2020/2/14 912view

離婚の話し合い~協議離婚に向けた取り決め内容と進め方

この記事で分かること
  1. 事前準備として就職先、貯金、住む場所などを確保し、離婚条件に関する希望をまとめておくこと。
  2. 離婚条件としては、財産分与、慰謝料、年金分割、親権と面会交流権、養育費、その他(ローンの支払い、ペットの帰属など)話し合うべき。
  3. 公正証書に離婚条件をまとめることで、不払いなどのトラブルに対処できる。
  4. 話し合いが頓挫しても、調停離婚、裁判離婚の手段がある。

離婚の話し合いは、平均で1年以内程度の期間がかかります。冷静になれる場所で話し合い、話し合いが進まない場合は弁護士などの第三者を交えることで離婚問題をスムーズに解決できます。今回は話し合い前の事前準備や、協議離婚の話し合いの内容、話し合いのポイントについて解説します。

離婚の話し合い前に準備すべきこと

まずは、離婚前に準備しておくべき事項について確認しておきましょう。

離婚か復縁かをはっきりしておくこと

離婚を考えている方には様々な事情があるでしょう。もしかすると、まだ離婚を迷っているという方もいらっしゃるかもしれません。離婚を相手に伝える、あるいは本格的な話し合いを始める前に考えておくべきことは、「離婚したいのか・復縁したいのか」という気持ちをはっきりさせておくことです。

というのも、離婚はあなたの意思だけでは叶いません。原則として、夫婦両方に離婚の意思に関する合意がない限り、離婚はできません。離婚の話し合いの際、あなたの気持ちが揺れていると、話し合いがなかなか進まず長期化してしまうケースもあります。

話し合いを無駄にしないためにも、先にご自身の離婚に対する意思を確認しておいてください。離婚の意思が固いようであれば、相手に離婚したい旨をしっかり伝えてみましょう。

もし仮に、復縁を希望するようであれば、復縁にむけた話し合いが必要です。仲が悪くなってしまった原因などを考え、2人でも話し合う必要があります。冷静に話し合い、それでもうまくいかない場合は、冷却期間のための別居も選択肢におくべきです。

離婚の話し合いの前に準備すべきこと

離婚の意思が固まったら、離婚の話し合いに入る前に事前にやっておくべきことがあります。離婚の話し合いが始まると、離婚条件の話し合いなどで忙しくなり、離婚準備もできず正式な離婚という形になることもあります。離婚前にしっかりとした準備をしていないと、経済的な状況などで後悔することもあるため、以下を確認しておきましょう。

  • 仕事の確保
  • 最低100万円程度の貯金
  • 住む場所の確保
  • 子どもの幼稚園、学校など
  • 精神的な覚悟
  • ある程度希望をまとめておく

共働きの場合は問題ありませんが、現在無職あるいはパート業の場合は、安定した職を見つける必要があります。離婚後に生活できずに苦労される方は多いためです。また、離婚をすると新しい生活に必要な費用などで出費が嵩みます。そのため、できる限り貯金はしておいた方が良いでしょう。

現在住んでいる家を出て行く場合は、賃貸の部屋などを確保しておかなければいけません。一時的な節約のため、実家に帰るのも良いでしょう。お子さんがいらっしゃる場合は、引越し先での学区や幼稚園の状況なども事前に把握しておくべきです。

さらに、離婚は精神的にストレスが大きくかかります。そのため、誰かに頼らず1人で生きて行くという覚悟が必要です。子どもがいる場合は、ひとり親で子どもを育てて行く覚悟も必要です。

最後に、離婚条件などで希望があればまとめておくこともおすすめします。次にご説明する「離婚の話合いで話し合う内容」について目を通しておき、事前に希望をまとめておきましょう。

ワンポイントアドバイス
離婚の進み方は、各家庭によって異なります。話し合いから離婚まで1ヶ月程度で完了してしまう家庭もあれば、なかなか話し合いが進まず長く揉めてしまう家庭も流でしょう。離婚を急ぐがゆえに、離婚条件もまとめず離婚してしまう夫婦もいますが、これは得策ではありません。

「事前準備→離婚条件を話し合う→離婚届を提出」という過程を経て離婚手続きを完了することで、「慰謝料を取っておけばよかった」などの後悔は防げます。

離婚の話し合いで決めるべき内容

離婚条件をしっかりとまとめておくことは非常に大切です。後で養育費がもらえない、慰謝料が支払われないと行ったトラブルを回避することができるためです。ここでは離婚条件で決めるべき内容について、ご説明します。

離婚で決めるべき内容

離婚の話し合いで決めるべき内容としては、以下が挙げられます。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 親権と面会交流権
  • 養育費
  • その他(ローンの支払い、ペットの帰属など)

これらは、離婚における話し合いで一般的に決められる内容です。それぞれ具体的にどのような話し合いをすべきかをみていきましょう。

財産分与

まず、一番に話し合うべきは財産分与についてです。財産分与とは、夫婦の共有財産を離婚時に分ける手続きのことを指します。財産分与の対象となるものとしては、預貯金、生命保険、個人年金、有価証券、家庭で使用する自動車、持ち家などの不動産が当たります。

独身自体に築いた預貯金などの財産は、共有財産とはならないため、財産分与の対象になりません。これ以外にも、結婚前からあるどちらかが交流した家財道具、個人の借金、相続で手にした財産などは含まれません。

注意すべきはへそくりです。婚姻後に貯めたへそくりは、共有財産となるので、相手が隠し財産を持っていないかチェックしておくべきです。

年金分割請求権

婚姻期間中に預けた年金については、離婚時に分割請求をすることができます。仮に配偶者が専業主婦であったとしても、分割割合は原則1/2ですが夫婦の話し合いで増減できます。年金分割の対象となるのは、厚生年金と共済年金です。

自営業者などの場合は、国民年金しか加入できないため、年金分割請求の対象外です。ただし、株式会社の役員などの場合は、厚生年金に加入できるため分割の対象となります。

婚姻期間が長い場合、特に専業主婦の方はこれを請求しないと経済的に大きく損をする事になるため、忘れないようにしましょう。請求期限は、離婚から2年以内です。

慰謝料の請求

離婚の原因が不倫やDVという場合は、慰謝料を請求できます。慰謝料は婚姻期間中にううけた精神的・肉体的苦痛について賠償金を請求するものです。不倫(不貞行為)やDV以外でも、モラハラ、家に帰ってこない、生活費を入れない、理由もなく性交渉を行わなかった、などの問題があれば、相手に慰謝料を請求することができます。

実際の慰謝料の額は、不法行為の内容によって変わります。離婚事由としてよく挙げられる不倫の場合、婚姻期間の長さ、不倫回数・期間、相手の収入など、様々な考慮要素を通して決まりますが、一般的には50万円〜300万円といわれています。

親権者と面会交流権

子どもがいる場合は、子どもに関する離婚条件を決めなければいけません。特に、親権者については、事前に決めておかないと離婚届の提出が認められません。また、一度親権者を正式に決定すると、覆すのは困難であるため慎重に話し合うべきです。親権変更調停で子どもにとって利益がある場合にのみ認められます。

そして、親権を持たない親には、子どもとの面会交流権が認められます。内容は具体的に決めておく必要があります。例えば、「年に何回会う、誕生日はどちらと過ごすか、卒業式などの節目はどうするのか、面会場所、連絡方法」などです。

事前にきっちりと決めておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

養育費

親権がない親は、子どもに対し養育費を支払わなければいけません。具体的には、「何歳まで月額いくら支払うのか」を決めて行くことになります。養育費の決め方については、裁判所の養育費算定票が役立ちます。

子の数、年齢、支払い者の年収を元に養育費の平均値を算出しています。これを参考にして、いくらが妥当であるのかを話し合うのもよいでしょう。

裁判所・養育費算定票

その他(ローンの返済、ペットの帰属など)

先にご紹介した内容以外にも、それぞれの家庭の事情によって決めるべきことが増えることもあります。例えば、家のローンの返済についてです。どちらが支払うのか、家には誰が住むのか、あるいは売り払ってローンを返済し、残りは財産分与にするのかなどの話し合いが必要です。

またペットを飼っている場合は、どちらが飼い主となるのかについての話し合いも必要でしょう。さらに、子どもがどちらの姓を名乗るかという決め事もあります。これ以外にも、婚姻期間中に別居をしていた場合などは、別居期間中の生活費を請求する婚姻費用分担請求なども考えられるでしょう。

内容は全て公正証書に記すこと

上記の内容について、離婚条件に全て合意できたら書面でまとめておく必要があります。いくら話し合っても、後で簡単に覆されては意味がありません。そのため、決まったことは1つずつ書面に記しておくようにしましょう。

内容に関しては、公正証書という正式な書面にしておくと「言った・言わない」のトラブルを防ぐことができます。例えば、慰謝料を支払うと言ったのにもかかわらず、支払われない場合、公正証書を元に相手の給与を差し押さえることもできます。養育費でも同様です。内容に不安がある場合は、弁護士に事前に相談しましょう。

離婚の公正証書の予備知識

公正証書作成に関して知っておくべき事項は以下の通りです。

場所 各地域に公証役場で可能
作成者 公務員
必要なもの 離婚条件の内容をまとめたもの(離婚公正証書原案)、運転免許証、認印など
時間 1時間程度
料金 慰謝料などの目的金額によって変わるが5000円〜17000円程度
ワンポイントアドバイス
離婚の公正証書を準備する場合でも、そこに記す離婚条件自体に漏れがあっては意味を成しません。離婚問題に強い弁護士に相談すれば、確保すべき離婚条件をよく理解した上で、相談者の希望をふまえたアドバイスをもらうことができます。

離婚を相手に拒絶されたら?

夫婦の話し合いで離婚合意をまとめることを協議離婚といいます。仮に、夫婦の話し合いで離婚がまとまらなかった場合には、調停離婚という手続きに進むのが一般的です。夫婦だけで話していても、離婚条件や離婚自体などに合意できないことはよくあることです。

このとき、第三者であり家庭裁判所の調停委員を交えて話し合いを継続することで、離婚に関する合意を進めて行くことができます。これが調停離婚です。調停離婚では、第三者が介在することで冷静かつ円滑に話し合いを進められるというメリットがありますが、調停離婚も最終的には夫婦で合意できないと離婚はできません。ここでも決着がつかない場合は、裁判離婚に進むことになります。

裁判離婚は、裁判官が離婚条件を含めて離婚すべきかどうかを判断します。調停離婚とは異なり、裁判官が強制的に離婚を決定する点に違いがあります。民法上の法定離婚事由(770条1項目)が認められれば離婚も認められます。

裁判離婚となると経済的にも、精神的にも大きな負担が伴います。交渉の余地がある場合は、折れるべきポイントなども弁護士に相談した上で、調停離婚の間に離婚をまとめるべきでしょう。

5つの法定離婚事由

民法上の法定離婚事由としては、以下の5つが挙げられます。

  • 不貞行為(不倫があった場合)
  • 悪意の遺棄(同居義務、協力・扶助義務違反があった場合)
  • 3年以上の生死不明(行方不明など)
  • 強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと(長期間のうつ病罹患など)
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があること(DV、モラハラなど)

調停離婚がうまくいかない場合は、裁判離婚になる可能性が高いということです。参考にしてみてください。

ワンポイントアドバイス
離婚条件に関しては、納得できない場合は簡単に同意してはいけません。離婚の話し合いは精神的にかなえい辛いものです。しかし、離婚条件についての話し合いで決まったことは離婚後の生活に直結します。自分では交渉が難しいと判断したら、専門家である弁護士に相談すべきです。

離婚の話し合いで知っておくべきポイント

最後部、離婚の話し合いで知っておくべきポイント3つについてご説明します。

離婚の話し合いの平均期間は1年以内

離婚の話し合いについて、どれくらい時間がかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

実際のところ、離婚の話を切り出して1年以内には離婚している方が大半のようです。離婚準備を含めると、貯金などに時間がかかるため、1年以上時間がかかるケースも少なくないでしょう。また、協議離婚、調停離婚、裁判離婚、という離婚の種類について少しお話ししましたが、離婚する夫婦の90%弱は協議離婚を選択しています。

離婚する夫婦の多くは、夫婦間における話し合いで離婚合意をまとめていますので、「離婚が成立しないかも…」と過度に心配する必要はないでしょう。

冷静になれる場所で話し合いを

多くの夫婦は、家で話し合いを行います。別居していない限り、プライベートな話をする場所としては夫婦が一緒に暮らす家が一番話しやすいためです。もっとも、お子さんがいらっしゃる場合などは、気を使うケースもあるでしょう。

この場合は、子どもを実家に預けるなどして、落ち着いて話し合いができる環境を用意しましょう。離婚の話し合いは、内容によってはヒートアップして口論に発展してしまうこともあります。子どもが別の部屋で寝ていても、起こしてしまう可能性がありますので夫婦だけで話せる場所を用意することをおすすめします。

また、冷静に話し合うことは非常に大切です。離婚条件は多岐にわたり、決めるだけで疲れてしまうためです。どうしても喧嘩になってしまう場合は、カフェなどの外で話し合うことも良いでしょう。人目があると、冷静になれます。またDV被害などにあっているばあいは、密室は避けるべきです。外部か第三者を交えた話し合いにすべきです。

話し合いが進まない場合は、第三者の参加を

夫婦だけの話し合いでは、離婚の話し合いを上手に進めて行く自信がないという方は、第三者を話し合いに参加させるのも良い方法です。2人だと、話し合いがどうしても感情的になりがちです。これは珍しいことはではありません。2人の時間を作っても、一向に話し合いが進まない場合は、親や信頼できる友人などを交えて話を進めて行くべきです。

相手が離婚の話し合いに応じない場合も、第三者を交えることは有効です。親などの第三者を交えることで、真剣に離婚したいという思いが伝わりやすくなります。そこまで本気なら、話し合いに応じざるを得ないという方も多いはずです。

親や友人に話すことができない場合は、専門家である弁護士に相談してみてください。第三者として他人が加わることで離婚が進みやすくなるだけでなく、専門家としての意見もアドバイスしてもらえます。慰謝料や養育費、財産分与などで有利に離婚の話し合いを進めたい場合も、弁護士がいると非常に役立ちます。

ご自身に不倫などの不利な事情がある場合も、弁護士がいれば必要以上に不利な立場に置かれずに済みます。専門家のアドバイスを聞いて、離婚の話し合いに活かすことができるでしょう。

ワンポイントアドバイス
離婚は精神的ダメージが大きいといわれています。夫婦での話し合いで冷静になれない、話が前に進まないという問題が発生した場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談すべきです。離婚の話し合いが長引けば長引くほど、精神的ストレスは大きくなってしまいます。冷静に、かつできる限り短期間で話し合いをまとめるべきです。

離婚の話し合いで揉めるようなら、弁護士に相談を

離婚の話し合いの際、離婚合意だけでなく離婚条件で揉めてしまう夫婦はたくさんいます。特に、子どもの親権について揉めてしまうケースは少なくないようです。

どうしても有利に進めたい離婚条件がある場合は、専門家である弁護士に相談するのが一番の近道です。必要以上にこじれて大きなストレスを抱えてしまう前に、弁護士に相談しましょう。

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