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債権回収の方法|未払い・売掛金を回収する手順と手段

この記事で分かること

  • 債権回収は支払われるべきお金を正当な方法で回収する取り組みである
  • 時間がたつほど回収は難しくなり早めの対応が何より大切
  • 話し合いから書面請求そして法的手続きへと段階を踏む
  • 進め方は事実の整理と話し合いと書面と法的手続きの順
  • 取引を書面で残し記録をつけておくことが回収の備えになる
  • 行き過ぎた取り立ては避け冷静に正当な手順で進める
  • 回収に迷えば企業法務にくわしい弁護士に相談する

債権回収とは、取引などで生じた支払いを受ける権利にもとづき、支払われていないお金を回収することです。時間がたつほど回収は難しくなるため、早めの対応が何より大切です。話し合いから書面での請求、法的手続きへと段階を踏み、日ごろから取引を書面や記録に残しておくことが備えになります。行き過ぎた取り立ては避け、冷静に正当な手順で進めることが欠かせません。迷うときは専門家に相談すると安心です。

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債権回収とは|支払われるべきお金を回収すること

取引先に商品を納めた、あるいはサービスを提供した。それなのに、約束の期日を過ぎても、代金が支払われない。事業を営んでいれば、こうした場面に直面することは、決して珍しくありません。支払われるべきお金が支払われないのは、会社にとって大きな痛手です。その、支払われるべきお金を、きちんと回収するための取り組みが、債権回収です。

未払いを放っておけば、その分は、まるまる会社の損失になりかねません。一件は小さくても、積み重なれば、会社の経営に響くこともあります。だからこそ、支払われないお金を、正当な方法で確実に回収することは、会社を守るうえで欠かせない取り組みなのです。回収は、単なる事務ではなく、会社の財産を守る大切な仕事だといえます。

債権回収と聞くと、なんだか物々しく、難しそうに感じるかもしれません。しかし、その本質は、当然支払われるべきものを、正当な方法で回収する、というごくまっとうな取り組みです。まずは、債権回収とは何かという基本から、整理していきましょう。基本を押さえておくことが、いざというときに落ち着いて対応する土台になります。

未払いへの対応は、多くの経営者にとって、できれば避けたい、気の重い仕事でしょう。相手に催促するのは、心情的にもやりにくいものです。しかし、支払われるべきお金を求めるのは、後ろめたいことでも何でもありません。当然の権利にもとづく、正当な行いです。そう腹をくくって、毅然と、しかし冷静に対応することが、回収の第一歩になります。ためらいが、回収を遅らせてはなりません。

債権回収とは、取引などによって生じた、支払いを受ける権利にもとづいて、実際に支払いを受けることをいいます。商品を売れば代金を受け取る権利が生じ、サービスを提供すれば、その対価を受け取る権利が生じます。この、相手に支払いを求めることができる権利にもとづいて、支払われていないお金を回収していく。それが債権回収です。ごく当たり前のことのようですが、相手が支払わない場合には、その回収に手を尽くす必要が出てきます。

支払いを受ける権利があること自体と、実際にお金が手元に入ることとは、別のことだと意識しておく必要があります。権利があっても、相手が支払わなければ、お金は入ってきません。その隔たりを埋めるために、正当な手段を用いて回収に動く。それが債権回収の役割です。権利の上に眠っているだけでは、回収は進まないのです。

ここで大切なのは、債権回収には、いくつかの段階や方法がある、という点です。いきなり強い手段に訴えるのではなく、まずは話し合いによる支払いの求めから始め、それでも支払われなければ、より進んだ方法へと段階を踏んでいくのが基本です。状況に応じて、適切な方法を選んでいくことが、回収を成功させる鍵になります。やみくもに動くのではなく、順序立てて進めることが大切なのです。

ここで押さえておきたいのは、債権回収でものをいうのは、勢いや強さではなく、早さと段取りだという点です。支払いが滞ったとき、感情に任せて強く出れば回収できる、というものではありません。むしろ、滞りに気づいたら間を置かずに動き出し、状況に応じた手段を順序立てて選んでいく。その冷静さと段取りのよさが、回収の成否を大きく左右するのです。

この記事では、なぜ早めの対応が大切なのか、債権回収にはどんな手段があるのか、どう進めていけばよいのか、そして回収を成功させるために何を備えておけばよいのかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。未払いに直面したときに、適切に動けるよう、基本をしっかり理解しておきましょう。

未払いは、いざ自社に起きると、動揺しやすいものです。当てにしていたお金が入らなければ、こちらの資金繰りにも響きますし、相手への不信も募ります。しかし、そうしたときこそ、落ち着いて、なすべきことを順に行うことが大切です。あらかじめ基本を知っておけば、いざというときにも慌てず、的確に手を打てます。この記事が、その備えになれば幸いです。

なぜ早めの対応が大切なのか

債権回収において、何よりも大切なのが、早めに対応することです。支払いが滞ったとき、様子を見ているうちに、回収はどんどん難しくなっていきます。なぜ早めの対応が大切なのか、その理由を知っておくことが、適切な行動につながります。理由を見ていきましょう。

最も大きな理由は、時間がたつほど、回収が難しくなっていくからです。支払いが遅れている相手は、資金繰りに問題を抱えていることがあります。時間がたてば、その状況はさらに悪化しかねません。ほかにも支払いを求める人が現れれば、回収できる分はますます限られていきます。早く動くほど、まだ余力のあるうちに回収できる見込みが高まるのです。

また、支払いを求める権利には、一定の期間が過ぎると行使が難しくなる、という問題もあります。権利があるからといって、いつまでも請求できるわけではありません。長く放置していると、やがて権利を行使できなくなってしまうおそれがあります。こうした事態を避けるためにも、支払いが滞ったら、早めに対応を始めることが大切です。放っておくことに、よいことは一つもありません。

「もう少し待てば支払ってくれるだろう」と様子を見ているうちに、状況が悪くなっていく、というのは、未払いの場面でよくあることです。相手の資金繰りは、待っている間にもさらに苦しくなっているかもしれません。時間は、回収する側の味方をしてくれるとはかぎらないのです。待つという選択が、実は最も回収を遠ざけている、ということも少なくありません。

さらに、早めに、きちんと支払いを求める姿勢を示すことには、相手に対して、この会社は未払いを見過ごさない、という印象を与える効果もあります。逆に、対応が遅れたり、あいまいだったりすると、後回しにしても大丈夫だと思われ、支払いがさらに遅れかねません。早く、はっきりと支払いを求めることが、相手の対応を促すうえでも大切なのです。最初の対応が、その後の展開を左右します。

複数の相手に支払いを滞らせている場合、相手は、どこから先に支払うかを、対応の様子を見ながら決めていることがあります。きちんと支払いを求めてくる相手を先に、あいまいな相手は後回しに、という具合です。だとすれば、早めにはっきりと支払いを求めることは、支払いの順番で後回しにされないための、実際的な意味も持ちます。黙って待つことが、必ずしも得策とはかぎらないのです。

債権回収の主な手段

債権回収には、いくつかの手段があります。どんな手段があるのかを知っておくと、状況に応じて適切なものを選べます。段階の浅いものから、進んだものまで、主な手段を順に見ていきましょう。それぞれの位置づけを理解しておくことが大切です。

債権回収の手段は、段階に応じて、おおむね次のように整理できます。状況に応じて、これらを使い分けていくことになります。

  • まずは、相手との話し合いによって、支払いを求める。
  • 話し合いで進まなければ、書面によって正式に支払いを求める。
  • それでも支払われなければ、法的な手続きを検討する。
  • 状況によっては、相手の財産に対する手続きも視野に入れる。

最初の段階は、相手との話し合いです。まずは、相手に連絡を取り、支払いを求めます。単なる行き違いや、うっかりした遅れであれば、この段階で支払われることも少なくありません。いきなり事を構えるのではなく、まずは話し合いで解決を図るのが、関係を損なわずに回収する近道でもあります。多くの場合、ここが出発点になります。

話し合いから始めることには、相手との関係を保ちやすいという利点もあります。取引先とは、この先も付き合いが続くかもしれません。いきなり事を構えれば、たとえお金は回収できても、関係は壊れてしまいます。まずは穏やかに支払いを求め、相手に応じる余地を残す。そうした進め方が、回収と関係維持の両立につながることもあるのです。もっとも、相手に支払う意思が見えないときは、次の段階に進む判断も必要になります。

話し合いで進まない場合には、書面によって、あらためて正式に支払いを求めることになります。書面で請求することには、支払いを求めた事実を形に残すという意味もあります。口頭でのやりとりだけでは、後で言った言わないの問題になりかねません。書面による請求は、相手に本気度を伝えるとともに、後の手続きに向けた備えにもなります。

書面で正式に請求することには、相手の姿勢を確かめる意味もあります。話し合いには応じなかった相手が、正式な書面を受け取って、はじめて支払いに動くこともあります。逆に、書面を送ってもなお反応がなければ、相手に支払う意思が乏しいことが、はっきりします。その見きわめは、次にどう動くかを判断するうえでの、大切な手がかりになります。

相手の反応から意思を読み取ることは、回収の進め方を決めるうえで欠かせません。支払う意思はあるが事情で滞っているのか、それとも支払う気がそもそも乏しいのか。この見立てによって、取るべき手段は大きく変わります。前者なら話し合いでの解決を、後者ならより進んだ手段を、というように、相手の姿勢に応じて対応を選んでいくことが、無駄のない回収につながります。

それでも支払われない場合には、法的な手続きを検討することになります。法的な手続きにはいくつかの種類があり、債権の内容や金額、相手の状況などに応じて、適したものを選ぶ必要があります。どの手続きが適しているかの判断は、専門的な検討を要します。この段階に進むときには、専門家の力を借りるのが確実です。手続きの選択を誤ると、かえって遠回りになりかねません。

法的な手続きと一口にいっても、その中身はさまざまです。求める金額や、相手の対応、回収を急ぐ必要があるかどうかなど、いろいろな事情によって、適した手続きは変わってきます。ふさわしくない手続きを選べば、時間も費用も余計にかかったうえ、思うような結果が得られないこともあります。だからこそ、この段階では、専門家の見立てを得て進めることが賢明なのです。

手続きの選択は、いわば回収という道のりの、進路選びのようなものです。目的地は同じでも、どの道を選ぶかで、かかる時間も労力も変わってきます。土地勘のない道を自己流で進めば、迷って遠回りしかねません。その点、経験のある専門家の案内があれば、状況に合った最短の道を選べます。この段階での助言は、回収を効率よく進めるうえで、大きな意味を持つのです。

債権回収の進め方

債権回収は、段階を追って進めていくことが大切です。やみくもに動くのではなく、順序立てて進めることで、回収の見込みを高められます。進め方の基本を見ていきましょう。全体の流れをつかんでおくことが、落ち着いた対応につながります。

債権回収は、おおむね次のような流れで進めていくことになります。状況を見ながら、段階を踏んで進めます。

  1. まず、支払いの状況と、回収に関わる事実を整理する。
  2. 相手との話し合いによって、支払いを求める。
  3. 話し合いで進まなければ、書面によって正式に請求する。
  4. 書面でも支払われなければ、法的な手続きへ進む。

まず行うべきは、状況の整理です。誰に、いくらの支払いを求めるのか、その根拠となる事実は何か、関係する書類はそろっているか。こうしたことを、あらためて整理します。回収を進めるうえで、これらの事実や書類は土台になります。あいまいなまま動き出すのではなく、まずは足元を固めることが大切です。

状況の整理を怠って動き出すと、途中で「その主張の裏づけは」と問われたときに、答えに窮しかねません。誰に、いくらを、どういう根拠で求めるのか。この土台があいまいなままでは、話し合いでも、その先の手続きでも、足をすくわれます。急いで動きたい気持ちを抑えて、まず事実と書類を整えておく。この一手間が、その後の回収を確かなものにします。

次に、話し合いによる支払いの求めから始めます。相手に連絡を取り、支払いを求めます。この段階では、相手の事情にも耳を傾けつつ、支払いに向けた解決を探ります。相手にも支払う意思があるのに、事情があって滞っているだけであれば、話し合いのなかで、支払いの見通しが立つこともあります。

話し合いにあたっては、頭ごなしに責めるより、まず相手の状況を確かめることが役立ちます。なぜ支払いが滞っているのか、いつなら支払えるのか。事情が分かれば、無理のない形での解決を探れます。ときには、支払いの時期や方法について、双方が歩み寄ることで、着実な回収につながることもあります。話し合いは、対立の場ではなく、解決を探る場だととらえるとよいでしょう。

話し合いで解決しない場合には、書面による請求、そして法的な手続きへと、段階を進めていきます。段階が進むほど、専門的な判断が必要になり、対応の難しさも増していきます。どの段階でどう動くべきか、迷いが生じたときには、早めに専門家に相談することをおすすめします。段階を進める前に助言を得ておくことで、無駄なく回収を進めやすくなります。

どの段階で専門家に相談するかに、決まった正解はありません。ただ、早めに相談しておくほど、その後の見通しは立てやすくなります。まだ話し合いの段階でも、この先どう進めるべきかの道筋を専門家と描いておけば、迷わずに動けます。手詰まりになってから駆け込むより、早い段階で相談し、先を見据えて進めるほうが、結果として回収の近道になることが多いのです。

回収を成功させるための備え

債権回収を成功させるには、実は、未払いが起きてからの対応だけでなく、日ごろの備えが大きくものをいいます。あらかじめ備えておくことで、いざ回収が必要になったときに、有利に進められます。どんな備えが役立つのかを見ていきましょう。備えの有無が、回収の成否を分けることもあります。

まず大切なのは、取引の内容を、きちんと書面で残しておくことです。誰に、何を、いくらで、いつまでに支払ってもらう約束なのか。こうした取引の内容が書面で残っていれば、それが、支払いを求める根拠になります。逆に、口約束だけで取引を進めていると、いざ支払いを求めようとしたときに、その根拠を示せず、回収が難しくなりかねません。書面は、回収の土台になるのです。

口約束だけの取引が危ういのは、後になって、その約束の中身をめぐって食い違いが生じたときに、拠りどころがないからです。いくらの支払いを、いつまでにという約束だったのか。それを示すものがなければ、支払いを求めること自体が難しくなります。取引の内容を書面にしておくことは、面倒に思えても、いざというときに自社を守る、確かな備えなのです。

次に、取引に関わるやりとりや、支払いの状況を、記録として残しておくことも役立ちます。いつ商品を納め、いつ支払いを求め、いくら支払われたのか。こうした経緯が記録されていれば、後で支払いの状況を正確に把握でき、回収を進めるうえでの手がかりになります。日ごろから、取引の記録をきちんと残す習慣を持っておくことが、いざというときに生きてきます。

記録は、いざ回収が必要になったときにはじめて、そのありがたみが分かります。ふだんは手間に感じる記録づけも、いざというときには、支払いを求める確かな裏づけになります。逆に、記録がなければ、記憶だけを頼りに事実を組み立てなければならず、心もとない思いをすることになります。地道な記録の積み重ねが、いざというときの心強い味方になるのです。

また、法的な手続きに進む場合には、費用の見通しを立てておくことも大切です。手続きには、相応の費用や手間がかかります。回収できる見込みと、それにかかる費用や手間とを見比べて、どこまで手を尽くすかを判断する必要があります。こうした見通しを立てるうえでも、専門家に相談し、費用の見込みも含めて助言を受けておくと、判断がしやすくなります。

回収に手を尽くすかどうかは、単に権利があるかどうかだけでなく、費用対効果の面からも考える必要があります。回収できる見込みが立たないのに、多くの費用や手間をかけるのは、必ずしも得策とはいえません。かける労力に見合う回収が見込めるのかを、冷静に見極める。そうした判断を助けるためにも、専門家から、見通しについての率直な助言を得ておくことが役立ちます。

ときには、回収に固執するより、早めに損失として整理し、次に目を向けたほうがよい場合もあります。どこまで手を尽くし、どこで見切りをつけるか。その判断は、経営そのものに関わる、難しい問題です。感情だけで突き進むのでも、簡単にあきらめるのでもなく、冷静に損得を見極める。その判断のよりどころとしても、専門家の客観的な見立ては役立ちます。

債権回収でやってはいけないこと

支払われないお金を回収したいという思いが強いあまり、行き過ぎた行動に出てしまうことがあります。しかし、回収の方法を誤ると、かえって会社が不利な立場に立たされることになりかねません。やってはいけないことを知っておくことが、適切な回収につながります。注意すべき点を見ていきましょう。

まず避けなければならないのは、法に反するような、行き過ぎた取り立てです。相手が支払わないからといって、脅すような言動をとったり、常識を超えた方法で取り立てたりすることは、許されません。たとえ、支払いを求める正当な権利があったとしても、その求め方が行き過ぎれば、今度は会社の側が問題を問われることになります。回収は、あくまで正当な方法によらなければならないのです。

注意
支払いを求める正当な権利があっても、取り立ての方法が行き過ぎれば、かえって会社の側が責任を問われるおそれがあります。相手を脅すような言動や、常識を超えた方法による取り立ては避けなければなりません。回収を急ぐあまり、正当な範囲を越えてしまわないよう、対応には十分な注意が必要です。

次に、感情に任せて対応することも避けるべきです。支払われない状況が続くと、つい相手への怒りから、冷静さを欠いた対応をとってしまいがちです。しかし、感情的になっては、適切な判断ができません。回収は、あくまで冷静に、正当な手順に沿って進めることが大切です。腹立たしい気持ちは分かりますが、そこをぐっとこらえて、落ち着いて対応することが、結局は回収への近道になります。

感情的な対応は、回収を遠ざけるだけでなく、思わぬところで自社の足かせにもなりかねません。怒りに任せて放った言葉が、後で行き過ぎた取り立てと受け取られれば、立場が逆転してしまうこともあります。相手がどうであれ、自分は冷静さと正当さを保つ。それが、結局は自社を守り、回収を確かにする最善の道なのだと、心にとめておきたいところです。

また、自己流の判断で、無理に事を進めることも危ういといえます。どこまでが正当な回収で、どこからが行き過ぎになるのか。その線引きは、必ずしもはっきりしているわけではありません。よかれと思ってとった行動が、実は問題のある方法だった、ということもありえます。回収の方法に迷ったときは、自己判断で突き進む前に、専門家に相談することをおすすめします。

正当な回収と行き過ぎた取り立ての境目は、当事者には見えにくいものです。相手が悪いのだから何をしてもよい、という気持ちになりがちですが、それは危うい思い込みです。どこまでが許される範囲かは、専門的な知見がなければ判断が難しい場面もあります。迷ったら立ち止まり、専門家に確かめる。その慎重さが、回収を正当な範囲にとどめ、自社を守ることにつながります。

会社が取り組むべきことと専門家の活用

ここまで、債権回収の考え方と、手段や進め方、備え、そして避けるべきことを見てきました。最後に、会社としてどう取り組んでいけばよいか、そして専門家をどう活かせばよいかを整理しておきましょう。日ごろの取り組みと、適切な備えが、会社を守ります。

まず心がけたいのは、未払いに対して、早めに、きちんと対応することです。支払いが滞ったら、様子を見て放置するのではなく、速やかに支払いを求める。この基本を徹底するだけでも、回収の見込みは大きく変わります。対応が遅れれば遅れるほど、回収は難しくなります。早めの対応を習慣づけることが、何よりの備えになります。

そのためには、支払いの状況を、日ごろから把握しておく仕組みが役立ちます。どの取引先から、いつ、いくらの支払いを受ける予定かを整理し、遅れがあればすぐ気づけるようにしておく。そうすれば、滞りを見逃さず、早い段階で手を打てます。未払いへの早い対応は、それに気づく仕組みがあってこそ可能になります。回収の第一歩は、支払いの状況を見える形にしておくことから始まるのです。

支払いの状況が見えていなければ、そもそも、どの取引先の支払いが遅れているのかにすら、気づけません。気づかぬうちに未払いが積み重なり、大きくなってから発覚する、ということにもなりかねません。日々の支払いの状況を把握し、遅れをいち早く察知できる態勢を整えておく。それが、早めの対応を可能にし、ひいては確かな回収を支える土台になるのです。

次に、債権回収は、段階が進むほど専門的な判断を要することを踏まえ、無理に自社だけで抱え込まないことです。とりわけ、法的な手続きに進む場面や、回収の方法に迷う場面では、専門家の力が役立ちます。あいまいなまま進めて、対応を誤れば、かえって回収が遠のいたり、会社が問題を問われたりしかねません。判断に迷う点は、専門家に確かめながら進めるのが確実です。

専門家に相談することは、単に手続きを代わってもらうためだけのものではありません。今の状況で、どこまで回収が見込めるのか、どの手段が現実的なのかといった、全体の見通しを得るうえでも役立ちます。自社だけで抱えていると、つい一つの方法に固執しがちですが、専門家の目が入ることで、より広い選択肢のなかから、最善の道を選べるようになります。

また、日ごろから、取引の内容や経緯をきちんと残しておくことも欠かせません。こうした備えは、いざ回収が必要になったときに、大きな力を発揮します。回収は、その場の対応だけで決まるものではなく、日ごろの積み重ねに支えられているのです。ふだんから、取引をきちんと記録に残す習慣を持っておくことが、いざというときの安心につながります。

結局のところ、債権回収を有利に進められるかどうかは、未払いが起きてからの頑張りだけでなく、ふだんの積み重ねに大きく左右されます。取引を書面で残す、記録をつける、支払いの状況を把握しておく。こうした地道な習慣が、いざというときに、確かな支えとなって返ってきます。回収の備えは、平時のうちに、静かに進めておくものなのです。

債権回収の進め方や、法的な手続きの選択、いざというときの対応に不安があるときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。専門家の力を借りれば、状況に応じた適切な手段を選べますし、行き過ぎた取り立てによって会社が不利な立場に立つことも避けられます。日ごろから相談できる関係を築いておくと、未払いをめぐる問題にも落ち着いて対応できます。

債権回収に関するよくある質問

取引先が支払ってくれないとき、まず何をすればよいですか

まずは、支払いの状況と、回収に関わる事実を整理したうえで、相手との話し合いによって支払いを求めることから始めます。単なる行き違いや遅れであれば、この段階で支払われることも少なくありません。それでも進まなければ、書面での請求、法的な手続きへと段階を進めます。大切なのは、放置せず早めに対応することです。迷うときは専門家に相談すると安心です。

債権回収は、なぜ早めに対応したほうがよいのですか

時間がたつほど、相手の資金繰りが悪化したり、ほかに支払いを求める人が現れたりして、回収が難しくなっていくからです。また、支払いを求める権利は、一定の期間が過ぎると行使が難しくなることもあります。早めに、きちんと支払いを求める姿勢を示すことは、相手の対応を促すうえでも大切です。支払いが滞ったら、様子を見ずに早めに動くことをおすすめします。

相手が支払わないので、強く取り立てても問題ありませんか

いくら支払われるべきお金であっても、強引な取り立ては認められません。相手を脅すような言動や、社会の常識を外れたやり方で取り立てれば、今度は自社が責任を問われる側に回りかねません。回収はあくまで正当な手順によるべきで、怒りに流されず、落ち着いて進めることが欠かせません。どこまでが許される範囲か迷うときは、行動を起こす前に専門家へ相談すると安心です。

債権回収で不安があるときは、どこに相談すればよいですか

回収の進め方や、法的な手続きの選択、いざというときの対応で判断に迷うときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。専門家の力を借りれば、状況に応じた適切な手段を選べ、行き過ぎた対応による思わぬ問題も避けられます。平時から相談できる体制を整えておけば、未払いが生じたときにも、慌てず適切に対応を進めやすくなります。

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