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親権と監護権、その違いは?~トラブルを防ぐための指定と変更の方法

この記事で分かること

  • 親権は、監護権と財産管理権に分かれる。
  • 未成年者の両親が離婚したら、どちらかの親が親権者となる。
  • 親権者とは別に、監護者を決めることができる。
  • 監護者を決めた場合、メリットとデメリットの両方がある。
  • 親権者も監護者も、変更することができる。
  • 法律知識と裁判実務に精通した弁護士への相談が、安心への近道である。

未成年の子どものいる夫婦が離婚すると、親権者や監護者の指定や変更が問題となります。家庭裁判所での手続が必要な場合も多いです。一般の方が行うのは、とても大変なうえ、ひとつ間違えば子どもに大きな不利益を与えてしまいます。まずは、法律知識と裁判実務に精通した弁護士に相談するのが一番です。

親権の中身は、監護権と財産管理権である

親権は、監護権と財産管理権という2つに分かれます。
こうした親権の詳細について、夫Aさん・妻Bさんとその間の子・C君(16歳)の家族を例に解説していきます。

監護権とは子どもの心と身体を守る権利

親権の中身のひとつ・監護権は、C君の心と身体を守る権利です。これはさらに、3つの権利に分かれます。

  1. C君が自分の心身を損なうことをしないように、C君の行動を監督する権利(悪い仲間と付き合っていないか、交友関係に目を光らせるなど)
  2. C君の心身が損なわれそうになった時に、それを防いで保護する権利(病気になった時に、病院に連れて行くなど)
  3. 自分の心身が損なわれないための知識や技能を身に付ける教育をC君に受けさせる権利(義務教育である小学校と中学校にきちんと通わせるなど)

民法の条文では、①と②をまとめて「監護」とし、これを③と合わせて、「監護及び教育」と表現しています。いっぽう、C君の心身を守るという点で監護と教育は密接に関係し、いわば一体ともいえることから、別の条文では、教育も含んだ意味で「監護」という言葉が使われています。

財産管理権とは子どもの財産を守る権利

もうひとつの中身は、C君の財産を守る権利です。これはさらに、2つの権利に分かれます。

  1. C君の財産がなくなったり傷ついたりしないようにしっかりと管理する権利(財産管理権。C君の原付が盗まれないように、防犯アラームを取り付けるなど)。
  2. C君が自分の財産について第三者と取引をする場合に、取引が不利なものとならないように、取引の中身を確認したうえでC君に同意を与えたり、AさんBさん自身がC君に代わって取引をしたりする権利(同意権、代理権。C君の原付を知人に売る場合に、不当に安い値段とならないように、C君が決めた売値を確認のうえ同意したり、AさんBさん自身がC君に代わって取引するなど)。

もっとも、②についても、低価値な物を手に入れたり、過ぎた出費をしたりしない、という意味で財産の管理に含まれるともいえることから、①と②を合わせて「財産管理権」ということもできます(①の財産管理権と区別するために、「広い意味の財産管理権」と呼ぶのが分かりやすいでしょう。)

親権の内容図

ワンポイントアドバイス
これら親権の中身は、「権利」というよりも、C君に対してしてあげなければならないこと、すなわち「義務」と考えたほうがすっきりします。それなのに、民法が、「親の義務」とせずに、「親の権利」すなわち「親権」としたのは、なぜでしょうか。それは、C君を守り育てていく中心は、あくまで、親であるAさんBさんであり、その行為を「権利」とすることで、周囲からの口出しや指図といった干渉を防ぐためであると考えられています。

親が離婚すると、夫・妻どちらかが親権者になる

C君が17歳になった年に、AさんとBさんが協議離婚することになってしまいました。C君は未成年の17歳であり、守ってくれる人が必要です。これまでは、AさんBさんが一緒に、共同親権という形で、C君を守ってきてくれました。しかし、ふたりが離婚することになった今、これからのC君の守り手はどうなるのでしょうか。

話し合いで親権者を決める

C君という未成年の子がいる夫Aさん・妻Bさん夫婦が協議離婚するには、夫Aさん・妻Bさんのいずれかを、C君の親権者と決めなければなりません。離婚届にも、どちらが親権者になるかを記載する欄があり、記載のない離婚届は受理されません。

どちらが親権者になるかは、まず、夫Aさん・妻Bさんの話し合いで決めます。話し合いがまとまらないうちは、親権者の欄が埋まらず、離婚届は完成しません。

話し合いがまとまれば、離婚届の親権者欄に記入して、離婚届を市区町村役場に提出します。受理されれば、夫Aさん・妻Bさんが離婚したこと、C君の親権者がたとえば妻Bさんになったことが、家族全員A・B・Cそれぞれの戸籍に記載されます。

家庭裁判所の審判か調停で決める

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所で、どちらが親権者としてふさわしいかを決めることになります。決める方法には、審判と調停の2通りがあり、どちらを申し立ててもかまいません。

申し立てるのは、夫Aさん・妻Bさんのどちらでもかまいません。審判の申立て先は、C君の住所地を担当区域とする家庭裁判所、または夫Aさんと妻Bさんとで決めた家庭裁判所です。調停の申立て先は、たとえばAさんが申立てる場合の相手方となる妻Bさんの住所地を担当区域とする家庭裁判所、または夫Aさんと妻Bさんとで決めた家庭裁判所です。

C君の親権者をどちらにするかをめぐってしこりが残ることは、他ならぬC君の成長に悪影響を及ぼします。従って、どちらが親権者になるかついて、審判という形で裁判官が一方的に決めるよりも、調停を通じて夫Aさん・妻Bさんの合意によって決める方が、しこりが残りにくく、理想的です。そこで、親権者指定の審判が申し立てられた場合には、裁判官の決定により、調停の手続に回されるのが、実務の大勢です。この調停が不成立となれば、自動的に審判の手続に移ります。

審判については、たとえば妻Bさんを親権者と指定する審判がなされた場合、夫Aさんがこれに不服があれば、夫Aさんは上級の裁判所に不服申し立てをすることができます。

家庭裁判所で決まっても、届出が必要

審判が確定した場合には審判書謄本と確定証明書、調停が成立した場合には調停調書謄本を、それぞれ家庭裁判所からもらって、離婚届と一緒に市区町村役場に提出します。提出するのは、夫Aさん・妻Bさんどちらでもかまいません。離婚届が受理されれば、夫Aさん・妻Bさんが離婚したこと、C君の親権者がたとえば妻Bさんになったことが、ABCそれぞれの戸籍に記載されます。

親権者が決まるまでの流れ

ワンポイントアドバイス
協議であれ、審判・調停であれ、親権者を決めるに当たって最も考慮されなければならないのは、子どもの福祉です。C君の心身と財産を守る役割を果たせるのは、AさんかBさんかという観点で、決められなければなりません。親のプライドを保つため、子どもに親権者側の氏を継がせるため等の親権者決定であってはなりません。また、審判・調停では、子ども自身の意思を把握し、その意思を考慮しなければならないと定められています。これも、子どもの福祉優先という考え方の表れといえます。

親権者と監護権者が別人となることがある

親権は監護権を含みますので、離婚後の親権者は、監護と財産管理の両方を行うことになります。しかし、実際には、次のようなケースもあります。

監護と財産管理を分担したほうがよい場合がある

夫Aさんは残業や出張が多く、C君は、夫Aさんよりも妻Bさんと一緒にいた時間のほうが長かったため、C君の身の周りのことは夫Aさんよりも妻Bさんのほうがよく分かっています。特に、C君の普段の行動、健康状態、学校関係など、C君の監督・保護・教育の面については、夫Aさんよりも妻Bさんのほうがしっかりと把握しています。従って、監護権については、夫Aさんよりも妻Bさんがこれを行うのが、C君のためになると考えられます。

C君にはおじいさんから遺贈された土地があり、これは今まで、法律知識もある夫AさんがC君に代わって管理してきました。妻Bさんには法律知識もなく、管理の仕方もてんで分かりません。従って、財産管理権については、妻Bさんよりも夫Aさんがこれを行うのが、C君のためになると考えられます。

このように、親権の中身である監護権と財産管理権を、夫Aさんと妻Bさんとで分担して行ったほうがC君のためになるという場合もあるのです。

親権者でない人を監護者と決めることができる

子どもにとっては、財産管理者よりも監護者のほうが、身近な存在として日常的な関わりが多いので、民法は、親権者とは別に監護者を決めることができるという規定を設けました。

親権者は、離婚後における子どもの心身と財産を守るべき重要な立場にある人です。従って、誰が親権者になるのかを離婚届の記載事項とすることによって、親権者の指定が必ず行われるようにしました。また、戸籍に記載されることによって、誰が親権者になったのかが公に示されることは、親権者が責任感を持つことにもつながります。

これに対して、監護者は、監護権と財産管理権を分担させたほうが子どものためによいと思われるときにだけ決められる人であって、必ず決めなければならない人ではありません。従って、離婚届の記載事項ではありませんし、戸籍に記載されて公に示されることもありません。

しかし、戸籍に記載されないからといっても、誰が監護者になるかは、子どもにとって身近で重大な事柄です。そこで、監護者が、いい加減な方法で決められたり、いい加減な人が監護者にならないように、民法は、その決め方をきちんと定めています。すなわち、親権者を決めるときくらいにきちんと決めたほうがよいと考えて、親権者の決め方に準じた決め方を定めています。

話し合いで監護者を決める

どちらが監護者になるかは、まず、夫Aさん・妻Bさんの話し合いで決めます。離婚届の記載事項ではないので、協議離婚をした後に決めることもできます。ただ、話し合いがまとまっても、先ほど述べたように、離婚届や戸籍には記載されません。両者の合意を念書にして残してもよいのですが、あくまで私的な文書ですので、後になってその成否や真偽で揉めることも考えられます。

家庭裁判所の審判か調停で決める

話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所で、誰が監護者としてふさわしいかを決めることになります。また、話し合いはまとまったけれども、私的文書にすぎない念書では後々不安なので、審判書や調停調書といった公の文書にしたいときにも、こうした手続を取ることができます。

審判と調停のどちらを申立ててもよいこと、申し立てる人、申立て先、審判の多くは調停に回されること、審判への不服申し立てができることについては、親権者を決める場合と同じです。

監護者が決まるまでの流れ

ワンポイントアドバイス
監護者については、親権者のように、父母のいずれかという制限がないので、AさんBさん以外の人でもかまいません。たとえば、本当はBさんがよいのだけれど、Bさんが体調優れず、思うように監護ができないので、Bさんと相談しながら監護のできるBさんの母親、つまりC君のおばあちゃんであるDさんに監護者になってもらうこともできます。但し、あくまでもC君の福祉を監護者選びの観点とすべきこと、審判・調停ではC君自身の意思の把握・考慮が必要とされることは、親権者を決める場合と同じです。

親権者と監護権者が別になるメリットとデメリット

こうして、親権者と監護者が別々になった場合、親権者だけの場合に比べて、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。代表的なものを以下でご紹介します。

親権者と監護権者が別になるメリット

子どもとの関わりを継続することができる

親権者とならない親でも、監護権者として、引き続き子どもと関わることができる。

親権の争いを妥協的に解決することができる

親権者となれなくても、監護権者となれることで、ある程度満足し、親権をめぐる争いを終結させることができる。

得意分野を分担することができる

財産管理は不得意だが監護は得意という親を監護権者として監護を任せ、それとは逆の親を親権者として財産管理を任せることで、両者相まって、子どもの利益を守ることができる。

それぞれの役割に専念できる

監護権者は財産管理を気にせずに監護に専念でき、親権者は監護を気にせずに財産管理に専念できる。

親権者と監護権者が別になるデメリット

両者の新たな火種となるおそれがある

両者の協力意識やコミュニケーションが不十分な場合には、相互の反目や誤解が生じ、子どもの養育をめぐって新たな争いを生じさせるおそれがある。

子どもとの関わりのアンバランスを生じさせるおそれがある

監護は子どもの日常的な事柄を内容とするので、監護権者は子どもとの関わりが多いのに対し、財産管理は監護ほど日常的なことではないので、親権者は監護権者ほど、子どもとの関わりを持つことができない。

相手の権限に口を出せない歯がゆさが生じる

親権者は子どもの監護については口を出せず、逆に監護権者は子どもの財産の管理については口を出せず、互いに親として歯がゆい思いをすることになる。特に監護者は、監護に関係することではあるけれども親権者でないとできない事柄については、その都度、親権者に手続を頼まなければならず、面倒が生じる。

権利の衝突による争いが起こるおそれがある

特に、面会交流、監護費用の分担、引渡しについて、親権と監護権が衝突して、争いが生じるおそれがある

親権者と監護権者を別にした場合の具体例

これまでの裁判例を参考に、C君の親権者がAさん、監護者がBさんになったと想定し、具体例をいくつかまとめてみました。

親権者(Aさん) 監護権者(Bさん)
メリット デメリット メリット デメリット
財産管理・監護 Cの監護のことを気にせずに、Cの土地管理に専念できる。 Cの監護のことに、口を出せない。Cの友人関係が気になるが、Bに言えない。 Cの土地管理のことを気にせずに、Cの監護に専念できる Cの土地管理のことに、口を出せない。AがCの土地を担保に借金するらしいが、何も言えない。(但し、特別代理人の選任が必要。)
同意 Cがどんなアルバイトをするのか、知ることができ、好ましくない場合は、同意しないことができる。 Cがアルバイトを始めるのに、同意を与えなければならず、C宅とは離れているので、手間隙がかかる。 CのアルバイトについてAが同意したのであれば、変な仕事ではないと思うので、監護の上でも安心感が持てる。 Cがアルバイトを始めるのに、Aの同意を得なければならず、A宅とは離れているので、手間隙がかかる。
同意・代理権 Cが海外に行くことを知ることができ、目的地や目的が好ましくなければ、同意も代理もしないことで、Cを守ることができる。 Cがパスポートを作るのに、同意を与えるか代理をしなければならず、C宅とは離れているので、手間隙がかかる。 CのパスポートについてAが同意または代理したのであれば、目的地や目的に問題がないと思うので、監護の上でも安心感が持てる。 Cがパスポートを作るのに、Aの同意か代理が必要となり、A宅とは離れているので、手間隙がかかる。
面会交流 Cへの面会交流を求める審判や調停を起こして、面会交流についてきちんと決めてもらえば、Cとすごす時間が保障されるので嬉しい。 面会交流として、Cに会って一緒に外出したいのに、Cの気持ちが乱れるとの理由で、監護権を盾に、Bに断わられた。 Aと会って一緒に外出することを断ったことでCの気持ちが乱れることを防ぐことができ、監護の役割を果たすことができた。 Aから、Cへの面会交流を求める審判や調停を起こされることへの不安がある。
監護費用の分担 審判や調停を起こして、家庭裁判所で監護費用として妥当な金額を決めてもらえば、こちらも生活の見通しが立つのでありがたい。 Cと一緒に暮らしていないので、Bの求める金額が妥当なものかどうか分かりずらい。 Aが、自分が親権者であることを意識して、監護費用をきちんと支払ってくれることが期待できる。 支払ってもらえないときには家計が行き詰まるし、離れて住んでいるAに何度も催促するのも大変。
引渡し請求 自分が親権者であることは、BによるCにへの虐待などがあった場合に、Cを自分の下へ避難させるための法律的な根拠となる。 Bに虐待されているとして私の下に逃げて来たCを、監護者であることを理由に、Bが連れ戻そうとしないか不安がある。 自分が監護者であることは、Cを自分の下に留め置くための法律的な根拠となる。 親権者であることを理由に、こちらにいるCを、Aが連れ戻しに来ないか不安がある。 

このように、親権者と監護者が別々になった場合、メリットとデメリットの両方があることが分かります。従って、親権者だけがよいのか、親権者と監護者を分けたほうがよいのかは、一概には判断できません。やはり、それぞれのケースに応じて、子どもの福祉を最重要ポイントにしつつ、諸々の事情を考慮して、決めていくしかないということができます。

ワンポイントアドバイス
離婚届には、面会交流および養育費(監護費用)の分担について決まっているか否かを記載する欄があります。この欄に記載がなくても、離婚届は受理されます。この欄が設けられたのは、面会交流と養育費負担は、子どもの成長に関してとても重要な事柄であることから、これらをしっかりと決めておくことを離婚当事者に促すためであると説明されています。

親権者と監護権者は変更できる

夫Aさん妻Bさんの離婚から2年余りが経ち、C君も19歳になりました。身体も心も、大きく成長しました。それでも、民法上は未成年者として、親権と監護権によって守られる立場にあります。

この2年間に、両親に大きな変化がありました。まず、親権者である夫Aさんの海外赴任が決まり、最低5年は帰国できないことになりました。また、監護者である妻Bさんに病気が見つかり、自宅療養となりました。

親権者を変えることができる

夫Aさんが海外からC君の親権を行うことは不可能です。妻Bさんは自宅療養中とはいえ、全く動けないほどの重病ではありません。また、妻Bさんは、弁護士のEさんと知り合いになり、C君の土地の管理についても相談できるようになりました。

従って、親権者を夫Aさんから妻Bさんに変えて、C君の心身と財産を守っていくのが最善の選択です。民法は、子どもの福祉のために必要がある場合には、親権者をもう一方の親に変更することを認めています。

親権者を変えるには、家庭裁判所での手続が必要である

C君の親権者を夫Aさんから妻Bさんに変更することは、夫Aさんと妻Bさんの話し合いだけで決めることはできません。誰が新しい親権者になるかは、C君のこれからの人生に関わる大問題です。夫Aさんが本当に親権を行うことができないのか、C君の新しい親権者として妻Bさんが本当にふさわしいのかを、中立的立場から、諸々の事情を収集し、それらを正確に把握したうえで、判断しなければなりません。

民法は、その役割を家庭裁判所に担わせました。家庭裁判所が、審判または調停の手続を通じて、親権者の変更について判断します。

審判と調停のどちらを申立ててもよいですが、申立人となれるのは、C君の親族です。この場合であれば、夫Aさんか妻Bさんがふさわしいでしょう。その他、申立先、審判の多くは調停に回されること、審判への不服申し立てができることについては、親権者を決める場合と同じです。

親権者変更手続の流れ

監護者を変えることができる

家庭裁判所での手続を通じて妻Bさんが新しく親権者になりました。親権のうち、C君の土地の管理などの財産管理権も、妻Bさんが、知り合いの弁護士Eさんに相談しながら行っていくことになりました。

ただ、監護権については、体調の悪化もあって、妻Bさんが、今までのように、C君の交友関係に目を光らせることなどが難しくなりました。そこで、近所に住んでいて、C君とも交流のある、妻Bさんの母、つまりC君のおばあちゃんDさんに監護者になってもらうことになりました。

監護者を変えるには、話し合いまたは家庭裁判所の手続で

監護者変更の手続は、監護者指定の手続とほとんど同じです。

ワンポイントアドバイス
妻Bさんが夫Aさんから親権者を引き継げたのは、Eさんという弁護士さんと知り合いになれたからです。C君のように、不動産という大きな財産を持つ人ほど、トラブルに遭遇するリスクが高いのが現実です。不動産などの財産を持つ子どもの親権者となる場合には、いつでも何でも相談できる、いわば「かかりつけ弁護士」ともいえる弁護士を持つことをお勧めします。

親権者と監護権者の違いに戸惑ったら、弁護士に相談を

これまで見てきたように、親権と監護権の関係って、分かったようで分かりにくいですよね。実際のケースは、この記事のように単純ではなく、登場人物が多くて人間関係も複雑だったり、財産も雑多だったりします。そうなれば、この記事を読んだ程度の知識だけでは、とても対応しきれるものではありません。

親権者と監護者の違いの理解、不動産などの大きな財産の管理、裁判所での手続など、専門的な知識と経験が欠かせません。子どもの監護や財産管理について分からないことや困ったことが起きたら、まずは、専門的な知識と経験を兼ね備えた弁護士に相談しましょう。

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