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親権と監護権の違い|分けられる?指定と変更の方法

親権と監護権の違い|分けられる?指定と変更の方法

この記事で分かること

  • 親権と監護権の違いと親権に含まれる二つの権利
  • 子どもを実際に育てる監護権の中身
  • 親権者と監護権者を別々に定める分属という仕組み
  • 分属のメリットとデメリット、選ばれるケース
  • 親権者や監護権者の決め方と後から変更する方法

親権は、子どもを育てる身上監護権と、財産を管理する財産管理権から成り、このうち身上監護権にあたる部分が監護権です。通常は親権者が両方を持ちますが、親権者と監護権者を別々に定める分属も可能です。分属は父母の対立を収める妥協策になる一方、育てる人と財産を管理する人が分かれる不便もあります。子どもの利益を第一に、養育費や面会も含めて書面で取り決めることが大切です。

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親権と監護権は何が違うのか

離婚で子どもの親権について調べていると、「監護権」という言葉に出会って、戸惑う方が多いようです。「親権と監護権は、どう違うのか」「親権を取れば監護権もついてくるのか」。似ているようで異なるこの二つの言葉は、混同されやすく、正しく理解しないまま話し合いを進めると、思わぬトラブルにつながります。まずは、両者の違いから整理していきましょう。

この二つの言葉を混同したまま離婚の話し合いを進めると、後で大きなトラブルになることがあります。「親権は相手に譲ったが、子どもは自分が育てられると思っていた」といった行き違いが、その典型です。親権と監護権の関係を正しく理解していれば、こうした誤解は防げます。だからこそ、話し合いに入る前に、まずはこの二つの言葉の意味を、しっかり押さえておくことが大切なのです。

結論から言うと、監護権は、親権の一部です。親権という大きな権利の中に、監護権が含まれている、という関係になります。つまり、親権のほうが範囲が広く、監護権はその一部分だ、と理解するのが正確です。この基本の関係を押さえておくと、話が整理しやすくなります。

この関係を、身近なたとえで考えてみましょう。親権を大きな箱だとすると、その箱の中に、「子どもを育てる」という道具と、「財産を管理する」という道具の、二つが入っているイメージです。監護権とは、このうち「子どもを育てる」ほうの道具を指します。普通は、一人の親が箱ごと、つまり両方の道具を受け取ります。しかし、事情によっては、箱の中の道具を、二人の親で分け合うこともできる。これが分属です。この見取り図を頭に置いておくと、以降の説明がすっと入ってきます。

では、親権には、どのような中身が含まれているのでしょうか。親権は、大きく二つの要素から成り立っています。一つは、子どもの身の回りの世話をし、教育や居所を決めるなど、日常的に子どもを養育する権利です。もう一つは、子どもの財産を管理し、子どもに代わって契約などの法律行為を行う権利です。前者を身上監護権、後者を財産管理権といいます。

このうち、身上監護権にあたる部分が、監護権と呼ばれるものです。つまり、親権から財産管理などの部分を除いた、実際に子どもを育てる権利が、監護権にあたります。通常は、親権者が監護権もあわせて持ち、子どもを育てていきます。しかし、事情によっては、この二つを別々の人に分けることもできるのです。この記事では、親権と監護権の違いから、両者を分けるケースまでを、順を追って解説していきます。

親権と監護権の違いを理解しておくことは、離婚の話し合いで、思わぬ不利益を避けるためにも重要です。たとえば、「親権を譲る代わりに監護権を得る」といった話が出たとき、その意味を正しく理解していなければ、自分にとって何が得で何が損かを判断できません。言葉の意味があいまいなまま合意してしまうと、後で「こんなはずではなかった」と後悔することにもなりかねないのです。

また、監護権という言葉は、日常ではあまり使われないため、いざ離婚の場面で出てくると、多くの方が戸惑います。しかし、仕組みそのものは、決して難しくありません。親権という大きな権利があり、その中に、子どもを育てる部分と、財産を管理する部分がある。その育てる部分が監護権だ、と押さえておけば十分です。この基本を土台に、以下を読み進めてみてください。

監護権とは何か

親権と監護権の違いを理解するために、監護権とは具体的に何を指すのか、もう少し詳しく見ていきましょう。監護権とは、先ほど述べたとおり、子どもを実際に養育し、身の回りの世話をする権利のことです。日々の生活の中で、子どもと直接関わる部分だと考えると、わかりやすいでしょう。

監護権を、身近な言葉で言い換えるなら、「一緒に暮らして育てる権利」です。朝起こして食事をさせ、学校へ送り出し、しつけをし、体調を気づかう。そうした日々の営みのすべてが、監護権に基づく養育です。子どもにとっては、この監護権を持つ親こそが、生活の中でいちばん頼りになる存在になります。監護権は、子どもの毎日を支える、実質的で温かい権利なのです。

監護権に含まれるのは、たとえば、子どもと一緒に住んで身の回りの世話をすること、しつけや教育を行うこと、子どもがどこに住むかを決めること、といった、日常の養育に関わる事柄です。実際に子どもを引き取って育てる親が持つ権利、と考えるとイメージしやすいでしょう。子どもの生活に、最も密接に関わる権利です。

  • 子どもと一緒に住み、日々の身の回りの世話をすること
  • しつけや教育を行うこと
  • 子どもがどこに住むかを決めること
  • 日常生活の中で子どもを保護し、養育すること

これらはいずれも、子どもと日常的に接する中で発生する事柄です。子どもにとって、最も身近な親の関わりが、監護権の中身だといえます。一方で、監護権には、財産に関わる権限は含まれていません。この、日常の養育に関わる部分と、財産に関わる部分の切り分けが、親権と監護権を理解するうえでの鍵になります。

一方、親権にはあるが監護権にはない部分が、財産管理権です。これは、子ども名義の財産を管理したり、子どもに代わって契約などの法律行為を行ったりする権利です。子どもが相続した財産を管理する、子どもの銀行口座を扱う、といった場面で必要になります。この財産に関わる部分は、監護権には含まれず、親権者が担うことになります。

財産管理権が必要になる場面は、日常ではそう多くありません。しかし、子どもが祖父母などから財産を相続したり、まとまったお金を受け取ったりしたときには、この権限が重要になります。子どもの大切な財産を守り、適切に管理していく役割だと考えてください。

補足
親権は、子どもを育てる身上監護権と、財産を管理する財産管理権から成り立っています。このうち、身上監護権にあたる部分が監護権です。通常は親権者が両方を持ちますが、事情によっては、監護権だけを親権者とは別の人が持つ、という形も可能です。

通常のケースでは、親権者が、この身上監護権と財産管理権の両方を持ち、子どもを育てていきます。親権者イコール、子どもを育てて財産も管理する人、というのが一般的な形です。ですから、多くの離婚では、監護権という言葉を意識することなく、親権者を決めれば話は済みます。監護権が問題になるのは、これから説明する、親権と監護権を分けるケースなのです。

逆に言えば、「監護権」という言葉がわざわざ出てくる場面は、親権と監護を分けることが話題になっている、ということでもあります。もし相手や専門家との会話で監護権という言葉が出てきたら、それは分属の可能性が視野に入っている合図かもしれません。その意味を正しく理解していれば、話の流れを見失わずに済みます。言葉の背後にある意図を読み取ることも、交渉では大切です。

なぜ、通常は親権者が監護もあわせて行うのが望ましいのでしょうか。それは、子どもを育てる人と、財産を管理し法律行為を代理する人が同じであるほうが、物事がスムーズに運ぶからです。子どもに関する手続きが必要になったとき、育てている親がそのまま対応できれば、余計な連絡や調整が要りません。子どもにとっても、一人の親がすべてを担ってくれるほうが、生活が安定します。だからこそ、分けないのが原則なのです。

親権者と監護権者を分けられる

ここからが、親権と監護権の違いを理解するうえで、最も重要な部分です。実は、親権者と監護権者を、別々の人に分けることができます。これを、分属といいます。父母のどちらか一方を親権者とし、もう一方を監護権者とする、という形です。あまり知られていませんが、こうした取り決めも可能なのです。

分属した場合、それぞれの役割はどうなるのでしょうか。監護権者となった親は、実際に子どもを引き取って、日々の養育を担います。一方、親権者となった親は、子どもと一緒には暮らさないものの、子どもの財産管理や、法律行為の代理といった、財産に関わる部分を担当します。つまり、育てる人と、財産を管理する人が、別々になるわけです。

この役割分担を、具体的な場面で想像してみましょう。監護権者である親は、子どもと毎日を過ごし、学校や病院に付き添い、生活のすべてを見ます。一方、親権者である親は、子どもとは別に暮らしながら、たとえば子どもが相続した財産を管理したり、子ども名義で重要な契約を結ぶ際に代理を務めたりします。日常は監護権者が、財産や重要な法律行為は親権者が、という形で、二人が別々の役割で子どもに関わっていくことになります。

なぜ、このような分け方が必要になるのでしょうか。多くの場合、離婚の際に親権をめぐって父母が激しく対立し、どちらも譲らない、という状況で、妥協策として用いられます。一方を親権者、もう一方を監護権者とすることで、双方が子どもに関わり続けられる形を整え、対立を収める、という使われ方です。子どもを実際に育てるのは監護権者ですから、日常の養育は確保されます。

このように、分属は、双方が子どもとの関わりを保ちながら対立を収める、いわば折衷案としての側面を持っています。親権を完全に失うわけではないという安心感が、譲歩を引き出しやすくすることもあります。ただし、その折衷が子どもにとって最善かどうかは、また別の問題です。大人の対立を収めるための妥協が、子どもにしわ寄せを及ぼさないか。分属を検討する際は、この視点を忘れないことが大切です。

ただし、分属は、いつでも気軽に選べる方法というわけではありません。育てる人と財産を管理する人が分かれることで、かえって不便が生じたり、子どもが混乱したりすることもあります。分属には、メリットとデメリットの両面があるのです。安易に選ぶのではなく、その利点と難点をよく理解したうえで判断する必要があります。

分属という選択肢があること自体は、あまり知られていません。そのため、親権をめぐって対立したとき、「どちらか一方が親権も監護も全部取る」か「あきらめる」かの二択で考えてしまいがちです。しかし、分属という第三の道があると知っていれば、対立の出口が見つかることもあります。子どもを育てたい気持ちが強いなら、親権にこだわらず、監護権を得るという選択も現実的な解決になり得るのです。

分属のメリットとデメリット

親権者と監護権者を分ける分属には、良い面と悪い面の両方があります。この両面を理解しておかないと、後で「こんなはずではなかった」ということになりかねません。ここでは、分属のメリットとデメリットを、整理してお伝えします。判断の材料にしてください。

メリットとデメリットは、いわば表と裏の関係にあります。分属の最大のメリットである「双方が子どもに関わり続けられる」ことは、裏を返せば「二人の親が子どもに関わり続けるための調整が必要になる」ということでもあります。父母の関係が良好なら、この関わりは子どもにとって豊かなものになりますが、関係が悪ければ、調整の手間や対立の火種になります。同じ仕組みが、状況次第で長所にも短所にもなる、という点を理解しておきましょう。

まず、メリットです。最大の利点は、親権をめぐる父母の対立を収める妥協点になり得ることです。どちらも親権を譲らず、話し合いが行き詰まったとき、一方を親権者、もう一方を監護権者とすることで、双方が子どもに関わり続けられます。子どもを実際に育てたい親が監護権を得られれば、その願いはかなえられます。対立の解決策として機能するのです。

一方、デメリットも小さくありません。育てる人と財産を管理する人が分かれることで、手続き上の不便が生じることがあります。たとえば、子どもに関する何らかの法律行為が必要になったとき、実際に育てている監護権者ではなく、親権者の関与が必要になる場面が出てきます。日常的に子どもと暮らしていない親権者に、その都度連絡を取らなければならない、という手間が生じるのです。

注意
分属は、父母の対立を収める手段になる一方で、育てる人と財産を管理する人が分かれることで、後々の手続きに手間が生じることがあります。父母の関係が良好でないと、必要なときに連携が取れず、子どもに不利益が及ぶおそれもあります。分属を選ぶ際は、こうした点を十分に考慮する必要があります。

また、父母の関係が険悪な場合、分属はかえって問題を長引かせることがあります。子どもに関する事柄で、親権者と監護権者の連携が必要になったときに、両者の関係が悪いと、スムーズに進まないおそれがあるからです。分属は、父母が最低限の協力関係を保てることが前提となる面があります。この点も、判断にあたって考えておきたいところです。

分属のデメリットを、子どもの視点から考えてみることも大切です。育てる親と、財産を管理する親が分かれていると、子どもにとっては、自分に関わる大人の役割が分かりにくくなることがあります。また、何か重要な決定が必要なときに、二人の親の間で意見が食い違うと、その板挟みになるのは子どもです。分属を選ぶなら、こうした子どもへの影響も見据えて、父母が子どものために協力し合える関係を保つ覚悟が求められます。

分属が選ばれる主なケース

では、実際に分属が選ばれるのは、どのような場合なのでしょうか。分属は例外的な取り決めですが、いくつかの典型的なケースがあります。自分の状況が当てはまるかどうか、確認してみてください。ここで、代表的な場面を見ていきましょう。

分属が選ばれるケースには、一つの共通点があります。それは、親権をどちらか一方に完全に集約するのが難しい、特別な事情があることです。多くの離婚では、どちらが子どもを育てるかがおのずと定まり、その親が親権者になります。しかし、双方が譲らなかったり、それぞれに事情があったりすると、話は単純には進みません。そうした行き詰まりを打開する手段として、分属が候補に上がってくるのです。

最も多いのは、親権をめぐって父母が対立し、どちらも譲らない場合です。双方が親権を強く望み、話し合いが平行線をたどるとき、一方を親権者、もう一方を監護権者とすることで、折り合いをつけるのです。子どもを実際に育てるのは監護権者ですから、育てたい側が監護権を得て、もう一方が親権者として名を残す、という形で決着することがあります。

もう一つは、それぞれの事情によって、育てる役割と、財産を管理する役割を分けたほうが、子どものためになると考えられる場合です。たとえば、一方の親が子どもの世話に適している一方、もう一方の親が財産管理の面で子どもを支えられる、といった事情があるケースです。それぞれの強みを生かして、子どもを支える形として、分属が選ばれることがあります。

ただし、こうした「役割分担型」の分属が本当にうまくいくのは、父母が子どものために協力できる場合に限られます。育てる親と財産を管理する親が、互いに連絡を取り合い、子どものために足並みをそろえられてこそ、それぞれの強みが生きるのです。もし父母が反目し合っていれば、役割を分けたことがかえって足かせになります。分属を役割分担として選ぶなら、その前提として、父母の協力関係が保てるかどうかを、冷静に見極める必要があります。

ただし、繰り返しになりますが、分属は、あくまで例外的な取り決めです。多くの離婚では、親権者が監護もあわせて行う形が、最もシンプルで、子どもにとっても分かりやすいものです。分属を選ぶのは、それが子どもの利益にかなう特別な事情があるときに限られる、と考えておくべきでしょう。安易に分属を選ぶと、かえって子どもを振り回すことにもなりかねません。

分属が選ばれる場面をもう少し具体的に見てみましょう。よくあるのが、母親が実際に子どもを育てたいと強く望む一方、父親も親権だけは手放したくない、というケースです。このとき、母親を監護権者、父親を親権者とすることで、母親が子どもを育てつつ、父親も親権者として子どもとのつながりを保つ、という形で折り合いをつけられます。双方の希望を、部分的にかなえる妥協策として機能するわけです。

親権者・監護権者の決め方と変更方法

親権者や監護権者は、どのように決め、また、後から変更することはできるのでしょうか。決め方と変更の手続きを知っておくことは、実際に取り決めを進めるうえで役立ちます。ここでは、その方法を見ていきましょう。まずは、決め方からです。

親権者や監護権者の決め方で、まず知っておきたいのは、親権者は離婚時に必ず決めなければならない、という点です。これが決まらないと、離婚届が受理されず、離婚そのものが成立しません。一方、監護権者を親権者と別に定めるかどうかは、任意です。分属の必要がなければ、監護権者をあえて指定せず、親権者が監護もあわせて行う形で構いません。まずは親権者を決め、必要に応じて監護権者の分属を考える、という順序になります。

  1. 父母の話し合いで親権者を決める。分属とする場合は、監護権者もあわせて取り決めます。
  2. 合意できれば、その内容を書面に残す。誰が親権者・監護権者かを明確にします。
  3. 話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てる。
  4. 調停でも決まらなければ、審判で裁判所が判断する。子どもの利益が基準になります。
  5. 決定後に事情が変われば、家庭裁判所の手続きで変更を検討する。

親権者は、離婚の際に必ず定めなければならず、離婚届にも記載します。父母の話し合いで決めるのが原則で、まとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。監護権者を親権者とは別に定める場合、つまり分属とする場合も、まずは父母の話し合いで取り決めるのが基本です。合意ができれば、その内容を書面に残しておくことが大切です。

話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の手続きを利用することになります。親権者や監護権者を誰にするかは、最終的には、子どもの利益を基準に判断されます。どちらの親のもとで暮らすことが、子どもにとって望ましいか。これまでどちらが主に子どもの世話をしてきたか。こうした事情を踏まえて、決められることになります。

いったん決めた親権者や監護権者を、後から変更することもできます。ただし、変更には家庭裁判所の手続きが必要で、父母の合意だけで自由に変えられるわけではありません。変更が子どもの利益にかなうと認められる必要があります。事情が変わり、今の状態が子どものためにならなくなった場合などに、変更が検討されることになります。子どもの生活の安定を重んじて、慎重に判断されます。

監護権者の変更について、少し補っておきます。親権者の変更が家庭裁判所の手続きを要するのに対し、監護権者の変更も、同じく慎重に扱われます。いったん決まった監護のもとで子どもが生活を築いている以上、それを変えることは、子どもの環境を再び揺るがすからです。ですから、監護権者を変えたい場合も、それが子どもの利益にかなうといえる事情が必要になります。安易な変更は認められにくい、と理解しておきましょう。

分属を検討するときの注意点

最後に、親権者と監護権者を分ける分属を検討する場合の、注意点をお伝えします。分属は、うまく使えば対立の解決策になりますが、安易に選ぶと、かえって問題を生むこともあります。判断を誤らないために、押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

分属を検討する際に、まず自問したいのは、「なぜ分属を選ぶのか」という点です。子どもを育てる役割と、財産を管理する役割を分けることに、明確な理由と利点があるのか。それとも、単に親権をめぐる争いを避けるための、その場しのぎの妥協にすぎないのか。この違いは重要です。前者であれば分属は良い選択になり得ますが、後者であれば、後で不便やトラブルを招くおそれがあります。目的をはっきりさせることが、判断の出発点です。

まず、分属を選ぶ前に、本当にそれが子どものためになるのかを、慎重に考える必要があります。父母の対立を収めるためだけに分属を選ぶと、子どもにとっては、育てる人と財産を管理する人が分かれることの不便だけが残る、ということにもなりかねません。あくまで、子どもの利益を第一に考えて、分属が最善かどうかを判断することが大切です。

また、分属を取り決める場合は、養育費や面会交流についても、あわせてしっかり決めておく必要があります。実際に子どもを育てる監護権者は、子どもと暮らさない親権者に対して、養育費を請求できます。親権者であっても、子どもと暮らしていなければ、養育費を支払う立場になり得るのです。この点も含めて、お金や面会のことを明確に取り決めておきましょう。

そして、取り決めた内容は、必ず書面に残しておくことが重要です。誰が親権者で、誰が監護権者か、養育費や面会交流をどうするか。これらをあいまいにしたままだと、後でトラブルになります。特に分属のように複雑な取り決めをする場合は、書面化が欠かせません。分属は、通常の親権の取り決めよりも複雑ですから、進め方に迷ったら、専門家に相談することを強くおすすめします。

分属を検討するときに、最も大切にしてほしい視点を、あらためてお伝えします。それは、その取り決めが、父母のためではなく、子どものためのものかどうか、という点です。親権をめぐる争いは、ときに父母の意地の張り合いになりがちです。しかし、親権も監護権も、本来は子どもの利益を守るための仕組みです。分属という選択が、子どもにとって本当に良いものなのかを、常に問い直しながら判断してほしいと思います。

親権と監護権を分けるには、裁判所の手続きが必要ですか

父母の話し合いで合意できれば、必ずしも裁判所の手続きは必要ありません。分属とすることに双方が納得すれば、その内容を取り決めて、書面に残しておくことができます。ただし、話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。また、いったん決めた監護権者を後から変更する場合には、家庭裁判所の手続きが必要です。分属は複雑な取り決めですので、進め方に迷う場合は、専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。

親権と監護権に関するよくある質問

親権と監護権は、どちらが子どもを育てる権利ですか

実際に子どもを引き取って育てるのは、監護権を持つ親です。監護権は、子どもと一緒に住み、身の回りの世話をし、教育を行う権利だからです。通常は、親権者が監護権もあわせて持つため、親権者が子どもを育てます。しかし、親権者と監護権者を分けている場合は、監護権者のほうが、実際に子どもを育てることになります。親権を持っているかどうかと、子どもを育てるかどうかは、分属の場合には一致しないことがある、と理解しておきましょう。

親権と監護権のどちらを持つほうが、有利なのですか

どちらが有利かは、何を重視するかによります。実際に子どもと暮らして育てたいのであれば、監護権を持つことが重要です。監護権を持つ親が、日々子どもと生活を共にするからです。一方、子どもの財産管理や法律行為の代理に関わりたい場合は、親権が関わってきます。ただし、通常は親権者が監護もあわせて持つため、この二つを切り離して有利不利を論じる場面は限られます。分属を考える特別な事情があるとき以外は、あまり気にしすぎる必要はないでしょう。自分のケースでどう考えるべきかは、専門家に相談してみてください。

監護権だけを持っていても、子どもを育てられますか

はい、育てられます。監護権は、子どもを実際に養育する権利ですから、監護権を持っていれば、子どもと一緒に暮らして育てることができます。ただし、子どもの財産を管理したり、子どもに代わって重要な法律行為を行ったりする場面では、財産管理権を持つ親権者の関与が必要になることがあります。日常の養育は監護権者が担い、財産に関わる部分は親権者が担う、という役割分担になる、と考えるとよいでしょう。

親権と監護権を分けると、養育費はどうなりますか

子どもを引き取って育てる監護権者の側は、子どもと離れて暮らす親権者に対し、養育費の支払いを求めることができます。親権者であっても、子どもを引き取って育てていなければ、養育費を支払う立場になります。つまり、養育費を支払うかどうかは、親権の有無ではなく、実際に子どもを育てているかどうかで決まる、と考えるのが基本です。分属する場合は、養育費の金額や支払い方法も、あわせて明確に取り決めておくことが大切です。

親権と監護権を分けるのは、やめたほうがよいのでしょうか

一概にやめたほうがよいとは言えませんが、慎重な検討が必要です。分属は、父母の対立を収める手段になる一方で、育てる人と財産を管理する人が分かれることで、手続き上の不便が生じることがあります。父母の関係が良好でないと、連携が取れず、子どもに不利益が及ぶおそれもあります。分属が本当に子どものためになるのかを、よく考えることが大切です。判断に迷う場合は、専門家に相談して、自分のケースに適した方法を検討することをおすすめします。

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