成年後見人とは
成年後見人とは、認知症や知的障害などによって判断能力が十分でなくなった人に代わって、財産の管理や生活にかかわる手続きを行う人のことです。相続の場面では、相続人の中に判断能力が低下した人がいるとき、その人を支える立場として成年後見人が登場します。本人が自分一人では適切に判断できない財産上の行為を、本人の利益を守りながら担うのが、その基本的な役割です。
判断能力が十分でない状態になると、本人は自分の財産を守ったり、自分にとって不利な契約を見抜いたりすることが難しくなります。そのままでは、本人が思わぬ不利益を被るおそれがあります。そこで、本人に代わって、あるいは本人を支えながら、本人の利益を守る人が必要になります。その役割を担うのが成年後見人です。相続をきっかけにこの言葉を初めて知る人も少なくありませんが、相続の手続きを正しく進めるうえで欠かせない存在です。
成年後見人が必要になる場面
成年後見人が必要になるのは、本人の判断能力が低下し、自分一人では財産の管理や重要な契約などを適切に行えない状態になったときです。たとえば、認知症が進んで預貯金の管理や不動産の手続きが難しくなった場合などが典型です。こうした状態のまま放置すると、本人が不利益を被ったり、必要な手続きが進められなくなったりするおそれがあります。
相続との関係では、判断能力が十分でない相続人がいると、遺産分割の話し合いを本人の意思にもとづいて進めることができません。そこで、本人を支える成年後見人を立てたうえで、手続きを進めていくことになります。本人を抜きにして勝手に話を進めることは認められないため、誰が本人を支えるのかをはっきりさせることが出発点になります。
成年後見制度の中での位置づけ
成年後見人は、判断能力が十分でない人を支えるための仕組みである成年後見制度のもとで選ばれます。この制度には、本人の判断能力の程度に応じていくつかの段階があり、成年後見人はそのうち判断能力が特に低下した人を全面的に支える立場にあたります。判断能力がある程度残っている場合には、保佐人や補助人といった、より限られた範囲で支援する立場の人が付くこともあります。制度全体の仕組みについては、別の記事でくわしく解説しています。
つまり、成年後見人という言葉は、判断能力が大きく低下した人を支える立場を指して使われます。判断能力がどの程度残っているかによって、本人に付く支援者の立場や、その人が持つ権限の範囲は変わってきます。本人がほとんど自分で判断できない状態であれば、広い範囲で本人を支える成年後見人が、ある程度は自分で判断できる状態であれば、必要な部分だけを支える立場の人が選ばれる、というイメージです。相続の場面では、本人がどの段階にあるのかによって、手続きの進め方も変わってくるため、まずは本人の状態を正しく把握することが出発点になります。
成年後見人の役割
成年後見人は、本人に代わって幅広い事柄を担います。ただし、何でも自由にできるわけではなく、あくまで本人の利益を守るために職務を果たす立場です。ここでは、代表的な役割を見ていきましょう。どの役割にも共通しているのは、本人の利益を第一に考えるという姿勢です。
財産の管理
成年後見人の中心的な役割が、本人の財産を適切に管理することです。預貯金の出し入れや、本人の生活に必要な支払い、財産の維持などを、本人に代わって行います。本人の財産を本人のために使い、減らさないように管理することが基本です。私的に流用するようなことは固く禁じられており、職務に反すれば責任を問われます。
財産の管理といっても、単にお金を保管しておけばよいというものではありません。本人が日々の生活を送るうえで必要な支出を適切に行い、同時に本人の財産が不当に減らないように目を配ることが求められます。たとえば、本人名義の預貯金から生活費や医療・介護にかかる費用を支払う一方で、必要のない支出や、本人の利益に反する使い方をしないように管理します。本人のためになるかどうかが、すべての判断の基準になります。
また、成年後見人は本人の財産の状況をきちんと把握し、記録しておく必要があります。どのような財産があり、どのように使われたのかを明らかにできるようにしておくことで、後から職務の適切さを確認できるようにするためです。こうした記録は、家庭裁判所への報告の基礎にもなります。財産の管理は、本人の暮らしを支える土台であると同時に、成年後見人としての職務の中核を成すものだといえます。
重要な財産の処分
本人が所有する不動産など、重要な財産を処分する場面では、特に慎重な扱いが求められます。こうした行為は本人の利益に大きく影響するため、場合によっては家庭裁判所の関与が必要になります。成年後見人の判断だけで自由に進められるわけではなく、本人にとって本当に必要かどうかが問われます。
とりわけ、本人が長く暮らしてきた住まいのように、本人の生活の基盤となる財産については、より慎重な判断が求められます。安易に処分してしまうと、本人の暮らしそのものに影響が及ぶおそれがあるためです。相続の手続きの中で本人名義の財産を動かす必要が生じた場合でも、本人の利益を損なわないかどうかを丁寧に確認しながら進めることになります。
遺産分割協議での代理
本人が相続人になっている場合、成年後見人は本人に代わって遺産分割の話し合いに加わります。本人の意思を反映できない以上、本人の利益が守られるように協議に臨むことが求められます。ここで注意したいのが、成年後見人自身も同じ相続の相続人である場合です。その場合は利益が対立するため、本人のために別途特別代理人を立てる必要が出てきます。
遺産分割の話し合いでは、本人がどれだけの財産を受け取るかが決まります。判断能力が十分でない本人に代わって協議に加わる成年後見人は、本人が受け取るべき利益を安易に手放さないよう、慎重に対応する必要があります。ほかの相続人から、本人の取り分を少なくするような提案がなされたとしても、それが本人の利益にかなうかどうかを見極めることが求められます。本人が声を上げられない分、成年後見人がその利益を代弁する立場にあるのです。
身上への配慮
成年後見人の役割は、財産の管理だけではありません。本人がどのような環境で暮らし、どのような医療や介護を受けるかといった、生活にかかわる事柄に配慮することも求められます。実際の介護そのものを行うわけではありませんが、本人が適切な支援を受けられるよう、必要な契約や手続きを整える役割を担います。
たとえば、本人が介護サービスを利用するための契約を結んだり、本人にふさわしい住まいや療養の環境を整えたりすることが、これにあたります。財産を守ることと、本人が安心して暮らせるように支えることは、車の両輪のような関係にあります。成年後見人は、お金の面だけでなく、本人の生活全体を見渡しながら職務を果たすことが期待されているのです。
家庭裁判所への報告
成年後見人は、職務の状況を家庭裁判所に報告する立場にあります。本人の財産をどのように管理しているかなどを定期的に明らかにすることで、職務が適切に行われているかどうかが確認されます。この仕組みによって、本人の利益が守られ、不正が起きにくくなっています。報告の義務があることは、成年後見人を引き受けるうえで理解しておきたい点です。
報告の仕組みは、本人にとっての安心につながるものです。成年後見人が本人の財産を適切に扱っているかどうかを、家庭裁判所が継続的に見守る形になっているためです。仮に職務に問題があれば、確認の過程で気づかれることになります。一方、成年後見人を引き受ける側にとっては、定期的に職務の状況を報告する手間が生じます。こうした責任を伴う立場であることを理解したうえで、引き受けるかどうかを考えることが大切です。
成年後見人になれる人
では、成年後見人には誰がなれるのでしょうか。本人を支える重要な立場であるため、誰が選ばれるかは家庭裁判所が慎重に判断します。本人にとって最もふさわしい人は誰か、という観点から選任が行われます。
選ばれる人の例
成年後見人には、本人の親族が選ばれることもあれば、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。また、法人が成年後見人になる場合もあります。誰がふさわしいかは、本人の財産の状況や、家族の事情、本人と候補者との関係などをふまえて判断されます。次のような立場の人が候補として考えられます。
- 本人の配偶者や子などの親族
- 弁護士や司法書士などの専門職
- 福祉にかかわる法人など
- 状況に応じて複数の人が共同で担う場合
本人の財産が複雑であったり、親族間で意見の対立がありそうな場合などには、中立な立場の専門職が選ばれやすくなる傾向があります。一方で、本人の身近で生活を支えてきた親族が選ばれることも少なくありません。どちらがよいかは一概にはいえず、本人にとって最も利益にかなう人が選ばれることになります。
親族が成年後見人になる場合は、本人の暮らしぶりや希望をよく知っているという強みがあります。日ごろから本人を支えてきた人であれば、本人の立場に寄り添った対応が期待できます。他方で、財産の管理や法的な手続きに不慣れであれば、負担が大きく感じられることもあります。専門職が成年後見人になる場合は、こうした手続きに慣れている点が安心材料になりますが、本人や家族との距離感は親族とは異なります。それぞれに利点があるため、本人の状況に応じて、どのような人がふさわしいかを考えることが大切です。希望があれば、申立ての際に候補者を挙げることもできますが、最終的に誰を選ぶかは家庭裁判所が判断します。
なれない場合
一定の事情がある人は、成年後見人になることができません。たとえば、過去に後見人としての立場を不適切に扱ったことがある人や、本人と利益が対立する立場にある人などです。これは、本人の利益を確実に守るために設けられた仕組みです。候補に挙がった人がふさわしいかどうかは、家庭裁判所が確認したうえで判断します。
本人を支える立場である以上、本人の利益を損なうおそれのある人がその役割を担うのは適切ではありません。たとえば、本人と財産をめぐって争っている人が成年後見人になれば、本人の利益が守られない危険があります。だからこそ、候補者がふさわしいかどうかが慎重に確認されるのです。希望すれば誰でもなれるというものではなく、本人の利益という観点から選ばれる点を理解しておきましょう。
成年後見人選任の手続き
成年後見人は、家庭裁判所への申立てによって選ばれます。どのような流れで進むのか、その基本を押さえておきましょう。
手続きの流れ
おおまかな手続きの流れは、次のとおりです。本人の状況によって細かな点は変わりますが、全体像をつかんでおくと、見通しを立てやすくなります。実際の手続きでは、書類の準備や家庭裁判所での確認など、一つひとつの段階に一定の時間がかかります。相続には期限が定められた手続きもあるため、成年後見人の選任に時間がかかることを見込んで、早めに動き出すことが大切です。
- 本人の判断能力の状況を確認し、成年後見人を立てる必要があるかを検討します。
- 家庭裁判所に対し、成年後見人の選任を求める申立てを行います。
- 家庭裁判所が、本人の状況や候補者がふさわしいかを確認します。
- 必要に応じて、本人の判断能力について医師の判断を求める手続きがとられます。
- 家庭裁判所が、本人を支えるのにふさわしい人を成年後見人として選びます。
申立てができる人と申立先
成年後見人の選任を求める申立てができるのは、本人やその親族など、法律で定められた立場の人です。どの家庭裁判所に申し立てるかも、本人の住まいなどに応じて決まっています。誰が申立てをできるのか分からない場合は、早めに専門家に確認しておくと、手続きをスムーズに始められます。
申立てができる人が限られているのは、本人を支える重要な手続きであるからこそ、本人と一定の関係にある人が責任をもって始めることが想定されているためです。相続の場面では、ほかの相続人が、判断能力の十分でない相続人のために申立てを行うこともあります。誰が申立てをするのが適切かは、家族の事情によって変わります。手続きを始める前に、まず申立てができる立場にあるのは誰なのかを確認しておくと、迷わずに進められます。
必要なもの
申立てにあたっては、本人や関係者の身分関係を示す書類や、本人の状況を説明する資料などをそろえる必要があります。中でも、本人の判断能力の状態を示す医師の書類は重要な意味を持ちます。何をそろえればよいか分からない場合は、専門家の助けを借りると、準備が滞りにくくなります。
本人の判断能力がどの程度なのかは、成年後見人を立てるかどうか、またどの段階の支援が必要かを判断するうえで欠かせない情報です。そのため、医師による判断を示す書類が重視されます。場合によっては、より詳しく本人の状態を確認する手続きがとられることもあります。こうした確認を経ることで、本人の状況に見合った適切な支援につなげられるようになっています。書類の準備には手間がかかることもあるため、早めに取りかかっておくと、手続き全体がスムーズに進みます。
成年後見人にかかる費用の考え方
成年後見人を立てるにあたっては、いくつかの費用が生じます。具体的な金額は、利用する手続きや本人の財産の状況、誰が成年後見人になるかによって変わるため、ここでは費用の種類と考え方を整理しておきます。
申立てにかかる費用
家庭裁判所への申立てには、手続きのための費用がかかります。また、本人の判断能力を確認するための手続きが必要になる場合には、その分の負担が生じることもあります。これらは手続きを進めるうえで避けられない費用ですが、本人の財産から支払われることが一般的です。具体的にどの程度かは、本人の状況によって変わるため、あらかじめ専門家に確認しておくと安心です。
申立てにかかる費用は、手続きを始める段階で生じるものです。本人の判断能力を詳しく確認する手続きがとられる場合には、その分の負担も見込んでおく必要があります。これらは、本人を適切に支えるための手続きに伴う費用であり、原則として本人の財産でまかなわれます。費用の負担を理由に手続きをためらってしまうと、本人の利益が守られないまま時間が過ぎてしまうこともあります。まずはどのような費用がかかるのかを把握したうえで、判断することが大切です。
専門職が後見人になる場合の費用
弁護士や司法書士などの専門職が成年後見人になる場合には、その職務に対する費用が生じます。これは、本人の財産の状況や職務の負担などをふまえて、家庭裁判所が定める仕組みになっています。親族が成年後見人になる場合でも、職務に対する費用を求めることができる場合があります。いずれにしても、費用は本人の財産から支払われるのが基本です。
成年後見人の職務は、相続が終われば終わりというものではなく、本人を継続的に支えていくものです。そのため、職務に対する費用も、一度きりではなく続いていくのが一般的です。本人の財産の状況や、職務にどれだけの負担がかかるかによって、その水準は変わってきます。負担を見通すうえでは、目先の手続きにかかる費用だけでなく、その後も継続して生じる費用があることを理解しておくことが大切です。具体的にどの程度になるかは個々の事情によって異なるため、専門家に相談して見通しを確認しておくと安心です。
費用が気になって手続きをためらう前に、まずは全体像と見込みを把握しておくことをおすすめします。本人の財産の状況によっては、負担を支える仕組みが利用できる場合もあります。判断に迷うときは、専門家に相談して、自分のケースでの見通しを確認しておくとよいでしょう。
相続の場面での成年後見人
では、相続の手続きの中で、判断能力が十分でない相続人がいるとき、成年後見人はどのように関わるのでしょうか。ここでは、相続の場面で特に意識しておきたい点を整理します。
遺産分割と成年後見人
判断能力が十分でない相続人がいる場合、その人を抜きにして遺産分割を進めることはできません。成年後見人が本人に代わって協議に加わり、本人の利益が守られるように話し合いをまとめていきます。本人を加えずに行った合意は、後で効力が問われることになりかねないため、適切な手続きを踏むことが欠かせません。
ときどき、判断能力が十分でない相続人がいると手続きが面倒になるからといって、その人を外して話を進めようとするケースが見られます。しかし、これは認められません。判断能力が低下していても、相続人である以上、その人の権利は守られなければならないからです。本人を支える成年後見人を立てたうえで、全員が関わる形で協議をまとめることが、正しい進め方です。遠回りに思えても、こうした手順を踏むことが、後のトラブルを防ぐいちばんの近道になります。
利益相反への注意
成年後見人自身が同じ相続の相続人である場合、本人との間で利益が対立します。たとえば、親が認知症の子の成年後見人であり、二人ともが同じ相続の相続人であるようなケースです。この場合、成年後見人がそのまま本人を代理して分け方を決めると、一方の取り分を増やせばもう一方が減るという関係になり、本人の利益が守られません。そのため、本人のために特別代理人を立てる必要が出てきます。
このように、成年後見人がいても、場面によってはさらに別の代理人が必要になることがあります。相続をめぐる事情が複雑な場合ほど、誰がどの立場で関わるのかを早めに整理しておくことが、手続きを滞らせないことにつながります。
利益相反があるかどうかは、見落とされやすい点でもあります。一見すると本人を支える立場の成年後見人であっても、同じ相続の当事者であれば、本人と利益がぶつかる関係になります。この点に気づかないまま手続きを進めてしまうと、後になって協議のやり直しを迫られることもあります。相続人の顔ぶれと、それぞれがどの立場にあるのかを最初に確認しておくことで、こうしたつまずきを避けやすくなります。判断に迷うときは、専門家に相談して、特別代理人が必要かどうかを確かめておくとよいでしょう。
成年後見人をめぐる注意点
最後に、成年後見人にかかわる相続で気をつけておきたい点をまとめます。あらかじめ知っておくことで、思わぬつまずきを防げます。
制度は途中でやめにくい
成年後見制度は、相続の手続きのためだけに一時的に利用するものではありません。いったん始めると、本人の判断能力が回復しない限り、原則として続いていきます。相続が終わったから終わり、というわけにはいかない点は、利用を検討する段階で理解しておきたいところです。本人を長く支えていく仕組みであることをふまえて、判断する必要があります。
相続の手続きを進めるために成年後見人を立てたものの、相続が終わってもその職務は続いていく、という点に戸惑う人は少なくありません。あくまで本人を継続的に支えるための制度であり、ある一つの手続きが終わったからといって役割が終わるわけではないのです。だからこそ、制度を利用するかどうかは、相続の手続きという目先の事情だけでなく、本人をこの先どう支えていくかという長い視点で考えることが大切です。判断に迷うときは、専門家に相談して、制度を利用した場合に何が続いていくのかを確認しておくと、納得して進められます。
早めの相談が安心につながる
判断能力が十分でない人が関わる相続は、通常の相続よりも手続きが複雑になりがちです。成年後見人を立てるべきか、特別代理人が必要か、どのような手続きをいつ進めるべきかなど、判断に迷う場面が多くあります。こうしたケースでは、相続に詳しい弁護士などの専門家に相談することで、進め方の見通しを立てやすくなります。手続きを始めてから問題に気づいて慌てるより、最初の段階で全体像を確認しておくほうが、結果的に時間も労力も節約できます。
とくに、相続人の中に判断能力の低下した人がいることが分かっている場合は、話し合いを始める前の段階で相談しておくと安心です。誰がどの立場で関わるのか、どの手続きをいつ進めるべきかを早めに整理しておくことで、後戻りを避けられます。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることを検討してみてください。
よくある質問
最後に、成年後見人についてよく寄せられる質問にお答えします。自分の疑問に近いものがないか確認してみてください。
成年後見人は家族がならないといけませんか
家族が必ずなる必要はありません。本人の状況に応じて、親族が選ばれることもあれば、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。誰がふさわしいかは家庭裁判所が判断します。家族に負担をかけたくない場合や、財産の管理が複雑な場合などには、専門職が選ばれることもあります。
家族の中に成年後見人を引き受けられる人がいない場合や、引き受けることで家族関係に影響が出そうな場合などには、中立な立場の専門職に任せるという選択も考えられます。逆に、本人の生活をよく知る家族が支えたほうが本人にとって安心という場合もあります。どちらがよいかは、本人や家族の状況によって異なります。申立ての際に希望を伝えることはできますが、最終的な判断は家庭裁判所に委ねられます。
相続が終わったら成年後見人をやめられますか
相続の手続きが終わっても、それだけで成年後見人の職務が終わるわけではありません。成年後見制度は、本人の判断能力が回復しない限り原則として続く仕組みだからです。相続のためだけに一時的に利用するものではない点を、あらかじめ理解しておく必要があります。
成年後見人がいれば遺産分割はすぐ進みますか
成年後見人がいても、利益相反などの事情があれば、さらに特別代理人を立てる必要が出てくることがあります。また、選任の手続きには一定の時間がかかることもあります。すぐに進むとは限らないため、相続が始まったら早めに状況を確認し、必要な準備に取りかかることが大切です。時間に余裕をもって動き出すことで、期限のある手続きにも落ち着いて対応できます。
成年後見人が本人の財産を自由に使えるのですか
自由に使えるわけではありません。成年後見人は、本人の利益を守るために財産を管理する立場であり、本人のためにのみ財産を使うことができます。私的な流用は固く禁じられており、職務の状況は家庭裁判所に報告されます。本人の財産を勝手に処分するようなことは認められていません。
たとえ家族であっても、本人の財産を自分のために使うことはできません。あくまで本人のための財産であり、本人の生活や利益のために使われるべきものだからです。仮に職務に反して財産を扱えば、後で責任を問われることになります。こうした仕組みがあることで、本人の財産が守られ、安心して制度を利用できるようになっています。成年後見人を引き受ける側も、本人のために誠実に職務を果たす責任を負う点を理解しておく必要があります。
費用はどのくらいかかりますか
かかる費用は、利用する手続きや本人の財産の状況、誰が成年後見人になるかによって変わるため、一概にはいえません。申立てのための費用に加え、専門職が後見人になる場合には職務に対する費用も生じます。これらは本人の財産から支払われるのが基本です。見通しを立てたい場合は、手続きに入る前に専門家に確認しておくとよいでしょう。
どこに相談すればよいですか
成年後見人を立てるべきかどうかや、相続の手続きの進め方に迷ったときは、相続に詳しい弁護士に相談するのが確実です。本人の状況に応じて、どのような手続きが必要かを整理してもらえます。早い段階で見通しを立てておくことで、その後の手続きを落ち着いて進められます。手続きの全体像が見えれば、何から手をつければよいかが分かり、不安もやわらぎます。
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基礎控除額
4,200万円
課税対象額
800万円
相続税の総額(概算)
80万円
申告が必要です
※ 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を考慮しない概算です。実際の税額は個別事情により異なります。
