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休業手当とは|会社の都合で休ませたときに支払うもの
従業員を働かせたいのに、会社側の事情で仕事を休んでもらわざるをえない。そうした場面は、事業を営んでいれば起こりうるものです。仕事がなくて休んでもらうのだから、その分の賃金は払わなくてよいだろう。そう考える経営者の方もいるかもしれません。しかし、それは正しくありません。会社の都合で従業員を休ませたときには、休業手当というものを支払う必要が生じる場合があります。
休業手当という言葉を、耳にしたことはあっても、その中身まではよく分からない、という方も少なくないでしょう。どんなときに支払わなければならないのか、逆に支払わなくてよいのはどんな場合か。その線引きは、意外と分かりにくいものです。まずは、休業手当とは何かという基本から、しっかり押さえていきましょう。
休業手当とは、会社の都合で従業員を休ませた場合に、その従業員に対して支払うべきものをいいます。従業員は、本来であれば働いて賃金を得られたはずです。それが、会社側の事情で働けなくなったのですから、その間の生活を支えるために、一定のものを保障しようというのが、この仕組みの考え方です。働けなかったのが従業員のせいではなく、会社の側に理由があるとき、その従業員を守るために設けられているものだといえます。
この考え方の背景には、働く人と会社との立場の違いがあります。従業員は、賃金がなければ生活が成り立ちません。一方の会社は、事業を営むなかで、時に従業員を休ませざるをえない場面に直面します。その調整の負担を、立場の弱い従業員だけに負わせるのは公平ではない。そこで、会社の都合で休ませる以上、その間の生活を一定程度支えることが、会社の側に求められているのです。
なぜ、こうした仕組みが必要なのでしょうか。従業員は、賃金を得て生活しています。その賃金が、自分に落ち度がないのに、会社の都合で途絶えてしまえば、生活が立ちゆかなくなります。それでは、働く人があまりにも不安定な立場に置かれてしまいます。そこで、会社の都合で休ませる場合には、その間の生活を一定程度支えることが、会社に求められているのです。休業手当は、働く人の生活を守るための、大切な仕組みなのです。
もっとも、休業手当という言葉だけが独り歩きして、正しく理解されていない面もあります。すべての休業に支払いが要るわけではなく、逆に、支払いが要る場面で支払わずにいると問題になります。要否の線引きと金額の考え方を正しくつかむことが、この仕組みと上手につきあう鍵になります。
ここで押さえておきたいのは、休業手当の要否を分けるのは、休業の原因が誰にあるのかという一点だという発想です。従業員の側に休む理由があるのか、それとも会社の側に休ませる事情があるのか。この見きわめが、休業手当を考えるうえでの土台になります。難しく見える論点も、この視点に立てば、筋道を追って考えやすくなります。まずはこの原則を頭に置いておきましょう。
この記事では、休業手当の支払いが必要になるのはどんなときか、逆に支払いが不要なのはどんな場合か、そして金額をどう考えるのか、支払わなかった場合にどんなリスクがあるのかまでを、弁護士の視点から順を追って見ていきます。従業員を休ませる必要が生じたときに、迷わず対応できるよう、基本をしっかり理解しておきましょう。
休業手当は、いざ必要になってから慌てて調べるのでは、対応を誤りかねません。支払いが必要なのに支払わなければ後で問題になりますし、逆に、支払い不要な場面まで支払えば、会社に無用な負担が生じます。正しく見きわめるには、あらかじめ考え方を知っておくことが欠かせません。この記事を通じて、その判断の軸を身につけていただければと思います。
休業手当の支払いが必要になるのはどんなときか
休業手当は、どんな休業の場合でも支払わなければならない、というものではありません。支払いが必要になるのは、休業が会社の側の事情によるものである場合です。ここが、休業手当を考えるうえでの大きな分かれ目になります。どういう場合に支払いが必要になるのかを見ていきましょう。
休業手当の支払いが求められるのは、会社の責めに帰すべき事由によって従業員を休ませた場合です。少し難しい言い方ですが、要するに、休ませることになった原因が会社の側にあるとき、ということです。従業員に落ち度があるわけではなく、会社の都合で働けなくなったのであれば、その従業員を保障する必要があるという考え方です。
たとえば、会社の経営上の都合で、一時的に仕事を減らさざるをえなくなった場合が考えられます。受注が落ち込んで、従業員に働いてもらう仕事がない。あるいは、会社の設備の不具合で、業務を止めざるをえなくなった。こうした、会社の側の事情による休業は、休業手当の支払いが必要になる場面の代表例です。従業員は働く意思も能力もあるのに、会社の都合で働けないのですから、保障が求められるわけです。
会社の側の事情による休業として、たとえば次のようなものが考えられます。いずれも、従業員に落ち度があるわけではない点が共通しています。
- 受注の落ち込みで、従業員に任せる仕事がなくなった。
- 会社の設備の不具合で、業務を止めざるをえなくなった。
- 経営上の判断で、一時的に操業を縮小することにした。
- 取引先の都合で、予定していた業務ができなくなった。
これらはいずれも、従業員が働きたくても、会社の側の事情で働けない場面です。こうした休業では、休業手当の支払いが問題になりやすいといえます。もっとも、実際に支払いが必要かどうかは、個々の事情を踏まえた検討が欠かせません。
ここで大切なのは、休業の原因が誰にあるのか、という視点です。従業員自身の都合で休むのであれば、それは休業手当の対象にはなりません。あくまで、会社の側に休ませる原因があるときに、支払いが問題になります。原因がどちらにあるのかを、まず見きわめることが、休業手当を考える出発点になります。
もっとも、原因がどちらにあるのかは、いつもはっきりしているとはかぎりません。
従業員自身の都合で休む場合というのは、たとえば、本人の希望による休みや、私的な事情による欠勤などです。こうしたものは、会社の側に休ませる原因があるわけではないため、休業手当の対象にはなりません。会社の都合による休業と、従業員の都合による休みとは、はっきり区別して考える必要があります。同じ休みでも、その意味合いはまるで違うのです。
会社の事情と、外部の事情とが入りまじっていることもあります。そうしたときこそ、慎重な見きわめが求められます。表面的な理由だけで判断せず、なぜその休業に至ったのかを、事実にそって丁寧に見ていく。その姿勢が、誤った判断を避けることにつながります。
読者のなかには、「うちの場合は、支払いが必要なのだろうか」と迷っている方もいるかもしれません。休業の原因が会社の側にあるのかどうかは、状況によっては判断が難しいこともあります。そうしたときは、自己判断で決めてしまう前に、専門家に相談してみることをおすすめします。誤った判断は、後々のトラブルにつながりかねないからです。
休業手当と、支払いが不要な休業の違い
休業手当の支払いが必要になるのは、会社の都合による休業の場合だとお伝えしました。では反対に、支払いが不要になるのは、どんな場合なのでしょうか。この違いを理解しておくことは、休業手当を正しく扱ううえで欠かせません。線引きの考え方を見ていきましょう。
支払いが不要とされるのは、大まかにいえば、休業の原因が会社の側にあるとはいえない場合です。会社にも従業員にも責任のない、避けようのない事情によって休業せざるをえないとき、といった場面が、これにあたると考えられます。会社が、通常であれば尽くすべき注意や努力を尽くしても、なお避けられなかったような事情による休業です。
たとえば、大きな災害によって、事業を続けることが物理的にできなくなった、というような場合が考えられます。こうした、会社の力ではどうにもならない事情による休業は、会社の責めに帰すべきものとはいえないと判断されることがあります。この場合には、休業手当の支払いは求められないと考えられます。ただし、どこまでが避けられない事情といえるかの判断は、簡単ではありません。
避けられない事情かどうかの判断が難しいのは、そこに程度の問題が絡むからです。まったく手の打ちようがなかったのか、それとも、工夫の余地が少しはあったのか。その見きわめは、単純な白黒では割り切れません。同じような状況に見えても、会社がどこまで手を尽くしたかによって、結論が分かれることもあります。だからこそ、個別の事情に即した慎重な検討が欠かせないのです。
ここが、休業手当をめぐって、とりわけ判断の難しいところです。一見すると会社の外の事情による休業に見えても、会社としてもう少し工夫すれば休業を避けられたのではないか、と見られる場合には、会社の責めに帰すべきものと判断されることもあります。単純に、外部の事情だから支払い不要、と割り切れるものではないのです。
この点は、多くの経営者の方が誤解しやすいところです。外の事情で休業したのだから支払わなくてよい、と早合点してしまうと、後で支払いを求められることになりかねません。大切なのは、会社として休業を避けるための工夫を尽くしたかどうか、という視点です。尽くすべき手立てを尽くしていなければ、外部の事情による休業でも、会社の責めに帰すべきものと見られることがあるのです。
この線引きは、実際の状況を細かく見て判断する必要があり、専門的な検討を要します。支払いが必要か不要かを誤って判断すると、後で大きな問題になりかねません。休業をめぐる判断に迷ったときは、企業の法務にくわしい専門家に相談し、慎重に見きわめることが大切です。安易な自己判断は避けたいところです。
休業手当の金額はどう考えるか
休業手当を支払うことになった場合、いくら支払えばよいのか。これは、多くの経営者の方が気になるところでしょう。金額の考え方には、一定のきまりがあります。ここでは、その基本的な考え方を見ていきましょう。
休業手当の金額は、その従業員のふだんの賃金をもとにして、その一定の割合以上を支払う、という考え方で算定されます。まったく支払わなくてよいわけではなく、かといって、休んでいる間もふだんどおりの満額を払わなければならない、というわけでもありません。ふだんの賃金を基準に、その一定割合以上を保障する、という形になっています。
ここで基準となる「ふだんの賃金」を、どのように算定するかにも、決まりがあります。単純に、直近の一回分の給与を使えばよい、というわけではありません。一定の期間の賃金をもとに、決められた方法で計算していくことになります。この計算を誤ると、支払うべき金額も違ってきてしまいますから、正確に行うことが大切です。
基準となる賃金の算定に一定の期間を用いるのは、たまたまその月だけ賃金が高かった、あるいは低かった、といった偏りをならすためです。一時的な事情に左右されず、その従業員のふだんの賃金の水準を、できるだけ正しく反映しようという考え方です。こうした算定の趣旨を理解しておくと、なぜ手間のかかる計算が求められるのかも、腑に落ちるはずです。
また、休業が一日まるごとの場合と、一日のうちの一部だけの場合とでも、考え方が変わってきます。半日だけ休ませた、というような場合の扱いも、あらかじめ理解しておく必要があります。こうした細かな点まで含めて、正しく計算することが求められます。金額の算定は、思いのほか複雑になることがあるのです。。半日だけ働いてもらった日について、休業手当をどう考えるのか。あるいは、一部の従業員だけを休ませた場合はどうか。実際の場面では、単純な一日まるごとの休業ばかりとはかぎりません。さまざまなパターンに応じて、正しく扱う必要があります。
とりわけ、賃金の形が単純でない場合には、計算はいっそう込み入ってきます。基本の賃金のほかに、さまざまな手当が組み合わさっているような場合、何を基準に含めるのかといった判断が必要になります。こうした点を正確に扱わないと、支払うべき金額を見誤ってしまいます。金額の計算は、慣れていないと戸惑うことも多く、専門的な確認が役立つ場面です。
金額の計算に不安があるときや、自社での算定が難しいと感じるときは、専門家の力を借りるのが確実です。誤った金額を支払えば、不足していれば後で追加を求められますし、労使の信頼にも関わります。正確な計算は、余計なトラブルを防ぐうえでも大切なのです。迷ったら、専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
逆に、必要以上に多く支払ってしまうケースもありえます。よく分からないまま、念のためにと多めに支払えば、その分は会社の余計な負担になります。少なすぎても多すぎても、望ましくありません。支払うべき金額を、過不足なく正確に見きわめること。それが、会社にとっても従業員にとっても、納得のいく対応につながります。
休業手当を支払わなかった場合のリスク
会社の都合で従業員を休ませたのに、支払うべき休業手当を支払わなかった。そうした場合、会社にはさまざまなリスクが生じます。どんなことになりうるのかを知っておくことは、適切に対応する意識を高めるうえで役立ちます。会社が向き合うことになるものを見ていきましょう。
まず、支払うべきものを支払っていないわけですから、後になって、その支払いを求められることになります。従業員から、休業手当が支払われていないと指摘されれば、会社はさかのぼって支払う必要が生じます。その場に応じて払っておけば済んだものが、後でまとめて求められることになり、会社の負担はかえって大きくなりかねません。
後からまとめて支払うことになれば、会社の資金繰りにも響きます。一件一件はそれほど大きくなくても、複数の従業員について積み重なれば、まとまった額になります。しかも、その場で払っていれば起きなかった手間や争いまで抱えることになります。目先の支払いを避けたことが、結局は、より大きな負担となって返ってくるのです。
次に、従業員との信頼関係が損なわれることも見過ごせません。会社の都合で休まされたうえに、支払われるべきものも支払われないとなれば、従業員は会社に不信を抱きます。一度損なわれた信頼を取り戻すのは、簡単なことではありません。職場の雰囲気が悪くなり、働く人の意欲が下がることは、会社にとって大きな損失です。
さらに、こうした問題が積み重なれば、会社の評判にも関わってきます。従業員を大切にしない会社だという見方が広がれば、人が集まりにくくなったり、働く人が定着しなくなったりします。支払うべきものをきちんと支払うことは、単に義務を果たすというだけでなく、会社が健全に続いていくための土台でもあるのです。目先の負担にとらわれず、適切に対応することが大切です。
従業員を大切にする姿勢は、めぐりめぐって会社に返ってきます。安心して働ける会社には、人が集まり、定着します。逆に、支払うべきものも支払わない会社からは、人が離れていきます。休業手当をきちんと支払うことは、目先ではコストに見えても、長い目で見れば、人という何より大切な財産を守ることにつながっているのです。
休業手当をめぐってトラブルにならないために
休業手当は、扱いを誤ると、従業員とのトラブルにつながりやすいものです。しかし、あらかじめ備えておけば、多くのトラブルは防げます。どうすれば余計な行き違いを避けられるのか、その工夫を見ていきましょう。日ごろの心がけが、いざというときに生きてきます。
まず大切なのは、休業手当に関する取り扱いを、あらかじめ社内のきまりとして整えておくことです。どんな場合に休業手当を支払うのか、金額をどう考えるのかを、就業規則などにきちんと定めておく。そうしておけば、いざ休業が必要になったときにも、そのきまりに沿って対応でき、判断がぶれずにすみます。備えのあるなしで、対応の落ち着きはまるで変わってきます。
社内のきまりを整えておくもう一つの利点は、対応の公平さが保たれることです。その場その場の判断に委ねていると、人によって扱いがまちまちになり、不公平だという不満を生みかねません。あらかじめ定めた基準に沿って対応すれば、誰に対しても同じ物差しで臨めます。基準の存在は、対応をぶれさせないための、いわば背骨のような役割を果たすのです。
次に、実際に従業員を休ませる際には、その理由と、休業手当の扱いについて、丁寧に説明することが大切です。なぜ休んでもらう必要があるのか、休業手当はどうなるのかを、あらかじめきちんと伝える。従業員としても、事情が分かれば納得しやすくなります。説明もないまま一方的に休まされれば、不信や不満が生まれるのは当然です。できれば、休業に入る前の早い段階で伝えておきたいところです。急に告げられるより、見通しを持って心づもりができるほうが、従業員の受け止めもやわらぎます。丁寧なやりとりが、信頼を保つ鍵になります。
人は、事情が分からないまま不利益を受けると、不信を募らせます。逆に、なぜそうなるのかをきちんと説明されれば、たとえ望まない事態であっても、受け止めやすくなるものです。休業も同じです。会社の都合で休んでもらうからこそ、その理由と扱いを、誠実に伝えることが欠かせません。説明を惜しまない姿勢が、いざというときの信頼につながります。
丁寧な説明は、その場では手間に思えても、後の行き違いを防ぐ確かな投資です。事情を共有された従業員は、会社の対応に納得しやすく、無用な不信を抱きにくくなります。反対に、説明を省いて一方的に進めれば、たとえ手当を正しく支払っていても、進め方への不満が残りかねません。何を伝えるかだけでなく、どう伝えるかにも心を配りたいところです。
また、休業に関するやりとりの記録を残しておくことも、後々の役に立ちます。いつ、どんな理由で休業してもらい、休業手当をどう扱ったのか。そうした経緯を記録しておけば、後で認識の食い違いが生じたときにも、事実にもとづいて確かめられます。口頭のやりとりだけで済ませず、形に残しておくことが、無用な争いを避けることにつながります。
記録というと、手間に感じるかもしれません。しかし、後になって「言った、言わない」の争いになれば、その解決にはもっと大きな手間がかかります。あらかじめ経緯を書きとめておけば、そうした不毛な争いそのものを防げます。ほんの少しの手間をかけておくことが、後の大きな面倒を避ける備えになる。記録の意義は、そこにあります。
休業手当について会社が気をつけたいこと
ここまで、休業手当の基本と、トラブルを防ぐための工夫を見てきました。最後に、休業手当を扱ううえで、会社として心にとめておきたいことを整理しておきましょう。日々の対応の積み重ねが、健全な職場をつくります。
まず心がけたいのは、休業手当を、単なる負担ととらえないことです。会社の都合で従業員を休ませるとき、その間の生活を支えるのは、働く人を大切にする姿勢のあらわれです。支払うべきものをきちんと支払う会社は、従業員から信頼され、その信頼が、会社の力にもなっていきます。休業手当は、働く人との信頼関係を支えるものなのだと考えたいところです。
会社を支えているのは、結局のところ人です。設備や資金がそろっていても、働く人がいなければ事業は回りません。その大切な人たちが、いざというときに会社に守られていると感じられるかどうかは、会社への信頼を大きく左右します。休業手当を適切に支払うことは、その信頼に応える具体的な行いの一つなのです。
次に、判断に迷ったときは、自己流で済ませないことです。休業手当が必要かどうか、金額をどう計算するかは、状況によって判断が難しいことがあります。あいまいなまま対応して、後で誤りが分かれば、かえって大きな手間がかかります。分からないことは、そのままにせず、専門家に確かめる。その一手間が、後の安心につながります。
自己流の判断が危ういのは、誤りに気づかないまま進んでしまうところにあります。正しいと思い込んで対応していても、後から見れば見当違いだった、ということは起こりえます。しかも、そうした誤りは、たいてい問題が表面化してから発覚します。そうなる前に、判断の正しさを専門家に確かめておくこと。それが、後で大きくつまずかないための、確かな手立てになります。
また、休業に関する備えは、何も起きていないうちに整えておくことが肝心です。いざ休業が必要になってから慌てて対応を考えるのでは、判断を誤りかねません。休業手当の取り扱いを社内のきまりとして定め、いざというときの流れを整えておく。平時の備えが、混乱を防いでくれます。備えは、事が起きてからでは間に合わないのです。
備えというと、大げさなことのように聞こえるかもしれません。けれど、要は、いざというときにどう動くかを、あらかじめ決めておくということです。休業手当をどう扱うかを社内のきまりとして整え、判断の手順を定めておく。それだけで、実際に休業が必要になったときの対応は、ずいぶん落ち着いたものになります。小さな備えの積み重ねが、大きな安心を生むのです。
休業手当をめぐる判断や、社内のきまりの整備に不安があるときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。専門家の力を借りれば、支払いの要否や金額の判断を誤らずにすみますし、就業規則などの整備も、法律の要請に沿った形で進められます。日ごろから相談できる関係を築いておくと、いざというときにも落ち着いて対応できます。
休業をめぐる問題は、いつ起こるか分かりません。だからこそ、いざというときに一から相談先を探すのではなく、日ごろから会社の事情を分かってくれる専門家とつながっておくことに意味があります。ふだんから関係があれば、細かな事情を一から説明する手間もなく、素早く相談できます。そうした備えが、いざというときの対応の質を大きく左右するのです。
休業手当に関するよくある質問
仕事がないので従業員を休ませる場合、休業手当は必要ですか
会社の都合で仕事がなく従業員を休ませる場合には、休業手当の支払いが必要になることが多いといえます。従業員は働く意思も能力もあるのに、会社の側の事情で働けないのですから、その間の生活を保障する必要があるという考え方です。ただし、支払いが必要かどうかは休業の原因によって変わるため、判断に迷うときは専門家に相談することをおすすめします。
災害などで休業する場合も、休業手当は必要ですか
会社の力ではどうにもならない事情による休業は、会社の責めに帰すべきものとはいえず、休業手当の支払いが求められないと判断されることがあります。ただし、どこまでが避けられない事情といえるかの判断は簡単ではなく、会社の工夫で休業を避けられたと見られれば、支払いが必要とされることもあります。個別の判断は、専門家に確認するのが確実です。
休業手当は、いくら支払えばよいのですか
休業手当は、その従業員のふだんの賃金を基準として、その一定割合以上を支払うという考え方で算定されます。基準となる賃金の算定方法にも決まりがあり、一日全部の休業か一部の休業かによっても扱いが変わります。金額の計算は複雑になることもあるため、正確を期すには、専門家に確認しながら進めると安心です。
休業手当の扱いで不安があるときは、どこに相談すればよいですか
休業手当の支払いの要否や金額の計算、社内のきまりの整備などで判断に迷うときは、企業の法務にくわしい弁護士に相談することをおすすめします。誤った判断は、後からの支払いや従業員とのトラブルを招きかねません。平時から相談できる体制を整えておけば、いざ休業が必要になったときにも、慌てず適切に対応を進めやすくなります。