2020/3/31 268view

禁錮(禁固)とは?禁錮刑と懲役刑の違いと罪の重さ

この記事で分かること
  1. 禁錮刑とは、自由刑の1つで身体拘束のみが行われる刑罰のこと。
  2. 禁錮刑と懲役刑の違いは、刑務作業を行うかどうかと罪の重さにある。
  3. 拘留は禁錮刑より、身体拘束期間が短い(30日未満)刑罰を指す。
  4. 禁錮刑でも、ほとんどの人が刑務作業を希望する。
  5. 執行猶予がつけば、禁錮刑を回避することは可能。

禁錮刑は自由刑の1つであり、刑務所の施設にて拘留される刑罰を指します。禁錮刑は刑務作業行いませんが、懲役刑は刑務作業を行う点で違いがあります。もっとも、禁錮刑に科せられた人の多くは、刑期中に刑務作業を希望します。また、拘留は禁錮刑よりも期間が短い刑を指します。禁錮刑は、執行猶予がつけば回避可能です。

禁錮刑とは?懲役刑や他の刑罰との違い

まずは禁錮刑とはどのような刑罰なのか、懲役刑との違いはどのような点にあるのかをご説明します。

禁錮刑とは、身体拘束のみが科せられる刑罰のこと

禁錮刑とは、刑事事件において起訴され、裁判で判決が下る際に課せられる可能性のある刑罰の1つです。民事事件で刑罰が課せられることはなく、あくまでも刑事事件の話です。禁錮刑は、身体拘束がある刑罰を指します。具体的には、30日以上の身体拘束のみの刑罰が科されることが決まれば、それは禁錮刑となります。

禁錮刑が科せられると収監されることになるため、これまでのように自由に生活を送ることはできません。刑務所の中で、規律立てられた生活を送ることになります。

このように、禁錮刑とは刑事事件における刑罰の1つを指します。

禁錮刑の目的は3つ

では禁錮刑の目的はどのような点にあるのでしょうか。

禁錮刑の目的としては次の3つが挙げられます。

犯罪者を社会から遠ざける

まずは、犯罪者を社会から遠ざけることです。犯罪を犯しても、大した罪にならないのならば、犯罪は減りません。当該犯罪を犯した人物も、再度犯罪に手を染めてしまうかもしれません。そうすると、安全な社会を保つことはできないため、犯罪者を隔離して一度社会から遠ざける必要があるのです。このようにして公共の安全を守ります。

犯罪者を更生させる

次に、犯罪者を更生させる目的です。罪を犯してしまう人は、その人自身の性格など個人的な問題だけが理由となるのではなく、周囲の環境も大きく影響すると言われています。例えば、お金がなく、借金取りに追われているような場合、追い詰められて強盗に走ってしまう人もいます。
このような場合、周囲の環境から一度隔離し、本人が更生できる環境を整えることが大切です。一度収監されることにより、規律ある生活をすることで再び社会に適応できるようにする目的があります。

犯罪を抑制する

最後に、犯罪を抑制するという目的があります。犯罪を犯せば、自由がなくなる可能性があることを示すことで、次に起きる犯罪を抑止しているのです。事前に法律において、行動に伴う責任を明示することにより、犯罪を防ぐ効果があると考えられています。

このように、禁錮刑には上記3つの目的があると考えられています。

禁錮刑は自由刑に分類される

刑法上の罰則には様々な種類があります。
具体的には、死刑という最高刑に始まり、懲役刑、禁錮刑、罰金刑、拘留、科料、没収と7つの種類があります。
それぞれは、3つの罰則に分類することが可能です。

具体的には、以下の3つとなります。

  • 生命刑
  • 自由刑
  • 財産刑

禁錮刑は自由刑の1つとして分類されていますが、詳細は以下を見ていきましょう。

生命刑=死刑

生命刑とは、その名の通り命に対する刑罰を指します。日本では、死刑が生命刑となります。死刑になる罪は、限られており、殺人罪など限られた刑罰のみとなります。刑法上に死刑が定められている罪であっても、罰則の重さから事件の内容に鑑みて、懲役刑が下される事件も多いでしょう。

自由刑=懲役刑、禁錮刑、拘留

自由刑とは、身体の自由に制限が科される刑罰を指します。日本の刑法では、懲役刑、禁錮刑、拘留がこれにあたります。どの刑罰も、刑期の間は外の世界で自由に生活をすることができないという共通点があります。

財産刑=罰金刑、科料、没収

最後に、財産刑です。一定の範囲内の個人の財産を奪う罰則であり、罰金刑、科料、没収がこれにあたります。財産を奪われると、今後の犯罪抑止につながるため、規定されていますが、他の刑罰に比べると軽い罪に当たります。

禁錮刑と懲役刑の違い

禁錮刑とよく似た刑罰に懲役刑があります。この2つを混同している方も多いかもしれませんが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか。

禁錮刑は、先にご説明したように30日以上の身体拘束を受ける罰則です。刑期を全うするまでの間は、収監されて家に帰ることができません。
懲役刑も同じく刑務所に拘禁される刑罰です。禁錮刑と同様に、刑期を全うするまで外で生活することはできません。

労務作業のない禁錮、労務作業のある懲役

この2つの刑罰の違いは、労務作業があるかないかだけです。
禁錮刑の場合、労務作業はありませんが、懲役刑の場合は労務作業が命じられます。

このように、禁錮刑と懲役刑の違いは、労務作業の有無にあります。外での自由な生活が一定期間制限されるという点では同じですので、混同しないようにしましょう。

禁錮と拘留の違いは、期間の長短のみ

禁錮刑とよく似た刑罰に拘留があります。懲役との違いは知っていても、拘留との違いまで正確に理解している人は少ないかもしれません。

ズバリ禁錮刑との違いは、期間の長短にあります。禁錮刑は、30日以上の身体拘束を伴いますが、拘留では30日未満の身体拘束となります。拘留の方が、期間が短いため、禁錮よりも軽い罪ということができるでしょう。

このように、禁錮刑と拘留も身体拘束のみの刑罰という点では同じです。拘束期間のみに違いがあることを覚えておいてください。

ワンポイントアドバイス
禁錮刑も懲役刑も生活の自由が奪われてしまうという点では同じです。そして、労務作業以外の点においては、大きな違いはありません。刑罰の目的も基本的には同じであるため、禁錮刑と懲役刑で違うのは労務作業のみと覚えておくと良いでしょう。

どんな罪に禁錮刑は適用される?

次に、禁錮刑がどのような罪に適用されるのかをご説明します。また、それぞれの罪の重さも比較してご説明します。

禁錮刑にはどんな罪がある?

刑法の条文を見てみると、「〜を犯したものには、懲役○年もしくは禁錮○年または○円以下の罰金に処される」というように規定されています。懲役刑だけの条文もあれば、禁錮刑のみが定められている法律もあり、罰金刑が併記されている法律もあります。

では禁錮刑が規定される法律にはどのようなものがあるのでしょうか。

例えば、刑法では以下が禁錮刑のみが刑罰として規定されています。

  • 内乱に関する罪(内乱罪、内乱予備・陰謀罪、幇助罪など)
  • 国交に関する罪(私戦予備材、私戦陰謀罪、中立命令違反など)

懲役刑も併記されている罪としては以下が挙げられます。

  • 公務の執行を妨害する罪(公務執行妨害罪、職権濫用罪、特別公務員、暴行陵虐罪など)
  • 名誉毀損罪
  • 過失運転致死傷罪

上記は一例に過ぎません。実際上は、これ以外にもさまざまな罪があり、一般的には禁錮刑のみより懲役刑が併記されている罪が多いといえます。

このように、禁錮刑が規定されている罪はかなり多く存在します。

禁錮刑の方が、懲役刑よりも軽い罪

よくある疑問として、禁錮刑と懲役刑はどちらが重い罪なの?という質問があります。これについては、明確に懲役刑の方が重い罪といえるでしょう。

先にご説明した通り、懲役刑には刑務作業が義務付けられる点が1つの理由となります。もう1つの理由としては、懲役刑が規定されている罪の方が重大な犯罪であることが多い点が挙げられます。

例えば、殺人罪、傷害罪、強盗罪、強姦罪などの凶悪犯罪と考えられる罪には、懲役刑しか規定されていません。判決において実刑となれば、必ず刑務作業を行わなければいけないのです。また、過失運転致死傷罪は、懲役刑と禁錮刑が併記されていますが、危険運転致死傷罪には、懲役刑のみしか規定されていません。罪の重大さから懲役刑のみが規定されているのです。

このように、禁錮刑の方が懲役刑よりも軽い罪ということができるでしょう。

ワンポイントアドバイス
実際の裁判において、裁判官が懲役刑、禁錮刑を選択できる場合は、事案の内容を見て判断することもあります。両方が刑罰として規定されているときは、事件の内容を総合的に判断し、裁判官が最終的な判断を下します。軽い事件の場合には、禁錮刑か罰金刑の選択となることもあります。

禁錮刑の実際の生活とは?

禁錮刑に科せられた場合、刑務所内ではどのような生活を送ることになるのでしょうか。懲役刑とできることに差はあるのでしょうか。禁錮刑の実際の生活についてご説明します。

禁錮刑の日常

禁錮刑が確定した場合、刑務所に収容されることになります。刑務所内ではどのような生活が待っているのでしょうか。また懲役刑の人の生活と違いはあるのでしょうか。

まず、刑務所内では毎日決まった時間に起き、決まった時間に就寝します。朝6時40分に起きて、9時には就寝するのが日常です。規律正しい生活をする点において、禁錮刑、懲役刑で違いはありません。
親族や友人など外の人との面会に関しては、刑事施設の規律及び秩序を維持する上で、日時や回数などの制限がありますが、禁錮刑と懲役刑で特に違いはないでしょう。
刑務所内では、自弁(自分の費用)で購入した雑誌や本などを閲覧することができます。これでも一定の制限はあるものの、禁錮刑と懲役刑で違いはありません。

刑務所内の生活で一番辛いといわれているものの1つに考査訓練というものがあるそうです。これは刑務所内での振る舞いを身に着けるために最初に行われるもので、いわゆる軍隊式で行進や動作を学びます。この訓練を辛く感じる方は多いといわれています。

禁固刑の日常は、懲役刑と大きな違いはなし

このように、禁錮刑の日常では、規律をしっかりと教え込まれますが、懲役刑の方と大きな違いがあるというわけではなさそうです。

禁錮刑でも刑務作業をすることは可能

懲役刑に服している人との一番の違いは、禁錮刑の人が刑務所内で刑務作業をしなくてよいことです。懲役刑よりも禁錮刑の方が軽い刑罰であることから、刑務作業は行わずに済みます。
しかし、実際上は多くの禁錮刑の方が自ら望んで刑務作業を行なっているようです。これはなぜなのでしょうか?

禁錮刑の場合、懲役刑の人と違って刑務作業をする必要がないため1日中舎房にとどまることになります。部屋にいても、刑務作業を行わないたテレビを見るなどの娯楽もなく、何もしないことを苦痛に感じるようになるのです。
工場で働けば、少しはお金になりテレビも見ることができます。働いた場合にもらえる報奨金についても、懲役刑の人と禁錮刑の人で違いはないため、1日8時間働く人が多いようです。

このように、実情としては禁錮刑の方も刑務作業を申し出る人が多いことから、懲役刑と何ら変わりない生活を送る可能性が高いでしょう。

ワンポイントアドバイス
仕事をしなくて良いため、禁錮刑は懲役刑よりも楽というイメージがあるかもしれませんが、ご説明したように、実際上は刑務作業を申し出る方が多いそうです。実際に、何もできないことほどの苦痛はありません。刑の軽重はありますが、実際に収容されてしまうといつ出られるかが一番の違いになるのでしょう。

禁錮刑を避けたいなら、執行猶予を目指そう

実刑はなんとしてでも避けたいと考えるなら、弁護士による弁護活動は必須です。禁錮刑と執行猶予の関係、禁錮刑を回避する方法についてご説明します。

執行猶予がつくと、禁錮刑にならずに済む

なんとかして刑務所に入るのを避けたいと思うなら、最悪でも執行猶予判決を目指して弁護活動を行うべきです。

禁錮刑が言い渡されると基本的には刑務所に行くことになります。しかし、執行猶予判決が言い渡された場合、禁錮刑でも刑務所に行かずに済む可能性が高くなります。執行猶予判決とは、一定の期間、犯罪を犯さなければ刑罰を科さないとする裁判官の判断です。
期間としては、1年〜5年の範囲内であり、比較的軽い刑罰が定められている刑罰だけに適用されることになります。
具体的には、「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金刑(刑法25条)」が規定された刑罰のみ、執行猶予をつけることが可能となります。

執行猶予が付与されれば、刑務所入りは避けられる

禁錮刑だけが規定されている犯罪の場合、3年以下の禁錮刑が規定されているケースが多いため、基本的には執行猶予判決を目指すことができるでしょう。

また、執行猶予判決を受ける場合、実際に決まった刑よりも1.5〜2倍程度の執行猶予期間となることが多いといわれています。
執行猶予期間中に軽い交通違反を犯しても、執行猶予が取り消されることはありませんが、できる限り気をつけて行動する必要があるでしょう。

このように、禁錮刑の判決が下っても、執行猶予が付与されれば刑務所に行かずに済みます。

禁錮刑を回避する方法

では、禁錮刑を回避するためにすべき弁護活動とは具体的にどのような内容なのでしょうか。

不起訴・執行猶予を獲得するには、被害者との示談が最優先

不起訴や執行猶予判決を目指すなら、被害者がいる場合には被害者と示談をすることが先決です。示談をすることにより、当事者間では和解があるとして、検察官も起訴しない判断をしてくれる可能性が高くなるためです。

また、示談をする場合は、一緒に「加害者の処罰は求めない」とする文言を被害者に書いてもらうことで、起訴の可能性は下がります。示談は、起訴後であったとしても、裁判官の判断に影響を与えるため、執行猶予判決がつく可能性も高くなるでしょう。

判決に直結する、裁判官の情状の良し悪し

これ以外にも、裁判官に良い情状を認めてもらうことにより執行猶予判決が出る可能性は高まります。刑を決める際は、犯罪の軽重だけでなく、犯罪の内容と態様、計画性の有無、被告人の反省の態度、示談の有無など一切の事情を考慮します。
被告人が十分に反省しており、更生の可能性が高いことを示せば、被告人の良い情状として考慮してもらうことができるため、執行猶予判決を獲得できる可能性は十分にあります。

このように、示談を成立させる、情状を良くすることが、禁錮刑を回避するために必要な弁護活動となるでしょう。

ワンポイントアドバイス
禁錮刑の場合でも、懲役刑の場合でも刑務所に行かなければいけなくなったら、社会生活への影響は大きくなります。社会に復帰しても、一から仕事を探さなければいけなくなり、以前のような条件で働くことは難しくなります。

そのため、できれば前科がつかないように不起訴、最低でも執行猶予判決を目指し、刑務所に入らないように弁護活動を行なってもらうことが大切です。

禁錮刑を回避したい場合は、弁護士に相談を

禁錮刑は懲役刑よりも軽い刑罰であり、刑務作業も義務付けられていません。しかし、刑務所に入らなければいけない点では同じであるため、仮に逮捕された場合にはすぐにでも弁護活動を開始すべきです。

もしご家族が逮捕されたなど、実刑の可能性がある場合にはすぐに弁護士に相談してください。刑事事件はスピーディーに進んでいくため、早めの対応が肝心です。早めに示談を成立させることで、不起訴の可能性、執行猶予判決の可能性も大きく上がることでしょう。

刑事事件はスピードが重要!
刑事事件に巻き込まれたら弁護士へすぐに相談を
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刑事事件で起訴された場合、日本の有罪率は99.9%
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上記に当てはまるなら弁護士に相談