは|労働組合と会社が話し合う場
ある日突然、労働組合から団体交渉を申し込まれた。そうした場面に直面すると、多くの経営者は戸惑うものです。何を求められているのか、応じなければならないのか、どう対応すればよいのか。分からないことばかりで、不安になるのも無理はありません。しかし、団体交渉は、正しく理解し、適切に対応すれば、決して恐れるべきものではありません。まずは、団体交渉とは何かを知ることから始めましょう。
団体交渉という言葉は知っていても、その中身や、会社としての向き合い方までは、はっきりつかめていない、という方も多いでしょう。突然申し込まれて慌てないためにも、その基本を押さえておくことが大切です。この記事では、団体交渉とは何かという基本から、順を追って見ていきます。落ち着いて対応するための土台を、ここで築いておきましょう。
団体交渉を、身構えるべき対決の場のように感じる方もいるかもしれません。しかし、その本質は、働く人の労働条件などについて、会社と話し合うための場です。話し合いである以上、会社が一方的に不利になるわけでも、要求をすべてのまされるわけでもありません。正しく理解して臨めば、過度に恐れる必要はないのです。まずは、その正体を知ることで、不安をやわらげておきましょう。
団体交渉とは、労働組合が、会社に対して、働く人の労働条件などについて話し合うことを求め、会社と交渉することをいいます。働く人が集まって組合をつくり、その組合を通じて、会社と対等な立場で話し合う。個々の従業員では言い出しにくいことも、組合というまとまりを通じてであれば、会社に伝え、話し合うことができます。団体交渉は、そうした話し合いの場なのです。
個々の従業員が一人で会社に意見を言うのは、心理的にも、力関係のうえでも、たやすいことではありません。言いたいことがあっても、立場を思えば言い出せない、ということもあるでしょう。そこで、働く人が組合というまとまりをつくり、対等な立場で会社と向き合えるようにする。団体交渉は、そうして働く人の声が会社に届くようにするための、大切な仕組みなのだといえます。
この仕組みがあることは、会社にとっても、必ずしも不都合なことばかりではありません。働く人の不満や要望が、団体交渉という形で、まとまって示されるからです。個々ばらばらに噴き出すよりも、一つの場で受け止められるほうが、会社としても向き合いやすい面があります。団体交渉を、労使が問題を整理して話し合うための場として、前向きにとらえることもできるのです。
ここで大切なのは、会社は、正当な理由なく団体交渉を拒むことはできない、という点です。労働組合から適法な団体交渉の申し入れがあったとき、会社は、これに誠実に応じる必要があります。面倒だから、気が進まないから、といった理由で、話し合いそのものを拒むことは許されません。この点を理解しておくことが、団体交渉への対応の出発点になります。応じるかどうかを会社が自由に選べるものではないのです。
この点が、団体交渉への対応を考えるうえでの、いちばんの土台です。会社には、正当な理由なく団体交渉を拒めないという枠があり、その中で誠実に話し合いに臨むことが求められます。ただし、これは要求をのめということではありません。話し合いには応じつつ、会社としての言い分は堂々と述べてよい。この「応じる義務はあるが、譲る義務はない」という理解が、落ち着いた対応の出発点になります。
この記事では、団体交渉を申し込まれたらまず知っておきたいこと、どんな事柄が話し合われるのか、どう進めればよいのか、そして会社が気をつけたいことは何かまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。いざ申し込まれたときに、落ち着いて対応できるよう、基本をしっかり理解しておきましょう。
団体交渉への対応でつまずく会社の多くは、その正体をよく知らないまま、驚きや不安から対応を誤ってしまいます。逆に、あらかじめ基本を押さえておけば、いざ申し込まれても、なすべきことを順に進められます。何を求められ、どう応じればよいのかが分かっていれば、動揺せずにすむのです。備えあれば憂いなし、という言葉のとおり、事前の理解が、いざというときの支えになります。
団体交渉を申し込まれたら、まず知っておきたいこと
労働組合から団体交渉を申し込まれたら、まず何を知っておくべきでしょうか。ここを押さえておくかどうかで、その後の対応が大きく変わってきます。最初に理解しておきたい、大切な点を見ていきましょう。慌てて対応を誤らないための、基本の心構えです。
最も大切なのは、会社には、誠実に交渉に応じる義務がある、ということです。労働組合から適法な申し入れがあれば、会社は、ただ形の上で応じればよいというのではなく、誠実に話し合いに臨む必要があります。相手の主張に耳を傾け、会社としての考えを示し、話し合いによる解決を目指して努力する。そうした誠実な姿勢が、会社には求められるのです。
誠実な姿勢とは、具体的には、相手の求めをきちんと聞き、それに対する会社の考えを、根拠とともに示すことです。ただ黙って聞き流したり、理由も示さずに拒んだりするのでは、誠実に応じたことにはなりません。話し合いが実を結ぶよう、会社の側からも、歩み寄れる点はないかを探る。そうした前向きな姿勢が、誠実さの中身を形づくるのです。
もっとも、歩み寄るといっても、譲れないところまで譲る必要はありません。会社として応じられないことは、その理由をきちんと示したうえで、応じられないと伝えてよいのです。大切なのは、応じられるか否かを、会社の一存で頭ごなしに決めるのではなく、話し合いのなかで、理をもって示していくことです。その過程を踏むことが、誠実な対応と評価されるのです。
ここで気をつけたいのは、誠実に応じる義務があるからといって、組合の要求をすべて受け入れなければならないわけではない、という点です。話し合いに誠実に臨むことと、要求をのむこととは、別のことです。会社としての言い分があれば、それを筋道立てて説明し、主張してよいのです。求められているのは、結論を譲ることではなく、話し合いに真摯に向き合う姿勢だと理解しておくとよいでしょう。
誠実に応じる、と聞くと、譲歩を強いられるように感じるかもしれませんが、そうではありません。求められているのは、あくまで話し合いへの向き合い方です。相手の言い分を頭から退けるのではなく、いったん受け止めたうえで、会社の考えを示す。そうした真摯なやりとりを重ねることこそが、誠実な対応です。結論として何をのむかは、その話し合いの中身次第なのです。
また、団体交渉を申し込まれたからといって、慌てて即座に返答したり、感情的に反応したりするのは避けたいところです。まずは、申し入れの内容を落ち着いて確かめ、何が求められているのかを正確に把握することが大切です。そのうえで、会社としてどう対応するかを、腰を据えて検討する。最初の受け止め方を誤らないことが、その後の交渉を円滑に進めるうえで重要になります。
突然の申し入れに動揺し、その場で拒んだり、感情的な言葉を返したりすれば、それが後々まで尾を引くことになりかねません。最初のひと言、最初の対応が、交渉全体の空気を決めてしまうことがあるのです。だからこそ、申し入れを受けても、まずはいったん受け止め、内容を確かめる。即答を避け、腰を据えて構える。その冷静さが、その後の展開を大きく左右します。
団体交渉で話し合われる主な事柄
団体交渉では、具体的にどのような事柄が話し合われるのでしょうか。何が交渉の対象になるのかを知っておくと、申し入れを受けたときに、その内容を理解しやすくなります。話し合われる主な事柄を、いくつか見ていきましょう。
団体交渉で話し合われる主な事柄として、たとえば次のようなものが挙げられます。いずれも、働く人にとって身近で、切実な問題です。
- 賃金など、働く人の待遇に関わる事柄。
- 労働時間や休日など、働き方に関わる事柄。
- 職場の環境や、安全に関わる事柄。
- 雇用のあり方や、従業員の身分に関わる事柄。
まず多いのが、賃金など、待遇に関わる事柄です。働く人にとって、賃金は生活に直結する重要な問題ですから、団体交渉でも中心的な議題になりやすいといえます。待遇をめぐる主張には、働く人の切実な思いが込められていることが少なくありません。会社としても、その背景にある思いを受け止めながら、話し合いに臨むことが大切です。
賃金をめぐる主張の背後には、しばしば、生活への不安や、働きに見合った処遇を求める切実な思いがあります。その思いを、単なる要求として片づけてしまうと、話し合いは平行線をたどりがちです。数字の裏にある思いにまで目を向け、なぜそう求めるのかを理解しようとする姿勢が、歩み寄りの糸口を生みます。相手を理解しようとすることが、解決への第一歩なのです。
次に、労働時間や休日といった、働き方に関わる事柄も、よく話し合われます。どれくらい働き、どれだけ休めるのかは、働く人の生活の質に深く関わります。こうした働き方をめぐる問題も、団体交渉の重要な議題になります。会社の実情と、働く人の求めとの間で、どう折り合いをつけていくかが問われる場面です。
会社には会社の事情があり、働く人には働く人の求めがあります。その両方が、どちらももっともである場合も少なくありません。だからこそ、一方が他方をねじ伏せるのではなく、双方が納得できる着地点を、話し合いのなかで探ることが大切になります。折り合いをつけるとは、勝ち負けを決めることではなく、ともに歩める道を見つけることなのです。
そのほかにも、職場の環境や、雇用のあり方など、働く人の労働条件に関わるさまざまな事柄が、団体交渉の対象になりえます。何が対象になるかは、その時々の状況によって変わってきます。申し入れを受けたら、その事柄が団体交渉で話し合うべきものかどうかも含めて、慎重に見きわめる必要があります。判断に迷うときは、専門家に確かめるのが確実です。
何が団体交渉で話し合うべき事柄にあたるのかの見きわめは、必ずしも簡単ではありません。申し入れられた事柄が、そもそも交渉の対象になるものなのかどうかで、対応も変わってきます。ここを誤ると、応じるべきものを拒んでしまったり、逆に、応じる必要のないものにまで振り回されたりしかねません。判断に迷う場面では、専門家の見立てを得ておくことが、確かな対応につながります。
団体交渉の進め方
団体交渉は、どのように進めていけばよいのでしょうか。行き当たりばったりで臨むのではなく、段取りを整えて進めることが大切です。進め方の基本を見ていきましょう。あらかじめ流れをつかんでおくことが、落ち着いた対応につながります。
団体交渉は、おおむね次のような流れで進んでいきます。一つずつ、丁寧に対応していくことが大切です。
- 申し入れの内容を確かめ、何が求められているかを把握する。
- 交渉に向けて、会社としての考えや資料を準備する。
- 実際に交渉の場で、誠実に話し合いを行う。
- 話し合いの結果を踏まえ、必要に応じて取り決めを整理する。
まず行うべきは、申し入れの内容の把握です。組合が何を求めているのか、どんな事柄について話し合いたいのかを、正確に確かめます。ここがあいまいなまま交渉に臨むと、話がかみ合わず、混乱を招きかねません。求められていることを正しくつかむことが、交渉の第一歩になります。
次に、交渉に向けた準備です。組合の求めに対して、会社としてどう考えるのか、その根拠は何かを整理します。関連する資料をそろえ、会社としての立場を筋道立てて説明できるよう、備えておきます。準備を尽くして臨むことが、実のある話し合いにつながります。行き当たりばったりでは、誠実な交渉はできません。
準備が不十分なまま交渉に臨むと、その場で問われたことに答えられず、話し合いが空回りしてしまいます。会社の考えの根拠を示せなければ、組合の側も納得のしようがありません。逆に、しっかり準備して臨めば、会社の立場を筋道立てて説明でき、話し合いも実のあるものになります。周到な準備こそが、誠実な交渉を支える土台なのです。
そして、実際の交渉の場では、誠実に話し合いに臨みます。組合の主張に耳を傾け、会社としての考えを示し、双方が納得できる解決を探ります。話し合いの結果、合意に至った事柄があれば、それを取り決めとして整理しておくことも大切です。こうした一連の流れを、誠実に、順を追って進めていくことが求められます。各段階を丁寧に踏むことが、円滑な交渉の鍵です。
交渉は、一度きりで決着するとはかぎりません。何度か話し合いを重ねるなかで、少しずつ歩み寄り、解決に近づいていくこともあります。焦って結論を急ぐより、必要な話し合いを尽くすことが大切です。合意に至った点は、後で認識の食い違いが生じないよう、きちんと形にして残しておく。そうした一つひとつの積み重ねが、確かな解決につながっていきます。
団体交渉で会社が気をつけたいこと
団体交渉に臨むにあたって、会社が気をつけるべきことがあります。対応を誤ると、かえって問題を大きくしたり、会社が不利な立場に立たされたりしかねません。気をつけたい点を見ていきましょう。適切な対応を知っておくことが、無用なトラブルを防ぎます。
まず避けなければならないのは、正当な理由なく団体交渉を拒むことです。面倒だから、応じたくないから、といった理由で話し合いそのものを拒否したり、形だけ応じて実質的な話し合いを避けたりすることは、許されません。こうした対応は、会社が法律上の問題を問われる事態を招きます。誠実に応じる義務があることを、常に念頭に置いておく必要があります。
ここで難しいのは、どこまでが「正当な理由」による拒否で、どこからが許されない拒否になるのか、という線引きです。その判断は、状況によって微妙に変わり、当事者には見きわめにくいこともあります。安易に拒んだつもりが、実は許されない対応だった、ということにもなりかねません。だからこそ、拒むかどうかの判断は慎重に行い、迷えば専門家に確かめることが大切なのです。
次に、労働組合の活動を理由に、従業員を不利益に取り扱うことも、してはなりません。組合に加入したことや、組合の活動をしたことを理由に、その従業員を不当に扱うことは許されません。こうした対応は、法律上の問題を招くだけでなく、労使の関係を決定的に悪化させます。組合の活動そのものを敵視するような姿勢は、慎まなければならないのです。
労働組合の活動は、法律によって守られています。組合をつくり、活動し、会社と交渉することは、働く人に認められた正当な営みです。それを敵視し、妨げようとする対応は、法律に反するだけでなく、労使の信頼を根本から損ないます。組合を、対立すべき相手としてではなく、話し合いの相手として受け止める。その姿勢の転換が、健全な労使関係の土台になります。
また、感情的な対応も避けるべきです。団体交渉では、時に会社にとって厳しい主張がなされることもあります。しかし、それに対して感情的に反応したり、高圧的な態度をとったりすれば、話し合いは成り立ちません。相手の主張に冷静に耳を傾け、会社としての考えを落ち着いて示す。そうした冷静な姿勢が、こじれを防ぎ、話し合いによる解決への道を開きます。
厳しい主張を突きつけられると、つい身構え、感情的に応じたくなるものです。しかし、そこで冷静さを失えば、話し合いは対立へと転じてしまいます。相手がどう出ようと、こちらは落ち着いて、理をもって応じる。その姿勢を貫くことが、事態を悪化させず、解決への道筋を保つことにつながります。冷静さは、団体交渉に臨む会社の、何よりの武器なのです。
円滑な団体交渉のために
団体交渉を円滑に進め、話し合いによる解決を目指すには、どうすればよいのでしょうか。身構えて対立するのではなく、建設的に話し合う姿勢が大切です。円滑な交渉のための心がけを見ていきましょう。日ごろの向き合い方が、いざというときに生きてきます。
まず大切なのは、団体交渉を、対立の場ではなく、問題を解決するための話し合いの場としてとらえることです。組合の求めを、会社への敵意と受け取ってしまうと、対応もかたくなになりがちです。しかし、その多くは、働く人が抱える問題を解決したいという思いから出ています。その思いを受け止め、ともに解決を探る姿勢で臨めば、交渉は建設的なものになりやすいのです。
会社と組合は、立場こそ違えど、その職場をよりよくしたいという点では、思いを共にできる部分もあるはずです。働く人が安心して力を発揮できる職場は、会社にとっても望ましいものだからです。対立点ばかりに目を向けるのではなく、こうした共通の土台に目を向けることで、話し合いの糸口が見えてくることもあります。敵味方の構図を超えた視点が、解決を近づけます。
もちろん、話し合っても、意見が最後まで折り合わないこともあります。それでも、誠実に話し合いを尽くしたという事実そのものが、労使の間に一定の信頼を残します。結論に至らずとも、真摯に向き合った経験は、次の話し合いへの土台になります。交渉の値打ちは、必ずしも合意の有無だけで測られるものではないのです。
次に、会社としての考えを、筋道立てて、丁寧に説明することです。会社にも、応じられることと、応じられないことがあります。応じられないのであれば、なぜそうなのかを、感情ではなく、理由をもって説明する。そうした誠実な説明があれば、たとえ主張が対立しても、組合の側も、会社の立場を理解しやすくなります。説明を尽くす姿勢が、信頼を保ちながら交渉を進める土台になります。
会社の言い分をただ押し通そうとするのではなく、なぜそう考えるのかを、相手に分かるように説明する。その手間を惜しまないことが、信頼を保つ鍵です。理由の分からない拒否は不信を招きますが、筋の通った説明は、たとえ結論に不満が残っても、相手の理解を得やすくします。丁寧な説明は、対立を和らげ、話し合いを前に進める力を持つのです。
また、日ごろから、働く人との関係を大切にしておくことも欠かせません。ふだんから、働く人の声に耳を傾け、風通しのよい関係を築いていれば、そもそも深刻な対立に至りにくくなります。団体交渉への備えは、いざ申し込まれてからだけでなく、日ごろの労使関係のなかにあるのです。良好な関係の土台があれば、交渉も、より穏やかに進められます。
ふだんから、働く人の声に耳を貸さず、一方的な運営を続けていれば、不満は水面下でたまり、やがて団体交渉という形で噴き出すこともあります。逆に、日ごろから対話を大切にしていれば、問題は小さいうちに解きほぐされ、深刻な対立にまで至りにくくなります。団体交渉への最良の備えは、実は、日々の誠実な労使関係のなかにあるのだといえます。
会社が取り組むべきことと専門家の活用
ここまで、団体交渉の考え方と、対応の進め方、気をつけたいことを見てきました。最後に、会社としてどう取り組んでいけばよいか、そして専門家をどう活かせばよいかを整理しておきましょう。備えと冷静な対応が、会社を守ります。
まず心がけたいのは、団体交渉を、いたずらに恐れず、しかし軽んじもせず、適切に向き合うことです。正しく理解し、誠実に対応すれば、団体交渉は恐れるべきものではありません。一方で、対応を誤れば、思わぬ問題を招きます。恐れすぎず、侮らず、腰を据えて誠実に向き合う。その姿勢が、団体交渉への対応の基本になります。
恐れすぎれば、必要以上に身構え、かえってかたくなな対応をとってしまいます。逆に軽んじれば、対応がおろそかになり、思わぬ問題を招きます。そのどちらにも偏らず、団体交渉を、適切に向き合うべき一つの営みとして、平静に受け止める。その落ち着いた構えこそが、誤りのない対応の土台になるのです。過度な緊張も、油断も、団体交渉には禁物だといえます。
次に、団体交渉への対応は、専門的な判断を要することを踏まえ、無理に自社だけで抱え込まないことです。誠実な交渉とは何か、どこまでが正当な対応でどこからが問題になるのか。その見きわめは、簡単ではありません。とりわけ、団体交渉に慣れていない会社では、対応を誤りやすいものです。判断に迷う点は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
とりわけ、これまで団体交渉を経験したことのない会社にとっては、何が適切な対応なのかが分からず、手探りになりがちです。そうしたなかで自己流に進めれば、思わぬところで対応を誤りかねません。経験のある専門家の助言を得ながら進めれば、そうした落とし穴を避けられます。慣れない交渉だからこそ、専門家という道案内を得ることの意味は大きいのです。
また、いざ団体交渉を申し込まれたときには、慌てず、まずは落ち着いて状況を把握することが大切です。突然のことに動揺して、その場しのぎの対応をとれば、後で問題になりかねません。まずは申し入れの内容を確かめ、必要に応じて専門家の助言を得ながら、腰を据えて対応する。落ち着いた対応が、こじれを防ぐ何よりの備えになります。
団体交渉は、その初動が肝心です。申し入れを受けた最初の段階で、落ち着いて内容を確かめ、方針を定めておけば、その後の交渉も見通しを持って進められます。逆に、初動で慌てて対応を誤ると、その修復に多くの労力を要することになります。だからこそ、いざ申し込まれたときこそ、ひと呼吸おいて、腰を据えて対応を組み立てることが大切なのです。
団体交渉への対応や、労働組合との向き合い方に不安があるときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。専門家の力を借りれば、誠実な交渉のあり方を踏まえた対応ができますし、会社が不利な立場に立つことも避けられます。日ごろから相談できる関係を築いておくと、団体交渉を申し込まれたときにも、落ち着いて対応できます。
団体交渉は、いつ申し込まれるか、事前には分かりません。だからこそ、いざ申し込まれてから慌てて相談先を探すのではなく、日ごろから会社の事情を分かってくれる専門家とつながっておくことに意味があります。ふだんから関係があれば、申し入れを受けた直後から、すぐに助言を得ながら対応を進められます。その備えが、いざというときの対応の質を大きく左右するのです。
団体交渉に関するよくある質問
団体交渉を申し込まれたら、応じなければなりませんか
労働組合から適法な団体交渉の申し入れがあったときは、会社は正当な理由なくこれを拒むことはできず、誠実に応じる必要があります。面倒だから、応じたくないからといった理由で、話し合いそのものを拒むことは許されません。ただし、応じる義務があることと、組合の要求をすべて受け入れることとは別です。まずは落ち着いて内容を確かめ、専門家に相談しながら対応するとよいでしょう。
誠実に応じるとは、組合の要求をのむということですか
いいえ、誠実に応じることと、要求をすべて受け入れることとは、別のことです。求められているのは、相手の主張に耳を傾け、会社としての考えを示し、話し合いによる解決を目指して努力する姿勢です。会社としての言い分があれば、それを筋道立てて説明し、主張してかまいません。大切なのは、結論を譲ることではなく、話し合いに真摯に向き合うことです。
団体交渉で、やってはいけないことはありますか
正当な理由もなく話し合いを拒否したり、形だけ応じて中身のある交渉を避けたりすれば、会社が法律上の責任を問われかねません。また、組合に加入したことや組合の活動をしたことを理由に、従業員を不利益に取り扱うことも許されません。感情的な対応や高圧的な態度も、事態をこじらせるため避けるべきです。冷静に、誠実に対応することが大切です。
団体交渉への対応で不安があるときは、どこに相談すればよいですか
団体交渉への対応の仕方や、労働組合との向き合い方で判断に迷うときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。対応を誤ると、法律上の問題や、労使関係の悪化を招きかねません。平時から相談できる体制を整えておけば、団体交渉を申し込まれたときにも、慌てず適切に対応を進めやすくなります。